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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

「ロシアが核の威嚇射撃を行い、NATOがこれに小型の攻撃で応戦すると、最初の数時間に9000万人以上の死傷者が出る」(プリンストン大学)。核兵器禁止条約の全国家批准しか、人類の生き残る道はない。

2022年03月28日 | 被爆者援護と核兵器廃絶

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  いったん戦争になると当事者が自分に有利な情報を流すのが常で、ロシア軍によるウクライナ侵略についても、ロシア軍がどれくらいの兵士を失ったかについて、ロシアとウクライナと北大西洋条約機構(NATO) では全く違った数字が出てきています。

 ロシア軍が数日でウクライナの首都キーウ(キエフ)を落とす予定だったのにもう一か月もかかっていて、ロシアは苦戦しているという見方が西側では一般的です。

 そして、その苦境を打開するためにロシアのプーチン大統領が小型核兵器を使うのではないかということが盛んに言われ始めました。 

 

 プーチン大統領は本格的に侵攻を始めた2022年2月24日当初から自国が攻撃を受けたら核兵器を使うと明言していますし、27日には、NATO加盟国からの「攻撃的な発言」を理由に核戦力の特別警戒態勢を命じました。

 また、アメリカCNNのインタビューを受けたロシアのドミトリー・ペスコフ大統領報道官は核兵器の使用について、3月22日

「我が国の存亡に関わる脅威があれば、あり得る」

と答えています。

 ニューヨークタイムズによると、プリンストン大学のシミュレーションでは、

「モスクワが核の威嚇射撃を行い、NATOがこれに小型の攻撃で応戦した。するとその後に発展した戦争で、最初の数時間に9000万人以上の死傷者が出た」

ということです。

 

 この場合の核戦争の発端は、広島型原爆の数分の1の原爆をロシアが使うというもの。

 その方が原爆の何千倍の威力のある水爆などを使うより心理的抵抗が少ないというのですが、結局、数時間で9000万人もの死傷者が出るということは、全人類の存亡の危機に関わる全面核戦争になりうるということなのです。

 アメリカ議会に出された報告書では、ロシアの戦術核の弾頭保有数は1000~2000発もあり、米国の保有数は200発強で、そのうち100発前後が欧州にあるということですから、今の緊迫した状況では偶発核戦争勃発の危険性も高いです。

 それこそアメリカなどNATOの核兵器が先に発射される可能性だってあるのです。

 

 核兵器を持ちあった同士では決して戦争にならない、核は使われないというのは、キューバ危機を見ても明らかなように幸運に過ぎず、戦後今まではそうだったというだけで、いわば神話に過ぎません。

 このウクライナ危機をきっかけに核保有国にも断固として核廃絶を迫るしか、世界が日本が人類が生き残る道はありません。

 核の傘だの核共有だのもってのほかです。

 

 

こいつは何をしでかすかわからないと相手に恐怖させる交渉術。

これがベトナム戦争の時のニクソン米大統領の戦略として有名な「狂人理論」なんだそうですが、今や北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記も、ロシアのプーチン大統領もみなこれです。

しかしそもそも、お互いに核兵器を向けあって共存しあえるという核抑止論こそが狂気の沙汰だったのだと痛感する今日この頃です。

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ロシアの戦術ミサイルシステム、イスカンデルM Photo: Igor Russak / NurPhoto / Getty Images

ロシアの戦術ミサイルシステム、イスカンデルM Photo: Igor Russak / NurPhoto / Getty Images

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ニューヨーク・タイムズ(米国)

ニューヨーク・タイムズ(米国)

Text by William J. Broad

 

核兵器を使う可能性はあるのか。米「CNN」によるこの質問に対して、22日、ロシアのドミトリー・ペスコフ大統領報道官は「我が国の存亡に関わる脅威があれば、あり得る」と答えた。

この時使われる可能性として高い兵器のひとつが、小規模な分ハードルが低く「使いやすい」とされる小型の核兵器だ。広島に落とされた原爆を基準に、威力がその半分のものから、2%ほどのものまで、世界にはさまざまな小型核がある。

もしロシアがこれを撃った場合、世界はどう反応するのだろうか。核戦争に発展するのだろうか? 米紙「ニューヨーク・タイムズ」が専門家に聞いた。

ロシアは核武装を実用的なものと考えている


冷戦時の核兵器はその破壊力において、広島を破壊した原爆を凌駕していた。実験爆発では、ワシントンの兵器が最大で広島の1000倍、モスクワの兵器には3000倍の威力があった。

