もう一つは、先週後半に大騒ぎになった『尖閣諸島中国漁船衝突映像流出事件』の件。
もちろん、自分の職場の設置法により『みなし公務員』の立場としては、海上保安庁か検察から出たと思われる以上、流出者については国家公務員法の守秘義務規定違反として厳正に処罰されることが重要と考えます。
この流出事件を『義挙』として処罰を望まない意見が多数あることは承知していますが、それでは『愛国無罪』を叫ぶ中つ国と変わらなくならなくなってしまいます。日本は日本国憲法を中核とする『法治主義』国家である以上は、あくまで法律に基づいて処罰されるべきなのです。(恐らく、流出者もその覚悟を以て実行したと思っていますが。)
ただ、一方で流出者「sengoku38」がうpした映像を削除前に全て見た人間として、現政権が、この映像を明確な理由を述べずに後生大事に隠して、国政調査権を持つ国会議員にすら視聴者を限定する対応を取っていたことに納得がいきません。この映像は、日本国民が憤慨するような映像が入っているとは言えず、急激に対中つ国外交を悪化させる内容があるとは思えません。とは言え、明確に巡視船へ漁船をぶつけた証拠映像であり、現状とは逆に、衝突事件早々に国民や諸外国に公開することで、まずは日本としての正当性を主張する根拠としておくべきだったと思います。
しかし、今回の衝突映像流出の時点では、一定の時間が経っていて、『わざわざ作った映像だろう』と言わせる時間を作ってしまっており、映像を公開する時機を完全に逸しています。一方で、被疑者である船長を中つ国へ帰してしまった現状では起訴・裁判に持って行く可能性は殆ど無く、事実上刑事訴訟法の範疇外になるからには、『国民への知る権利』への対応として、改めて政府が全面的に映像を公開すべきと思います。
ところが、流出者への「量刑が軽くなる恐れがあるから」引き続き公開しないと言うのが官房長官の『ご判断』だそうです。これって、『国民の知る権利』より『流出者への処罰』の方が重要と言うことだと考えられますが、それって逆ではないかと思う次第であります。(ちなみに、そのことを書いた『極秘』と記された資料を官房長官が取材席から見える位置で見てしまい、読売新聞のカメラマンに望遠カメラで撮られて、それを『盗撮』呼ばわりするも、委員会理事会で『不適切』と指摘されて議事録を変更させられると言うお粗末な話の中でばれてしまったそうな。)
そもそも、読売新聞の当時の記事によれば、衝突事件直後に中つ国が強硬姿勢に転じて、日本人4人を拘束する等あれこれ攻勢を掛けてきたら、現首相が「『超法規的措置』は取れないのか」と発言しているそうですが、これを聞いて、『超法規的措置』なんて事を言い始める人物を行政府のトップに置いて良いのかと思って頭を抱えてしまいました。更に、那覇地検が中国漁船船長の拘置期間を延長しておきながら、その延長期間途中で「外交的影響を考えて」船長を釈放してしまったことについては、既にあちこちから「実質的な指揮権発動」と指摘されていますが、私もその指摘に同意しますし、逆に政権首脳部が政治圧力を掛けるのであれば、政治圧力を掛けた方が責任を取るべきなのに、その判断責任を那覇地検に押しつけて政権首脳部は知らんぷりしている訳で、押し付けられた方は堪ったものではなく、組織管理上一番やってはいけないことをやってしまったと思います。
そんな状況で、映像についても、明確な理由を示さずに厳重に非公開にしてしまった訳で、現場では当然ながら鬱憤は堪っているでしょうから、そんな状態では何かの拍子に流失しない方がおかしいとも思えます。そう言うことで、今回の一件は現政権の『自業自得」とも言える結果と考えております。
更に言わせてもらうと、野党時代は『情報公開』『国民には知る権利がある』と言っていた政党が、政権を取ったら、舌の根が乾かないうちにコソコソ隠しているのですから、呆れてものも言えません。また、「国家公務員法の守秘義務規定違反の罰則が軽い」と官房長官が厳罰化を主張しておりますが、それって現政権が野党時代に反対していた『スパイ防止法』じゃありませんか?(爆)