らんまるのこや

音楽、トランペット、犬、子育て、旅行など

2005年6月25日(土)~26日(日) 帰国

2005-06-25 00:28:22 | NYPコンサート
帰国といいましても、ひたすら飛行機に乗っていただけなので、はっきり
いって書くことはありません。

ということで、金管セクションについて少し・・・。
やはり私たちにとってはこれがメインですので。


飛行場へ向かう車の中から

まずは首席3巨頭。今のNYPは、この3人がいなければNYPじゃない、と
言ってしまっても良いくらい、その存在感は大きすぎるものがあります。
今回のプログラムは、ソロでの活躍はありませんでしたが、その分自分の
セクションやオーケストラをリードすることに全力を傾けているように
感じられました。

それからもう一人の首席、今シーズンから活躍中のテューバのアラン・
ベアーさん。マラ6にはいくつか重要なソロがありますが、
ばっちり決まっていました。とても太い音で、ホールの底の底から響いて
くるようでした。
NYPブラスセクションの首席はのサウンドは、とてもよく似ているところ
があって、まず音が太くて豊かなこと。そして、意外と音色が柔らかいこと。
それから特徴的なビブラートがかかっていること・・・などがあげられますが、
アランさんのテューバのサウンドにもすでにこういった傾向が見られました。
やっぱり一緒に吹いてると似てくるんでしょうか。
もうすっかり金管首席陣の一員って感じでした。

マイヤースさんは、正直3日とも、調子悪いとまではいかなくても、
ビミョーに「絶好調」ではなかったように思います。
しかしながら、それでもやっぱり親分はすごいのです。8人・・いや1アシ
も入れて9人か・・もずらっと横一列に並んだホルン軍団を率いて、最初から
最後まで先頭きって突っ走ってくれました。とにかくとんでもないパワーです。
それに触発されてか、ホルンセクション全体、特に低音パートはすばらしい
音で鳴りまくっていました。
まるでオーケストラの音のすきまを全て埋めるような響きが、ステージの
中心にずらっとならんだ一列からゴォーッと湧き出しているみたいで、この
ホルンサウンドがなかったらNYP全体のサウンドがずいぶん薄っぺらくなって
しまうだろうと思います。

マイヤース氏は、1980年にフィルハーモニックへ入団して以来、しばしば
ソリストとして、モーツァルトやシューマン、ブリテン、ウィリアム・
シューマンなどの作品をオーケストラと共に演奏してきました。しかし
ながら、ソリストとしてスポットライトを浴びることは彼の一番の喜び
ではありません。「この仕事の最も大きな楽しみは、ホルンセクションと
共に演奏することです。」と、彼は言います。
また、「この仕事ほど多様性に富み、多くの刺激を与えてくれる仕事は
他には考えられません。25年経った今でさえ、私が最初にこの仕事を始めた
日と同じ感動を、この仕事は与えてくれます。」

これはプレイビルに載っていたもので、今シーズンで勤続25周年を迎えた
マイヤースさんについての記事の一部です。
今回のホルンセクションの演奏は、まさにこの言葉をそのまま音に表した
ような演奏だったと思います。

アレッシ先生&トロンボーンセクションは今回最も安定した堅実な
演奏ぶりでした。
おそらく席のせいもあったのでしょうが、まあ、これでもかっていう
くらい音が飛んできました。でもフォルテのパワフルさもさることながら、
やはり最後のピアノのコラールがすばらしかったです。
あるときはまるで大砲のように音を飛ばし、あるときはホルンか、
木管のような繊細で柔らかい音色を奏でる、あの柔軟さはいつもながら
見事だと思いました。このトロンボーンセクションがしっかり支えて
くれるからこそ、トランペットが生きてくるのだと思っています。

ということで、最後にトランペット。スミスさんは2日目(の1楽章)
以外は本当に完璧な演奏でした。
これはただミスがないとかいう意味ではなく、全ての音、全ての
フレーズに、こう吹きたいとか、或いは、指揮者がこう吹かせようと
しているという意思やこだわりを感じる丁寧な演奏で、例え大きな音
でガンガン吹く時でも、ピアノであまり(客席には)聴こえないような音
を吹くときでも、ソロを吹くときと全く同じ集中力を持って演奏していました。
あとは、やっぱり音色の柔らかさと透明感に感動しました。彼の音を
聴くといつも、雲の間から光がさしこんでくるようなイメージが浮かぶの
ですが、4楽章の後半でピアノのハイトーンからクレッシェンドしながら
だんだん降りてくるフレーズなどは、まさにそのイメージそのものでした。

トム・スミスさんは今回5番を担当されていました。出番は少ないけれど、
見事な演奏で印象に残りました。サリヴァンさんが移籍して以来、トム・
スミスさんは、副首席代理として重要なポストをどんどんまかされていて、
最近は聴くたびに演奏が堂々として、貫禄のあるものになっていくので
驚かされています。
3番・4番・6番はエキストラでした。3番の方はとても芯のある良い音で、
難しいポストをよくこなされていたと思います。


終演後、指揮台の横にいるのがマゼールさん。

ペンザレラさんは、引退してしまうなんて信じられないくらい、パワフル
な安定感のある演奏で、今回も完璧にスミスさんをサポートしていました。
最高の2番奏者で、大切なパートナーである彼がいなくなることは、スミス
さんにとっては本当に大きなことだと思います。
私自身にとっても、このお二人は最高の理想の1-2番コンビでした。
まるで「マナカナちゃんトーク」のように息のあった演奏はもちろん、
本番前に早々と席については、始まるまで延々と二人でしゃべり続けている、
あの雰囲気も大好きでした。なんだか仲の良い親子か夫婦みたいで。
初めてNYPのコンサートに行ったとき、その光景を見て以来、本番前の様子
を見るのが楽しみになりました。
私が本番前や終演後に、誰と誰が話してるとか、誰と練習してる、握手
してるとかをよく見ているのはそういうわけなのです。

「Vinceは大変すばらしいプレイヤーであると同時に優れた指導者
でもあります。私たちは、1st-2ndのトランペットチームと
して、27年もの間一緒に仕事をしてきました。おそらくこのポジション
のコンビとしては、アメリカで最も長い”marriage(結婚生活)”を送って
きたのではないかと思います。
彼は、身体的にも、精神的にも私を支えてくれ、私にそれが最も必要な
ときに、私を笑わせてくれました。
私は、彼に対して多大なる賞賛の気持ちと、深い愛情を持っています。
彼がいなくなると、本当にさみしくなるに違いありません。」

