1.NYフィルコンサート第三夜
「シーズンファイナル」
Aaron Jay Kernis/Simple Songs
マーラー/交響曲第2番「復活」
今日は座席がいまいちでした。初めて右側のボックス席(2階)に座った
のですが、音も良くないし、金管は見えないし(これとっても重要)、
おまけに隣のおじさんが、たいして聴いてもいないのに前に乗り出してきたり、
ビニールをガサガサさせたり、あげくの果てには読書を始める始末。
この時点で、序曲の半分くらいだったけど、もう絶対がまんできない!
と思って、ホールを見渡して空いている席を探し始めました。
そして、序曲が終わると、やっぱりダンナも同じことを考えていたらしく、
二人して猛ダッシュで4階の左側のボックス席へ。だって今日が最後なのに、
ちゃんと見たいし、聴きたいじゃないですか。
「復活」の終演後。フラッシュオフのうえ、遠いので、ボケボケですが、
一応金管セクションは全員入ってるはずです。
そして、いざ演奏が始まってみると、なぜだかトランペット、
それも特に1stの音が、妙にポンポン飛んでくるのです。しかも直接音に近い。
どうやら偶然にも「殿スポット」に座ってしまったらしいです。
これまたえらいところに・・・。
今日は全体を聴くつもりだったのにな~(←絶対ウソ)。
これでわかったのは、このホールはやっぱり音が上へ上へと飛んでくるらしい、
ということ。つまりステージから一番遠いところが、一番よく聴こえると。
でもこれも、ある一定レベル以上の演奏者に限られるとは思います。
よくコンクールの前などに、「2階席の一番奥の出口ランプに向かって吹け」
とか言われたものですが、上手い人は本当にそこまで飛ばして来るんですね。
プレイビル
今日は2日めということで、オケも少し慣れた感じがあり、出だしからスムーズ
なすべり出しです。マゼールさんの指揮は、昨日よりも少しだけゆったりと
いうか、丁寧な気がしました。
さすがにちょっとは疲れてるかなあと思った金管群は、まだまだ元気でした。
緊張感という意味では、やはり最初のオープンリハーサルの時が一番あった
と思うけど、まあそれは当たり前です。
それにしても、こんな大曲を3日も連続で演奏するというのは、やはり並の体力、
精神力ではできないと、実際に聴いてみて感じました。だって聴くだけでも
疲れるのに。
とりあえず、テクニックとか音楽性ももちろんだけど、このハードスケジュール
がこなせないと、メジャーオケでは働けないんですね。特にトランペットや
ホルンの人は本当にすごいと思う。
でも確かに、こんなハードな仕事で、無理な奏法をやっていたら、すぐに
つぶれてしまうだろうし、そう考えると、もちろん普通の人よりは体力とか
あるんだろうけど、それ以上に負担が少なく、効率の良い奏法がこの国の
金管界で確立されてきたのは、当然の結果のような気がします。
使用後のぶっちぎりチケット・・・(悲)。
それから、本当に感心したのは、その音量のすごさよりも、ピアノやピアニシモ
に落とした時の安定感と音色の美しさでした。
この曲は特に金管に、まるで木管のようなきれいで繊細なメロディーを演奏
させますが、そういうところの表現が本当にすばらしかったです。それに
パートやセクション間での統一感、アンサンブルも第一級でした。
例えば、終楽章のトランペットのHi-Cののばしは、正団員の3人で吹いて
いました。でも、それがわかってからも、1本で吹いているようにしか
聴こえなかった。
最初にffで当ててから、3番-2番と順番に消えて、最後に1番だけがp4つ
で残るんですが、この消え方もすごく自然で絶妙でした。
これは一人で吹くよりも数倍難しいと思うのですが、あくまで楽譜に
書いてあることを忠実に守ろうとする彼らのこだわりなんでしょうか?