これには「巨大な報復の可能性」という脅威を見せることによって相手の攻撃を抑止する、いわゆる「相互確証破壊」の効果があった。この心理的ハードルは非常に高い。そのため、核攻撃など考えられないと見なされるようになったのだ。

そして今日のロシアとアメリカは共に、破壊力の弱い核兵器を持っている。威力は広島に落とされた原爆の数分の一に過ぎない。その分、使うことに対する恐怖心は少なく、選択肢として考えやすいものだろう。

プーチン大統領はウクライナ戦争のさなかで自国が持つ核の威力を警告し、原子爆弾を警戒態勢に入れ、軍には危険な原発を攻撃させた。こうした経緯を踏まえ、先述の小型兵器に対する懸念が高まっている。紛争で追い詰められたと感じたら、プーチンが「小さい核兵器」を爆発させることを選ぶかもしれない、という懸念である。76年前の広島・長崎で定められたタブーを破るかもしれないのだ。

ハンブルク大学やカーネギー国際平和基金に所属する核の専門家、ウルリッヒ・キューンいわく「可能性はまだ低いが、高まっている」と指摘する。「ロシアの戦況は良くなく、西側諸国からの圧力も強まっている」からだ。

ワシントンは今後、プーチンがさらに原子力に関する動きを見せるだろうと予想している。国防情報局のスコット・D・ベリエ中将は19日、下院軍事委員会で、戦争とその影響でロシアが弱体化していることから「西側に警告を発し、(軍事力の)強さを誇示するため、モスクワはますます核抑止に頼るようになるだろう」と語っている。

一方、オバマ前大統領の国家情報長官を務めたジェームズ・R・クラッパー・ジュニア元空軍大将は、ロシア軍内部が冷戦後に混乱した影響もあり、モスクワは原爆使用に対するハードルを下げていると語った。現在のロシアは核武装を「ありえないこと」ではなく、実用的なものと考えている、と彼は言う。

ロシア軍は今月初め、ヨーロッパでも最大のザポリージャ原子力発電所を攻撃した。クラッパーいわく、この時ロシアは、放射能放出の危険を冒したことについて「気にしていなかった」。

「彼らはただ発電所に向かい、そこに発砲した。これはロシアの自由放任主義を象徴している。核兵器について、われわれのような区別をしないのだ」

核戦争が勃発すれば、数時間で9000万人犠牲に


「ウクライナでことを自分の思い通りにするために、プーチンは核抑止力を使っている」

そう語るのは、ブラウン大学の政治学者、ニーナ・タネンワルドだ。「プーチンの核兵器が西側諸国の介入を防いでいるのです」。

小型核をめぐる世界的な競争は激化している。冷戦時代の基準からすれば、これらの破壊力は小さい。だが推定では、広島の原爆の半分に相当する兵器でマンハッタンのミッドタウンで爆発すれば、50万人が死亡、または負傷することになるという。

こうした兵器は核のタブーを弱め、ただでさえ危機的状況をさらに危険なものにするだろう──小型核に対する批判の主な理由がこれである。破壊力が弱いため、原子力の制御が可能であるという幻想を人に抱かせるのだ。だが実際には、こうした兵器を使うことがきっかけで本格的な核戦争に発展しかねない。

プリンストン大学の専門家が考案したシミュレーションでは、モスクワが核の威嚇射撃を行い、NATOがこれに小型の攻撃で応戦した。するとその後に発展した戦争で、最初の数時間に9000万人以上の死傷者が出た。

プリンストン大学によるシミュレーション

軍備管理条約では、戦術核や非戦略核と呼ばれる小型の核弾頭を規制していない。そのため、核超大国は好きなだけ製造・配備している。ワシントンの民間団体「アメリカ科学者連盟」の核情報プロジェクト責任者、ハンス・M・クリステンセンによると、ロシアは約2000個を保有しているかもしれないという。

一方でアメリカは、ヨーロッパ諸国に約100基を配備している。だが自国内の政策論争や、NATO同盟国に配備する際の政治的複雑さがネックとなり、あまり増やすことができない。同盟国の住民たちから抗議を受けることもあるため、配備数はやはり限られている。

ロシアの「小型核」の最小の威力は…


ロシアにおける核戦争の戦闘教義は「エスカレート抑止のためのエスカレート(escalate to de-escalate)」と呼ばれるようになった。これは、追い詰められている軍が核兵器を発射することで敵を麻痺させ、逆に撤退、あるいは服従を強いる作戦だ。

モスクワは実戦演習でこの戦術を繰り返し取っている。たとえば1999年、バルト海に面したロシアの飛び地、カリーニングラードへNATOが攻撃したことを想定して大規模な訓練が行われた。演習では、ポーランドとアメリカに核兵器を発射するまで、ロシア軍は「混乱状態」に陥っていた。