これはプレイビルの、ペンザレラさんの紹介記事にあった、スミスさん
の彼に対する言葉です。スミスさんにとっては、きっと家族と同じかそれ
以上の、かけがえのないパートナーだったんだろうな~というのが伝わって
きますね。

私はとにかくスミスさんの音色が大好きで、それから首席3巨頭セット
で好きになり、次にはブラスセクション全体が好きになり、今はNYフィル
全体が好きで、おまけになぜかマゼールさんまで好きになってしまった
今日この頃ですが、基本がスミスさんなのは、今でも全く変わっていません。

でも、最近思うのは、もちろん、ソロの曲を吹いているときも大好き
なんだけど、私の一番好きなスミスさんのサウンドは、やっぱりオケの
中で演奏しているときなんですね。そしてそれはきっと、スミスさん
一人が作り出しているんじゃなくて、隣のペンザレラさんやアレッシさん、
そして他のTpセクション、ブラスセクションのメンバーと一緒に演奏して
初めて出てくる音色なんだと思います。


同じく終演後。Tbセクション会議中(?)

だからペンザレラさんがいなくなってしまうことで、スミスさんの音色や
演奏スタイル自体は全く変わることはないとしても、聴く側には微妙に
変わったように聴こえるかもしれない。2番ってそれくらい重要なポスト
だと思う。
次のオーディションで、良い人が決まることを祈っています。
それにしても、幸か不幸か、私たちは2年前は、副首席サリヴァンさんの
NYPでの最後の公演、そして今回はペンザレラさんのラストコンサートに
遭遇してしまったことになります。私たちがNYへ行くたびにTpセクション
から誰かがいなくなる・・・とかそういうパターンは非常に困るんですけど・・・。
もう行くなってことかな?

以上で、2005年NY旅行のレポートは全て終了です。毎度のことながら、
書きたいことがたくさんあって、長文の山となってしまいました。
ここまで気長にお付き合いいただいた皆さま、どうもありがとうございました。

2005年6月24日(金) NYP第三夜 (2)

2005-06-24 00:19:15 | NYPコンサート
いつだったか何かのインタビュー記事で、ご自身の指揮についてマゼール
さんが、「明確な指揮をすれば、その分演奏者は良い音色や音楽的な表現や、
演奏者間のアンサンブルに集中することができる」と、おっしゃっているの
を読んだことがあります。
確かに昨年の来日公演でも思いましたが、マゼールさんの指揮はとても
丁寧で、わかりやすく、また自分のやりたいことを、あいまいな表情など
ではなくて、全て棒できっちり表現しているので、演奏者はそれをちゃん
と見ていれば自信をもって音を出すことができると思います。
この6番の演奏でも、その効果は充分に現れていました。


ステージ全体像。
後ろの壁には「(お願いですから)携帯電話の電源を切ってください」の文字。

6番は、もちろんたくさんのソロもありますが、5番や3番のように、
ある楽器のソロがメインになるということはなく、すべてのセクション
の掛け合い、アンサンブルがとても重要な曲です。
いろんなパートがとても複雑に絡み合っていて、たぶん自分のパート譜
だけ見ていても、全くわけがわからないでしょう。もちろんどの曲も
そうですけど、この曲は特に。
まるで精巧なからくり人形が、全てのパーツが完璧に組み立てられて
初めて動きだすような、そんな曲だと思います。

しかしながら、今回聴いていて、すごいと思ったのは、いろんなセク
ションが、或いはセクション内でも、ぜんぜん違った動きを同時に
しているのに、それらが全てきちんとかみ合って聴こえてくることです。
スコアを見ていないのに、まるでスコアが頭に浮かんでくるようで、
全パートが何をやっているのかがはっきりとわかって、おまけに、どこと
どこが掛け合っているとか、このパートとあのパートがつながっているとか、
そういうことまでが、自然に頭の中に入ってきます。これは指揮者は
もちろん、演奏者一人ひとりが、全体を把握した上で、自分の役割を認識して、
きっちりと果たしていなければ、こういうふうには聴こえないと思います。

今回のマゼールさんは、何本もの縦糸と横糸を自在にあやつって一枚の絵
を織り上げる、熟練の機織り師の仕事ぶりを見ているようでした。しかも
NYフィルって、各セクションごとにまったく色が違うし、特に首席の色
(個性)がとっても濃いので、扱いがすごく難しいと思うんですけど、
その色をちゃんと適材適所に使い分け、一つの作品に仕上げることがで
きるのはさすがです。おかげでとってもカラフルな6番になっていたと
思います。
どちらかというとあまり「悲劇的」という副題にはこだわらず、マゼール
さんなりの6番を自由に表現しようとしているように思えました。
(ちなみにこれは意識的なのか、アメリカではそれが一般的なのかは
わからないのですが、プログラムの曲名は「マーラー:交響曲第6番」のみ
が書かれ、「悲劇的」という副題は付いていませんでした。)

私はNYフィルの音楽監督に就任するまで、マゼールさんの演奏をほとんど
全く聴いたことがなかったためか、耐性がなく、どうもマゼール・NYP
の演奏を聴くと、その曲に対してそれまで持っていたイメージを思いっきり
ひっくり返されることが多いのですが、今回も予想通り強烈な印象を与えて
くれる演奏でした。今まで聴いて強く印象に残った演奏は、バーンスタイン・
ウィーン、ショルティ・シカゴ、テンシュテット・NYPで、それぞれが
極端に違った意味で強烈なんですが、マゼール・NYPはそれらのどの演奏
ともまた全く異なっていました。

でも一つ困ったところは、マゼールさんの演奏は、いったんイメージを
塗りかえたが最後、そのまま永久上書き保存されてしまうことです・・・。

演奏者側で特に印象に残ったのは、まずはコンマス、ディクトロウさん。
この曲では決して長くはありませんが、いくつかソロがあります。その
音色がとっても艶やかで、一瞬そこだけ華が咲いたかのようでした。
おそらくキャラの濃さでは世界有数のオーケストラのコンマスという重責
を背負いながら、いつもサンタのおじさんのようににこやかで飄々として、
全く肩に力の入っていない柔らかな音を奏でるディクトロウさん、やっぱり
すごい人です。


エイヴリーフィッシャーホール

パーカッションは今回とにかく大活躍で、ティンパニやハンマーをはじめ、
ここぞというときにびしっ!と決めてくれ、聴いていてすっきりしました。
コーロフさんが引退しても、その「気合一発その瞬間に人生かけろ」的な
精神は充分に受け継がれていると思いました。でも楽器や壁は壊さないで
くださいね。