本当は4番もあるんですが、おそらくエキストラの方だったので3人にした
と思われます。それくらい、お互いの間に絶対の信頼関係がないと、
ここまで完璧には合わないと思う。すごいパートだなあと思いました。
あと、トランペットとトロンボーンの1st同士のSoliも相変わらずピッタリ
合っていました。あまりに合い過ぎていて、ちょっと怖いくらい。
まるでこの世のものとは思えない音色でした。一人の人間が二つの楽器
を吹いているようにしか聴こえませんでした。
よっぽど音色の相性がいいんでしょうね。
トロンボーンとバストロ、テューバの中低音パートは本当にめちゃくちゃ
鳴っていました。この演奏の成功のカギは彼らの働きにあったと思います。
それにホルンパート。ここのホルンは「音」というよりは「響き」だけが
聴こえてきます。ちょうどオケの中心に一列に並んでいたのですが、
そこからまるで泉が湧いているかのように、音が湧き出してくるんです。
これがすごく気持ちいいです。
ここのブラスセクションは絶対マイナスイオンか何か製造してる気がするん
ですが、誰か測ってくれませんか?(笑)
えーっと、あまりに金管のことばかり書いているので、最後に少しだけ
全体のことを。
マゼールさんは、見るのは初めてだったけど、これだけ自由にオケを
コントロールできるというのは、さすがベテランという感じでした。
「復活」はもちろん暗譜でしたし。
前任のマズアさんと比べると、かなり緩急や強弱のつけ方が激しいので、
聴いているほうはおもしろいです。演奏するほうは大変でしょうが。
場所によってはバーンスタインより激しいところもあったくらいですが、
NYフィルは本当によくついていってました。
全体的にやはり少し弦が弱いかなあという気はしましたが、これがホール
のせいなのか、単に金管がでかいせいなのかはよくわかりません。
木管、クラリネットのドラッカーさんは相変わらずお元気そうで、よく
動いていました。あと、イングリッシュホルンのステイシーさん、
すばらしかったです。
それにしても、あのパーカッションの異様なまでの気合の入れようは
何だったんだろう?とにかくすごかった!
それにおもしろかった。
ということで、今回初めて、パワー全開&フルメンバー(プラスα)の
NYフィルを聴くことができたわけですが、昨年のマズアさんとのブル3や
タイタンで驚かれた方、彼らの実力はあんなものではありません。
マズアさんの演奏はそれなりによくまとまっていて、いいところもありま
したが、NYフィルの持っている力を全て引き出すという意味では、
やはり物足りなかったと思う。
もちろんフルパワーだからいい演奏になるかと言われれば、そうとは
限らないかもしれないけど。でも今回のように高度な要求をすればするほど、
いい演奏をするオケなんじゃないかなあと私は思います。でもこうやって
CDにもならず、忘れ去られていくすごい演奏が、世の中にはきっと山ほど
あるんですね。
2.終演後
今日も新たな出会いを求めて、恒例の楽屋裏へ。今日はできればマイヤース
さんかアレッシさんにアタックするつもりでした。
楽屋口を出ると左手に駐車場への入り口があり、右へ行くと大通りへ出ます。
昨日の時点で、首席は3人とも駐車場方面へ行くのを確認していたので、
今日は込み合っている入り口付近から少し離れ、駐車場の入り口あたりで
待っていることにしました。
しばらくすると、3人がほぼ同時に出てきて、それぞれ知人と話を始めました。
それを眺めながら、
「どうする?3人同時に来たら。」
「そらもう、逃げるしかないやろー。」
と、意味不明の相談をしている間に、突然、マイヤースさんが前の車道を
車の間をぬって、スタスタと渡って行くではありませんか。
「おーい、一体どこへ?」と見ていると、今度はなんと、アレッシさんまで、
その後を追ってスタスタ・・・。
そして、道路の向こう側に止めてあった車に二人で乗り込み、夜のNYへと
消えていきました。まさかそんなウラをかかれるとは・・・。
それにしても一体どこに行ったんだろう?単に家が近いとか、通り道なだけかな?