ハンブルク大学のキューンによると、1990年代のロシアの軍事訓練は防御に重きをおいていた。だが2000年代に入りロシア軍がかつての力を取り戻すと、攻撃的な訓練に転じたという。

新たな攻撃戦略と同時に、ロシアは破壊力の弱い兵器も含め、核戦力の近代化に乗り出した。西側諸国と同様、一部の核弾頭には、軍事的状況に応じて威力を増減させることができる可変式が採用されている。

新兵器の目玉は2005年に展開された「イスカンダルM」で、ミサイルに通常弾頭と核弾頭を搭載できるものだ。ロシアの計算では、このミサイルによる最小の核爆発の威力は、広島に落とされた原爆の約3分の1である。

威力の低減でタブーは破られるか


アメリカとNATOの同盟国は長年にわたり、ロシアの小型核にどうにか抵抗しようとしてきた。

「核兵器のない世界」を提唱してきたオバマ大統領は、2010年、NATOの持つ兵器を改修・改良し、高精度の照準が可能な小型爆弾にした。こうして威力を調整できるようにした結果、核兵器の威力を、広島に落とされた原爆の2%にまで引き下げることができるようになったのだ。

オバマ政権下で統合参謀本部副議長を務めたジェームズ・E・カートライト大将は当時、破壊力を低減させることによって、核のタブーが「より破りやすくなる」と警告している。それでもカートライトは、精度の高さゆえに巻き添えや民間人の犠牲のリスクを下げるとして、このプログラムを支持した。しかし何年にもわたる資金調達と製造の遅れのため、改良されたこの小型核「B61-12」は、来年までヨーロッパに配備されない見込みであると同氏は言う。

ロシアが着実に力を増強する一方で、アメリカの対応は遅かった。そのためトランプ政権は2018年、新しいミサイル弾頭を提案している。クリステンセンによれば、その破壊力は広島に落とされた原爆のおよそ半分。14隻の弾道ミサイル潜水艦からなり、国家の艦隊に配備するという計画だ。

「W76-2」と呼ばれるこの爆弾は、大統領が核攻撃を命令しやすくするものだと警告する専門家もいた。だがトランプ政権は、この兵器によってロシアが「反撃の脅威」に直面するようになり、戦争のリスクが低下すると主張している。そうしてこの爆弾は2019年末、配備された。

新弾頭を支持し、2005年に公職を退くまで30年間、国防総省とホワイトハウスの役職を務めた核専門家のフランクリン・C・ミラーは次のように語っている。

「これは心理学──つまり命に関わる心理に関係する話。戦場で優位に立てると相手が考えているようなら、それは間違っていると説得するためのものだ」

「NATO対ロシアの核戦争」という最悪なシナリオ


バイデンは大統領候補だった頃、威力の弱い核弾頭を配備することは「良くないアイデア」だと語っていた。配備してしまえば、大統領がそれを「より使いたがるようになるだろう」と。だが前出のクリステンセンによれば、バイデン政権は新弾頭を国内の潜水艦から撤去する可能性は低いようだ。プーチンが核兵器を使用した場合、バイデンがどう対応するかは不明である。

なお、ロシアが小型核を撃った場合、アメリカはシベリアの原野、あるいはロシア国内の軍事基地に新型の潜水艦発射弾頭を発射することかもしれないと専門家は語る。

元政府高官で、NATOの核政策委員会の元委員長であるミラーいわく、こうした反撃によってモスクワに「これは深刻な事態で、手に負えなくなっている」と警告できるという。

またギリギリの反撃を加えることで、事態のエスカレーションにおける責任をロシアに負わせることができるだろうと、軍事戦略家は語る。戦争には誤算や事故がつきものであるが、(実際に戦争に発展することで)ロシアが負うことになる責任の重みを感じさせ、事態が制御不能に陥ることを防ぐのが理想的だ。

だが暗いシナリオもある。ウクライナ戦争が近隣のNATO諸国に波及した場合、プーチンは原子爆弾の使用に踏み切るかもしれない。そうなった場合、アメリカを含むすべてのNATO加盟国は互いを防衛する義務がある──あるいは、核弾頭の一斉発射によって。

© 2022 The New York Times Company

 

苦戦ロシア、戦術核に頼る恐れ 米欧で懸念高まる

繰り返し核兵器に言及し恐怖をあおるプーチン氏

ウクライナでの戦況を好転させる目的で、いわゆる戦術核の使用をロシアが検討するのではないかとの懸念が高まっている(写真はベラルーシで行われた共同軍事演習、2月19日)

