文化逍遥。

良質な文化の紹介。

2018年フランス映画『今さら言えない小さな秘密』

2019年09月27日 | 映画
 9/26(木)、千葉劇場にて。
 原作はジャン=ジャック・サンペ、監督はピエール・ゴドー。原題は『Raoul Taburin』で、主人公の名前。





 南フランスの自然豊かな田舎町。町の人々は素朴で、皆知り合いだ。主人公のラウルは、腕の良い自転車修理工で、幼なじみを妻にしている。しかし、彼には人に言えない秘密があった。自転車の修理工でありながら、彼は自転車に乗れないのだった・・・

 喜劇仕立てになっている作品だが、実は、テーマはかなり深みがあり味わい深い佳作、と感じた。
 仕事を身に付ける困難、失恋やその後の結婚、そしていつしか秘密が知られる時、妻は夫ラウルを抱きしめる。そんな、なにげない日常の出来事がまるで宝物のように画がかれてゆく。心憎いばかりの演出だった。

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痔主になりました

2019年09月23日 | 健康・病気
 若い頃からたまにイボ痔や切れ痔に罹ることがあったが、1~2週間ほど軟膏を塗れば治っていた。ところが、この夏は軟膏や座薬を使っても、良くなったり悪くなったりの繰り返し。諦めて、9/20(木)、肛門の専門病院を受診した。
 さすがに、毎日何十人かの痔疾患者を診ている専門医だけの事はあり、手際良く触診から内視鏡検査へと進む。モニターを見ながら「こことここなどににイボ痔、ここに傷があります」と説明を受けた。結果、肛門の奥に出来る「内痔核」が4か所、さらに「切れ痔」。2コくらいはあるかと思ったが、まさかここまでひどいとは思わなかった。

 「生活習慣病」とも云われる痔疾だが、病院で貰った「生活上の注意事項」というリーフレットを読んでみて、自分ではどうにもならないこともある、と感じた。「アルコールや辛い食べ物は避ける」などは嗜好を変えればそれで済む。が、たとえば、「なるべく腹圧をかけない」すなわち腹に力を入れない、とか、「同じ姿勢を続けない」などは、職業上改善できない人も多いだろう。たとえば、長距離トラックのドライバーなどは仕事を替えなければどうにもならない。また、作家など座り続けて仕事に集中する人に、時間を決めて体を動かせ、と言っても集中力が途切れてしまうので困難だ。さらに、管楽器などの演奏も腹圧がかかるので控える必要がある、という。同じ理由で歌を歌うこともダメだ。その点を医師に訊いてみたが、月に1度位なら大丈夫でしょう、とのこと。でもねえ、日々の練習ということもあるし、まかりなりにもライブハウスでお客さんを前に歌っているのだから、お腹に力を入れずに口先だけで歌うというような器用なことは無理だなあ。他人がどう思おうと、自分ではライフワークのつもりで続けているので、これからも継続していきたい。

 治療に関しては、とりあえず1ト月ほど座薬や便を軟らかくする飲み薬(マグネシウム製剤)などで様子を見てみましょう、とのこと。まあ、我が家からは少し遠いが、幸いにも手術・入院に対応できる専門病院が千葉市内にあったので、病気とうまく付き合いながら音楽を続けていくことにしよう。作家に痔主が多い事は知っていたが、管楽器奏者や歌手にもたくさんいるのかもしれないね。

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酒見賢一著『周公旦』

2019年09月20日 | 本と雑誌
 最近、図書館から借りて読んだ本から1冊。
 中国の古代史や、孔子の思想に興味のある人なら、題名を見ただけで内容のおおよその見当はつくだろう。わたしは、中国古代を舞台にした宮城谷昌光の文学が好きなので、商周革命時の英雄とも云える「周公旦」について多少の知識があった程度。作者の酒見 賢一(さけみ けんいち)氏については、知らなかったが、大きい活字のコーナーで見つけ、読んでみたくなって借りてきた。初出は、1999年文芸春秋社。


 
 少し調べてみたところ、酒見 賢一氏は1963年生まれで、福岡県久留米市出身。1988年、愛知大学文学部哲学科東洋哲学専攻卒業、という。さすがに、東洋哲学を学んだだけあって、古代中国史や漢詩の造詣も深い、と感じた。基本的には小説なのだが、文体も独自で、「史記」や「書経」などに対して独自の読み込みをしてエッセイ風に解説するなどの工夫がなされている。長江流域の南方民族の描写などには違和感もあったが、宮城谷文学とは違う視点から古代の中国にアプローチしていて、読んでいて新鮮さも感じた。他の著作も読んでみたくなった。