でもそのおかげ(?)で、スミスさんとは再びゆっくりお話しすることが
できました。
本当は今日は「明日帰ります。また日本で。」ってあいさつだけのつもり
でした。昨日あれだけ話せたし、ご本人も、時間も遅いし、明日もあるし、
早く帰って休みたいだろうと思ったので。
それにそんなに話せるほど英語できない(←最大の理由)ですし。
ところが、昨日と同じく、駐車場のほうへ歩いてきたスミスさんは、
私たちを見つけると、ちゃんと覚えていてくれ、彼のほうから「Hi !」と
声をかけてくださいました。そして、私たちが「明日帰ります。とても
楽しかったです、ありがとうございました。」
と簡単にあいさつすると、わざわざ立ち止まって、またいろいろとお話
をしてくださいました。
最初に「結婚してるの?」と聞かれ、「はい。」と答えると、
「どれくらい?」と言うので、「一年です。」と答えました。
「二人ともトランペットやってるんだよね?」-「はい、一緒に。」
すると、「じゃあ、デュエットとかやる?」と聞かれたので、一瞬答え
につまっていると、
「インターナショナルトランペットギルドって知ってる?」と言われ、
「はい、知っています。」
「メンバー?」-「いいえ。」
「実はその会員になると、無料で配布されるCDがあって・・・。」と
おっしゃるので、「はい、知っています。」と返答。
一体何の話かというと、要するに同じシリーズで、今度デュエットの
CDが出るから、会員になるか何かして手に入れて、やってごらんという
ことのようでした。
内容についても、たぶん作曲家のこととか、とても懇切丁寧に説明
してくれ(←でもほとんどわかってないヒト・・・)、
どれくらい丁寧かというと、なんとメロディーの一節まで歌ってくれた
のです!
くれたんだけど・・・できませんよぅ~、そんな超高速トリプルタンギン(涙)。
しかし、まさかこんなところで生トリプルを聴けるとは(楽器なしだった
けど・・・)。やっぱりすごいナ。
(注)この情報に関しましては、どこまで正確に理解できていたか
自信がないので、あまりツツカないようお願いします。
それから、「今日も雨で残念だったね。」と昨日に引き続き、とても温かい
お言葉に感激しているうちに、お別れの時間となってしまいました。
本当にご親切にありがとうございました!一生の思い出になりました。
今度は日本でお会いしましょう!!
そして帰り道。
昨日も思ったのですが、不思議なことに今日も話している最中、全然緊張
しなかったんですね。
で、これは後から気づいたのですが、NYに着いて最初のうちは、
向こうの人って結構早口だし、普通に話してもなんだか怒られてるような
気持ちになったりしてたんだけど、でも、スミスさんは話し方も声もとても
柔らかくて、それにずっとニコニコしながら話してくださったので、
なんかこう、リラックスできたというか。
あと、こちらの発音が悪くて聞き返されることも、街中では何度かあって、
「やっぱり通じてないんだな。」と思ってしまうと、その後、話すのが怖く
なったりしますよね。でもそれも彼との会話中は一度もなかったんです。
それどころか、こちらが何かひとこと言うと、すぐに何か答えてくれて、
おまけに会話が途切れる前に、ご自分でどんどん話題をふってくれたので、
「何話せばいいんだー?」とあせることもなかったし。
英語は話せなかったけど、すごく話しやすい人だなあと思いました。
・・・今、なんかすごく変なこと言いましたね、私。
それにこっちが全然聞き取れてなくても、いらいらしたり、あきらめ
たりせずに、根気よく繰り返したり、言葉を変えたり、ゆっくり話して
くれたりと、本当にとっても優しい方でした。
それにこれだけの地位にありながら、威圧感のようなものを全く感じ
なかったのも、不思議というか、すごいなあと。
これはハーセスさんの公開クリニックでも思ったことなんですが。
一流の方って、そういうものなんでしょうか?
