先端技術とその周辺

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半導体とEDAソフトウエアそして米中経済競争

2022年09月21日 09時54分45秒 | 日記

MIT Technology Review誌が、『米中チップ戦争が新章突入、EDA輸出禁止で何が変わるか?』という記事で、現在のLSIには、千億個を超えるトランジスターが搭載されており、LSI設計には、ECAD(Electronic Computer-Aided Design:電子系CAD)と呼ばれるEDA(Electronic Design Automation:電子設計自動化支援)ソフトウェアが不可欠になっていて、それを開発しているのは、ケイデンス(Cadence:米国)、シノプシス(Synopsys:米国)、メンター・グラフィックス(Mentor Graphics:米国企業だが2017年にドイツのシーメンスに買収された)の上位3社で、世界のEDA市場の約70%を占めていると解説していた。

そして、米中経済戦争の激化に伴い、アメリカは、中国などの日同盟国に対し、LSI製造に必要な、リソグラフィー装置(微細パターン作成装置)そしてこのEDAソフトの輸出もしくはライセンス制限をかけており、中國の大規模LSI製造に歯止めがかかるという。

日本の半導体は、勝手の勢いはもはや過去になったが、それでも、信越化学やSumoCOのシリコン基板の開発や、キャノンとかニコンなどの光学メーカーによるリソグラフィー技術があって、これらがないと、最新LSIは作くれないから、日本の半導体技術の存在意義は十分あって、EDA使用ライセンスとバーター取引ができる。

しかし、中國の場合、日本の持つ半導体基礎技術はないし、中國のソフト開発力は、中国版SNS で見られるように、目覚ましいものがあるが、EDAのような産業ソフト開発力はやっと身に着け始めたところ。EDA は、ケイデンスとかメンターとかは、50年も前から、電子CAD を手掛けていることを考えると、中國ソフト業界が、EDA で急速に立ち上がるとは思えない。

 

ウクライナ侵攻で、中國が、ロシア支援を表明していないのも、アメリカとの軋轢を深めけんかにならないようにしていると思えるのは、半導体開発にみられるように米中間の技術格差がまだ存在して、米中懸架はしても戦争はしてはならないと中国首脳部は考えているからではなかろうか?

 

 


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