金管セクションについては、このあとまた別枠で書きたいと思っています。
えーまだ続くの~とうんざりした方はどうぞ遠慮なく引き返してくださいませ。

2005年6月24日(金) NYP第三夜(1)

2005-06-24 00:13:55 | NYPコンサート
「マラ6」3日目です。昨日はあんなことになってしまったので、今日は一体
どうなるんだろう?と、期待半分、不安半分。

さてさて、本番前はどこをさらうのか、或いは誰としゃべりたおすのかと、
いつものように眺めていると、今日はアレッシ先生と音あわせが始まりました。
しかもミュートをつけているので、4楽章に2回ほどある、Tp&Tbのピアノで
非常にこわそうな2soliの部分だと思われます。でもそこって昨日もおとといも、
完璧にぴったりだったんですけど、まだ何かご不満が・・・?


本番中みたいですけど、まだ本番前です。

ちなみにトロンボーンは4人全員出演ですが、副首席のマーキーさんは
1~3楽章までは1アシの席に座り、4楽章の前にさっとアレッシ先生と
入れ替わって2番の席に座ります。
したがって、この時、お二人の間には当然マーキーさんが座っていて、
両隣で音あわせをされ、しかも二人のベルが自分の目の前に
ある、という状況のマーキーさんは、その間自分の楽器を吹くわけにも
いかず、両首席に窮屈そうにはさまれながら、「う~ん・・・」
とか「うんうん」とか言いつつ、音あわせに参加しておられました。
ご苦労様です。

そして始まった本番。しかし今日はまた、昨日とはガラっと雰囲気が
違いました。出だしからめちゃくちゃ気合いが入ってます。Tpの冒頭ソロも、
今日は・・・あ、いえ、今日もなんなく決まり、Hr、Tbも3日目とは思えない
ほどのパワーで吹きまくっています。マゼールさんも、昨日より動きが機敏で、
弦の音にも力強さがあります。そしてこの、まるで学生生活最後の冬定演
のようなテンションの高さ。
こういう妙なノリになったときのマゼール・NYPは、おそらく世界最恐です。
誰にも止められないこと、全力疾走中の象さんの群れのごとし。うっかり
何か鳴らそうものなら即、踏み潰されそうな勢いです。
これって・・・もしかして昨日の反動??

とにかく今日は、指揮者も演奏者も全員が一丸となって、目の前の音楽
に集中・・というか没頭しているのが感じられました。
そして、とうとう最後までその集中力を維持したまま、トロンボーン&
テューバのコラールも、最後のトランペットのハーモニーもばっちり
決まって終演。マゼールさんが手を下ろすと同時に沸き起こった拍手
と歓声には、昨日とは違って、感嘆や驚嘆の声が含まれていました。

そして驚いたことに、マゼールさんが指揮棒を下ろした瞬間に、
トロンボーンセクション全員が、一斉に自分のひざの上で
小さく拍手をしたのです。一瞬、「携帯を鳴らさなかった客に対してか?!」
と思ったんですが(←そんなわけはない)、これはやはりマゼールさんに対して
だったと思われます。もちろん自分達の演奏に対する満足感もあったかも
しれませんが。

というのも、拍手に答えて再びステージ上へ戻り、オケのメンバーを
立たせようとしたマゼールさんに対して、今度は団員全員から暖かい
拍手が送られたからです。プロの生コンサートでこういう光景を目に
したのは、実は初めてでした。
この後、今までと同じようにパーカッション→Tp&Tb→Hrセクション、
そして木管セクション、最後に弦セクションと、全員を立たせて
から、握手を交わしたマゼールさんと、コンマスのディクトロウさんの
お二人が、もうそれはうれしそうににっこにっこ笑っていて、なんだか
こっちまでうれしくなってしまいました。

もうこれだけでもかなり感動だったんですけど、ふとTpのほうを見ると、
ペンザレラさんが目頭に手をやっていて、一瞬泣いてはるのか?!と思い、
思わずもらい泣きしそうになりました。
でも後ほどダンナが言うには、「まだ明日があるんやし、それはないやろ~。」
いやそれでも私は、「(例え明日があろうと泣くことだって)ある!」・・・・・・・・ほうに5ドルかな。

今シーズンは、オープニングからずっとオンライン放送を通じてNYPの演奏
を聴いてきて、演奏の精度はともかく、やっぱりマゼールさんの時が、一番
オーケストラの音がのびのびして、演奏も生き生きしていると感じること
が多かったので、彼のコンサートを選んだわけですが、それでも毎回今日
のような演奏ができるわけではないでしょうし、今回この場に居合わせる
ことができたのは、本当に幸せなことでした。

マゼールさんは、最初は気難しくて、帝王タイプのワンマン指揮者な
のかな・・・っていうイメージが、なんとなく先入観としてあったけど、
今見ている限りでは、彼はオーケストラのこと(長所・短所・特色など)
をとてもよく理解して、また個々の奏者やセクションのこともよく見て
いると思います。そして、基本的にはそれぞれの奏者やセクションの力を
信頼していると感じます。

とりあえず、あの金管セクションを目の前にして、おさえることを全く
考えずむしろさらに吹かせる、という発想ができるのが、やはり普通では
ありません。それでいて、今は弦もちゃんと聞こえてくるし、逆にマズア
さんの時よりも、弦と管のバランスは良くなっているような気がします。
それに弦がすごくいい音になったし。
つまり、「出る杭を打つ」んじゃなくて、「出る杭にそろえよう」的な
考え方といいますか・・・。
この基本方針のおかげで、NYPのサウンドは本当にガラッと変わりました。
オーケストラのバランスを整えるのに、ちゃんとそのオーケストラのこと
(やホールの特徴)を見て、「普通」とは全く逆のことをためらいもなく
やったマゼールさんは、すごいと思います。

私はマゼールさんが音楽監督になってくれて、良かったと思っているし、
今回改めてそう思ったし、もし、またNYへ聴きにいける機会があるとした
ら、マゼールさんの振るコンサートを選ぶでしょう、きっと。

おそらく、彼にとっては、これが最後の音楽監督になるのでしょうが、
NYフィルと一緒に仕事をするあと数年間の間に、今日のようなコンサート
が一回でも多くあればいいと願っています。
そして退任の時に、長い音楽監督人生の中で、「NYフィルにいた時が一番
楽しかった、NYフィルの音楽監督を引き受けて良かった」って思ってくれ
たらいいなあ・・・って、しかし、いつのまに私はマゼールファンになった
んだろか・・・。