以上で、らんまるのNYフィルレポートはおしまいです。相変わらず、
まとまりのない、すごくわかりにくい文章で本当に申し訳ないと思いますが、
少しでもこのコンサートの様子が伝わっていればうれしいです。
ここまで読んでくださった皆様ありがとうございました。
カーネギーホールです。ホテルのすぐ目の前だったので、しげしげと
眺めてきました。
「シーズンファイナル」
Aaron Jay Kernis/Simple Songs
マーラー/交響曲第2番「復活」
今日は座席がいまいちでした。初めて右側のボックス席(2階)に座った
のですが、音も良くないし、金管は見えないし(これとっても重要)、
おまけに隣のおじさんが、たいして聴いてもいないのに前に乗り出してきたり、
ビニールをガサガサさせたり、あげくの果てには読書を始める始末。
この時点で、序曲の半分くらいだったけど、もう絶対がまんできない!
と思って、ホールを見渡して空いている席を探し始めました。
そして、序曲が終わると、やっぱりダンナも同じことを考えていたらしく、
二人して猛ダッシュで4階の左側のボックス席へ。だって今日が最後なのに、
ちゃんと見たいし、聴きたいじゃないですか。
「復活」の終演後。フラッシュオフのうえ、遠いので、ボケボケですが、
一応金管セクションは全員入ってるはずです。
そして、いざ演奏が始まってみると、なぜだかトランペット、
それも特に1stの音が、妙にポンポン飛んでくるのです。しかも直接音に近い。
どうやら偶然にも「殿スポット」に座ってしまったらしいです。
これまたえらいところに・・・。
今日は全体を聴くつもりだったのにな~(←絶対ウソ)。
これでわかったのは、このホールはやっぱり音が上へ上へと飛んでくるらしい、
ということ。つまりステージから一番遠いところが、一番よく聴こえると。
でもこれも、ある一定レベル以上の演奏者に限られるとは思います。
よくコンクールの前などに、「2階席の一番奥の出口ランプに向かって吹け」
とか言われたものですが、上手い人は本当にそこまで飛ばして来るんですね。
プレイビル
今日は2日めということで、オケも少し慣れた感じがあり、出だしからスムーズ
なすべり出しです。マゼールさんの指揮は、昨日よりも少しだけゆったりと
いうか、丁寧な気がしました。
さすがにちょっとは疲れてるかなあと思った金管群は、まだまだ元気でした。
緊張感という意味では、やはり最初のオープンリハーサルの時が一番あった
と思うけど、まあそれは当たり前です。
それにしても、こんな大曲を3日も連続で演奏するというのは、やはり並の体力、
精神力ではできないと、実際に聴いてみて感じました。だって聴くだけでも
疲れるのに。
とりあえず、テクニックとか音楽性ももちろんだけど、このハードスケジュール
がこなせないと、メジャーオケでは働けないんですね。特にトランペットや
ホルンの人は本当にすごいと思う。
でも確かに、こんなハードな仕事で、無理な奏法をやっていたら、すぐに
つぶれてしまうだろうし、そう考えると、もちろん普通の人よりは体力とか
あるんだろうけど、それ以上に負担が少なく、効率の良い奏法がこの国の
金管界で確立されてきたのは、当然の結果のような気がします。
使用後のぶっちぎりチケット・・・(悲)。
それから、本当に感心したのは、その音量のすごさよりも、ピアノやピアニシモ
に落とした時の安定感と音色の美しさでした。
この曲は特に金管に、まるで木管のようなきれいで繊細なメロディーを演奏
させますが、そういうところの表現が本当にすばらしかったです。それに
パートやセクション間での統一感、アンサンブルも第一級でした。
例えば、終楽章のトランペットのHi-Cののばしは、正団員の3人で吹いて
いました。でも、それがわかってからも、1本で吹いているようにしか
聴こえなかった。
最初にffで当ててから、3番-2番と順番に消えて、最後に1番だけがp4つ
で残るんですが、この消え方もすごく自然で絶妙でした。
これは一人で吹くよりも数倍難しいと思うのですが、あくまで楽譜に
書いてあることを忠実に守ろうとする彼らのこだわりなんでしょうか?
