2年ぶりのリンカーンセンターです。初めてここに来たときほどではないけど、
やっぱり感慨深いものがあります。
この日は夕方少し雨が降ったのですが、この時間には止んでいて、おかげで
少し涼しくなりました。
メトロポリタン歌劇場
とりあえず、まずはチケットをゲットしなければと、ボックスオフィスへ
行きました。オンラインで買ったので、前回は本当にちゃんと取れているか
不安で、NYへ着いてすぐ取りに行ったのですが、今度はコンサート直前、
ちょっと余裕でしょう?でも本心ではやっぱり少し不安でした。
エイヴリーフィッシャーホール
しかも今回は、チケットが取れているとかよりも大きな問題があって、
実はこのファイナルも含めてここ3週連続は、マゼールさんの指揮だった
のですが、先週のコンサートを病気でキャンセルしていたのです。
ファイナルはよほどのことでない限り振ってくれるだろうとは思いましたが、
もし本当に病気で、それも入院や手術が必要な状況だったら、間違いなく
マラ6もキャンセルになるでしょう。
でもこれは行ってみるまでわからないし・・・。ということで、行って
みたら結果的にはちゃんとマゼールさんが振ってくれるみたいだったの
で一安心。ほんとにヒヤヒヤものでしたよ、マゼールさん。
今日の席は、3階席の左側ボックスで、比較的ステージに近い席でした。
ステージは左側3分の一くらい見えませんが、とりあえず金管は全部見
えるので。
でもちょっと首が痛かったです。
マエストロシリーズの旗
ということで、無事に入場し、席に着く前にもらった(机に山積みして
あり勝手に取っていく)プレイビルをパラパラ見ていると、非常に
ショッキングな記事に遭遇してしまいました。
毎年ファイナルには、勤続25周年のメンバーと今シーズンで引退する
メンバーの紹介があるのですが、引退メンバーの中になんとペンザレラ
さんのお名前が・・・。
確かに年齢的には少しもおかしくないんだけど、とても信じられない
気持ちでした。ペンザレラさんはずっとスミスさんの隣に座っているような、
そんな気がしていたからです。まあ、これは私の願望だったのかもしれません。
2年前と2点変わっています。さて、どこでしょう?
答えは一番最後に。
ちなみに他の引退メンバーは、ティンパニのコーロフさん、オーボエの
ロビンソンさんほか数名。25周年メンバーには、
コンマスのディクトロウさんやマイヤースさんのお名前がありました。
開演時間になると、いつもはステージ上が静まってから拍手とともに
ディクトロウさんが登場してチューニング・・・なんですけど、
今日はいつのまにかディクトロウさんがひっそりと出てきて、普通に
席に着いてしまいました。
指揮台の横にマイクが立っていたので、挨拶か何かがあるのかな?と
思っていたら、その通りでした。
まず男性が出てきて、軽く挨拶したあと、先ほどのプレイビルに載って
いた引退メンバーを一人ずつ紹介し、それぞれから簡単なコメントが
ありました。
残念ながら、なぜかペンザレラさんからのお話だけがなかったんですが、
単に席が遠かったからなのか、あまり人前で話すのが好きじゃないのか?
