先端技術とその周辺

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Intel、AMDではなく「Arm」がスパコン用プロセッサで勢力を伸ばす

2019年07月31日 18時20分22秒 | 日記

 

TechTargetと言うIT系の雑誌が「スーパーコンピュータ用のプロセッサの主流はIntelとAMDだが、これにArmが食い込もうとしている。存在感を高める中国企業の出方次第で、この市場の形勢は一気に変わる可能性がある。」と解説していた。ARMはSoftbankガ買収した英国の会社で、IoTでは抜群の占有率を持つが更にスーパーコンピュータでも、占有率を伸ばすとはSoftbankの先見の明に驚かさせられる。世界で最も高性能なスーパーコンピュータ(スパコン)の上位500台に占める台数で、中国が間もなく5割に達しそうと言うから。

 

 

米エネルギー省(DOE)のスーパーコンピュータ「Summit」が最近アップグレードされ、143.5ペタFLOPSという性能に達した


10年前の2009年は、世界のスパコンの性能ランキング「TOP500」にランクインした中国製の台数は21台にすぎなかった。2019年6月に発表されたTOP500では、219台もの中国製のスパコンがランクインした。この増加ペースが続けば、2021年には中国製のスパコンが占める台数はTOP500全体の半数に達する見通しだ。

 中国は、国産のチップ(集積回路を搭載した半導体基板)製造技術と米国ベンダーのプロセッサを使用してスパコンを構築している。TOP500にランクインする高性能なスパコンに搭載されるプロセッサとしては、IntelとAMDが主流だが、Armが近い将来、その存在感を高める可能性がある。これはArmがNVIDIAと提携したためだ。

 NVIDIAは2019年6月に、ArmアーキテクチャベースのCPUを自社のGPU(グラフィックス処理プロセッサ)で利用できるようにすると発表した。NVIDIAのGPUは、スパコンで広く使われている。2019年6月のTOP500のトップ10を占めるスパコンのうち5台が、NVIDIAのGPUを採用している。GPUは負荷の高い数学の計算を、CPUより高速に、かつ低コストで処理できる。

スパコン向けプロセッサの新勢力

 「多数のスレッド(CPU利用の単位)を並列で実行したい場合、ArmベースのCPUが非常に効果的だ。各スレッドの消費電力も、『x86』アーキテクチャの汎用(はんよう)型CPUの同等スレッドよりも小さい」と、調査会社Insight 64の主席アナリスト、ネーサン・ブルックウッド氏は指摘する。

 Armはスパコン用プロセッサ市場では新勢力だ。地政学的な恩恵を受けて勢力を増す可能性があると、ブルックウッド氏は語る。ArmベースCPUのライセンスを利用する企業は、カスタムした独自のプロセッサを作ることができる。

 中国は、スパコン用x86ベースCPUの輸入を米国から制限されることを懸念していると、ブルックウッド氏は指摘する。そのため中国は輸入先の多様化に動いており、その中には「RISC-V」といった別アーキテクチャのCPUが含まれる。とはいえ「より有望だと中国の企業が判断すれば、ArmベースのCPUを採用する可能性もある」(ブルックウッド氏)。

 スパコンは、製品開発や科学研究、国防に不可欠だと考えられている。スパコンは、新しい技術や薬品の開発・テスト、気象、人工知能(AI)など複雑な計算が求められる研究に使用できる。

 NVIDIAは、スパコン分野でArmベースCPUの採用が拡大すると考えているようだ。

 「短期的にはx86ベースCPUが引き続き大部分のシェアを占めるだろうと予想している」と、NVIDIAでマーケティングディレクターを務めるパレシュ・カーリャ氏は語る。だがスパコン分野ではArmベースCPUへの関心が高まっているようだ。「米国、欧州、日本でこれを裏付けるスパコンの開発プロジェクトが進行している」と、カーリャ氏は語る。さらにカーリャ氏は「スパコン業界は、CPUの新たな選択肢を求めている」と付け加える。

日本の「京」後継機はArmを採用

 ArmのCPUを搭載したスパコンへの関心は、まだそれほど大きくない。だが1つの注目すべきスパコンが日本から登場しようとしている。

 富士通はかつて世界最高性能のスパコンだった「京」の後継として、ArmベースのCPUを採用したスパコン「富岳」を開発している。富岳は、2021年ごろに運用が開始される見通しだ。富士通はこれに当たり、Armのコミュニティーに参加することで、オープンソースソフトウェアの活用を進めると表明している。

 TOP500のランキングは、ランクインしたスパコンの処理能力を合算した国別のパフォーマンスシェアも示している。

スパコン世界一は米国か、中国か

 2019年6月のTOP500の中で、米国に設置されているスパコンは116台を占めた。ランクインした台数では中国が大きく上回っているが、スパコンの性能をランク付けするベンチマークである「LINPACK」の指標で測定された総演算性能では、国別で米国がトップに立っている。LINPACKでは、連立一次方程式を解く速度を指標とする。TOP500にランクインするスパコンのうち、米国のスパコンのパフォーマンスシェアは38.4%を占める。中国は29.9%で2位となっている。

 米国と中国の順位はこれまで目まぐるしく入れ替わってきた。大型のスパコンが占める比重が大きくなるためだ。米国は2019年6月のTOP500ランキングで、1位と2位の座を獲得している。米国の国立研究所に設置されたIBMの2台のスパコン、「Summit」と「Sierra」のおかげだ。これら2台のスパコンだけで、TOP500のパフォーマンスシェアの15.6%を占めている。

 この米国のリードはどれだけ続くだろうか。「次のランキングでは、交代している可能性がある」と、テネシー大学イノベーティブコンピューティング研究所のジャック・ドンガラ氏は語る。ドンガラ氏は、TOP500のランキングを創設した研究者の一人で、LINPACKのベンチマークを開発した人物でもある。


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