〔父 泌尿器科〕
朝。
もうだるくて起き上がれない!
娘に何を言ったのか記憶もないが、
起きたら9時。
洗濯物が、廊下に置き去り状態だった。
妹がギリまで格闘した様子。
あああ、やってしまった。
今日これから病院で、
明日から三日間、カメラの現場800人超え!
できるの?!
大丈夫なの?!
でも、やらないわけにもいかず、
とりあえず、泌尿器科に行った。
ダンナサマ、血を抜かれ、
待つこと一時間半。
血液検査の結果など、一言もふれずに医師は、
薬を増やすことだけを告げた。
ここで何故、わたくしが血液検査のことを突っ込まないのかと、
大方のひとは疑問に思うだろう。
私も、疑問だ。
何故、聞かない?
いや、もう疲れ果てて、
口もきけなかったのさ…。
医師の声が、遠くに聞こえて、
何一つ届いていなかった…。
早く帰りたいと、思っていた。
そして、できたら父をこのまま入院させてくれと、願っていた。
医師の口から、「入院して下さい」と出るのを、
全神経集中させて聞いてたけど、
それ以外は、
上の空。
わたくしは、何をしていたんだろう…。
家に戻って、
近所のコンビニにパンを買いに行って、
近所のモクレンがきれいに咲いているのを見て、
信号渡ろうとしたら、
救急車が来たんで、渡らないで待っていた。
モクレンをぼんやり見ていたら、
「ご協力、ありがとうございます」と、救急車が言って、
その時、
頭に響いてきた声。
母の。
「ショウ、お父さんが入院するときは、救急車を呼ぶ時よ」
ああ、そうか。
と、想ったのです。
その瞬間、腑に落ちたのです。
わたくしは、何と愚かなのだろう。
何のために、あの部屋を作ったのか。
何のために、頑張っているのか。
こうして、花を見やっては、小さな幸せを、
少しでも多く、父と見つけて生きたいんじゃなかったのかと。
庭の植物たちは、
遅くても、少しずつ春という季節に向かっている。
今は水仙が見頃で、
桜は、まだ先。
でも、確実に進んでいる。
私が止まらなかったら、救急車は止まっただろうが、
時は、何をしたって止まらない。
朝。
もうだるくて起き上がれない!
娘に何を言ったのか記憶もないが、
起きたら9時。
洗濯物が、廊下に置き去り状態だった。
妹がギリまで格闘した様子。
あああ、やってしまった。
今日これから病院で、
明日から三日間、カメラの現場800人超え!
できるの?!
大丈夫なの?!
でも、やらないわけにもいかず、
とりあえず、泌尿器科に行った。
ダンナサマ、血を抜かれ、
待つこと一時間半。
血液検査の結果など、一言もふれずに医師は、
薬を増やすことだけを告げた。
ここで何故、わたくしが血液検査のことを突っ込まないのかと、
大方のひとは疑問に思うだろう。
私も、疑問だ。
何故、聞かない?
いや、もう疲れ果てて、
口もきけなかったのさ…。
医師の声が、遠くに聞こえて、
何一つ届いていなかった…。
早く帰りたいと、思っていた。
そして、できたら父をこのまま入院させてくれと、願っていた。
医師の口から、「入院して下さい」と出るのを、
全神経集中させて聞いてたけど、
それ以外は、
上の空。
わたくしは、何をしていたんだろう…。
家に戻って、
近所のコンビニにパンを買いに行って、
近所のモクレンがきれいに咲いているのを見て、
信号渡ろうとしたら、
救急車が来たんで、渡らないで待っていた。
モクレンをぼんやり見ていたら、
「ご協力、ありがとうございます」と、救急車が言って、
その時、
頭に響いてきた声。
母の。
「ショウ、お父さんが入院するときは、救急車を呼ぶ時よ」
ああ、そうか。
と、想ったのです。
その瞬間、腑に落ちたのです。
わたくしは、何と愚かなのだろう。
何のために、あの部屋を作ったのか。
何のために、頑張っているのか。
こうして、花を見やっては、小さな幸せを、
少しでも多く、父と見つけて生きたいんじゃなかったのかと。
庭の植物たちは、
遅くても、少しずつ春という季節に向かっている。
今は水仙が見頃で、
桜は、まだ先。
でも、確実に進んでいる。
私が止まらなかったら、救急車は止まっただろうが、
時は、何をしたって止まらない。