終演後のボックスオフィス

私は、私自身の経験上から、良い演奏をするためには、指揮者と演奏者、
そして演奏者同士の信頼関係が、必要不可欠だと考えています。
しかしながら、オーケストラと指揮者(音楽監督)が良い関係を築くのは、
本当に難しいことで、またそれを維持するのも相当に大変なことだという
こともわかっているつもりです。

ですから、マゼール・NYPが、今のままお互いに良い気持ちで仕事が
できる関係が、少しでも長く、できれば最後まで続くことを祈っています。
そして、NYフィルのミュージシャンたちが、殺人的なハードスケジュール
をこなす中で、今日みたいに演奏者自身がエキサイトして、満足感が得ら
れるようなコンサートが一回でも多くあってほしいと、そう思います。


そんなわけで、3日連続のコンサート。周りから「3回も同じの聴いて
おもろいんか?」と聞かれれば、「これがまた微妙に違うねんて~。」
と確かに答えてはいましたが、まさかここまで劇的に違ったものになる
とは、さすがに思ってませんでした。
今回も2年前と同様、いくつもの幸運が重なって、ニューヨークまで
来ることができ、さらに幸運なことにとても満足な気持ちで帰路に着くこと
ができましたが、これがもし2日目だけとか、あともし、マゼールさんが
キャンセルとかだったら、きっと帰るに帰れない気持ちになっていたで
しょうね。いやホントに・・・。
ということで最後にひとこと、「2日めのお客様、ご愁傷様です・・・。」

2005年6月24日(金) セントラルパーク

2005-06-24 00:04:01 | NYPコンサート
この日も晴天。そして今日もひたすら犬のように歩きまくりました。
まず、ホテルの近所からバスに乗って、セントラルパークの北側、
モーニングサイド・ハイツと呼ばれるエリアに向かいました。


リバーサイド教会。セントラルパークの西北にあります。
NYPのメサイアはここで演奏されます。

リバーサイド教会の塔からはとても眺めが良いという話だったのですが、
残念ながらこの日は中に入ることができず、外から眺めただけで引き返す
ことに。

リバーサイド教会から歩いて少し南へ下ると有名なコロンビア大学があります。
ここは一般の人も普通に中に入れるようだったので、中を通り抜けてきました。


そのすぐ近くにあるコロンビア大学。

コロンビア大学を出てまた少し南へ歩くと、またまた巨大な教会が
あります。
セント・ジョン・ディヴァイン大聖堂です。この教会、実はまだ未完成
なんだそうです。


セント・ジョン・ディヴァイン大聖堂。

こんどは中に入ることができたので、見学してきました。
今回いくつかの教会を見て思ったのは、お寺の中と教会の中って、
なんとなく雰囲気が似ていますね。こんなこと言ったら怒られるのかも
しれないけど、薄暗くて、ひんやりしていて、でも不思議と落ち着く感じが。
あと、いろんな所に「ろうそくたて」があるのも。
そういう空間が落ち着くとか、何かを感じるというのは、もしかすると
人類共通のものがあるのかな?なんて思ったりしました。

そういえば、ものすごくどうでもいいことなんだけど、行きの飛行機、
天台宗のお坊さんの団体と一緒でした。NYで一体何を??


大聖堂の中。

それから再びバスに乗って、南へ戻り、セントラルパークの南北のちょうど
中間地点辺りで降りました。
そこから公園の中に入って、再びひたすら歩きます。


セントラルパーク、グレートローン。

最初に着いたのはグレートローン。ものすごく広い芝生の広場です。
ここでメトやNYPのパークコンサートが行われます。

そのグレートローンのすぐ南にあるベルベデール城。予想よりも小さくて、
かわいらしいお城でした。


ベルベデール城。

セントラルパークの中はちょうど緑がとてもきれいで、ほんとうにたくさん
の木があって、小鳥やリスもたくさんみかけました。
リスさんはあまり人を怖がらず、カメラを向けるとカメラ目線でポーズを
とってくれました。


リス。

ひたすら公園の中を南に歩いて・・・いるつもりが気がついたらイースト
サイドに出てしまったり、道がまっすぐではないので仕方ないのですが。
でも地図を見ながらのんびりと歩きました。


湖でボートに乗る人々。

もともと二人ともわんこをはじめ、動物や、最近は木とか花にも興味が
あるので全く退屈はしなかったんですけど、わざわざニューヨークまで
来て自然に親しまなくても・・・・という意見は無視の方向で。


うま。

こっちは日本では見たこともないような種類のわんこがたくさんいて、
興味津々。でもさすがに日本犬は見ないね~と言っていたら、ついに
出会ってしまった「しばわんこ」。りりしくて素敵です。
なんとなくですが、こちらは日本よりもミックス犬が多いような気が
しました。あと、大型犬、それもシェパードとかハウンドドッグ系の、
一見怖そうなわんこの比率が高く、それが都会を堂々と歩いているのが
妙に自然なのです。


いや、後姿がらん様に似てたのでつい・・・。
なんか怒ってはります?

セントラルパークから一度ウエストサイドへ出ると見えるのが、有名な
ダコタ・アパートです。特に何も書いてないので、気をつけてないと見過
ごしそうです。
それほど高くはないけれど、貫禄のある建物です。


ジョン・レノンの住んでいたダコタアパート。

ストロベリーフィールズは公園の中からだと、小さな小道を抜けたあまり
目立たない所にありました。でも、さすがにたくさんの人が集まっていました。


ストロベリーフィールズ。

また公園に戻ってさらに南へ。ほぼ最後の目的地となるシープメドウです。
森の向こうにビルがそびえ立っている光景は、写真などではよく目にしま
すが、実際に見てみるとやはり圧巻で、とても不思議な風景です。
皆さん水着とか、上半身裸で日光浴をしていらっしゃいます。


シープメドウ。

こちらでは、公園の中だけでなく、街中でも、タンクトップに短パン
のような、日本だったらお風呂上りのような服装で歩いている方が結構
いて、あまり人目を気にしないんですね。日本だったらたぶん近所に
買い物に行くだけでも、もう少し露出の少ない格好をすると思うので、
日本の人がいかに人目を気にしているか、改めてわかったような気がします。
私は、自分はともかく、人がどんな格好でもあまり気にはならないほう
だけど、でも、結構大胆だなあ・・とは何度か思いました。


