夏の盛り季節であるというのに、今年の8月は過ごしやすい気温の日が続いている。思えば7月27日の新月成立日から、それまでの酷暑がどこへやら、すとんと気温が下がったのを思い出す。今夏はこれまでに大型の台風が2回、また前線の活動による大雨もあった。今回は久しぶりに気象占星学を見直して調べてみた。
◆占星術で気象を判定する方法◆
気象占星学でもっとも代表的に使われているのが、ベンジャミン法と呼ばれる解析方法だ。筆者の手元にある石川源晃氏の「応用占星学入門」によれば、以下の方法で四季図また月の位相図を読み解いていく。
***ベンジャミン法による判定方法***
1)第4ハウスのカスプ(IC)のサイン、または天体。(優先度1/2)
2)第1ハウスのカスプ(ASC)のサイン、または天体。(優先度1/4)
3)回帰天体のオーブ5度以内のアスペクト。(四季図では太陽、位相図では月)(優先度1/8)
4)アンギュラーの天体の種類(第4、第1、第10、第7の順)(優先度1/8)
・マレフィック天体関連は猛暑か厳寒、または降雨災害。
・ベネフィック天体関連は、農作物の育成に適した天候。
********************
気温判定は、アングルにかかるエレメントによって分類される。おおまかに分けると、火のサインは高温、地のサインは適温、風のサインは低温、水のサインは多湿となる。ただしおひつじ、さそり、やぎについては、激しいという表示で、結果は天体の状態で判定する。
ちなみに本書では触れられていなかったが、乾湿の分類は、火・地=乾燥、風・水=多湿となる。また判定に使うチャートは春分図を中心とし、他の四季図や月の位相図を補助的に使う。
◆2014年の春分図による影響◆
本年の春分図を見ていくと、まず第一に目立つのがやぎ座冥王星にアセンダント(ASC)が完全な合である。上記の判定法では、何らかの「非常に厳しい」表示となっている。ICおうしの支配星である金星は、天王星とセクスタイル、またMC-IC軸にノード軸が近いのも特徴で、何らかの被害が出そうである。
気象など地学系感受点である月は、10室さそり座で土星とゆるやかな合。風力に関する水星はうお座で海王星と緩い合。いずれも天候の厳しさや、暴風雨を示す。天王星は冥王星とスクエア、太陽はノード、火星とクインカンクスで、これも厳しさを増す表示。
実際7月には台風8号が日本列島を通過。最低気圧930hPa、カテゴリー4のスーパータイフーンが広範に被害をもたらした。8月の台風11号縦断も大雨による被害がでた。

解説すると当たっているように見える。が、チャートのバランスからいうと、実際もたらされた被害と天体位相の厳しさとの間には齟齬がある。言うなれば実際の被害が軽すぎるのである。今後大きな自然災害があるのかもしれないが、実はチャート読みに一つポイントが抜けている。それはDSCにゆるい合となっている木星の存在だ。
◆ベンジャミン法で軽視されているDSCと木星◆
春分図の木星はかに座で西の地平であるDSCと緩い合。これはASCの冥王星とオポジション、3室の天王星とスクエアを成立させている。チャートの厳しさを際立たせるこの2天体に木星が厳しい位置で対峙しており、これをどう扱うかで判断が分かれるところだ。
石川氏が解説するベンジャミン法では、DSC、つまり第7室カスプの取り扱い順位が最も低い。加えて木星も気象判定では役割が弱いとされている。従来の方法でも、このチャートの場合木星にもアングルに係る強いアスペクトが成立しているので、木星の緩衝効果が効いていると判断できるかもしれないが、同氏の解説からでは、DSC木星の効果の幅を見極めることは難しい。
前述の台風8号は、沖縄に近づいたときが最も勢力が強く、東北地方にまで豪雨災害をもたらした。気象庁は特別警報を出して警戒を強化したが、しかし本州を通過する頃には勢いが半減し、あっという間に消えてしまった。この台風の消長ぶりをみると、50年に一度の規模という前振りが冥王星の役割なら、その勢力を削いだのは木星の力ではなかっただろうか。
このように見ると、気象占星学におけるDSC木星も、十二分に大きな効果を発揮しているものだと筆者は判定したい。
