唐史話三眛

唐初功臣傳を掲載中、約80人の予定。全掲載後PDFで一覧を作る。
その後隋末・唐初群雄傳に移行するつもりです。

奉天

2006-09-14 18:28:22 | Weblog
「なにか気になることが出ているのか」

易占のあと顔を曇らせた桑道茂をみて、宗皇帝は問うた

「今すぐとのことではございませぬが」と道茂は言葉を濁した。

「気になる、なんだ」

「陛下、数年のうちに京師を離れるようなことが起こるかもしれません」

「なに、それは外寇か?」

「そこまではわかりかねます、ただ陛下が外遷されるということは確かです」

「そして奉天の地に天子の気がございます」

「奉天に堅固な城を築くことをお勧めいたします」

「縁起でもないことだが」

「しかし吐蕃の襲来があるのかもしれん」と宗はつぶやいた

「城を築いておいて悪いことはないな」

さっそく京兆尹に命じて奉天城を強化させた。

それから三年後の建中四年、朱が京師で反乱した。

宗は奉天に奔り、必死の防戦をすることとなった。

形勢は極めて危うかったが、強化した城はなんとか持ちこたえることができた。