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米中、突き当たった岩盤 国家主導経済 譲らず 米中衝突

2019年05月12日 15時15分33秒 | 日記

 

合意寸前とみられていた米中貿易交渉が暗礁に乗り上げたと言うが、子供の喧嘩でも直ぐに仲直りはしない。

日経が、米中の早期和解を期待しながらも、そう簡単なことではないことを解説していた。

ワシントンでの閣僚級協議は平行線に終わり、米国は制裁関税の対象を中国からの全輸入品に広げる「第4弾」の詳細を13日公表すると発表した。両国は交渉継続では一致したが、根底にある国家システムを巡る対立の溝は深い。世界景気の最大のリスクである米中衝突は再び激化する懸念が強まってきた。

「閣僚級での合意は難しい。トランプ米大統領と習近平(シー・ジンピン)国家主席の首脳同士で決着してほしい」

米通商代表部(USTR)で9~10日開いた閣僚級協議。中国の劉鶴副首相はライトハイザーUSTR代表とムニューシン米財務長官を前にこう繰り返すだけだった。米国による制裁関税引き上げ期限をはさんだ瀬戸際の交渉はわずか3時間あまりで終了した。

 

 

 

2018年12月、トランプ氏と習氏は首脳会談で貿易問題の打開策を探る方針で一致した。5カ月間に及んだ閣僚級協議では中国の産業補助金削減や知的財産権保護、為替政策の透明化など7分野で協定文を作成し、150ページの文言を英語、中国語で互いに詰める段階まで進んでいた。

トランプ氏も「歴史的な取引は間近だ」と早期解決を示唆してきたが、5月に入って中国側は協定文の見直しを突如要請した。ライトハイザー氏から報告を受けたトランプ氏は「中国が約束を破った」と激怒し、交渉は一気に暗転した。

「劉氏は共産党内の保守派から集中砲火を浴びている」。北京の外交筋は打ち明ける。5月1日の北京での前回協議を終えて党内に根回しをしたところ、「米国に譲歩しすぎだ」と不満が噴き出した。特に産業補助金の削減には既得権を脅かされる国有企業幹部らの反対が強かったもようだ。

 

閣僚級協議を終え、中国の劉鶴副首相(左)と握手するライトハイザーUSTR代表(10日、ワシントン)=AP
 

閣僚級協議を終え、中国の劉鶴副首相(左)と握手するライトハイザーUSTR代表(10日、ワシントン)=AP

 

地方政府が補助金で産業を誘致し、経済成長を競い合う仕組みは中国の「国家資本主義」の根幹だ。市場経済を志向する改革派の劉氏には外圧をてこに国内経済の革新を図る思惑もあったとみられる。だが習氏の幼なじみで地方経験もないまま出世してきた同氏へのやっかみも加わり、強い拒否反応を引き起こした。

習氏自身も産業政策の変更に伴う国内法の改正など、国家主権に関わる問題を米国との協定で縛られることに反対したフシがある。香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストによると、習氏は劉氏らが示した対米譲歩案を拒否し、「すべての責任は私が取る」と伝えたという。

農産品の輸入拡大など貿易問題は譲歩しても、共産党の一党支配を揺るがしかねない問題では絶対に譲らない――。米中貿易交渉は最終局面になって中国の体制維持という「岩盤」に突き当たった。

トランプ氏は閣僚級協議の終了後、ツイッターへの投稿で「建設的な協議だった。交渉は続く」と強調した。だがムニューシン氏は記者団に「次回協議の日程は未定だ」と語り、行き詰まり感を漂わせた。

トランプ氏は協議中に「(第4弾の)手続きは始まっている」と投稿するなど、関税を脅しに使う姿勢を再び鮮明にしている。対中交渉の難航を当初から予想していたライトハイザー氏の政権内での影響力も増しており、対中強硬路線に一段と傾く可能性も大きい。

制裁関税第4弾が経済にもたらす衝撃はこれまで以上に大きい。UBSの試算によると、米国がすべての中国製品に25%の追加関税をかけると、中国の国内総生産(GDP)成長率は1.6~2ポイント低下する。景気対策で底打ちの兆しがみられた中国経済が再び急減速し、米経済にも跳ね返りかねない。

米中の関税合戦はすでに経済合理性からは正当化できない規模にエスカレートし、将来の覇権をかけた争いという対立の本質をあらわにし始めている。


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