気象占星学を確立したベンジャミン氏が、木星の効果が薄いと見立てたのは分かる。筆者も地震や金融分野を観察するに、他の天体と違って木星のアスペクトの効果が見えにくいと感じていた。しかし最近になって筆者は、木星の効果は天体のアスペクト成立による部分的な発露ではなく、入居サインを中心にチャート全体に亘ってエネルギーを底支えしていると感じるようになってきている。木星の効果は弱いのではなく、他の天体より強く広範なゆえに、エッジが見分けにくいだけなのである。この意味に於いては、古典学派の“天体は入居サイン同士のアスペクトで見る”という考え方に近い。
◆偏西風の影響の強い日本では、DSCの重要度は高い◆
また筆者が常々疑問に思っていたことは、日本においては偏西風の影響で、天候はほぼ常に西から東へと変化するにもかかわらず、西の地平(DSC)の影響を読まなくてもよいのかということである。筆者の見立てでは、DSCの効果をASCと等しく見たほうが、実際に即した判定がしやすいと感じている。
本年夏至図ではアングルは春分図に等しく、DSCかに座木星は少し移動しているものの、冥王星や太陽、ノード軸に必要十分な影響を与えている。ICの支配星金星はおうし座で木星とセクスタイル。湿潤だが比較的安定した気候と判定されよう。
6/27新月図は6/27~7/26までを管轄する。ASCはいて座で猛暑。DSCふたご水星は風強し。7室太陽には海王星トライン、金星ジュノーの合は海王星とスクエアで、台風の影響が見られる。
7/27新月図はICはいて座で高温表示だが、ASCおとめ座の支配星水星はかに座で湿潤、またDSCはうお座で海王星と緩い合となり湿潤、これは台風の強い影響があるという表示だ。8月の気温は台風や大雨の影響で低下しており、ICいて座の高温表示は影が薄い。また新月の太陽に木星がタイトな合となっており、エアコン不要な過ごしやすい気候が実現している。

ベンジャミン法では、ICの状況が分析の筆頭に立っているが、気象は地表の気圧の高低差の変化が重要になってくるので、気象を読む場合には、ASC-DSCラインを分析の筆頭とするのがよいというのが筆者の結論だ。地殻の動きが関係する地震においては、ICが分析の筆頭であることには変わりない。
◆占星術で気象を判定する方法◆
気象占星学でもっとも代表的に使われているのが、ベンジャミン法と呼ばれる解析方法だ。筆者の手元にある石川源晃氏の「応用占星学入門」によれば、以下の方法で四季図また月の位相図を読み解いていく。
***ベンジャミン法による判定方法***
1)第4ハウスのカスプ(IC)のサイン、または天体。(優先度1/2)
2)第1ハウスのカスプ(ASC)のサイン、または天体。(優先度1/4)
3)回帰天体のオーブ5度以内のアスペクト。(四季図では太陽、位相図では月)(優先度1/8)
4)アンギュラーの天体の種類(第4、第1、第10、第7の順)(優先度1/8)
・マレフィック天体関連は猛暑か厳寒、または降雨災害。
・ベネフィック天体関連は、農作物の育成に適した天候。
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気温判定は、アングルにかかるエレメントによって分類される。おおまかに分けると、火のサインは高温、地のサインは適温、風のサインは低温、水のサインは多湿となる。ただしおひつじ、さそり、やぎについては、激しいという表示で、結果は天体の状態で判定する。
ちなみに本書では触れられていなかったが、乾湿の分類は、火・地=乾燥、風・水=多湿となる。また判定に使うチャートは春分図を中心とし、他の四季図や月の位相図を補助的に使う。
◆2014年の春分図による影響◆
本年の春分図を見ていくと、まず第一に目立つのがやぎ座冥王星にアセンダント(ASC)が完全な合である。上記の判定法では、何らかの「非常に厳しい」表示となっている。ICおうしの支配星である金星は、天王星とセクスタイル、またMC-IC軸にノード軸が近いのも特徴で、何らかの被害が出そうである。
気象など地学系感受点である月は、10室さそり座で土星とゆるやかな合。風力に関する水星はうお座で海王星と緩い合。いずれも天候の厳しさや、暴風雨を示す。天王星は冥王星とスクエア、太陽はノード、火星とクインカンクスで、これも厳しさを増す表示。
