先端技術とその周辺

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物つくり大国 日本 II

2023年05月22日 17時17分41秒 | 日記

日本は物つくり大国と感じたのは、最新のハイブリッド車を運転したとき。

最近のハイブリッド車体験

1997年に販売開始されたトヨタのハイブリッド車は、ガソリンエンジンで電気を起こし、蓄電。そしてモーターとガソリンエンジンで、駆動。ガソリン車に比べると燃費が50%良く、CO2排出が少なく、長年使えば、元が取れるが、ガソリン車に比べると3割くらい高いので、期待したほどは売れなかったとか。このハイブリッド・エンジンはまさしく、物つくり大国日本の象徴と思う。他にも驚いたのは、自動化が進んでいること、モーターは4,5百ボルトの高電圧で、三相交流で駆動とか、ハイブリッド車は物つくり“オンパレード”であった。

  • ハイブリッド車に3種類。今となっては、EVに脚光を浴びて、過去の遺物になりつつあるが、メーカーは、地球温暖化元凶のCO2排出が少なく、経済的であることや、日本独自の発明であることを訴求し、拡販に努めるべきだったのかと惜しまれる。

・ガソリンエンジンで電池充電し、モーターとガソリンエンジンで協調駆動

・ガソリンエンジンは飽くまで発電用で、駆動はモーターのみ

・基本はモーター駆動だが、トルクや速度が必要な時、ガソリンエンジンと協調駆動。

  • 4百ボルトの高電圧でモーター駆動

ガソリン車は、12ボルトのバッテリーでエンジンを着火したり、エアコンを回すのに、ハイブリッド車ひいてはEV車は、4百ボルト駆動という。一部のハイブリッド車は2百ボルト駆動。高級EV車は8百ボルトという。そのほか、気が付いたこと。

・モーターで、ガソリンエンジンと同じトルクを出すには、高電圧にするしかないとか。

・直流でなく、日本得意のパワー半導体のインバーターで、三相交流に変換して駆動

・充電可能2次電池は、高電圧ほど充電時間が短くなる。

・世界最大のLi電池企業の中国CATLは、中国のEV化対応には、Li電池だけでは、資源(LIやCo)が不足するので、枯渇心配のないナトリウムイオン電池を開発し、すでに一部車種に搭載しているとか。日本には、NaIBを研究・開発している企業は一社もない。

  • 夥しいマイコン制御( 〇 マイクロコントロールユニット  ✕ マイコンピュータ )

自動車にはマイクロコントローラがいっぱい組み込まれています。普通の車で30 個くらい、高級車になると80 個も積まれています。ネットに下記の図画出ていて一目瞭然。 そして、制御機器も、日本の得意な小型モーター、そして複雑多様な配線も、一括まとめるワイヤーハーネス、日本の物つくりがなせる業。

ついでながら、一時時期、半導体不足で、自動車生産が止まったというが、日本だけで数千万台の車があるから、車載半導体製造が、間に合わないからかと思ったら、車載半導体は単純で、生産は難しくないという。COVID19で、在宅勤務が増え、急に情報通信機器用の高額な半導体の需要が増え、簡単で価格の安い車載半導体にまで手が回らなかったためだと、半導体メーカーの知人が言っていた。

  • 車載半導体は低レベル

汎用半導体は、今や回路線幅が2nm時代だそうだが、車載半導体は20nmとか。しかも集積度が2桁違うとか。下記の図がLSIの構造。ただし、線幅が90nmの20年前のLSIの構造。

・iPhone14ProのLSIは160億個のトランジスタからなるが、車載用LSIは精々1億個。最近はLSⅠなる用語は使われず、VLSI/ULSI(Very/Ultra Large Scale Integration)とかSoC(Systen on a chip)といっているようだ。

・価格も前者は5~6万円だが、後者は5百円。

・というようなことでCOVID19の影響で、車載半導体は二の次にされた。その経験から自動車業界は一気呵成で5兆円調達して半導体会社アビダスを起こすという。半導体基盤は、高温と高電圧耐性が不可欠で、SiではなくSiC。しかし汎用半導体でも勝手の勢いはなくなっている。その教訓を生かして、自動車業界は、車載半導体で世界制覇狙いしているのだろう。

日本の半導体産業は勝手は背かい最大だったが、今や、新興国並み。

しかしながら、半導体作成に必要な、装置や技術は依然、世界一だし、日本製品がないと半導体生産ができないという。

・シリコンウエハー、半導体製造機械、微細パターン制作装置、シリコン基板洗浄装置などの半導体基礎技術は日本しか作れない、

・にもかかわらず、 日本では大規模半導体が作れないのは、数百億個の電子部品からなる電子回路を設計できるソフト(電子CAD)ができなかったことが最大の理由とか。 

・日本はインバーター/コンバーターなどの主としてSiC基板のパワー半導体には、歴史がある。

ゆえに、大規模回路設計ができる電子CADソフトを作れば、復活できるというのが日本の自動車工業界のよみか。

今後、自動運転や、MaaSやCASEの車作りの時代になれば、SiCベースのSoCが必要になる。そのために5兆円調達して、実現しようというのだろう。

  • しかしながら、ものつくりだけでは先がない?

日本は車作りでも秀でているが、依然、日本は大衆車、高級車は欧州と位置付けられている。欧州も日本も、ともに物つくりに優れているが、違いがあるように思える。欧州はビジョンつくりにも優れているという点である。

・前述のMaaSはフィンランドの都市研究者サンポ・ヒエタネンが2006年に発案したコンセプト。あらゆる公共交通機関やライドシェア、シェアサイクルといった運送サービスを、ICT(情報通信技術)を活用して予約や決済などをシームレスに結びつけ、マイカー以外の交通手段による移動を1つのサービスとして捉える概念。このような発想、中々、日本から出ない。

   

尚、XaaSなる用語は、X as a Serviceの略。SaaSはアメリカのSalesForce.comが1990年代終わりに顧客管理システムをWebサービスとして提供したのが始まり。以降、Platform as a Service(PaaS)、Infrastructure as a Service(IaaS)の概念が出された。

・CASE  CASEはもともと、2016年に開催されたパリのモーターショーで、ドイツの自動車メーカーであるダイムラー社が発表したコンセプトでした。CASEのCは(Connected:コネクテッド)してネット接続で車でいろいろなサービスを行い、AはAutonomousで自動運転を実現、SはShared & Serviceで車の所有から共有へ、そして、EはElectricで電動化で電気自動車(EV)の実現でCO2ゼロにより自然環境対応しようというもの。

MaaSもCASEも、自社や業界の戦略としてだけでなく、社会からの要請、社会への車社会提示を行うもので、欧州は物つくりが得意なだけでなく、ビジョンやコンセプトつくりなども得意なのかと感心させられる

 


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