占星術思いつきメモ(天体位相研究カルデア)

占星術に関して思いついたことを書き留めるブログ。西洋占星術による地震予測、金融占星術の研究をしています。

金星日面通過と甦るソフィア(叡智)

2012-06-11 02:08:52 | 占星学
金星日面通過特集の最後は、超オカルト文献だ。金星が太陽に完全に重なるという現象は、占星術の象徴的解読では、王宮の太陽王に金星が拝謁することに喩えられる。金星の日面通過のサイクル片道百余年にわたる金星の斯業の成果を王に報告し、一度リセットされこれからの百余年を導く新しい使命を帯びて、再び新たな旅を始めるのである。

ところで金星の斯業とは何か。調べてみると聖母マリアとの関係が浮かび上がった。聖母マリアの呼称に、Maris Stella(ラテン語:マリス・ステラ=海の星)がある。「海の星」とはカトリック教会の伝統では、聖母マリアを指すが、この星は、地中海東岸より見た、西の海に輝く星、宵の明星つまり金星であるとする解釈がある(アヴェ・マリス・ステラ)(1)。

金星はヴィーナスによる美や財力を示すだけでなく、聖母マリアの博愛によって人類の精神をより高いものに導いていく導き手として働いていると感じられる。占星学の奥義は、現状を是認するだけではなく、それぞれの天体の象意に純度の高い精神の光を見いだすことを指向すべきと考えるのは筆者だけであろうか。

さて、金星の日面通過のサイクルが持つ意味について思考をめぐらせていると、ひとつのアイデアが思いついた。西欧の顕教的宗教や科学的唯物論の狭間にあって、細々ではあるが深い水脈となって西欧精神文化の底流を支えてきた神秘主義思想の存在がある。これらの精神的潮流は19世紀にルドルフ・シュタイナー(1861~1925)によって人智学(アントロポゾフィー)の中に集大成された。

シュタイナーによると伝説的なエソテリック結社である薔薇十字団の伝承に、後アトランティス時代の菩薩たちの叡智のすべてを薔薇十字の秘儀の中に託された人物が何度も地上に転生するというものがある(2)。筆者はこれらの導き手の転生が、金星の日面通過と関わっているかもしれないと閃いたのである。

それらの存在は、古くはヨハネ福音書におけるラザロ、そして13世紀の一人の少年を経て、14世紀にクリスティアン・ローゼンクロイツ(1378~1484)、15世紀には薔薇十字会の創設者となった。その後はサン・ジェルマン伯爵としてフランス革命に関与したという。1875年には神智学協会が設立され、シュタイナーはこの流れに参加した(3)。

そこで、金星の日面通過とこれらの伝説を対比してみることにしたのだが、流れにとりとめがなく記事にするのを諦めようかとも思った。しかし、逆に金星の日面通過が成立した年代に起こったエソテリック・ムーブメントを拾いだせば何か分かるかと思い調べてみると、意外なことが分かった。1614年に薔薇十字文書を作ったグループは、ルター派の学者達だというのである(4)。

これが本当なら、エソテリック・ムーブメントにルターの宗教改革が加えられ、年代と事象に一定のストーリーが浮かび上がってきた。

<金星日面通過のセットと、対応する秘教的ムーブメント>
1388~1396 クリスティアン・ローゼンクロイツ(1378)、イスラム世界から秘教的叡智をドイツに持ち込む。
1518~1526 ルター「95ヶ条の論題」(1517)宗教改革の始まり。
1631~1639 薔薇十字文書がドイツで刊行され公に知られる(1614)。
1761~1769 フランス革命(1789)サン・ジェルマン伯爵
1874~1882 神智学協会(1875)結成。シュタイナー。
2004~2012

こうして俯瞰すると、120年ごとの金星の日面通過のセットが、秘教的ムーブメントと社会的ムーブメントとなって、交互に現れているようにも見える。ということは、今回の2004~2012金星の日面通過の後には、新たな精神主義をバックボーンとした社会的革命が起きる可能性もあるかもしれないのだ。

前述した金星=マリアの話だが、シュタイナーによれば金星が叡智を担ったとき、マリアはソフィアとなるという。唯物論的科学と古代プラトン的宇宙論が結合し、新たなソフィア(叡智)が生まれるならば…。そんな夢を思い描かせてくれる、金星の日面通過であった。

--------------------------------
(1)「薔薇のアロマテラピーと錬金術オーガニックローズウォーター」http://ameblo.jp/m-bouquet/entry-11265862055.html
(2)「薔薇十字会の神智学」あとがきより(ルドルフ・シュタイナー著、西川隆範訳、平川出版社1985)
(3)「地球の救い方・・・R.シュタイナーの人智学に学ぶ」http://blogs.yahoo.co.jp/sakimorikeikan/63387903.html
(4)「オカルトの部屋」より「薔薇十字団の起源」http://www5e.biglobe.ne.jp/~occultyo/barakigen.htm

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 金星の日面通過とプラトン立体 | トップ | クライストチャーチ地震の検証 »
最新の画像もっと見る

占星学」カテゴリの最新記事