今回唯一お世話になった乗り物。

私たちは、二人ともお酒が全く飲めないし、コーヒーもそれほど好き
ではないので、普段からお茶ばっかり飲んでますが、NYはお寿司が
流行っているせいか、普通のスーパーでペットボトルのお茶が売られて
いて、とても助かりました。伊藤園のお茶なんですが、ラベルが
かわいいですよね。ジャスミンとかほうじ茶、玄米茶、ウーロン茶など、
日本より種類が豊富にそろっていて驚きました。売れているのかな??
食べ物はだいたいどんなものでも大丈夫ですが(ダンナはタマネギさえ
入ってなければ)、飲み物はやはり慣れたものがありがたいですね。


今回も大変お世話になった、伊藤園のお茶。

2005年6月23日(木) NYP第二夜 (終演後)

2005-06-23 20:08:46 | NYPコンサート
終演後。昨日は接待(?)があったのであきらめて帰りましたが、
今日はがんばって待ちました。本当は今日はちょっと気まずいかな~
と思ったんですが、でも明日会えるという保証もないし、チャンスは
生かさなければ!・・ということで。

楽屋口からはマーキーさんやトム・スミスさん、マイヤースさん、
アレッシさん、それからロビンソンさん(Ob)、ランジュヴァンさん(Fl)
など木管の方々も次々と出てきます。バスーンのルクレアさんはTシャツ
に短パンという、まるで近所に買い物に来た主婦のようないでたちで、
少々びっくり(ステージ衣装とのギャップに)。


楽屋口。

マイヤースさんはよくステージ上でしゃべっている、チェロの女性の方と
ご一緒でした。何かの記事に「彼女はチェリスト」と書いてあったので、
おそらくこの女性なんでしょう。と、いろいろ観察している間にほとんど
の方が帰ってしまい、たぶんお弟子さんと思しき人たちとかなり長時間
たむろっていた、2番Tbのフィンレイソンさんも去ってしまうと、辺りは
急にさみしくなりました。
たぶん1時間弱くらい待っていたけど、肝心のスミスさんは一向に出てくる
様子がないので、もう帰ってしまったのかな~と今日もだんだんあきらめ
モードに。

でも帰る前に、なんとかして、まだいらっしゃるかどうか確かめてみ
ようと思い、誰かに聞いてみることにしました。
みることにしましたって簡単に言いましたが、日本で日本人に道を
尋ねるのさえ、思わずためらうほどの私たち。
ましてやここはアメリカです、当然日本語でたずねるわけにはまいり
ません。これがどれほど勇気のいることだったか、おわかりいただけ
るでしょう?

というわけで、何度も迷った末、ようやく覚悟を決めて声をかけたのは、
年配の男性と少し若い、おそらくアジア系と思われる女性の2人組みでした。
もし清掃や警備の人だったら、聞いてもわからないだろうと思い、最初に
「ニューヨークフィルのミュージシャンの方ですか?」
と確認すると、
「Yes.」とのことだったので、
「首席トランペットのスミスさんにお会いしたいのですが・・・。」と
尋ねてみました。
すると、女性の方があっさりと、
「あ、もうすぐ出てきますよ」と答えてくださいました。

これでホッとひと安心していると、
「どこから来たの?」とか「どれくらいいるの?」、「(スミスさんは)
待ってること知ってるの?」
と質問の嵐。案の定あたふたしながらも、とりあえず日本から来たこと
を伝えると、女性の方がいきなり大変流暢な日本語を話し始めてビックリ。
後から聞いた話ではお二人ともマネージャーさんで、女性はどちらの国の
方かはわからないけど、日本語と韓国語が話せるそうです。確かに最近
NYP(特に弦セクション)は韓国系の方がすごく多いですし。

でもってその方が、
「スミスさんに知らせに行こうか」とおっしゃるので、あわてて
「いえ、まだいらっしゃることさえわかれば、お待ちしてますから。」と、
こちらも(たぶん比較的流暢な)日本語で引き止めたんですが、結局中へ
戻ってくださいました。
で、その間、男性の方が私たちと一緒に待っていてくださって、なかなか
会話が成り立たなくて申し訳なかったけど、いろいろと話しかけてくだ
さいました。

それにしても、たまたま声をかけたのが、本当にとても親切で、スミス
さんとも親しくて、おまけに一人は日本語までできる方だったなんて、
信じられないくらいラッキーなことですよね。
しばらくすると、女性が戻ってきて、
「もう来ますから。」とおっしゃった本当にすぐ後に、スミスさんと
それから奥様が一緒に出てこられました。

スミスさんは、私たちのことをちゃんと覚えていてくださって、とても
喜んでくださったんですが、
「こんにちは、驚いたよ。元気だった?待たせてごめんね。」
その他もろもろを一気に言われて、しばし呆然。
いやいや、固まってる場合じゃなかった・・・ととりあえず
ご挨拶をして、奥様にも紹介していただき、はじめましてのご挨拶。
その後は・・・実はあまりはっきり覚えてないんですけど、たぶん、
「いつまでいるの?」とか、当たり障りのないお話をして、
少しひと段落したころに、昨日から気になっていたことを質問してみました。

すなわち、
「ペンザレラさんはもうすぐ引退されるんですか?」と。
答えは残念ながら「Yes.」でした。そこで私が
「驚きました。」と言ったところ、
「うん、僕も驚いてるんだよ。」とスミスさん。
(えっ・・・そーなんですか??)と心の中で思いつつ、
「今シーズンが最後ですか?」と聞くと、
「そう、でも実際は来シーズンもしばらくステージに乗ることになると
思うし、教師のほうはまだ続けるそうだから。」とのお答え。
それから、
「彼とはもう27年間もずっと一緒に仕事してきたんだ。」とおっしゃるので、
「それはとても長いですね。」
と言うと、
「そう、だから彼がいなくなるとすごくさみしいよ。」
・・・なんだか私たちまでさみしくなってしまいました。

気をとりなおして、写真をお願いすると、いつもように快くOKして
くださり、しかも今回はご一緒だった奥様が親切にもシャッターを押して
くださったのです。本当にありがとうございました!できれば奥様も一緒
に写っていただきたかったのですが、何と言ったらいいのかわからないまま、
タイミングを逃してしまいました。とても優しそうで、感じの良い方でした。
それにとても仲のよさそうなご夫婦で、うらやましかった・・・。

