
東京国立博物館

特別展「桃山―天下人の100年」
期間:10月6日(火) ~ 11月29日(日)

竹茶杓 古田織部作
くっきりと櫂先を撓めた茶杓。節上のひびを後に金継している。
追筒には「下 古田織部作 長」とあり片桐石州の子で旗本の下條信隆の書付と極められている。
竹茶杓 織田有楽斎作
杓の幅広くゆったりとし、節上は双樋で櫂先は兜巾形、節下は削げて腰蓑となっている。
織部が利休の茶杓を踏襲し発展させたのに対し、有楽は独自の世界を持っている。
泰西王侯騎馬図屏風
騎馬に跨ったキリスト教と異教の王が白刃を交える場面を躍動感溢れる姿で描いた作品。
イエズス会が日本での布教活動の為に制作したと考えられている。元は会津若松城に在った一双の屏風で、戊辰戦争の落城後に前原一誠が入手し現在は神戸市立博物館の所蔵となった。対となる一隻は会津藩主松平家が所持していたが、現在はサントリー美術館所蔵となっている。
檜図屏風 狩野永徳筆
国宝。檜の大木をまるで大蛇がのたうつような勢いをもって描いた永徳最晩年の作。
元は豊臣秀吉が八条宮智仁親王のため天正18年(1590)12月に落成した八条宮邸の襖絵であった。それを屏風に改装したもので、八条宮の後身である桂宮家に伝来した。
楓図壁貼付 長谷川等伯筆
国宝。永徳の生み出した「大画様式」を採り入れ巨大な楓の木を描いた作品。とは言え永徳の作品の持つ荒々しく迫ってくるような迫力よりフラットでデザイン的なセンスが見られる。
豊臣秀吉が早世した愛児鶴松の菩提を弔うため、文禄2年(1593)創建した祥雲寺客殿の障壁画で、現在は智積院所蔵。
「桃山」とありますが年代的には、その前後の時代も含まれる展覧会。
この時代は天下人の時代であり絵画は大画面化し絢爛豪華になっていきます。これに南蛮文化や茶の湯文化など様々なものが組み込まれて大きなうねりに成り「桃山文化」が形成されました。
更にこの時代は、対の時代でもあります。信長と秀吉、永徳と等伯、利休と織部など実に面白い対照ではないでしょうか。