京都 洛北の時計師 修理日記

時計修理工房「ヌーベル・パスティーシュ」京都の洛北に展開する時計修理物語。
夜久野高原で営業再開しました。

時計師の京都時間「浮いた茶碗時間」

2021-02-19 09:36:43 | 時計修理

2月19日金曜日。

不要不急の外出禁止。その間に止まった時計の電池から液漏れが進みます。週末は電池交換に出かけましょう!

「やっと浮いている茶碗をゆらすな!」時計業界の鉄則。工房はカルティエ、ブルガリなど電池交換1000円のビンテージキラーなので近隣の時計屋さんに迷惑を掛けないよう京都の北の端でひっそりと営業しております。

持ち込まれる修理依頼の三割程度が電池からの液漏れ。これにはがっかりします!バイヤー時代「高級スイス時計は故障が多い!」と不評な時代がありました。メーカーとしてはモニター電池を入れたまま放置した結果の故障なので痛くもかゆくもない。逆に新しく買ってもらえるか、修理で儲かるわけだから嬉しいのです。カルティエの電池液漏れ故障の場合5万円ほどの料金になります。もちろん保障期間中に電池から液漏れは起きません。保証期間切れの修理は全てユーザー負担になる。もともとモニター電池はムーブメントを組み立てた際にあらかじめ入れているのでケーシングから販売までの期間に消耗しています。だから早めに止まる!当然スイス時計の採用電池はスイス製。液漏れが起きにくいセイコー、マクセルなどの優秀な日本製電池は使用していないのが実情です。

こんなにくどくどと注意するよりいっそのこと電池交換を1000円で気軽に持ち込めるよう価格を決めました。残念ながらいまだに電池から粉を吹いているパターンが目に付きます。

勤めていた時計量販店の「ウオッチマン」が清算されたのち工房を作って12年。もうそろそろリタイヤして許してもらえないかね~?スイスか島原半島ののどかな田舎でのんびりしたい、そんな折にコロナ禍がきた!たった5万人弱の島原市の市場で開業すると同業者に迷惑だ。南島原市には奇跡的に残っている2件の時計屋さんがある。「やっと浮いている茶碗を揺らすな!」そんな場所にカルティエ、エルメス電池交換1000円で営業されては迷惑なのだ。畑仕事でもしようと思う。

コロナ禍で不要不急の外出禁止、その影響で時計需要も最悪な状況が今後も続きます。「やっと浮いている茶碗を揺らすな!」周りで沈んでいく茶碗が目に付く。ここ数年、アベノミクス失敗、インバウンド不況、京都は日本人観光客の減少などでここ数年の売り上げ年10%ほどの減少傾向。つまり「ゆでカエル」状態でした。そこで急な持続化給付金の売上50%減の支給要件には及ばないほどもはや下がりきっているのだ。

町場の時計屋さんは何とか生き残っている状況でしょう。お持ちの高級時計の電池交換は早めにやっておきましょう。いつ店がなくなってもおかしくない状況だからね~。

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