最後に、
「次に来日する予定がもしあれば、教えていただけますか?」と尋ねた
ところ、
「はっきりはわからないけど、来シーズンはヨーロッパとイタリアにツアー
に行くことになってるから、来シーズンはおそらくないと思う。
でも、その次のシーズンにはもしかしたらあるかも・・・。」
とのことでした。
確かに、今シーズンすでに来日ツアーがあったわけで、さすがに2シーズン
続けての来日は、いくらマゼールさんが日本好きといえどもありませんよね。


恐れ多くも奥様に撮っていただきました。
ありがとうございました。

実際には、スミスさんはもっとたくさんのことを話してくださっていて、
単に私たちが、聞きとれていないだけなんですが、それでも
比較的だいたいの内容が把握できて、かろうじて会話(らしきもの)が
成り立っているのは、私たちの力では全くなく、スミスさん
が、かなりゆっくりと、簡単な英語を選んで、その上、私たちがわかって
いるかを目で確認しながら、一つの文章を短く区切って話してくださって
いたからです。
その証拠に、他のネイティヴの方に普通の速さで何か言われてもほとんど
わかりませんでした。完敗・・・(泣)。

それから、いつもすごいと思うのは、きっとどんな人に対してもそう
なんだと思いますが、ほとんど英語力のない私たちに対しても、
どうせ言ってもわからないからと、適当に答えることをせずに、「一」
の質問に対して「十」くらいのことを、懇切丁寧に答えてくださることです。
本来は「Yes」か「No」か「わからない」だけで済むことでも、そのこと
に関して、少しでも知っている情報とか、ご自分が思っていることまで、
面倒がらずにちゃんと言葉にして、私たちに伝えようとしてくださる姿勢
には、本当に頭が下がります。

NYまで行って、すばらしい演奏を生で聴けたことは、もちろんすごく
うれしかったけど、やっぱり一番うれしいと思うことは、現地の人
と少しでもコミュニケーションがとれたこととか、思いがけず親切に
してもらったことで、そういうときの気持ちというのは、他の何事にも
代えられない大切な思い出になると思います。

ということで、いきなり声をかけたにもかかわらず、とても親切に
対応してくれて、私たちがスミスさんに会えるように手助けをしてくださ
ったお二人、そして、お会いするのは初めてなのに、とてもフレンドリーで、
写真まで撮ってくださった奥様、それから、「マラ6」4連続の
真っ最中で、体力的にも精神的にもたぶんすごく大変なのにも関わらず、
とても優しく丁寧に接してくださったスミスさん、改めて、本当にあり
がとうございました。

2005年6月23日(木) NYP第二夜 (1)

2005-06-23 20:02:15 | NYPコンサート
この日は、いろいろと事件がありました。今日は引退メンバーの挨拶もなく、
通常通りのスタイルでコンサートは始まりました。
本番前はいつもどおり、メンバーが思い思いに練習していて、スミスさんは、
冒頭のソロを何度かさらった後、隣のペンザレラさんと何やらとても熱心に
話しこんでいました。そういえば、昨日は反対側の隣のマーキーさんとずーっと
しゃべっていたな~。
ちなみに今日の席は4階の正面左よりです。ステージからはかなり遠いけど、
音はよく飛んできます。それと、この日だけハンマーを見ることができました。


サマータイムクラシックスのポスター。
コープランドの「静かな都会」も予定されています。

そんなこんなで、始まった本番。なんですが、非常にめずらしいことに、
1楽章でスミスさんに2回ほどミスが・・・。一体何事?昨日はあんなに
絶好調だったのに・・・と、思わずこっちが動揺。どこでだったかはもう
すでに記憶から消去済みですので、聞かないでくださいね~。

しかしながら、そういう具体的な話はさておいても、どうも今日は昨日と
違う違和感がありました、全体的に。なんとなく、少しザワザワしている
というか、少し集中力に欠けるというか。


ロビーにあったマゼールさん写真集。
左下はマゼールさん&ダニー・ケイさん。

そういえば、昨日は終演後に、ロビーでスポンサー相手の接待パーティ
みたいなことをやっていたので、皆さん接待疲れとか?
もしくは初日が大成功だったので、ちょっと気が抜けたのかもしれません。
でも、それも曲が進むにつれて、だんだんともとに戻ってきて、4楽章に
入る頃にはマゼールさんもオケものってきて、かなりいい感じになって
きました。


4階のロビーから。

スミスさんも2楽章以降は普段どおりの安定した演奏で、4楽章はガンガン
吹いていましたし、ああこれで一安心、とホッとしていたところ、なんと
最後の最後で、信じられないような大事件が。

しかもこれは、演奏者側ではなく、客席で起こりました。そうです、
携帯電話です。
場所がまた最悪なことに、ラストのトロンボーンのコラール、おまけに
よりにもよって、曲が「エンターテイナー」??
もう本当に一瞬頭が真っ白・・・いや目の前真っ黒・・・どっちでも
いいけど、それにしてもまあこれほどお見事な演奏妨害には出会ったこと
がありません。

しかもあせっていたのか、なかなか音が止まらなくて、このコラールの
後半ほとんどが陽気な着信音に消されてしまったのです。
ここまで、1時間以上も一生懸命演奏してきたマゼールさん、オーケス
トラのメンバー、そして、おそらくこの部分の演奏に命を懸けていただ
ろう、トロンボーン&テューバの皆さん、一体どんな気持ちだった
でしょうか。
恐ろしくて想像もできません。

でもとにかくなんとか終演までこぎつけ、マゼールさんが手を降ろすと、
客席からは異常なくらいの拍手と歓声がわき起こりました。
おそらく、この大事故に際して、お客さん全員が連帯責任のようなもの
を感じてしまったんじゃないかと思うんですが、なんとかして、この気
まずさを振り払って、場を盛り上げようと必死でした。マゼールさんも
そこは大人で、何事もなかったかのように歓声に答え、3回ほどステージ
に戻ってきて、オーケストラを讃えていました。でも内心はきっと苦笑い
だったでしょうねぇ・・。

いや~、これがほんまの「悲劇的」やね・・・・なんてのんきなことを
言ってる場合ではございません。
実は少し前にあった、ムーティさんのコンサートでも同じようなことが
あったらしいんですが、この際真剣に、ホール内では携帯の電波
が入らないようなシステムに、今すぐにでもするべきだと思います。
ステージの後ろの壁にデカデカと書いてはあるんだけど、やっぱり
開演直前にあわてて駆け込んできたりしたら、うっかり忘れることも
あるでしょうし。あとは、せっかく荷物チェックをしているんだから、
その時に一人一人に注意するとか。じゃないと、指揮者・演奏者の皆
さんが本当に気の毒で・・・。

