先端技術とその周辺

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RPAとプロセスマイニング

2019年06月05日 20時22分41秒 | 日記

キーマンズネットワークが、RPAを導入するに当たり、今まで用いられていた、業務処理のプロセス把握に膨大な金を掛けずとも、2000年ころに欧州で始まったプロセスマイニングを導入することで、RPA導入を確実にものにできると解説していた。その要約は以下の通り。

オフィス製品で業務処理を行う際に、自動化してしまおうと言うRPA(Robotic Process Automation)が、急速に普及が進んでいる。しかし業務プロセスをきちんと把握RPAで自動化するには、事前に業務プロセスを入念に分析し見える化することで、無駄なプロセスを廃止したり、よりRPAの自動化に適した形にプロセスを改善したりすることが必要で、やみくもなRPAか、百害あって一利なしである。ただ、業務プロセスの分析・改善を行うには、高額な費用を払って外部からコンサルタントを招き入れる必要があった。複雑な業務プロセスの場合、1億円以上の費用がかかることもあり、RPAによる業務自動化・省力化で得られる効果とのバランスが取りにくい。 

それほどコストを掛けずに、もっと手軽に、コストや時間をかけずに企業の業務プロセスを可視化・分析できる方法はないか――この課題を基に、2000年代初頭から欧州を中心に研究が進められてきた。その結果生まれたのが、「プロセスマイニング」と呼ばれる手法だ。

膨大なイベントログのデータの中からプロセスを見いだす

 プロセスマイニングは、シンプルに言えば、「データマイニングの1つの手法」と位置付けると分かりやすいだろう。データマイニングはその名の通り、膨大な量のデータを分析し、その中から新たな知見を採掘(マイニング)する取り組みのことを指す。プロセスマイニングも同じくビッグデータを分析する取り組みだが、その目的はデータの中から「プロセスを採掘する」ことにある。そのため、データマイニングとは大きく異なる分析アプローチが採用されており、従来のデータマイニングと同列のものと捉えないほうがよい。

 具体的にいえば、従業員が業務を遂行する際に利用するERPやCRM、SFAといった業務システム内に記録されているイベントログデータを収集し、内容を分析することで、実際に行われている業務のプロセスを「プロセスモデル」として可視化する。業務システムのイベントログには、いつ、誰が、どんなデータに対してどのような操作を行ったか、その履歴が時系列に沿って詳細に記録されている。その内容を分析することで、ある特定の業務がどのようなプロセスに沿って行われているかを、フローチャートの形で分かりやすく図示してくれるのだ(図1)。

図1 プロセスマイニングによる業務プロセスの図式化(出典ハートコア)※青が濃い作業ほど、業務処理回数(頻度)が多いことを示す

 こうしたプロセスの視点でのデータ分析は、実は極めて難しい。業務システムのイベントログはデータ量が多い上、その中からプロセスを描き出すには時系列に沿ってデータを分析し、互いの前後関係などの関連性を見いだす必要がある。一般的なデータマイニングツールやBIツールは、ある時点でのデータの状態を静的に取り出して分析するのは得意だが、時系列に沿ってデータ間の関連性を事細かに分析し、その中からプロセスを見いだす処理を行うことはできない。

 そこで、プロセスデータの分析に特化して開発されたのが、プロセスマイニングの専用ツールだ。プロセスマイニング自体の歴史が浅いため、まだ製品の数は多くないが、2010年以降に何社かのベンダーから製品・サービスがリリースされている他、無償のオープンソース製品もある。

 日本ではあまり知られていないプロセスマイニングだが、発祥の地の欧州においては既に普及しており、特に大手金融・保険業や製造業の間で導入が進んでいる。米国では2018年からプロセスマイニングへの注目が高まり始め、日本においても2019年以降、RPAの普及に呼応する形で着目する企業が出てきている。特に日本企業では今後、人手不足や働き方改革への対応のためにより一層の業務効率化が求められることから、BPM・BPRの取り組みの一環としてプロセスマイニングへの関心が高まると目されている。

 

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