本当は4番もあるんですが、おそらくエキストラの方だったので3人にした
と思われます。それくらい、お互いの間に絶対の信頼関係がないと、
ここまで完璧には合わないと思う。すごいパートだなあと思いました。
あと、トランペットとトロンボーンの1st同士のSoliも相変わらずピッタリ
合っていました。あまりに合い過ぎていて、ちょっと怖いくらい。
まるでこの世のものとは思えない音色でした。一人の人間が二つの楽器
を吹いているようにしか聴こえませんでした。
よっぽど音色の相性がいいんでしょうね。
トロンボーンとバストロ、テューバの中低音パートは本当にめちゃくちゃ
鳴っていました。この演奏の成功のカギは彼らの働きにあったと思います。
それにホルンパート。ここのホルンは「音」というよりは「響き」だけが
聴こえてきます。ちょうどオケの中心に一列に並んでいたのですが、
そこからまるで泉が湧いているかのように、音が湧き出してくるんです。
これがすごく気持ちいいです。
ここのブラスセクションは絶対マイナスイオンか何か製造してる気がするん
ですが、誰か測ってくれませんか?(笑)
えーっと、あまりに金管のことばかり書いているので、最後に少しだけ
全体のことを。
マゼールさんは、見るのは初めてだったけど、これだけ自由にオケを
コントロールできるというのは、さすがベテランという感じでした。
「復活」はもちろん暗譜でしたし。
前任のマズアさんと比べると、かなり緩急や強弱のつけ方が激しいので、
聴いているほうはおもしろいです。演奏するほうは大変でしょうが。
場所によってはバーンスタインより激しいところもあったくらいですが、
NYフィルは本当によくついていってました。
全体的にやはり少し弦が弱いかなあという気はしましたが、これがホール
のせいなのか、単に金管がでかいせいなのかはよくわかりません。
木管、クラリネットのドラッカーさんは相変わらずお元気そうで、よく
動いていました。あと、イングリッシュホルンのステイシーさん、
すばらしかったです。
それにしても、あのパーカッションの異様なまでの気合の入れようは
何だったんだろう?とにかくすごかった!
それにおもしろかった。
ということで、今回初めて、パワー全開&フルメンバー(プラスα)の
NYフィルを聴くことができたわけですが、昨年のマズアさんとのブル3や
タイタンで驚かれた方、彼らの実力はあんなものではありません。
マズアさんの演奏はそれなりによくまとまっていて、いいところもありま
したが、NYフィルの持っている力を全て引き出すという意味では、
やはり物足りなかったと思う。
もちろんフルパワーだからいい演奏になるかと言われれば、そうとは
限らないかもしれないけど。でも今回のように高度な要求をすればするほど、
いい演奏をするオケなんじゃないかなあと私は思います。でもこうやって
CDにもならず、忘れ去られていくすごい演奏が、世の中にはきっと山ほど
あるんですね。
2.終演後
今日も新たな出会いを求めて、恒例の楽屋裏へ。今日はできればマイヤース
さんかアレッシさんにアタックするつもりでした。
楽屋口を出ると左手に駐車場への入り口があり、右へ行くと大通りへ出ます。
昨日の時点で、首席は3人とも駐車場方面へ行くのを確認していたので、
今日は込み合っている入り口付近から少し離れ、駐車場の入り口あたりで
待っていることにしました。
しばらくすると、3人がほぼ同時に出てきて、それぞれ知人と話を始めました。
それを眺めながら、
「どうする?3人同時に来たら。」
「そらもう、逃げるしかないやろー。」
と、意味不明の相談をしている間に、突然、マイヤースさんが前の車道を
車の間をぬって、スタスタと渡って行くではありませんか。
「おーい、一体どこへ?」と見ていると、今度はなんと、アレッシさんまで、
その後を追ってスタスタ・・・。
そして、道路の向こう側に止めてあった車に二人で乗り込み、夜のNYへと
消えていきました。まさかそんなウラをかかれるとは・・・。
それにしても一体どこに行ったんだろう?単に家が近いとか、通り道なだけかな?