2005年6月23日(木) ミッドタウン

2005-06-23 16:55:39 | NYPコンサート
2日目は見事な晴天。NYは少し前まで、30度越す暑い日が続いていたらしいの
ですが、私たちの滞在中は26~28度と比較的過ごしやすく、また日本のよう
に蒸し暑くなくて助かりました。ちなみに私たちが帰った日はまた35度くらい
まで上がって真夏日になったようで、気候という点では非常にラッキーでした。


タイムズスクエアー

この日は、実はホテルから近いのに、前回は全く見ていなかった、ミッド
タウンの中心街をひたすら歩きました。
まずホテルのある7番街を南へ下り、タイムズスクエアーまで行って、そこから
少し北の楽器屋さん通りを東へ抜けて、5番街へ。


ロックフェラーセンター

5番街はさすがにNYの中心だけあって、すごく人が多くて驚きました。
写真やガイドブックで見る風景がたくさんあって、とても楽しかったです。


ロックフェラーセンター

ロックフェラーセンターのすぐ近くにあるセントパトリック教会。
大きなビルに囲まれているので、一見そうは見えないけど、実物はものすごく
大きな建物で、それにとても美しい建物だと思いました。


セントパトリック教会

実は、こういう海外の本格的な教会を見るのはこれが初めてだったけど、
これほどすごいものだとは思いませんでした。天井のアーチとか、ステンド
グラス一つ一つの絵とか、一日中見ていても飽きないくらい精巧に造られて
いました。


セントパトリック教会

という感じで、そのまま5番街を北へ上がり、適当なところで西へ曲がって
ホテルへ。有名なブランド街も一応通りましたが、特に興味がないので、
ホントに通っただけです。
歩くととても細かいことに気がつけるので、旅行に行くと歩き回るのが
大好きです。でも人が多かったし結構疲れました。夜のコンサート寝ない
ようにしなければ・・。


犬の散歩屋さん?
すいませんつい・・・。

2005年6月22日(水) NYP第一夜

2005-06-22 16:49:24 | NYPコンサート
2年ぶりのリンカーンセンターです。初めてここに来たときほどではないけど、
やっぱり感慨深いものがあります。
この日は夕方少し雨が降ったのですが、この時間には止んでいて、おかげで
少し涼しくなりました。


メトロポリタン歌劇場

とりあえず、まずはチケットをゲットしなければと、ボックスオフィスへ
行きました。オンラインで買ったので、前回は本当にちゃんと取れているか
不安で、NYへ着いてすぐ取りに行ったのですが、今度はコンサート直前、
ちょっと余裕でしょう?でも本心ではやっぱり少し不安でした。


エイヴリーフィッシャーホール

しかも今回は、チケットが取れているとかよりも大きな問題があって、
実はこのファイナルも含めてここ3週連続は、マゼールさんの指揮だった
のですが、先週のコンサートを病気でキャンセルしていたのです。
ファイナルはよほどのことでない限り振ってくれるだろうとは思いましたが、
もし本当に病気で、それも入院や手術が必要な状況だったら、間違いなく
マラ6もキャンセルになるでしょう。

でもこれは行ってみるまでわからないし・・・。ということで、行って
みたら結果的にはちゃんとマゼールさんが振ってくれるみたいだったの
で一安心。ほんとにヒヤヒヤものでしたよ、マゼールさん。

今日の席は、3階席の左側ボックスで、比較的ステージに近い席でした。
ステージは左側3分の一くらい見えませんが、とりあえず金管は全部見
えるので。
でもちょっと首が痛かったです。


マエストロシリーズの旗

ということで、無事に入場し、席に着く前にもらった(机に山積みして
あり勝手に取っていく)プレイビルをパラパラ見ていると、非常に
ショッキングな記事に遭遇してしまいました。
毎年ファイナルには、勤続25周年のメンバーと今シーズンで引退する
メンバーの紹介があるのですが、引退メンバーの中になんとペンザレラ
さんのお名前が・・・。
確かに年齢的には少しもおかしくないんだけど、とても信じられない
気持ちでした。ペンザレラさんはずっとスミスさんの隣に座っているような、
そんな気がしていたからです。まあ、これは私の願望だったのかもしれません。


2年前と2点変わっています。さて、どこでしょう?
答えは一番最後に。

ちなみに他の引退メンバーは、ティンパニのコーロフさん、オーボエの
ロビンソンさんほか数名。25周年メンバーには、
コンマスのディクトロウさんやマイヤースさんのお名前がありました。
開演時間になると、いつもはステージ上が静まってから拍手とともに
ディクトロウさんが登場してチューニング・・・なんですけど、
今日はいつのまにかディクトロウさんがひっそりと出てきて、普通に
席に着いてしまいました。
指揮台の横にマイクが立っていたので、挨拶か何かがあるのかな?と
思っていたら、その通りでした。
まず男性が出てきて、軽く挨拶したあと、先ほどのプレイビルに載って
いた引退メンバーを一人ずつ紹介し、それぞれから簡単なコメントが
ありました。
残念ながら、なぜかペンザレラさんからのお話だけがなかったんですが、
単に席が遠かったからなのか、あまり人前で話すのが好きじゃないのか?

まずバスーンの2番奏者、ヒンデルさんからご挨拶。次に首席オーボエの
ロビンソンさん。とてもまじめそうな方ですが、実際話している時は
ユーモアたっぷりで、客席からは何度も笑い声があがっていました。

さらにすごかったのは、その次に出てきたコーロフさん。実は彼は
今シーズンの頭からもうステージには乗っていなくて、昨年秋の来日
にも来ていなかったので、どこか悪くされたのかと心配していました。
でも今日拝見した感じではとてもお元気そうで安心しました。・・って
いうかむしろ元気すぎ。おまけに笑いとりすぎ。マラ6の前にそんなに
お客(&演奏者)爆笑させてどーするんですか。
話の内容は、ものすごく速かったのでほとんどわからなかったけど、
どうやら以前ご自分がマラ6を演奏したときのお話みたいでした。
たぶんですけど、ハンマーを担当した時に、後ろの壁をぶち抜きそう
になったのか、ぶち抜く勢いでやったのか、或いは本当にぶち抜いたのか、
その辺はわかりませんが、そういった内容だったようです。
まあ、コーロフさんだったら、ありとあらゆるものをぶち抜いてくれ
そうですが。
とにかく口調と身振り手振りだけでもおかしくて、他のお客さんにつられて
一緒に笑ってました。
しかしながら、今日はコーロフさんは演奏者としてステージに上がること
はありませんでした。最後に彼のティンパニで6番聴きたかったけど、残念。
でも元気な姿が見れただけでも良かったです。

