占星術思いつきメモ(天体位相研究カルデア)

占星術に関して思いついたことを書き留めるブログ。西洋占星術による地震予測、金融占星術の研究をしています。

オルクス─呪縛から人類を解放する“裏冥王星”

2015-04-06 02:57:54 | 占星学
オルクス (90482 Orcus) とは、2004年2月17日に太陽系外縁天体として発見され、11月22日に命名された冥王星族の小惑星だ。占星学的にはまだ明瞭な意味が与えられてはいない。オルクスはエトルリア神話とローマ神話の死神であり、またギリシア神話のハーデース(ローマ神話のプルートー)と同一視されている(wikipedia)。

オルクスの存在が気になったのは、あるクライアントのチャート解読に必要だったからだが、このオルクスという天体を調べると、学術的に興味深い性質をもっていることがわかり、考察を進めたいと考えたからだ。

オルクスは冥王星より少し小さいものの、ほぼ同じ軌道サイズ、軌道周期(年)、および軌道傾斜を持っており、しかも軌道面の向きは、冥王星と対称に反対の方向に傾いているのである。



*冥王星の軌道周期= 248.03年
*オルクス軌道周期= 247.51年
冥王星とオルクスの軌道はともに海王星と3:2の軌道共鳴の関係にあり、両者とも海王星の軌道と交差する。

上図はNASAジェット推進研究所によるものだが、こうして見ると、オルクスは海王星軌道を中心として、冥王星と対称の位置に軌道をとっている、3体共鳴の強い関係性をもって存在していることがわかる。これは命名通り、もう一人の冥府の王が現れたようなものだ。このことから、オルクスが占星学にとっても冥王星と海王星の関係性に重大な影響を与える、無視できない存在であると認識しなければならないと考える。

◆オルクスの意味を海王星から探る◆

オルクスが海王星、冥王星と3体共鳴の関係にあることがわかった。冥王星が今や準惑星の地位に降格させられたからといって、歴史的にふりかえって冥王星ほど驚異的な力を時代に放り込む天体は他には無い。このことは、冥王星が海王星と合となったときに証明される。それは1893年に起こった。

*1893年5月 海王星-冥王星 ふたご10度合

この年、アメリカで“当時までアメリカ合衆国が経験した最悪の経済不況”(wikipedia)となった「1893金融恐慌」が起こった。その後1907年恐慌、1914年第一次世界大戦、1929年世界恐慌、1939年第二次世界大戦~1945年原爆投下と冥王星的事象が怒濤のように連続する。冥王星はこの期間、1930年に発見されている。

個人においては現代人は誰もが20代のどこかで出生の海王星と経過の冥王星が合になるが、このとき社会的な躓きや、大きな負債や損失を被る場合がある。

冥王星が海王星と合となったときに最も特徴的なピークが出現するなら、オルクスが海王星と合となったときも、同じように特徴的なピークが出現するはずである。直近では1765年に成立している。

*1765年12月 海王星-オルクス おとめ03度合

歴史を繙くと、イギリスがアメリカ植民地に対して印紙税を徴収する印紙法がこの年成立。これが当時のアメリカ人の反発を招き、10年後のアメリカ独立戦争のきっかけとなった。またこの年、蒸気船を実用化したロバート・フルトンが誕生している。

*1858年2月 海王星-オルクス いて28度スクエア

海王星とオルクスがスクエアを形成した2年後、E.リンカーンがアメリカ大統領に就任。奴隷制をめぐって1861年に南北戦争が勃発した。翌年リンカーン大統領は「奴隷解放宣言」を発し、1863年、“独立宣言、合衆国憲法と並んで、アメリカ史に特別な位置を占める演説”(wikipedia)となった、ゲティスバーグ演説が行われた。

こうして見ると、海王星とオルクスが強い緊張関係を成立させるとき、特に米国で革命的な社会的刷新が行われている。海王星-オルクス合ではイギリス連邦による帝国主義的支配からの自由の獲得、またフルトンの蒸気船に代表される動力の機械化は、人類文明の重荷であった肉体労働からの解放を実現した。

そして海王星-オルクススクエアでは、奴隷解放宣言が行われ、人が物として支配される形態を維持してきた、これまでの人類文明の姿が刷新されることとなったのである。

20世紀のアメリカの国家としての在り方は、核と軍事力そして世界経済による支配が前面に押し出されているが、アメリカのこうした冥王星的な性質ではなく、もう一つの冥王星であるオルクスこそ、“自由の国アメリカ”を象徴するにふさわしい天体と認識できる可能性が高くなってきた。

さらに考察を進めていくと、1964年公民権法を成立させるきっかけとなった、あのマルチン・ルーサー・キング牧師の「私には夢がある」というワシントンDCでの演説が行われた1963年8月28日、天空では海王星-オルクスが完全なトラインを形成していたのである。

*1963年8月28日 海王星-オルクス さそり13度-かに13度トライン

しかもこの日、太陽はおとめ4度にあった。これは1765年に海王星-オルクスが合となった位置とほぼ符合しており、キング牧師の演説はアメリカ独立の精神をトレースするものとなったのである。

もはや疑う余地は無いだろう。冥王星が負債と強権の天体なら、オルクスは冥王星が人類にかけた呪縛を解放する天体である。海王星が人類の精神の在り方を表すなら、冥王星とオルクスが海王星に対して緊張と解放を相互に織り成すことによって人類の精神的な進化が促される、それがこれら3つの共鳴天体がもつ占星学的な働きなのである。

◆オルクス-海王星のアスペクトが再び成立◆

前回オルクスと海王星が合となった位置であるおとめ3度を、オルクスは2012年に回帰した。1765年から1公転したのである。そして、この前2011年5月には、海王星-オルクスのオポジションが成立していたのである。

*2011年5月 海王星-オルクス うお0度-おとめ0度オポジション

21世紀にあって、軍事力や経済力による強権、また様々な因習的な呪縛も続いているが、混迷している世界の本当の対立軸はどこにあるのか、おそらくこれから明瞭になってくることだろう。遅くとも2020年までには、新たな“自由を獲得する”戦いが始まるのだと考える。このムーブメントが、本当に虐げられている人々を解放するものとなることを切に願うものである。

〈参考文献〉
http://www.lunarplanner.com/asteroids-dwarfplanets/Orcus-Pluto.html
http://aboutusa.japan.usembassy.gov/j/jusaj-majordocs-king.html


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