Hei!(「ヘイ」って読んで「やあ」って意味)~義務教育世界一の秘密

義務教育世界一の国の教師養成の実態を探る旅。フィンランドの魅力もリポート!その他,教育のこと気にとめた風景など徒然に。

附属高等学校 教育実習訪問

2007年10月19日 | Weblog
今日は朝方急ぎの仕事をしてそれから広島市内の附属高等学校へ。4年生の教育実習最終日でした。

今日はゼミ生のSくんが研究授業を行うということなので,何とか時間をやりくりして訪問。久しぶりに翠町キャンパスに行ってみると,なんと校舎の改築を行っているではないですか。驚きました。耐震対応改装なのでしょう。まぁ至急やってもらわなきゃ困る状態にあったのでしょう,ほっとしました。

授業は高校二年生(附属高校ではII年生と表記)の美術。観察の結論は・・・よく頑張っていました。彼のことだから,実のところあまり心配はしていなかったけれど,少なくとも授業計画立案のレベルでは現職の先生を抜いている部分もあったと思います(ほめすぎ?)。もちろん,授業の具体的な対応場面では不十分なことも数多くありました(そりゃ当然!)。

鑑賞の授業では,ムンク「叫び」を用いました。単独で鑑賞するのではなく,比較鑑賞をすることによって作品の見方を深めようとするのが,本時のめあてです。比較対象に持ってきたのがペーコン「ベラスケスの『法王イノセント十世の肖像』にもとづく習作」。小生初めて見たのですが,なんと法王が叫んでいるように見えます。面白い。

最初はムンク「叫び」のみで鑑賞。生徒からは「暗い」「吸い込まれそう」「恐い」「ゆがんでいる」「おもしろい」「ネガティブ」「気持ち悪い」「違和感」などのキーワードで語れる印象や気づきが出されました。

次にベーコンの作品が出され,両作品を比較しながら生徒が気づきや印象を出していきました。これが実にエキサイティング!生徒の気づき・印象は,次のようなものでした。

「叫び」では,精神的恐怖(本物らしくない人物描写から),狂ったような(ゆがんだ描写から),怖い(得体の知れない怖さ),ねらっていない恐怖,迷う(線から感じる)・・・

そしてベーコン「ベラスケスの『法王イノセント十世の肖像』にもとづく習作」では,上記にそれぞれ対応した内容として,肉体的恐怖,恐怖,恐い(見るからに怖い),ねらっている恐怖,絶望(色から感じる)・・・

作表し対照して並べてみるとよくわかるのですが,生徒は結構二作品の違いを感じていたようです。表面的に見える内容だけでなく色や形などがもたらす印象,さらには描かれたものやことの背後にありそうだと推論できるものなどをふまえて豊かに読み取っているのですね。自分の感じた内容を最も適切に表す言葉を用いることができているかどうかについては検討の余地があると思いますが,少なくともその違いを明らかに感じていることは間違いないと思いました。

生徒たちがこのように読めたのは,もちろんこれまで森長先生がそのような力を育ててこられたからだけれど,今回の教育実習で君自身がその力を引き出したのもまた事実。Sくん,さらに精進せよ!鍛え甲斐があるねぇ
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« フィンランド音楽と天台声明 | トップ | 9月23日夕食 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。