そして、チューニングが終わり、いよいよマゼールさんの登場。歩いてくる
のが少ししんどそうで、一瞬「大丈夫か?」と心配になりましたが、
指揮を振り始めると意外と元気そう。

1楽章最初は、特に遅すぎず、速すぎず、割とオーソドックスなテンポだ
と思いました。
とても丁寧で、着実な演奏で、冒頭プラス後2回出てくる、難しい
トランペットのソロもまるで当然のように完璧でした。
昨年聴いた5番に比べると、マゼールさんにしては、真っ向勝負というか、
ストレートな感じがしました。もしかしたら、私たちがマゼールさん節
にすでに洗脳され済みなだけかもしれませんけど。


プレイビルとチケット。
今回はチケットきれいに切ってくれました。

2楽章はアダージョで、これも最初は結構淡々とした曲運びでした。
でも弦の音色はとても美しくて、マゼールさんに変わってからの成果
が充分に出ていたと思います。今回マイヤースさんは、ちょっと本調子
ではなかったのか、フォルテでは少し音が割れ気味だったのですが、
2楽章のホルンのメロディーではいつものまろやかな音色を堪能できました。

2楽章はこのまま、割とあっさり終わるかと思っていたら大間違いで、
曲が進むにつれて弦の音にどんどん熱がこもってきて、最後のほうでは
テンポもかなり落としてたっぷりと歌わせていました。


プレイビル。引退するメンバーの紹介。
左がコーロフさん(首席ティンパニ)、右がペンザレラさんです。

3楽章、スケルツォは、前後の楽章とのメリハリをつけるためか、
少しゆっくりめで、しっかりとリズムを刻んで強調していました。
そして4楽章、これはまさにマゼールさん、そしてNYPの本領発揮と
いった感じで、非常に長い楽章にも関わらず、全く退屈しない、
ものすごい演奏でした。マゼールさん節全開で、テンポも強弱も自由自在、
オーケストラもこれに完璧についていっていました。


特に始まってすぐの、Tp1番&2番のhi-D♭まで上がる例のメロディー
(これまた見事に完璧でございました)のすぐあと、木管の低音と
ホルンが奏でるゆったりしたメロディでは、思いっきりテンポを
落として、独特の雰囲気を作り出していて、とても印象に残りました。

ハンマーはステージの左奥の隅っこに、木でできた箱のようなものが
置いてあり、それを思いっきりたたいていました。ハンマー
(木槌のような形に見えました)はそれほど大きくはなかったけど、
結構ものすごい音で、存在感は充分だったと思います。なんていうか、
「ボコッッッ!!」とか、「ドコッッッ!!」って感じの音でした。


終演後のステージ。

ラストは相変わらずの金管のすばらしいサウンドがホール中に響き
わたったあと、すーっと音が引いて、トロンボーン&テューバの
コラールから低弦、そして最後の一撃→消えていくティンパニのリズム
とTpの和音まで、全く緊張感が途切れることなく、見事な流れ
でした。今日は初日ということもあり、また、オンライン放送の録音日
でもあったためか、マゼールさんにしては安全運転かな?という
気はしましたけど、でもとても素晴らしい演奏で大満足でした。
カーテンコールでは、パーカッション→トランペット&トロンボーン
セクション→ホルンセクションの順に立たせていました。
あと、私は残念ながら見ていないんですが、終演後、スミスさんと
マイヤースさんが握手をかわしていたそうです。
きっとご本人にも満足のいく演奏だったんでしょうね。

ちなみにマゼールさん、4楽章ではピョンピョコと何度も指揮台の上で
跳んでいたし、なんかあやつり人形のような妙な動きも
していたし(ダンナはしきりに「トカゲ、トカゲ」と言ってましたが)、
結構お元気じゃないですか、ホントに病気だったのかな、先週・・・?

(答え)
その1:サリヴァンさんの写真がなくなっている。
その2:マイヤースさんの写真が変わっている。
前の写真はあまりに現状とかけ離れていたためクレームでもついたのか?
(私は何も言ってません)

2005年6月22日(水) 再びNYへ

2005-06-22 16:37:16 | NYPコンサート
6月22日(水)早朝。広島空港から成田へ。11時発の飛行機でNYへ向かいました。
前回は広島→成田の便がなく、一度大阪へ泊まって伊丹から成田へ飛んだの
ですが、今回はそれがなくて少しラクでした。
NYまでは約13時間。到着は同じ22日の午前10時半でした。その後入国審査を
終えて、ANAハローツアーの方の車でホテルまで送ってもらいました。


ホテルパークセントラル

ホテルは前回と同じで、ミッドタウンの7番街、カーネギーホールの斜め向かい
にあります。
ホテルへは1時半くらいに着いたのですが、チェックインできる部屋がスモー
キングしかまだ空いてなかったので、3時半まで待つことにしました。


ホテルパークセントラル

2時間ほど時間ができたので、荷物をホテルに預けてさっそく外に出てみる
ことに。
あまり遠くへ行くのはしんどいので、とりあえず近くに新しくできたらしい
タイムワーナーセンターへ行ってみることにしました。

ホテルの周りは2年前とほとんど変わっていなくて、とても懐かしい気持ちが
しました。


ホテルの前から見えるカーネギーホール


コロンバスサークルはホテルから歩いて5分ほどで、セントラルパークの西南
の角に当たります。ちょうどホテルとリンカーンセンターの中間地点になる
ので、2年前も毎日通ったのですが、その時は確かに思いっきり工事中でした。
これを造ってたんですねぇ。


コロンバスサークルに新しくできたタイムワーナーセンター

とてもきれいなビルで、中にはいろんなお店が入っていて、地下にはホール
フーズマーケットというすごく大きな食料品売り場があります。
4階にはリンカーンセンタージャズオーケストラのホールもあります。


同じくタイムワーナーセンター


この後またホテルに戻り、チェックインをして、コンサートの時間まで休憩
していました。夕方6時ごろ、ホテルを出て、リンカーンセンターへ向かい
ました。


タイムワーナーセンターの中から撮ったコロンバスサークル。
左奥の森はセントラルパークです。