でもそのおかげ(?)で、スミスさんとは再びゆっくりお話しすることが
できました。
本当は今日は「明日帰ります。また日本で。」ってあいさつだけのつもり
でした。昨日あれだけ話せたし、ご本人も、時間も遅いし、明日もあるし、
早く帰って休みたいだろうと思ったので。
それにそんなに話せるほど英語できない(←最大の理由)ですし。
ところが、昨日と同じく、駐車場のほうへ歩いてきたスミスさんは、
私たちを見つけると、ちゃんと覚えていてくれ、彼のほうから「Hi !」と
声をかけてくださいました。そして、私たちが「明日帰ります。とても
楽しかったです、ありがとうございました。」
と簡単にあいさつすると、わざわざ立ち止まって、またいろいろとお話
をしてくださいました。
最初に「結婚してるの?」と聞かれ、「はい。」と答えると、
「どれくらい?」と言うので、「一年です。」と答えました。
「二人ともトランペットやってるんだよね?」-「はい、一緒に。」
すると、「じゃあ、デュエットとかやる?」と聞かれたので、一瞬答え
につまっていると、
「インターナショナルトランペットギルドって知ってる?」と言われ、
「はい、知っています。」
「メンバー?」-「いいえ。」
「実はその会員になると、無料で配布されるCDがあって・・・。」と
おっしゃるので、「はい、知っています。」と返答。
一体何の話かというと、要するに同じシリーズで、今度デュエットの
CDが出るから、会員になるか何かして手に入れて、やってごらんという
ことのようでした。
内容についても、たぶん作曲家のこととか、とても懇切丁寧に説明
してくれ(←でもほとんどわかってないヒト・・・)、
どれくらい丁寧かというと、なんとメロディーの一節まで歌ってくれた
のです!
くれたんだけど・・・できませんよぅ~、そんな超高速トリプルタンギン(涙)。
しかし、まさかこんなところで生トリプルを聴けるとは(楽器なしだった
けど・・・)。やっぱりすごいナ。
(注)この情報に関しましては、どこまで正確に理解できていたか
自信がないので、あまりツツカないようお願いします。
それから、「今日も雨で残念だったね。」と昨日に引き続き、とても温かい
お言葉に感激しているうちに、お別れの時間となってしまいました。
本当にご親切にありがとうございました!一生の思い出になりました。
今度は日本でお会いしましょう!!
そして帰り道。
昨日も思ったのですが、不思議なことに今日も話している最中、全然緊張
しなかったんですね。
で、これは後から気づいたのですが、NYに着いて最初のうちは、
向こうの人って結構早口だし、普通に話してもなんだか怒られてるような
気持ちになったりしてたんだけど、でも、スミスさんは話し方も声もとても
柔らかくて、それにずっとニコニコしながら話してくださったので、
なんかこう、リラックスできたというか。
あと、こちらの発音が悪くて聞き返されることも、街中では何度かあって、
「やっぱり通じてないんだな。」と思ってしまうと、その後、話すのが怖く
なったりしますよね。でもそれも彼との会話中は一度もなかったんです。
それどころか、こちらが何かひとこと言うと、すぐに何か答えてくれて、
おまけに会話が途切れる前に、ご自分でどんどん話題をふってくれたので、
「何話せばいいんだー?」とあせることもなかったし。
英語は話せなかったけど、すごく話しやすい人だなあと思いました。
・・・今、なんかすごく変なこと言いましたね、私。
それにこっちが全然聞き取れてなくても、いらいらしたり、あきらめ
たりせずに、根気よく繰り返したり、言葉を変えたり、ゆっくり話して
くれたりと、本当にとっても優しい方でした。
それにこれだけの地位にありながら、威圧感のようなものを全く感じ
なかったのも、不思議というか、すごいなあと。
これはハーセスさんの公開クリニックでも思ったことなんですが。
一流の方って、そういうものなんでしょうか?
以上で、らんまるのNYフィルレポートはおしまいです。相変わらず、
まとまりのない、すごくわかりにくい文章で本当に申し訳ないと思いますが、
少しでもこのコンサートの様子が伝わっていればうれしいです。
ここまで読んでくださった皆様ありがとうございました。
カーネギーホールです。ホテルのすぐ目の前だったので、しげしげと
眺めてきました。