先端技術とその周辺

ITなどの先端技術サーベイとそれを支える諸問題について思う事をつづっています。

中国衛星、165カ国でGPS超え

2020年11月27日 09時21分51秒 | 日記

日経によると、『中国衛星、165カ国でGPS超え 情報戦は「制脳権」へ』とのこと。そして世界での中国版GPS利用は、アメリカのGPS利用の倍になっているという。中国の覇権政策、着実に成果を出しつつあるが、勝手の欧米の帝国主義でアジアやアフリカの植民地化を推し進めたのを思い起こす。

エチオピアの首都、アディスアベバ。住民480万人の多くが個人住所を持たないこの街で、急成長するサービスがある。食事宅配のデリバーアディスだ。

「生ものだからね」。バイク配達員に、日本料理店を営む古賀美夕紀さん(41)が声をかける。月収1万円前後の国で1千円のすしが看板商品だ。移住して13年間。「スマホの位置情報が格段に進歩した。コロナ禍でも何とかやれている」

デリバーアディスはスマホの地図アプリを使い、正確に食事を届ける。過去3年で取扱量を7倍に増やした。一足飛びの発展を支えているのは実は中国だ。

日本経済新聞が米受信機大手トリンブルの衛星データを調べると、中国の測位衛星「北斗」の影響力が世界規模で増していることがわかった。主要195カ国の首都上空を見ると、85%の165カ国で北斗の観測数が米全地球測位システム(GPS)を上回る。

アディスアベバの上空でも北斗が最大30基と、GPSの2倍の衛星が常時信号を送る。普及するスマホも大半が安価な中国製だ。

エチオピアでは中国版GPSを使った食事宅配サービスが普及する(アディスアベバの日本料理店)
 

エチオピアでは中国版GPSを使った食事宅配サービスが普及する(アディスアベバの日本料理店)

中国は1994年に北斗の開発に着手し、20年6月に完成させた。狙いは経済対策だけではなかった。

もともとミサイル誘導や軍隊の位置把握のために開発されたのがGPSだ。GPSをしのぐ衛星技術を手にすれば、それだけ軍事力を高められる。米国を脅かす千里眼が世界を覆う。

半世紀前にインターネットを生み出して以来、米国はいつもサイバー空間の主役だった。その成長市場を巡る力学が急速にきしむ。異変は宇宙にとどまらない。

5月、米領グアムの北東沖で緊張が走った。中国政府の海洋調査船「向陽紅01号」が突如現れ、不審な挙動を見せ始めたからだ。

南シナ海や東シナ海で摩擦を繰り返す中国。だが東京大の松田康博教授は「中国の関心は太平洋の権益に移っている」とみる。

実際、公開データのある中国公船34隻の過去1年間の動きを追うと、4割の13隻が沖縄、台湾、フィリピンを結ぶ「第1列島線」を超えて太平洋に進出していた。目的は海洋資源だけでない。潜水艦などが将来通れるように、海流や海底地形のデータを緻密に収集している可能性がある。

中国版GPS「北斗」は55基目の衛星を打ち上げて完成した(6月、中国四川省)=共同

中国版GPS「北斗」は55基目の衛星を打ち上げて完成した(6月、中国四川省)=共同

データは安全保障すら動かす重要資源だ。情報収集力でも圧倒的優位にあった米国の焦りは募る。

「アルゴリズムが私の好みを知っている。簡単に現実逃避できる」。米在住の林真里枝さん(25)は話す。多いときで1日2時間、中国動画投稿アプリ「TikTok」が手放せない。

米国ユーザーは1億人。トランプ政権が利用禁止に動くのも、膨大な個人情報が中国側に流れかねないとみるからだ。「デジタル版のアヘンそのものだ」。歴史学者ニーアル・ファーガソン氏が警告するように、欧州やインドでも中国アプリ脅威論が勢いづく。

中国リスクは虚実ない交ぜだが、あらゆる技術が情報戦の先兵となる時代だ。宇宙、サイバー、そして各国市民の心をも掌握する「制脳権」の確保へ。中国の視線は一段先を行く。競争のステージが変わったことを直視しなければ、データの世紀の新たな国際秩序に対応できない。

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