PHOTO: BELARUSIAN DEFENCE MINISTRY PRES/SHUTTERSTOCK

Thomas Grove
2022 年 3 月 28 日 10:59 JST ウォールストリートジャーナル

 

 ロシアは2020年、それまで秘密とされてきた核兵器使用に関するドクトリン(核抑止政策の基礎)の詳細を初めて明らかにした。このドクトリンは、米国の戦争計画立案者らが以前からうすうす感づいていたこと、つまり通常兵器による戦争での敗北を回避するためならロシアは核兵器の使用をいとわないということを確信させるものだった。

 ウラジーミル・プーチン大統領は、自らの指揮下で軍が先月ウクライナに侵攻して以来、米国と北大西洋条約機構(NATO)に紛争への介入を思いとどまらせるため、ロシアが核保有国であることを強調し、繰り返し核戦争の脅しをちらつかせてきた。

 しかしロシア軍が、西側諸国からの大量の武器供与で強化されたウクライナ軍の激しい抵抗に直面する中、米国やその同盟諸国の政府の間では、ロシアが戦況を好転させる目的で、いわゆる戦術核の使用を検討するのではないかとの懸念が高まっている。

 戦術核兵器は一般的に、大陸間弾道ミサイル(ICBM)に搭載される戦略核兵器と比べて核弾頭の威力が小さい。こうした戦術核は、冷戦時の思考回路の中に組み込まれていたが、米国とロシア(および旧ソ連)のこれまでの軍縮合意の枠組みの中で考慮されたことは一度もなかった。

 ロシアおよび西側諸国のアナリストらによれば、このロシアの動きは、ウクライナの戦意を打ち砕き、戦争の流れを変えることを狙ったものとみられる。また、対戦車兵器と防空システムの供与を含む西側諸国の現在のウクライナ支援が、ロシアにとって耐えがたい水準になっていることを示唆している可能性もあるという。

 米国が第2次世界大戦末期に広島と長崎に原爆を投下して以来となる核兵器の使用が現実になれば、攻撃対象となるウクライナの都市は、それがどこであれ、甚大な被害と放射性物質による環境汚染を受ける可能性が大きい。そして、風向きやその他の条件次第では、恐らくもっと広い地域に汚染が拡大するだろう。さらに、米国と欧州には安全保障上の大きな課題を突き付けることになる。

 ストックホルム国際平和研究所の研究者、ペトル・トピチェカノフ氏は「ロシアの指導部が戦術核兵器の使用を検討する際のレッドライン(越えてはならない一線)がどこにあるのか、われわれは正確には分からない」とし、「ロシアの指導者らは、あいまいさの価値を知っている」と述べている。

 トピチェカノフ氏によれば、プーチン氏の行動の予測をさらに困難にしているのは、ロシア政府の政策決定の構図を見極めるのが難しいという点だ。トピチェカノフ氏は「ロシアの指導部が現在どれほど理性的なのかが、最大の疑問点だ」と指摘。「プーチン氏がどんな情報を得ているのか、私には分からない」と話した。

ロシアの軍事パレードで披露された極超音速ミサイル「キンジャル」(2018年5月)

PHOTO: PAVEL GOLOVKIN/ASSOCIATED PRESS

 プーチン氏は侵攻までの数日間に、ロシア戦略軍の演習を先導し、極超音速ミサイル「キンジャル」など、同国最先端のミサイルを発射した。侵攻を始めた際には、西側諸国が介入した場合、「歴史上見たこともないような」結果が伴うと警告した。

 それから数日後、同氏が核を扱う部隊に対して「特別戦闘準備態勢」を取るよう命じたことで、核使用の懸念が強まった。

 ロシアの核政策を注視する人々は、こうした脅しは核戦争の公然たる容認である一方、ロシアのレッドラインが厳密にどこにあるのかを定義しなかったと指摘。プーチン氏が必要性を感じた場合に脅しをエスカレートさせる、もしくは攻撃にさえ及ぶ余地が与えられていると述べる。

 大国間の競争に焦点を当てている政策提案団体、マラソン・イニシアチブの共同創設者であるエルブリッジ・コルビー氏は、従来的な紛争を終わらせるために戦術核攻撃を行うことの真意は「escalate to de-escalate(事態を好転させるために状況をエスカレートさせる)」として知られる原則に基づくもので、エスカレートさせた責任を敵に押しつけながら、戦場のルールを変えることにあると指摘する。

 同氏は「プーチン氏は、より小さな弾頭を使い、従来的な部隊が行っていることを守ることが可能だ。ウクライナ人が標的になるかもしれないが、政治的な真の標的は米国と西側諸国だ」と話した。