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台風15号の爪痕、その2

2019年09月16日 | 日記・エッセイ・コラム
 台風15号が千葉県を通過してから1週間。9/16朝現在、県南部を中心に今も9万1千戸ほどが停電している。東京電力の記者会見では、会見の度に復旧見込みが伸びる。なんて杜撰な会社だ。被災者のほとんどが東京電力の言っていることを信じて耐えているというのに、確実な情報を出せず、楽観的な予測に基づいて復旧の見込みを発表するとは・・・社会的責任を放棄しているとしか思えない。おそらく、東電本社は、現場の作業員からの報告を軽視、あるいは無視する体質があるのではないか。まあ、あまり批判ばかりしてもどうにもならない。各自治体でも、被害の実態がなかなか把握できなかったことも事実だ。今回の事を教訓にして、災害に強い町づくりを進めるしかない。

 きょうは、県南部に大雨注意報も出ている。屋根を飛ばされた家屋も多く、被災者は困惑と疲労に襲われていることだろう。下の写真は、強風で倒れた千葉公園の樹木を、携帯で9/14(土)午後撮影したもの。







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台風15号の爪痕

2019年09月13日 | 日記・エッセイ・コラム
 9日に通過した台風15号のため千葉県南部・東部などで広範囲に停電が発生したが、13日朝6時現在、今だ20万戸ほどが復旧していない。まさかこれほど停電とそれに伴う断水が長引くとは誰も予想できず、多くの人々の生活に支障が出ている。被災地域では、物流も滞り、携帯電話の電波も届かない。現代の生活が、いかに電気エネルギーに依存しているのかまざまざと思い知らされた。私の住む千葉市でも若葉区や緑区で停電が発生した。我が家から数キロしか離れていない所だ。それでも、スーパーやコンビニが開いているところまで買い物に行ける人はまだしも、食料品店や飲食店が利用できなくなっている人達は、公的な支援を頼むしかない。今日は気温も平年並みに落ち着いたが今週は暑い日も多く、千葉県内で2人の方が熱中症で亡くなっている。復旧にあたる作業員たちは、24時間体制で懸命に作業していることだろう。いずれも下請け・孫請けの工事会社の人達だ。どんなに暑くても、感電防止のための厚手のゴム手袋などは外せない。おそらく、東京電力の下請け依存体制といったものも、今回の停電と復旧の遅れに大きく影響しているのではないだろうか。

 神奈川県や伊豆諸島でも大きな被害が出ているが、おもに台風の通過した南東で強い風が吹いたようだ。我が家でも経験したことのない強風と感じたが、位置的な僅かの差で、さらに強い風が吹いたと思われる。家が停電をなんとか免れたのは、まったくの偶然でしかなかったのだ。
 下の写真は、昨日12日に携帯電話で千葉公園を撮ったもの。かなり太い木が折れたり、根こそぎにされたりしていた。生まれてこの方、千葉公園の樹木を見てきたが、こんな光景は始めて見た。




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9/7、ブルース・セッション

2019年09月10日 | ライブ
 9/9の明け方、台風15号が千葉を通過。その日未明からの風はすごかった。経験したことのない強風とそれに伴う雨。千葉市の最大瞬間風速は57.5メートルを記録したという。もちろん、観測史上1位。なにか、天が怒っているようにも感じたほどだ。9日朝は、町中に木の葉が散乱し、近隣のアパートに駐輪してある自転車はほとんどが倒れていた。
 現在は10日の朝、台風通過から丸一日以上たったが、千葉県内を中心にかなり停電している所がまだある。今日は高音注意情報も出ている。千葉市中央区の我が家では停電は無いが、エアコンも冷蔵庫も使えない地域が身近にあると思うと安閑としていられない気分だ。温暖化により、想定外の災害がこれからも続くだろう。何に備え、どう対応するのか、日ごろから考えておく必要がある。


 さて、第一土曜恒例、千葉のライブハウス「ライト」でのブルース・セッションに参加してきた。夏の疲れが出たのか、声が思うように出ないので、この日演奏したのは下の2曲だけ。あとは、他の人の演奏を聴いて早めに帰ってきた。

