
長崎の「焼き場に立つ少年」
またも、原告の被爆者全員に対する原爆症が認められました!
原爆症の認定申請を却下されるなどした大阪と兵庫、京都3府県の被爆者9人が却下処分の取り消しなどを求めた集団訴訟の判決が2013年8月2日、大阪地裁でありまし。山田明裁判長は、既に国の認定を受けている1人を除く8人全員について被爆と疾病の因果関係を認め、却下処分の取り消しと原爆症認定の義務付けを国に命じました。
国に認定を義務付けた司法判断は2012年3月の同地裁判決に続き2件目です。個人的には2006年に大阪地裁でちょうど同じ9人全員が勝った、第一次原原爆症集団認定訴訟の涙涙の判決言い渡しが思い出されます。
原告は72~87歳の男女9人で、広島市、長崎市で、それぞれ爆心地から1・1~4・5キロ地点で被爆したり、原爆投下直後に爆心地近くに立ち入ったりなさいました。つまりこの判決でも直接被ばくだけでなく、入市被ばくによる内部被ばくも認められたのです。
そして、これら9人は、狭心症や心筋梗塞や甲状腺機能の低下などを発症したのは被爆が原因として、2006年9月~08年11月に原爆症の認定を申請し、2010年に8人は却下され、1人はすでに認定されていましたが、今回晴れて全員勝訴となったわけです。
甲状腺はともかく心筋梗塞も狭心症も被ばくと影響がある、それもしきい値がない=どんなに低線量被ばくでも発症の恐れがあることが裁判上は常識であることが日本人にまだまだ知られていません。内部被ばくの恐ろしさもです。なにしろ、原告全員が勝ったということは、原告全員に関して厚労省が間違った判断をしていたということですから、国の放射能の過小評価も甚だしいわけです。
判決で山田裁判長は、8人について「疾病は放射線に起因し、医療の必要性も認められる」とし、「加齢が原因」「被曝ひばく線量が低い」とする国側の反論を退けました。
原告側は「認定条件を緩和した新基準が2008年度に導入されたが、国の判断遅れで精神的苦痛を受けた」とする国家賠償請求は退けられましたが、新基準導入から5年経ってもまた裁判をしなければいけない現状が断罪されたといえるでしょう。
画期的な判決です!
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毎日新聞 2013年08月02日 12時02分(最終更新 08月02日 12時28分)
広島・長崎で被爆した大阪や神戸の8人(1人は死亡)が、原爆症と認めなかった国の処分の取り消しを求めた訴訟の判決が2日、大阪地裁であった。山田明裁判長(西田隆裕裁判長代読)は8人全員の処分を取り消した。「8人の病気は被爆によるものと認められる」と判断した。提訴後に原爆症と認定された被爆者1人を含め、原告9人が求めた国家賠償請求は退けた。
判決によると、9人は大阪市、神戸市などの72~87歳の男女。被爆の影響で心筋梗塞(こうそく)や甲状腺機能低下症を患ったとして、2006年9月~08年11月、原爆症の認定を申請した。
しかし、国から回答がなく、09年12月、裁判所が国に認定を命じるよう求める「義務付け訴訟」を起こした。その後、1人は原爆症と認められたが、8人は却下されたため、その処分の取り消しも求めていた。国の審査の遅れで精神的苦痛を受けたとして、慰謝料など1人123万~300万円を請求した。
原爆症の認定基準については2008年4月に要件が緩和された。判決は、新基準の科学的合理性を認める一方、被爆の影響などが過小評価される疑いがあり、「一応の目安とすべきだ」とした。
そして、「被爆状況や症状に照らし、さまざまな形態の被爆の可能性がないか十分に検討するべきだ」と指摘、8人を原爆症と認めなかった国の審査方法を批判した。
また、原告について国に原爆症の認定を義務付けた。原爆症を巡る訴訟では、12年3月の大阪地裁判決が初めて原爆症の認定を義務付ける判断をした。【渋江千春】
近畿の被爆者原爆症訴訟、大阪地裁が認定命じる
- 2013/8/2 13:26 日本経済新聞
国が要件を緩和して導入した原爆症認定の新基準で申請を却下されるなどした近畿地方の被爆者らが、却下処分の取り消しなどを求めた訴訟の判決で、大阪地裁(山田明裁判長)は2日、国に対し、8人全員の却下処分を取り消し、原爆症と認定するよう命じた。
違法な却下処分や処分までに時間を要したことに対する損害賠償請求は棄却した。
新基準導入後も申請を却下された被爆者らが、各地で処分取り消しを求めて提訴、すでに国敗訴の判決も出ている。厚生労働省の有識者検討会は現在、基準見直しに向けた議論を続けている。
判決は「原告らの疾病は放射線が原因であることや、治療の必要性が認められる」として却下処分は違法と判断した。
訴状などによると、原告は、心筋梗塞や甲状腺機能低下症を患う72~87歳の被爆者9人(うち1人は死亡)。2006~08年に認定申請したが、10年に1人が認定されたほかは却下された。認定された1人は長時間待たされたとして損害賠償を請求した。
厚労省原子爆弾被爆者援護対策室は「今後の対応については判決を詳細に検討し、関係省庁と協議して決定したい」とのコメントを出した。