先端技術とその周辺

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AmazonやMS、米クラウド3強が5Gに沸く?!

2020年11月14日 10時54分33秒 | 日記
 

日本経済新聞が、『AmazonやMS、米クラウド3強が5Gに沸く理由』と伝えているが、日本はどこ吹く風という感じで、最新技術の後進国に成り下がったのは嘆かわしい。せめて分割化されたNTTグループの再統合にk辞退するしかない。この再統合に関しては、』独占禁止法に抵触するという見解もあるが、巨大投資が不可欠になった現代では、国民の統治が出来る仕組みを確立して巨大企業が勝手なことをせずして国民のための事業をする仕組みの確立が必要では?

ヴイエムウェア(VMware)の通信事業者向け仮想クラウド管理センター(イメージ)

ヴイエムウェア(VMware)の通信事業者向け仮想クラウド管理センター(イメージ)

 

2020年に入り、米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)、米マイクロソフト、(MS)、米グーグルなど、複数ユーザーでデータベースを共有するパブリッククラウド大手3社による高速通信規格「5G」競争が激しくなってきた。背景には、5Gで通信大手が先端データセンター技術を導入する大胆な戦略が潜んでいる。

 

 

■5Gに沸くクラウド業界

 

マイクロソフトは先ごろ、携帯クラウドベンチャーのアファームド・ネットワークスと、通信機器のメタスイッチを相次いで買収し、5Gクラウド戦略を強化した。9月には日本の総務省に当たる米連邦通信委員会に5G用ミリ波実験免許を申請した。すでにカナダでノキア、アタボティックス、ロジャーズ・ケーブルと組んでLTEサービスも展開している。日本のローカル5Gにあたるプライベート5Gの準備に余念がない。

一方、パブリッククラウドの最大手のAWSは、ベライゾンと提携し、端末側で素早くデータを処理する「エッジ・コンピューティング」の事業を進めている。

ベライゾンは年末までに約10カ所にエッジ・データセンターを構築し、21年からAWS顧客向けに法人サービスを本格化する予定だ。

グーグルは大手通信事業者の米AT&Tや仏オレンジと提携し、同社のエッジ・クラウド上でAI(人工知能)アプリをサポートするGMEC(グローバル・モバイル・エッジ・クラウド)戦略を推進している。

 

■通信サービスの限界

 

クラウド業界が5Gサービスに注目するのは、通信そのものがクラウド化するためだ。

情報を運ぶパイプ役だった通信網の役割は変わった。スマホが登場すると、サービスの主役は音声も含めグーグルやAWSのモバイル・アプリケーションに変わってしまった。単純な情報パイプである通信網は不便な存在となった。

例えば、360度ビデオ放送や没入型仮想現実ゲームなどでは、超大容量通信が必要だ。逆にスマート照明やペット追跡端末などのIoTでは低容量だが密集した通信網がほしい。遠隔手術や商業ドローン操縦では、応答速度が速い通信機能が欠かせない。

クラウド事業者が、こうしたサービスを展開したくても、現在の4GLTEや光サービスでは、性質が違いすぎてサポートできない。

 

■クラウド技術依存

 

課題解決のため、5Gでは先端データセンター技術を導入した。

例えば、通信機能を組み込み機器からソフトウエアに置き換え、汎用ハードウエアで運用できるようにするネットワークの仮想化だ。また、ソフトウエアを小型モジュール化して、ネットワークのあらゆる場所に配置できる分散アーキテクチャーも入れた。

ソフトの組み合わせを変えれば、一つのネットワークで大容量通信と超低遅延通信などを同時に提供できる。5Gでは、スライシングと呼ばれる技術だ。

通信網の色々な場所に小型データセンターを置くエッジ・クラウドも初めて導入される。

極端な話、通信事業者にとって5Gはもはや通信網ではなく、広域に散らばるデータセンター網と言える。こうなると高度な経験と資産を持つ大手クラウド事業者のサポートが欠かせない。

逆に、クラウド業界にとっては、5Gに依存しなければ、新サービスを展開できない。クラウドと通信は5Gで垣根がなくなる。

 

■クラウドは通信事業

 

マイクロソフトの5G戦略は野心的だ。ジェイソン・ザンダー副社長は最近のオフィシャル・ブログで、通信事業者のクラウド管理を請け負うサービスを発表した。

米大手通信事業者が自社の仮想化幹線網をマイクロソフト社に依存するというのは、現状では考えにくい。

しかし、オーストラリアのテルストラやイタリアのエミレーツ・テレコミュニケーションズなどは、マイクロソフトに依存しようとしている。

仮想化基盤プロバイダー大手のヴイエムウェアも注目されている。

大手通信事業者は大手クラウド事業者に過度に依存しないよう警戒している。その点、パブリッククラウド事業者ではないヴイエムウェアの中立的な立場は好ましい。

9月末に開催されたヴイエムウェアのオンライン展示会では、クラウドの基盤整備や自動化、AI利活用などを盛り込んだテレコ・クラウド戦略を積極的に発表していた。すでにディッシュ・ネットワークなどは5G基幹網に同社の採用を決めている。

 

5Gクラウド戦略を解説するヴイエムウェアのShekar Ayyar氏(EVP & GM)

5Gクラウド戦略を解説するヴイエムウェアのShekar Ayyar氏(EVP & GM)

 

 

■ドコモ買収の真意

 

通信網のクラウド化は、事業再編も促している。その一例がNTTによるNTTドコモの完全子会社化だろう。

90年代に分割された現在のNTTグループは世界的に見ても不利な立場だ。グループ各社が個別に5G対応すれば、各個撃破され、クラウド大手は容易に主導権を握るだろう。無線と固定、データセンターをシステム的に一体化しなければ、巨大クラウド事業者と対等に事業を展開できない。

同様の理由で、米国でもベライゾンやAT&Tが、ネットワークと事業部門の統合を積極的に進めており、米国政府も支援してきた。

5G戦線を見据えれば、無線網のドコモとデータセンターのNTTコミュニケーションズ、通信管理ソフトのNTTコムウェアを統合する必要がある。

また、国際競争力を高めるなら日本の情報通信業界も政府も、5Gを契機に通信政策を捨て、クラウド政策に舵(かじ)を切り直す時期に来ている。

小池良次(RYOJI KOIKE)
 米国のインターネット、通信業界や商業ドローンを専門とするジャーナリストおよびリサーチャー。1988年に渡米、93年からフリーランスジャーナリストとして活動している。サンフランシスコ郊外在住。主な著書に「クラウド」(インプレスR&D)、「クラウドの未来」(講談社現代新書)、「NTTはどこへ行くのか」(講談社)、「ドローンビジネスレポート」(内外出版社)など

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