唐史話三眛

唐初功臣傳を掲載中、約80人の予定。全掲載後PDFで一覧を作る。
その後隋末・唐初群雄傳に移行するつもりです。

維新

2006-09-29 18:18:30 | Weblog
「門前に曹王様がこられています」

「なに。使者が返事をもってきたのか」

「いえ。王様ご自身のようです」

「そんな馬鹿な!こんな所まで曹王様自身がこられるはずがない」

「いいえ、私は顔を存じています、確かに曹王様です」

王國良はまだ信じられない気持ちであったが、砦の門へいそいだ。

そこにみたのはまぎれもない曹王の姿であった。

湖南で数年にわたって反旗を翻していた國良であった。

言い分は確かにあった。

前観察使辛京杲は、國良の家が豊かであるのに目をつけ

罪をでっちあげて殺し、財産を没収しようとしたのであった。

國良は役所内の知り合いからの内報を受け逃亡し

山砦にこもり謀叛を起こした。

西原蠻の酋長として威望は高く

呼応するものが多く勢力は相当のものであったが

國良としては不本意な反乱であった。

何度もの討伐軍をすべて撃退していたが

従う蛮族達にとっても苦しい月日が続いていた。

「もういい加減、平和が戻って欲しい」

そう思っていた矢先に、新観察使の嗣曹王皐からの勧降があったのだ。

しかしなかなか信じることができず、ここにいたっていた。

「やってきたぞ、約束通り」嗣曹王皐はにこにこと笑いながら馬をおりた。

さすがに國良は平伏し罪を謝した。

「私が自らとりなす以上、万に一つの違約もないよ」曹王の言葉に國良はうなずいた。

「ただちに反軍を解散させます」國良は砦を焼き、兵達を帰農させた。

皇帝は喜び、國良に「維新」という名前を賜った。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする