ComputerWeeklyというIT系サイトが「Zoom 疲れ」の克服とコラボレーションツール導入成功事例」という記事を載せていたが、このところ、多くのマスコミが、Zoom疲れのことを取り上げている。ZoomでのTV 会議では、①仕事と個人生活の境がしにくく、気を遣う。②オフィスでの会議と違って、TV会議では常に精神を集中して参加しないと、聞き漏らしたりするし、聞き漏らしを再度聞くのも難しい。要は気が休まる時間がなく、気が張り詰めた状態が長時間続くから、TV 会議が終わるとどっと疲れが出てしまう。この2点が多くのマスコミが指摘しているところであった。
そして対策としては、TV会議の目的を明確にすると共に、用途に応じたコミュニケーションツールと情報共有システムを用意すべきというのも共通の見解であった。
とりあえず、ComputerWeeklyの記事をサーベイしてみる。
テレワークによりコミュニケーションやコラボレーションのツールが急速に普及した。それは「Zoom疲れ」を引き起こしている。 何がいけなかったのか。
Cath Everett
コミュニケーションやコラボレーションのツールは以前からさまざまな形で存在していたが、新型
コロナウイルスの流行によって急激に普及した。従業員の多くは一夜にして在宅勤務を強いられたことに伴い、そうした技術に頼る以外の選択肢はほとんどなくなった。
テクノロジーディストリビューターWestconGroup のプリセールス責任者リー・エバンズ氏によると、古いシステムと違ってこうしたソフトウェアはクラウドベースなのでユーザーが順応しやすい。組織は単純に「可能だから」という理由で一斉にこれに移行した。「Microsoft Teams」の 1日当たりのユーザー数は、2000 万人(1 月)から 4400 万人(3 月)に急増した。ビデオ・音声会議サービス「Zoomを使う個人は、2019 年の 1 億から 4 カ月後には 3 億へと飛躍的に増大した。
Gartner 傘下のソフトウェアコンサルティング企業 Capterra が実施した調査によると、英国企業の43%は従業員のテレワーク用に新しいソフトウェアを調達あるいはインストールしなければならなかったと回答した。ほとんどの場合、問題なく導入できたことも分かった。
Capterra のコンテンツアナリスト、ソニア・ナバレーテ氏が指摘するように「そうしたツールのほとんどはソーシャルネットワークのような感覚で使えることから、従業員にとって魅力がある。プライベートで使っている他のツールのような感覚で積極的に使ってもらえる公算が大きい」
◎Zoom 疲れデメリットもある。そのほとんどは技術よりも個人の感覚に関連している。最大級の問題は潜在的な燃え尽きだった。エバンズ氏によると、仕事と私生活の境界をはっきりさせていた人が「常に仕事中と見なされる」だけでなく、境界がどんどん薄れる状況に追い込まれることに問題があった。
もう一つの問題は、同僚と日常的に交わすちょっとしたやりとりがリモート環境では発生しないことに関係している。そうした交流は社会的に大切なだけではない。人々に重要な休憩時間を提供し、脳が情報を吸収して確定する時間を与え、それによって疲労を防いでいる。
「Zoom 疲れ」という課題もある。エンドレスなビデオ会議のために、1 日の仕事が終わる頃には普段以上の疲れを感じる現象だ。ナバレーテ氏はこうした状況への対応として「チーム間のコミュニケーションを効率的かつ計画的に行い、メッセージの飽和状態を防ぐ」ことを助言する。「Trello」のようなプロジェクト管理ツールや社内チャット機能など、オンラインの一元化されたシステムを使って「従業員がささいなことを確認したいときに参照できる場所を与え、不必要な通話を避ける」必要があるとした。
何よりも大切なのは、用途に適切なコミュニケーションツールやコラボレーションツールを確実に提供することだとエバンズ氏は言う。
「Zoom がビデオ会議や音声会議にフォーカスしているのに対し、Microsoft Teams は社内のファイルにアクセスしたり継続的なチャットをしたりするためのツールであり、この 2 つは大きく異なる。誰もが話題にしているからというだけの理由でツールを提供するのではなく、自分が実際に直面している問題を解決するためのツールを使わなければならない」とエバンズ氏。まさにそれを実践した組織の実例を紹介する。
事例:Jami UK(社会福祉慈善団体)
新型コロナウイルス対策のロックダウンの間、Jami UK はオンラインコラボレーション・会議ツールを利用して社会福祉サービスの対象を広げると同時に、運営方法を再編して効率を向上させることができた。Jami UK はロンドンのユダヤ人コミュニティー向けに精神衛生サービスを提供している。
同社は内部のほとんどのコミュニケーションやコラボレーションに Microsoft Teams を利用している。しかし内部の大規模なグループ会議や外部との臨床診断、教育 Web セミナー、社会的な集まりといった活動は全て Zoom で実施する。
こうしたアプローチは、ロンドン北東部と北西部にある 4 カ所の物理拠点で行ってきた活動の代わりに実施している。だがロックダウンが完全に解除されたとしても、クライアントには引き続きオンラインでサービスを利用できる選択肢を提供することを目標としている。
Jami UK のサービス責任者、ルイーズ・カーモード氏は言う。「いずれは対面サービスに戻る予定だが、仮想サービスも継続する見通しだ。
重要なのは、さまざまな選択肢を用意して個人のニーズに適切に対応することだ。私たちとどのような形で会いたいか尋ねる際の選択肢として、オンラインは間違いなく残す」
仮想で提供を続けるそうしたサービスの一つが、同団体が英ゴールダーズグリーンで運営している「Headroom Cafe」のサービスだ。ここでは食事と健康メニューの両方を通じて精神衛生サービスを展開している。このカフェの仮想バージョンが開かれるようになってから、顧客
ベースはロンドンを越えて拡大した。カーモード氏は言う。「私たちにとって英国全土に広がったことの重要性は大きい。将来的に自分たちのサービスを他の場所でもっと広く共有する方法について考えさせられた。人を結び付ける戦略を展開するため他に何ができるのかを考えなければならない」
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