不条理み○きー

当面、きまぐれ一言法師です

「娑婆気」

2006年01月06日 23時53分13秒 | Book

 ずっと読みたいと思っていた本だったのだが、何となく買うタイミングを逸していて、やっと買えた本である。
 ネタバレにならぬよう、AMAZONからあらすじを拾うと、このような話だ。

「大店の若だんな・一太郎は、めっぽう体が弱い。
 なのに猟奇事件に巻き込まれ、仲間の妖怪と解決に乗り出すことに…。
 大江戸人情捕物帖。」

 体の弱い若旦那の捕物帖、と言うところが非常に凄いのだけれども。
 まあ、お察しの通り、それを助けて動くのが、「妖怪」達なのである。

 ちょいと話が逸れるが、捕り物・・・ならぬ探偵小説のジャンルに「安楽椅子の探偵(Armchair-Detective)」という物が有る。
 探偵といえば、大なり小なり現場に行ったり被害者に話を聞いたりして推理を組み立てるものだが、この「安楽椅子の探偵」とは、自分自身ではそういう事をしないで、人の話だけで事件を解決してしまう、という非常に「横着」な探偵なのである。

 で、この話も、体の弱い若旦那の変わりに、屋敷に住み着いた妖(あやかし)が、いろいろと情報を仕入れてきて、それを元に事件を解決するというスタイルなので、一種の「安楽椅子の探偵」のジャンルと言えると思うのだ。

 それが、妖の人ならぬ能力を使って、どんどん情報を仕入れてきてしまうと面白くもなんとも無いのだが、残念ながら妖達は、「妖の基準」で情報を仕入れてくるので、一筋縄ではいかない、と言うところがミソなのである。
 もうひとつ、そんな妖達を若旦那が優しく見守りつつ事件に立ち向かう、と言う所も、ファンの心を掴んでいる要因らしい。
 実は、その若旦那の「体の弱さ」も、物語を解く鍵なのだが、それをこれ以上言うとつまらなくなるので、自重しておこう。

 文体は優しく、非常に読みやすく、適度な緊張感をもって終わりまで読ませてくれるので、読み終えるまでにそう時間はかからない。
 内容もそんなに重い話ではないので、暇を見てパラパラと読むには丁度良い話かもしれない。

 という事で、私の評価は
 ☆☆☆☆★ 星4つ
 人物描写に力を入れたあまり、この話の中で消化し切れなかった部分がちょっとあったので、その分を引いた。
 ま、それを引いても面白い話には、変わりないと思うのだけれど。
 機会がありましたら、是非、御一読の程。
  


しゃばけ

新潮社

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