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ざっきばやしはなあるき  

雑記林花或木 Since 2005-01-01 
美術とか映画とかなんとなくぶろぐ 

線の迷宮<ラビリンス>2

2007-08-30 19:46:49 | 美術[さ]
《線の迷宮<ラビリンス>2―鉛筆と黒鉛の旋律》@目黒区美術館

 9人の作家による鉛筆画の展覧会を9/9までやっている。

 小川信治: 古ぼけた写真そのままのイメージに描かれた鉛筆による細密画。しかし、あるはずの凱旋門が無かったり、ビッグベンやピサの斜塔が2つ並んでいたりする。よくよく見ると時計の枠は、フリーハンドで描いたらしく歪んでいたりするのだが、全体を見ると写真そのもの。いいなあこういうの。他にも、イエスのいない最後の晩餐や、イエスしかいない最後の晩餐など、面白みに溢れている。置いてあった作品集を見たら、鉛筆画ではないがフェルメールの絵の中の人間だけいない作品や、受胎告知の告知するほうがいなかったり、告知されるほうがいなかったり、春信の浮世絵の登場人物ふたりのうち、ひとりだけしかいない作品などもあった。いずれにしても消える前の人物で隠れていた背景は勝手に想像して繋ぎ合わせることになる。この得意な繋ぎ合わせを活用して、子供たちなどが描いたいろいろな絵と絵のあいだに小川氏が絵を繋ぎあわせて、終わりの無いループ絵を作るという無限風景画がワークショップに展示されていた。それぞれの人の描く線の太さ、細さ、うまさ、へたさなどの特徴をそのまま捉えて、いい具合に繋がった世界が360度展開されていた。

 小川百合: 世界の由緒ある階段や図書館の書棚を鉛筆で描いている。暗がりの中にうっすらと光る階段や書物が重厚で静寂な雰囲気を醸し出している。そして、使い込んで2センチくらいになったチビた鉛筆をまるで剣山のように箱にたくさん並べ立てて置いてあった。

 妻木良三: なんかニュメニュメする得体の知れないモノ、空間を描いている。鉛筆で描いたとは思えないその妙な造形感が面白い。

 篠田教夫: 貝殻やフジツボのくっついた断崖の風景などを幻想的に緻密に、根気よく描いてある。「擬態C」は、貝殻の刺さっている砂の山が、さりげなく女体になっちゃってたりして。
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自画像の証言

2007-08-27 00:05:42 | 美術[さ]
自画像の証言@東京藝術大学美術館 陳列館

 芸大生の卒業制作に自画像を描くというポリシーが、100年以上前に、黒田清輝によって提唱され、現在にまで続いているということで、その自画像を9/17まで展示している。入場無料。ノスタルジックな煉瓦造りの陳列館1階には、初期の頃からのいろいろな作家の自画像が、ほとんど同じサイズ、落ち着いたシブい色合いで並んでいる。藤田嗣治、佐伯祐三、荻須高徳などの自画像もあった。

 次に2階に上ると、昭和から現代に至る作家の展示で、だんだんとサイズも素材もてんでんばらばらになってくる。「自画像」なのにどこが顔だかわからん絵、それならまだしも、そもそも顔など描いてない絵、立体、いや、それならまだしも、なんだかわからない物体、紙、木、携帯電話・・・。いろいろな解釈としての「自画像」が卒業制作として提出されてしまったようだ。そのあまりの変わり様に、笑うしかなかった。その中に、千住博、村上隆、松井冬子などの名前もあった。他にも、「自画像」なんだけど「裸婦」だったり、脳ミソがはみ出した「自画像」だったり、幼児が書くウルトラマン O=(%)o みたいな「自画像」だったり、「自画犬」「自画虫」「自画テープ」、顔もさまざまである。

 はたして黒田清輝は、100年後の「自画像」というものがこんなことになると想像したであろうか。
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昭和ブギウギ

