「待って!熱っぽいんだろ?」
あたしは、アパートを飛び出してすぐの階段で、追ってきた彼に捕まる。
「離して!」
あたしは、彼の手を振りほどく。
「でも・・・。」
呆然とする彼。
「いい加減にして!
嫌いなら嫌いって、言えばいいのに!
どうして、あたしに優しくするの?」
彼は黙っている。
「わがままばかり言うし、あなたの都合は考えない!
約束は破るし、嘘もつく!
今日だって、知っているでしょ?
あたしは、元彼のところに行ったのよ?
彼が結婚するって聞いたから・・・
いてもたっても居られずに・・・
彼の家に押しかけたのよ!
なのに・・・なのに・・・
どうして、そんなにしていられるのよ!」
彼が、静かに口を開いた。
「でも、何もなかったんだろ?
元彼とは。」
あたしは、その彼の冷静さに、余計に腹が立つ。
「関係ないでしょ?
あたしは、あなたを裏切った。
そういう事なのよ?
どうしてそんなにニコニコしていられるの?
バカヤローって、言いなさいよ!
別れるっていいなさいよ!
そっちの方が、余程すっきりするわ!」
そして、あたしは、彼を見た。
怒っているだろう彼の顔を確かめたかったから。
しかし・・・彼は、いつもの顔でこう言ったのだ。
「でも、帰って来てくれたじゃないか。」
「え?!」
彼の罵声を想像していたあたしは、虚を突かれる。
「いいんだ。」
彼は、続けて言った。
「そんなキミが好きなんだよ。
キミの嘘も強がりも涙も。
キミの元彼への想いも。
全部ひっくるめて、キミが好きなんだ。
ボクは、そうゆう風にしか、愛せない。」
あたしの体中の力が抜けた。
熱い何かがこみ上げてきた。
それが、溢れそうになるのを必死で押さえて。
あたしは黙って自分の顔を彼の胸元に押し付けた。
「あたし・・・やっぱり、熱があるみたい。」
彼は、そっとあたしを抱きしめる。
少し、雨脚を強めた暖かな雨が、溢れ出したあたしの涙を隠してくれる。
あたしは、もう少し頑張れる気がした。
紫陽花の花が、雨に打たれて「うんうん」と頷く様に揺れていた。
~ Fin ~
いや、柄にも無くあげはさんの虎に釣られてしまいました。
元の話には、敵うべくもありませんが。
それにしても、優しいと感じる雨に、一度降られてみたいものです。
【TB】優しい雨 女の一生
クライマックスがあると思うのですよ。
胸に手を当てると、穏やかな旦那さんとも、ほら?!
今度是非、和さんの恋バナ聞かせてくださいね。
こんな激しい感情をぶつけたことは
ありません。(苦笑)
素敵な記事にちょっぴり涙が出そうでした。
あげはさんのも拝見させていただきました。
みんな素敵な恋をされてますね~。
あげはさんの元記事、あればこそですから。
もう一度、胸の熱くなるような恋、頑張ってくださいね。
応援しています。
雨よりも優しい彼に、そっと包まれてるでしょ?
いやいや、あたしの記事に比べたらもったいないくらいの素敵な記事です。
ぷとぱぱさんの記事を読んで、もう一度胸が熱くなるような恋愛をしてみたくなりましたよ。
そしたら今度は、あたしが優しい雨を感じさせてあげたいなぁ。
TBありがとうございました!
情景が目に浮かびます。
そういえば
私も優しい雨に打たれたことがありません。。