茫庵

万書きつらね

2012年01月17日 - 日本語ソネット練習 - LOVE'S OMNIPRESENCE の訳詩

2012年01月17日 06時00分17秒 | ソネット

The Golden Treasury Of the Best Songs and Lyrical Poems in the English Language
( Various)

からの引用です。 Project Gutenbergの掲載コンテンツなので著作権的な問題はないと思っています。

なお、このソネット、どういうわけか中国語の訳がついていて、結構見かけます。中国の英文学の学習者は皆この詩を読むのでしょうか。

ともあれ、ほんまもんのソネットを日本語で再現するのは大変でした。とても自分で決めた定型を維持することは出来ませんでした。明治、大正の新体詩の人たちが七五調で再現しようとした理由がよくわかります。この詩、要は君と我の間がどんなに遠く隔てられようと、我は君に愛を捧げる、といった意味になるようですが、いわゆる逐語訳ではありません。あくまで筆者の日本語ソネット練習の一環ですのでちゃんとした意味を知りたい方は、しかるべき訳詩か翻訳をお捜しください。


     25. LOVE'S OMNIPRESENCE.  (1602)     by J. SYLVESTER.

     愛は何処へなりと

     Were I as base as is the lowly plain,
     And you, my Love, as high as heaven above,
     Yet should the thoughts of me your humble swain
     Ascend to heaven, in honour of my Love.

   我、低き野に在ろうとも
   君 天上にあらば
   卑しき下僕と思われようとも
   天まで赴かん 愛の誉れあらば

     Were I as high as heaven above the plain,
     And you, my Love, as humble and as low
     As are the deepest bottoms of the main,
     Whereso'er you were, with you my love should go.

   我、高き空の彼方に在ろうとも
   君、低き野に居らば
   我赴かん、地の底であろうとも
   何処へなりと、わが愛は君と共に往かん、君あらば

     Were you the earth, dear Love, and I the skies,
     My love should shine on you like to the sun,
     And look upon you with ten thousand eyes
     Till heaven wax'd blind, and till the world were done.

   愛しき君よ、汝が大地、我が大空なれば
   わが愛は太陽の様に君を照らさん
   そして、天、光を遮り、世界、滅するまで
   君を萬の目(まなこ)で見つめん

     Whereso'er I am, below, or else above you,
     Whereso'er you are, my heart shall truly love you.

   我何処(いずこ)にあろうとも
   眞實の愛を捧げん、君何処にあろうとも

 

ソネットにおける起承転結の流れがよくわかる作りになっています。いわゆるシェイクスピア型です。
最初の4行は自分が低きにあり、君が高きにある状況。次の4行はその逆、3つめの4行は、高い低いではなく天地に隔てられた状態。それぞれの状況下における自分の愛について語り、最後の2行で自分の愛は空間的な隔たりなどものともしないぞ、と高らかに宣言して終わる、という作りです。私など、なんとも芝居がかった印象を持つのですが、こういう詩を贈られるとどんな気持ちになるのでしょうか。
 



最新の画像もっと見る