実際7月には台風8号が日本列島を通過。最低気圧930hPa、カテゴリー4のスーパータイフーンが広範に被害をもたらした。8月の台風11号縦断も大雨による被害がでた。

解説すると当たっているように見える。が、チャートのバランスからいうと、実際もたらされた被害と天体位相の厳しさとの間には齟齬がある。言うなれば実際の被害が軽すぎるのである。今後大きな自然災害があるのかもしれないが、実はチャート読みに一つポイントが抜けている。それはDSCにゆるい合となっている木星の存在だ。
◆ベンジャミン法で軽視されているDSCと木星◆
春分図の木星はかに座で西の地平であるDSCと緩い合。これはASCの冥王星とオポジション、3室の天王星とスクエアを成立させている。チャートの厳しさを際立たせるこの2天体に木星が厳しい位置で対峙しており、これをどう扱うかで判断が分かれるところだ。
石川氏が解説するベンジャミン法では、DSC、つまり第7室カスプの取り扱い順位が最も低い。加えて木星も気象判定では役割が弱いとされている。従来の方法でも、このチャートの場合木星にもアングルに係る強いアスペクトが成立しているので、木星の緩衝効果が効いていると判断できるかもしれないが、同氏の解説からでは、DSC木星の効果の幅を見極めることは難しい。
前述の台風8号は、沖縄に近づいたときが最も勢力が強く、東北地方にまで豪雨災害をもたらした。気象庁は特別警報を出して警戒を強化したが、しかし本州を通過する頃には勢いが半減し、あっという間に消えてしまった。この台風の消長ぶりをみると、50年に一度の規模という前振りが冥王星の役割なら、その勢力を削いだのは木星の力ではなかっただろうか。
このように見ると、気象占星学におけるDSC木星も、十二分に大きな効果を発揮しているものだと筆者は判定したい。
気象占星学を確立したベンジャミン氏が、木星の効果が薄いと見立てたのは分かる。筆者も地震や金融分野を観察するに、他の天体と違って木星のアスペクトの効果が見えにくいと感じていた。しかし最近になって筆者は、木星の効果は天体のアスペクト成立による部分的な発露ではなく、入居サインを中心にチャート全体に亘ってエネルギーを底支えしていると感じるようになってきている。木星の効果は弱いのではなく、他の天体より強く広範なゆえに、エッジが見分けにくいだけなのである。この意味に於いては、古典学派の“天体は入居サイン同士のアスペクトで見る”という考え方に近い。
◆偏西風の影響の強い日本では、DSCの重要度は高い◆
また筆者が常々疑問に思っていたことは、日本においては偏西風の影響で、天候はほぼ常に西から東へと変化するにもかかわらず、西の地平(DSC)の影響を読まなくてもよいのかということである。筆者の見立てでは、DSCの効果をASCと等しく見たほうが、実際に即した判定がしやすいと感じている。
本年夏至図ではアングルは春分図に等しく、DSCかに座木星は少し移動しているものの、冥王星や太陽、ノード軸に必要十分な影響を与えている。ICの支配星金星はおうし座で木星とセクスタイル。湿潤だが比較的安定した気候と判定されよう。
6/27新月図は6/27~7/26までを管轄する。ASCはいて座で猛暑。DSCふたご水星は風強し。7室太陽には海王星トライン、金星ジュノーの合は海王星とスクエアで、台風の影響が見られる。
7/27新月図はICはいて座で高温表示だが、ASCおとめ座の支配星水星はかに座で湿潤、またDSCはうお座で海王星と緩い合となり湿潤、これは台風の強い影響があるという表示だ。8月の気温は台風や大雨の影響で低下しており、ICいて座の高温表示は影が薄い。また新月の太陽に木星がタイトな合となっており、エアコン不要な過ごしやすい気候が実現している。

ベンジャミン法では、ICの状況が分析の筆頭に立っているが、気象は地表の気圧の高低差の変化が重要になってくるので、気象を読む場合には、ASC-DSCラインを分析の筆頭とするのがよいというのが筆者の結論だ。地殻の動きが関係する地震においては、ICが分析の筆頭であることには変わりない。