まずバスーンの2番奏者、ヒンデルさんからご挨拶。次に首席オーボエの
ロビンソンさん。とてもまじめそうな方ですが、実際話している時は
ユーモアたっぷりで、客席からは何度も笑い声があがっていました。
さらにすごかったのは、その次に出てきたコーロフさん。実は彼は
今シーズンの頭からもうステージには乗っていなくて、昨年秋の来日
にも来ていなかったので、どこか悪くされたのかと心配していました。
でも今日拝見した感じではとてもお元気そうで安心しました。・・って
いうかむしろ元気すぎ。おまけに笑いとりすぎ。マラ6の前にそんなに
お客(&演奏者)爆笑させてどーするんですか。
話の内容は、ものすごく速かったのでほとんどわからなかったけど、
どうやら以前ご自分がマラ6を演奏したときのお話みたいでした。
たぶんですけど、ハンマーを担当した時に、後ろの壁をぶち抜きそう
になったのか、ぶち抜く勢いでやったのか、或いは本当にぶち抜いたのか、
その辺はわかりませんが、そういった内容だったようです。
まあ、コーロフさんだったら、ありとあらゆるものをぶち抜いてくれ
そうですが。
とにかく口調と身振り手振りだけでもおかしくて、他のお客さんにつられて
一緒に笑ってました。
しかしながら、今日はコーロフさんは演奏者としてステージに上がること
はありませんでした。最後に彼のティンパニで6番聴きたかったけど、残念。
でも元気な姿が見れただけでも良かったです。
そして、チューニングが終わり、いよいよマゼールさんの登場。歩いてくる
のが少ししんどそうで、一瞬「大丈夫か?」と心配になりましたが、
指揮を振り始めると意外と元気そう。
1楽章最初は、特に遅すぎず、速すぎず、割とオーソドックスなテンポだ
と思いました。
とても丁寧で、着実な演奏で、冒頭プラス後2回出てくる、難しい
トランペットのソロもまるで当然のように完璧でした。
昨年聴いた5番に比べると、マゼールさんにしては、真っ向勝負というか、
ストレートな感じがしました。もしかしたら、私たちがマゼールさん節
にすでに洗脳され済みなだけかもしれませんけど。
プレイビルとチケット。
今回はチケットきれいに切ってくれました。
2楽章はアダージョで、これも最初は結構淡々とした曲運びでした。
でも弦の音色はとても美しくて、マゼールさんに変わってからの成果
が充分に出ていたと思います。今回マイヤースさんは、ちょっと本調子
ではなかったのか、フォルテでは少し音が割れ気味だったのですが、
2楽章のホルンのメロディーではいつものまろやかな音色を堪能できました。
2楽章はこのまま、割とあっさり終わるかと思っていたら大間違いで、
曲が進むにつれて弦の音にどんどん熱がこもってきて、最後のほうでは
テンポもかなり落としてたっぷりと歌わせていました。
プレイビル。引退するメンバーの紹介。
左がコーロフさん(首席ティンパニ)、右がペンザレラさんです。
3楽章、スケルツォは、前後の楽章とのメリハリをつけるためか、
少しゆっくりめで、しっかりとリズムを刻んで強調していました。
そして4楽章、これはまさにマゼールさん、そしてNYPの本領発揮と
いった感じで、非常に長い楽章にも関わらず、全く退屈しない、
ものすごい演奏でした。マゼールさん節全開で、テンポも強弱も自由自在、
オーケストラもこれに完璧についていっていました。
特に始まってすぐの、Tp1番&2番のhi-D♭まで上がる例のメロディー
(これまた見事に完璧でございました)のすぐあと、木管の低音と
ホルンが奏でるゆったりしたメロディでは、思いっきりテンポを
落として、独特の雰囲気を作り出していて、とても印象に残りました。
ハンマーはステージの左奥の隅っこに、木でできた箱のようなものが
置いてあり、それを思いっきりたたいていました。ハンマー
(木槌のような形に見えました)はそれほど大きくはなかったけど、
結構ものすごい音で、存在感は充分だったと思います。なんていうか、
「ボコッッッ!!」とか、「ドコッッッ!!」って感じの音でした。
終演後のステージ。
ラストは相変わらずの金管のすばらしいサウンドがホール中に響き
わたったあと、すーっと音が引いて、トロンボーン&テューバの
コラールから低弦、そして最後の一撃→消えていくティンパニのリズム
とTpの和音まで、全く緊張感が途切れることなく、見事な流れ
でした。今日は初日ということもあり、また、オンライン放送の録音日
でもあったためか、マゼールさんにしては安全運転かな?という
気はしましたけど、でもとても素晴らしい演奏で大満足でした。
カーテンコールでは、パーカッション→トランペット&トロンボーン
セクション→ホルンセクションの順に立たせていました。
あと、私は残念ながら見ていないんですが、終演後、スミスさんと
マイヤースさんが握手をかわしていたそうです。
きっとご本人にも満足のいく演奏だったんでしょうね。
ちなみにマゼールさん、4楽章ではピョンピョコと何度も指揮台の上で
跳んでいたし、なんかあやつり人形のような妙な動きも
していたし(ダンナはしきりに「トカゲ、トカゲ」と言ってましたが)、
結構お元気じゃないですか、ホントに病気だったのかな、先週・・・?
(答え)
その1:サリヴァンさんの写真がなくなっている。
その2:マイヤースさんの写真が変わっている。
前の写真はあまりに現状とかけ離れていたためクレームでもついたのか?
(私は何も言ってません)