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米国新核戦略への中国の反応

2010-04-09 11:31:56 | 前田宏子
 アメリカの「核戦略体制の見直し(Nuclear Posture Review)」に対する中国側の反応は、まだそれほど多くの論評が発表されているわけではありませんが、4月8日の新華網に、現代国際関係研究院・アメリカ研究所所長の袁鵬氏のコメントが掲載されていました。

 まず、2002年に出された前回のNPRと違い、NPT(核拡散防止条約)遵守国に対して核兵器の先制不使用を宣言した点と、「核のない世界」を目指している点を道義的美点として評価しています。

 ただし、実際にアメリカ軍部や保守派を納得させることができるのかという点については疑問を呈しています。また、核保有を目指す国や非政府組織が現実に存在する中、核を保有するアクターが増えれば核兵器の効用は相対的に低下するため、アメリカは核軍縮を推進して通常兵器における優勢を(パワーとして)発揮しようとしているのではないか、という見方も示しています。さらに、「核超大国ではないが、核大国である国々をも核軍縮の流れに巻き込もうとしている」という言い方をしており、この「大国」とは当然イギリス、フランス、特に中国を意識しているのだと分かります。他にも、イランや北朝鮮はこのNRRに反発するだろうから、今後、これらの国々との間で緊張が高まる可能性について言及しています。

 核軍縮や、核のない世界を目指すという理念に賛同を示しつつ、今はまだ中国の核戦略に対する影響について慎重に検討している段階と思われます。


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