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ドコモ、時速300kmで走る自動車で5Gの高速通信に成功

2018年04月24日 06時30分05秒 | 日記

 

次世代のけいたいの通信方式である5Gで。時速300Kmで走る車で、4Kの映像を中継できたとインプレスというIT系雑誌が報じていた。

 NTTドコモは、28GHz帯を利用した「5G」の実験において、時速305kmで移動する自動車に搭載した端末との間で、データ伝送に成功しと発表した。また時速290kmで5Gのハンドオーバーに、時速200kmで上りの4K無線ライブ中継に成功した。いずれも世界初としている。

 NTTドコモはNECやNTTと協力し、4月8日に実験を行った。高速鉄道などの、超高速移動環境における5Gサービスの提供を想定したもので、実験では自動車を用いて、テストコースで走行して検証した。

 実験の結果、超高速移動中に5Gの無線データ伝送、ハンドオーバー、4K・120fpsの映像のライブ中継を実現し、高速移動中でも5Gを利用できる環境に近づいた。28GHz帯は減衰が大きく直進性が強いため、ビームフォーミングやビーム追従機能を最適化して搭載した。自動車は日産GT-Rをベースに、実験用機材を積み込み、カーレーシングチームにより搭載装置の重量やバランスを考慮したチューニングが施された。

 

次世代の5GについてはkakakuMagazineが紹介していた。

スマホでメールやSNSを送ったり、音楽や動画を楽しんだりしている範囲では、現状の4G通信速度でそこまで大きな不満はない。ところが、今後はIoT化が急速に進み、身のまわりのありとあらゆるモノがインターネットに接続することで、トラフィック(通信回線を利用するデータ量)の急増が見込まれる。

たとえば、家庭の中に無数にある各種家電、いつも身に付けるウェアラブルデバイス、自動運転カー、産業用ドローンなどがその代表格。ほかにも、遠隔医療(診断)、遠隔手術、農業用センサー、道路や橋梁の異常検知センサー、セキュリティカメラおよびセンサー、高齢者や子どもの見守り機器、ペットの見守りアイテムなど、例をあげようとすると枚挙にいとまがない。それらの機器がワイヤレスで通信を行うことは間違いなく、そこで本命視されているのが5G通信網というわけだ。また、映像の8K化や立体化など、コンテンツのリッチ化においても、衛星放送や光ケーブルによる伝送はコスト面を含めて限界があるため、5G通信による解決が期待されている。

過去の「5G Tokyo Bay Summit」でNTTドコモが展示していた、将来におけるコアネットワークイメージのパネル。デバイス制御はもちろん、ITSやヘルスケア、遠隔医療など、日常生活におけるさまざまサービスがネットワークにつながることが見込まれ、トラフィックの爆発的な増加が予想される

5Gでは通信速度が10Gbpsに

5Gでは、通信速度を10Gbps程度に引き上げる方向で検討されている。採用される技術や詳細は策定中だが、通信速度を向上するためには800MHz~1GHzの帯域幅が必要で、現在の4G(最大3.5GHz程度)よりも高い周波数帯の電波を用いるのは確実だ。ほかにも、高い周波数の電波を低消費電力で確実に届けるアンテナおよび伝送技術、Wi-Fiなど他の伝送経路も活用するソフトウェア技術など、多角的な技術検討がなされている。

また、5GではIoT時代を見据え、「多接続性」や「低遅延」の実現も大きなテーマ。IoT時代には、身のまわりのデバイスに加え、目に見えないセンサー等も含めると、数兆個の機器がインターネットに接続すると考えられ、ひとつのセル(アクセスポイント)が扱える機器のキャパシティも増やす必要がある。また、自動運転カー、遠隔手術、触覚フィードバックといった分野では、通信に遅延があると使い物にならない。機器間同士で数ミリ秒以内の低遅延性が求められる。4Gで10ms(0.01秒)程度だった無線区間の遅延を、5Gでは1ms(0.001秒)と1/10まで短縮する方向で検討されている。

上記3つの画像は、今年2月にKDDIが行った5Gネットワーク開発に関する記者発表会のスライドより。他接続に対応し、低遅延を実現するため、エッジコンピューティングの導入やネットワーク・スライスを採用する

大予想! 5Gのある未来の生活

5G時代を迎えると、われわれの生活はどのように発展するのだろうか? 技術説明だけではイメージしづらいので、少し未来の予想も含め、具体例をあげてみよう。

【ケース1】自動車
自動車分野で大きく期待されるのは、自動運転カーの実用化だろう。車が自律的に道路状況を判断して走行し、さらに信号機、近隣を走行する自動車や自転車、歩行者などからも情報を取得するようになれば、より安全性が高まる。先行車からの情報や道路の混雑状況も把握し、ルートを最適化することで、時間短縮や省エネも実現。万が一の際は、遠隔操作(運転)も可能になる。また、車速やさまざまなセンサーから得た情報を共有することで、異常のある車はトラブル発生前に安全に停止させたり、迅速な救護やメンテナンスも行える。

NTTドコモのニュースリリースより、5Gを利用した自動運転の実証実験例(自動運転車両の遠隔管制における5G活用に向けた共同実証実験に合意:https://www.nttdocomo.co.jp/info/news_release/notice/2016/11/11_00.html)

【ケース2】ドローン
5G通信によってドローンをコントロールできる範囲が広がり、日本を縦断する広域型の登場も期待できる。宅配や、橋梁、道路の保守点検など、現在期待されている用途に加え、ドローンの活用領域がさらに広がっていくことになる。

【ケース3】造成/建築
すでに土地の大規模造成現場で、ドローンで俯瞰および測定を行い、ショベルカーやダンプカーが設計図面に従って高精度に造成を行うシステムが実用化されている。今後、GPSの高精度化や5Gの登場により、街中の小さな現場も無人化が可能に。重機の操作や現場監督も遠隔から操作できるようになるかもしれない。

【ケース4】遠隔手術
医療分野で期待されるのが遠隔地からの手術だ。離島などにいながら、都市圏の専門医の施術を受けられるようになる。手術ロボットが検出した触覚をリアルタイムで執刀医に伝えることができ、より高度な手術も確実に行える。
●遠隔手術で実用化されているロボットの例:Intuitive Surgical, Inc.「da Vinci」(https://www.intuitivesurgical.com/jp/)

【ケース5】8K映像の伝送
エンタメ分野での5G利用に関する展望もご紹介しよう。現在、4K映像の伝送には20Mbps前後の帯域が必要とされている。これが、8Kではさらに2倍程度が必要であると見込まれており、放送衛星を用いたブロードキャスト等は多チャンネル化が難しくなる。そこで、5Gで平均100Mbps(最大10Gbps)の通信が実現すれば、8K伝送の普及に貢献しそうだ。さらにその先として、ホログラム立体化、オーディオのハイレゾ多チャンネル化など、コンテンツのリッチ化をめざす場合も、5Gに期待がかかる。こうした映像の高精細化、情報量の増大は、上記のすべての分野をより高度化するのにも役立つのだ。


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