文化逍遥。

良質な文化の紹介。

『イントゥ・ザ・ミュージック』

2020年12月10日 | 音楽
 1994年頃、「イントゥ・ザ・ミュージック」というシリーズのテレビ番組が放映され、それがリットーミュージックからヴィデオ・テープとして全6巻で発売された。当初は、フジテレビでかなり夜の遅い時間に放映された記憶がある。ヴィデオでは、テレビ未公開の映像なども含まれているため、全6巻の内5巻分を買い求めた。当時、税込みで1本4800円。かなり高価な買い物をした記憶がある。


 第1巻の『アロハ・アイナ』。観光目的ではない、真のハワイアンミュージックを観、聴くことが出来る。



 わたしが持っているのは、5巻を除いた残りの5本。実は、ほとんどこのヴィデオを観るためだけにヴィデオデッキをいまだに持っている。というのも、他のテープは、ほとんどDVDなどのメディアに変換してあるのだが、このヴィデオ・テープなどにはコピープロテクトがかかっているため、どうしても変換できていなかった。最近、徐々に部屋の整理を進めていて、いいかげんヴィデオ・デッキもそろそろ手放そうかと思い、少しずつ見直していたところ。全体に良く取材されていて、完成度が高い作品なのでDVDになって出ていると思っていたが、今では手に入りそうにないようだ。メディアが変わるのは、時代の要請もあることだろうが、その変化の中で大切なものが消えてゆくのは残念だし、若い人たちにとっても文化的遺産が減ることにもなるので、実にもったいない。

 このシリーズのほとんどで企画・構成そしてナレーションを担当したのは駒沢敏器という人で、その構成力と取材力には感心させられた。その後、1996年に『ミシシッピーは月まで狂っている』を講談社から出版。それも、興味深く読んだ記憶がある。少し調べてみたところ、その駒沢氏は2013年3月に51歳で亡くなっていた。難病にかかって体が動かなくなり、不幸な死に方をしたらしい。安心して老い、病み、そして死ぬことが出来る、本当の意味で「豊かな社会」とは、そういうことではないだろうか。モノがあふれても、豊かな社会とは程遠くなってゆく。音楽に「豊かさ」を感じてもらえるよう、微力ながら力を尽くしたい。

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