 今年に入って公表された米議会の報告書によると、冷戦で緊張が最も高まっていたときは、非戦略核兵器の使用が米国に対する直接的な脅威になることは決してなかったが、その主導権を握ろうとする米国の試みは、ソ連崩壊以降、ロシアによって阻まれてきたという。

 ロシアはその軍事的な思考において、非戦略核および戦術核を含む核兵器に強く依存していた。その大きな理由は、ソ連崩壊後にロシア軍が衰退したことにある。核兵器はプーチン氏が2008年から軍の近代化を始めて以降も中心的な存在にとどまり、ロシアにいくばくか、米国と同等の立場にあるとの感覚を与えていた。

 議会の報告書によると、ロシアの戦術核の弾頭保有数は1000~2000発と高止まりしている。米国の保有数は200発強で、そのうち100発前後が欧州にある。

NATO首脳会議にオンラインで参加したウクライナのゼレンスキー大統領(24日)

PHOTO: HANDOUT/GETTY IMAGES

 ただ、シグナルを積極的に発してはいるものの、ロシアは核兵器を使用する案を留保している。プーチン氏の報道官はCNNテレビに対し、ロシアがそれを使うのは、(国家の)存続の危機に直面した場合のみだと述べていたほか、セルゲイ・リャブコフ外務次官は国営テレビで「われわれはその問題に対して非常に責任あるアプローチを取っており、何についてもエスカレートさせることは一切ない」と述べていた。

 米国はウクライナにおいて核に関するいかなるレッドラインも踏み越える考えのないことを明確にしており、ロシアとの核問題での緊張がエスカレートするのを回避するため、定期的に行っている空軍の大陸間弾道ミサイル(ICBM)「ミニットマン3」の発射実験さえ延期している。だがその一方で、米政府は今月、欧州に核攻撃能力を持った独自の部隊を配備していることを示唆している。

 ロシアによるウクライナ侵攻の数週間前、米国は英国および欧州諸国の空軍との訓練のため戦略爆撃機B52を派遣している。

軍事パレードで披露された大陸間弾道ミサイルのランチャー(2021年5月)

PHOTO: YURI KOCHETKOV/SHUTTERSTOCK

 首都ワシントンにある民間団体「米国科学者連盟(FAS)」の核情報プロジェクトの責任者であるハンス・クリステンセン氏は、「欧州において既に何らかの兆候が出始めている」と指摘した。

 クリステンセン氏は、戦術核兵器はより大規模で強力な戦略兵器による反撃を引き起こす可能性があるとしながらも、それは直ちに全面的な核戦争になることを意味するものではないと語った。

「自動的に、かつ極めて急速に全面戦争にエスカレートする可能性が大きいとは考えていない」とクリステンセン氏は話す。「双方は全面戦争へのエスカレーションがもたらす結果を十分承知しているため、事態を限定的なものにとどめる道を見いだそうとするだろう」

 アナリストらは、どのような戦術核での攻撃にせよ、ウクライナが標的となる可能性が最も大きいとみている。ただし、その後の事態のエスカレーションは予測困難で、とりわけNATOの関与があった場合は難しいと指摘している。

 クリステンセン氏は「過去80年で初めて核兵器が使用されるのをNATOが傍観するだけで何もしないという状況は想像できない」と語った。

 NATOのイエンス・ストルテンベルグ事務総長は、ウクライナでの戦争を核紛争の状態にしてしまう可能性を警告し、ロシアに対して、核兵器に言及するレトリックをやめるよう求めた。

 ストルテンベルグ氏は先週、ブリュッセルでのNATO首脳会議を前に、「ロシアは核兵器による威嚇をやめるべきだ」とし、「どんな形でも核兵器の使用は紛争の性質を根本的に変えてしまう。ロシアは、核戦争を決して起こしてはならず、彼らは核戦争で決して勝てないことを理解しなければならない」と述べた。

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1 コメント

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人気ブログの責任 (年配者)
2022-03-28 17:55:55
煽るような記事は止めて下さい。
アメリカは自国を潰すほど国民を搾り取って、他国は堂々と潰して財産を収奪しています。
ロシアは他国の財産を狙って国を潰していません。
財産を持ち狙われるロシアは大変です。
アメリカ側に立ち、停戦が言われている今、なぜこのような記事を書くのか、恐ろしく思います。
アメリカになびいていた人たちも少しずつ気が付き始めているのに、ご自分で思うのは勝手ですが、多くの人を巻き添えにするのは止めてほしいです。
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