例年なら、秋口に一寸だけ何か秘めたものがあるのかなと思わす程度の芸らしきものが感じられる釜中地区山出しの風蘭ですが、今年は、
天葉の付け根あたりに例年以上の黄色味の強い虎斑っぽいのがでているので、益々期待と夢膨らむものを感じさせてくれています。
平成25年8月25日
平成25年11月9日
右側付け根あたりに付いた当たりも潰れることなく順調に大きくなっています。見つけた当初はまず子当たりと確信していたんですが、
ここにきて成長具合からややその確信ぶりにかげりを感じています。平成12年棚入れから、足掛け14年育て初めての当たりです。
その期待は大きく早く結果をと思いますが、確実なところは来シーズンへ持ち越しとなりそうです。
葉繰りは、1枚落ちて1枚増えてなのでとんとんですね。棚入れ初期(根も張らず、葉も増えず一進一退を繰り返していたころ)のこと
を思えば木に力が付いている証拠。ま、結果往来といえます。
平成25年8月25日
平成25年11月9日
今年は特に黄色味つよく、軸の辺りにも表れています。ただ、今シーズンの気候の加減なのか進化の表れなのか、今のところは
何とも言い難いですね。
本種は、古葉に向かうにつれ腰斑を打ち始め葉の表層に中斑のような芸が表れる、登録品種にはない特徴を兼ね備えた
九州産の中型種です。我家には先輩から預かったもう一鉢がありますが、どうも芸が抜けているのか斑が表れてきません。縞芸
でもないので班の継続性はいいのかと思いがちかもしれませんが、案外そうでもないようですので、以前も書きましたが、もし棚入れ
の機会があるならばしっかりと芸の入ったものを選ぶようにした方がいいのかと。これは本種に限らず、どの品種についてもそうで
しょうがね。
平成25年7月25日
平成25年11月3日
平成25年7月25日
平成25年11月3日
最上芸の親と同様の芸を持つ子が6本の全部で7本の株立ちですが、どうも形が今一気に入りません。葉持ちもあまりよくないので
株立ちづくりには向かない品種かもしれませんね。ま、子の出方については来シーズンにでも一本か二本株分けして、その後を見て
みたいと思います。ただ、結果は何年後のことやらわかりませんけどね。
平成11年の山採出しから14年。当初は葉持ちも悪く、ようやく7枚になったなと思えば下葉2枚が落葉したりの繰り返し。一時は
4枚にまで葉数を落としこのまま枯死してしまうのかと諦めかけたこともありました。その間、子出しは勿論一輪の花さえ咲かすこと
なく今日まで来ています。ただ最近は木にも力が付いてきていたのでそろそろ子出しへの期待も膨らみ、今か今かと待ち望む毎日が
続く中、今シーズンも残りわずかと諦めかけていたところへよもやの喜ばしい兆しが。
下葉一枚が枯れ落ちるなと目をやったところ何やら赤い粒のようなものが。早速老眼を掛け直し見たところ小さな芽がひとつ。
花芽なら緑色かと思うのでまず子当たりに間違いないかと。苦節14年目にしてようやくの朗報です。あと2か月少々でシーズンOFF
となる我が家の棚ですが、酷暑も過ぎ風蘭にとってはしばらくの間の適切な季節です。他の方々には大したものでも無いかもしれませんが
私にとっては山採り一品物として非常に貴重なものです。とにもかくにもまずは潰れることなく過ごしてくれますようにと。
時折耳摺り斑のでる、付が月型の福井産無名品です。その耳摺りは子木の時に表れやすいようで、木が成長するにつれ
出にくくなるようです。とはいっても完全に暗むことはなく芸は継続します。葉代わりともいえる品種かと思いますが、もう少し
班が強く表れるなど芸の主張がほしいところかな。作は容易で、子出しも普通かな。
耳摺りばかりでなく、このような葉先への切り込み斑も時々入ります。類似品のない品種かと思いますがその評価は
いかがなものでしょうか。
祥雲ですが、芸の例えで羆芸とよく言われます。確かに古葉に向かって中透けのような斑柄が表れ、腰斑も上芸のものは非常に綺麗に
表れます。人づてにはルビー根も伸ばすと聞いたことがあります。でもこれは似て非なるもの。我家の祥雲ですが、勝手ながら最上芸の部類
かと自負するくらいの芸でもルビー根は見たことがありません。とかく上級品にあやかろうとのセールストークだと思います。しかし、じゃ登録
品種に同じような芸を持つ品種があるかといえばこれが見当たらず、非常に味わい深い一つの芸を確立した品種ではないかと思います。
下葉ほど斑が鮮明になりますが、中斑・中透けのように斑との境界がはっきりとはしません。が、この芸が私にとっては渋く味わい深いものと
惹きつけられるひとつの魅力です。
こちら側の葉もまずまずの斑が。
腰斑が綺麗です。この辺りの部分が少し明るい程度でも腰斑がどうのこうのといわれますがまゆつば物が殆ど。本種は羆に匹敵とは
いかないまでもこれだけ明るく鮮明ですから、一芸として腰班をひとつの売りにしても差支えないですね。
これは葉裏からの撮影です。以前にも書いたことがありますが、本種の中斑芸は葉の表層に強く表れ葉裏にまで回るのは相当の古葉
になってからのようです。我が家の祥雲もこの写真にある一番下の葉、しかもこの一枚にのみ中斑芸であるかのように見受けられる
色合いが表れているものの、他の葉といえばすべて真っ青です。葉裏にまで抜けてこそ中斑・中透け芸だと思います。本種の場合、やや
事情が違うので何芸といったらいいのかわかりませんが、ここはひとつ、勝手ながらも貴重な特徴ある中斑芸としておこうかな。
こちら側の葉裏には一枚たりとも斑らしいものが表れていません。ただ葉先に極僅かですが黄色味がでています。
葉先に蛇皮上の虎斑が出ていますが、これも本種の一芸と思われます。
祥雲は縞柄や覆輪柄のように一際人目を引くというような明るい芸の持ち主とはいきませんが、よく観察すれば登録品種には
見当たらない芸をいくつも兼ね備えた味わい深い品種です。この良さは手元で作ってみないと中々味わえるものではないので
もし手にされる機会があるなら一度自作してみてもいいかと。ただし、購入の際はくれぐれも最上芸のものをね。