2007-05-15 00:13:29 | 美術[さ]
昭和ブギウギ 1945-64@川崎市民ミュージアム

 終戦から東京オリンピックまでの20年間の風俗、文化、生活に関わる資料や物品が展示されているというので行ってみた。昔の真空管白黒テレビで今の番組を放送していたが、電波の状態がいいようで、鮮明に映っていた。うちの田舎ではもっとザラザラしていた。東京は遠かったからね。

 パイプくわえてかっこつけてタラップを降りてくるマッカーサーの映像なんかも流れていた。

 ダイハツミゼットやスバル360も展示してあった。子供の頃、スバル360が走ってきて、スリップかなんかしてひっくり返って、ぐるんぐるん回って元に戻り、そのまま走り去ったのだが、みんな信じてくれない。俺は確かに見たんだ。

 専売公社のコピー「ヤミタバコ消して文化の灯をともせ」→「タバコは動くアクセサリー」→「今日も元気だ、タバコがうまい」→→→→「あなたの健康を損なう(そこなう)おそれがあります」→「たばこの煙は健康に悪影響を及ぼします」・・・時代が変わると言う事も正反対になるのだ。

 総天然色女優ブロマイドの中に、天然の松島トモ子も混じっていた。

 ヤミ市、米兵、カストリ雑誌、力道山、東京タワー、その他もろもろが、大量ではなくほど良い量だけ展示されていて、気楽に見て回れる。近ければ行ってみるのもいいかも。今はこういう昭和史を見られる施設や企画がいろいろあったりするから、遠かったらわざわざ行くこともないかも。
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サントリー美術館

2007-05-01 00:45:25 | 美術[さ]
日本を祝う@サントリー美術館

なぜか歴代12台の日産スカイラインが並ぶ東京ミッドタウン、ゴールデンウイークの真昼だけあって大盛況で、レストランと名の付くところは全部行列ができていたが、サントリー美術館は、混雑でもなく閑散でもなく、ほどよい人の入りで安心できた。開館記念展として「日本を祝う」という館蔵品展をやっている。館内は作品にだけ照明を当てて、通路などは薄暗がりになっていて落ち着く感じ。円弧を描く草模様の「武蔵野図屏風」がいい。森美術館と国立新美術館とサントリー美術館、これで六本木アートトライアングルが出揃った。
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千住博展

2006-12-14 23:58:13 | 美術[さ]
 山種美術館に千住博の、フィラデルフィア「松風荘」襖絵を見に行った。行くつもりはなかったんだけど、日曜美術館で制作風景をやっていたので、見たくなってしまった。白いアクリル絵の具を上からたらして、滝の水を描くという安易な手口だが、それで「絵」が完成する。重力の力を借りて、その偶然性も生かして、アクリル絵の具とエアブラシという素材や道具を使って描く「日本画」。それが妙な抽象画にならずに、水しぶきの立つ滝の絵になっているから面白い。フィラデルフィアには行かないだろうから、これで見納めである。

 「博」は右上の点が無い漢字だそうで、IME泣かせな「博-、」である。

http://www.hiroshisenju.com/
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千足観音

2006-10-25 23:48:23 | 美術[さ]
 昨日の仏像展のつづき。昨日、千足観音うんぬんと書いたついでに、バッタモンの千足観音じゃなくて、ホンモノの千足観音ってあったりするのかなぁ(゜_。)?(。_゜)と検索を試みた。すると、のわんと、正妙寺の千手千足観音ってのが、ホントにあったのでのけぞった。すげぇ、すげすぎる。どうやって歩くのかを想像したくない。こっちのサイトにもよくわかる写真がある。今の今まで知らなかった。Oh! 知らなかった。偶然にも11月7日から展示される、十一面観音菩薩立像@向源寺(渡岸寺観音堂)と同じ高月町というところにあるのだ。琵琶湖の最北にある高月町には、なんだか他にもいろいろな仏像が祭られていて「観音の里」と呼ばれているようだ。

 教訓 : 検索はお早めに!
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