1.Key To The Highway
2.何も欲しくないよ今は(オリジナル曲)

 使ったのは、アッシュの12弦エレキギター。アンプのトーンをうまくセットしないと、なかなか納得のできる音になってくれない。何事も経験だね。

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電動自転車バッテリー交換

2019年09月06日 | 日記・エッセイ・コラム
 家にある電動アシスト自転車のバッテリーが消耗してきたので、新しいものを買った。
 墓参の時などに使っているが、片道を走るとバッテリーがカラになる。仕方なく帰りは重い電動自転車をヒーコラ言いながら漕ぐことになる。すでに10年使っているので、充電容量が小さくなるのは仕方ない。しかし、交換バッテリーがあまりに高い。充電容量にもよるが、3万円前後する。自転車屋さんに訊いたところ、バッテリーの中にはモーターを制御するマイコン―すなわち小さなコンピューターが内蔵されているのでどうしても高くなる、という。それにしても、3万円あればママチャリならけっこう良いものが買える値段だ。10年位は持つものの、もう少し購入しやすいように構造を考えてもらいたいものだ。バッテリーを新しくしたら、すぐにモーターの寿命が尽きてしまった、そんなことも考えられる。

 まあ、便利なものにはそれなりの「無駄」が付きもの、ということなのだろう。無駄な出費を避けたければ不便な生活をする方が良い、と云えるかもね。

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わたしのレコード棚―ブルース78、Jab Jones

2019年09月03日 | わたしのレコード棚

 まず、ジャグ(Jug)という楽器についての説明から。ジャグとは、上の写真の下側に写っているような大きめのビンなどを口元でブッブッと吹いて低音を出すもので、うまい人が演奏するとチューバのような感じで音階が出せる。元々は、楽器を買うだけのお金の無い黒人たちが生み出した工夫だろう。その意味では、桶を使ったベースと共通点があるかもしれない。その後には、主にメンフィスあたりで、次第にヴォードビルに近い、聞く人あるいは見る人を楽しませる要素が強くなっていったようだ。ハーモニカのハミー・ニクソンなども、時にビンを使ったジャグを演奏していた。
 ジャブ・ジョーンズ(Jab Jones)は、メンフィス・ジャグバンドなどで活躍したジャグの演奏家で、私の知る限りもっとも優れたジャグ・プレーヤーだ。音程も、リズムも安定していて、目立たないが、バンドの基礎を支える重要な役割を担っている。残念なことに、生没年など詳しい事はわかっていない。1928年にはウィル・シェイドらと共に録音しているので、そこから推測すると1900年頃に生まれた人だったかもしれない。


オーストリアのレーベルRSTのCDで、編集はジョニー・パース。1932年8月のリッチモンド録音では「Picaninny Jug Band」という名前で5曲、1934年11月シカゴ録音では「Memphis Jug Band」で16曲を収録。そのほとんどで、ジャブ・ジョーンズがジャグを吹いている。このCDのジャケット写真がメンフィスジャグバンドのものかどうか、正確なところはわからない。したがって、それぞれの楽器を担当しているのが誰かか断定は出来ないのが残念だが、メンフィスジャグバンドの写真だとするとジャグを演奏しているのはジャブ・ジョーンズの可能性が高い。メンフィス・ジャグバンドに関しては、すでに別のページで書いてあるので、そちらも参照していただきたい。


ROOTSレーベルのLP、RL-337。1927~1934年の18曲を収録。メンフィスジャグバンドは、ウィル・シェイド(Will Shade、vo&g)を中心に他のメンバーはかなり入れ替わっている。このLPでジャグを演奏しているのは、1927年のシカゴ録音でチャーリー・ポーク(Charlie Polk)、1930年メンフィス録音ではハンボーン・ルイス(Hambone Lewis)、他はジャブ・ジョーンズとなっている。ジャケットの写真は見にくいが、向かって左から2人目はウィル・シェイドで間違いないだろう。その右に大きなビンの様なものを持った人が写っているので、ジャグの演奏者には間違いないが、上にあげた3人のうちの誰かは断定できない。右端でギターを抱えている人は、ウィル・ウェルダン(Will Weldon)の可能性が高い。メンフィス・サウンドとも云うべきご機嫌な演奏を聴ける名盤。

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