ボクの仕事は、寝て、食べて、散歩に行くだけではありません。
一応番犬だってやっています。
「ピンポーン」ってチャイムがなったら、一目散に玄関に駆けつけ、
「わんっ、わんっ」って吠えます。
自分で言うのもなんやけど、結構しぶい声です。低音の魅力です。
でも時々、自分の吠え声にびっくりして、その後「ヒュン、ヒュ~ン」って
言うので、家族の皆に「なんやねん、変な子やな」って笑われます。
お姉ちゃんはいつも、チャイムがなると、はりきるボクに向かって、
「集金か宗教(の勧誘)の人やったら追い返すねんで」と言いますが、
ボクは誰がそうなのかよくわかりません。
番犬の仕事は家の中だけに限りません。車だってボクのテリトリーです。
停車中に不振な人物が近づいてきたら、「これはボクの車やねんで!」と
いって吠えてやります。
でも、ボクが車に乗っているときに近づいてきても、絶対に吠えないよう
にしている人たちがいます。
それは”がそりんすたんど”という所のお兄さんです。お兄さんが運転席
のドアを開けても、窓を拭いていても、ボクは吠えません。えらいでしょ?
家族の皆は、「なんにも教えてへんのに、なんでここでは吠えへんねやろな?」
といつも不思議がりますが、ボクだってそれくらいはわかるのです。
それから、一番大変なのはキャンプの時です。皆が場所を決めると、
ボクもその周りの半径数メートルをテリトリーと決めます。そしてそこに
近づく人には警告するのです。でも、このテリトリーはボクにしか認識されて
いないので、結構いろんな人がずかずか入ってくるのです。
特に子供は困ります。
だから人が多くて、境界線のあいまいなキャンプ場に行くととっても
疲れます。でも、ずっと家族の皆といられるし、川や山があるので、
やっぱりキャンプは楽しいです。
さあ、今日も「ピンポーン」とチャイムがなりました!ボクはさっそく
玄関へダッシュします。
でも・・・あれ??玄関には誰もいません。いつも後から出てくる
お母さんも来ません。
おかしいなあ~・・・確かに「ピンポーン」っていうたのに・・・、と
首をかしげながら部屋に戻ると、なぜか家族全員がボクのほうを見て、
ニヤニヤ笑っています。
「どうしたん?なんで笑ってるのん?」とお父さんのほうを見ると、
お父さんはうれしそうにこう言いました。
「らん、今のテレビ(の音)やでぇ~」
しっ、しまったぁ~!またやってもぅた・・・。
(元ネタ提供:らんの散歩係)