チャイコフスキー庵 Tchaikovskian

有性生殖生物の定めなる必要死、高知能生物たるヒトのパッション(音楽・お修辞・エンタメ・苦楽・群・遺伝子)。

「チャイコフスキーの幻想序曲『ロメオとジュリエット』の第2主題提示」

2009年03月01日 20時39分58秒 | チャイコ全般(6つの目のチャイコロジー

チャイコフスキー ロメオとジュリエット


昨日は久々にハケンの芝刈り仕事が入ったので、
山に出かけてきた。夜遅くまでかかったが、
てっぺんは過ぎてなかったので、
帰りの道では妙ちくりんな色使いの照明の
東京タワーが寒々しく目に映った。三田通りを、
三田1丁目で左折して赤羽小の坂を登り、
旧佐土原藩島津家上屋敷前を通って日向坂を下り、
城南薬局で塗り薬をさっと買って家路についた。
ハケンの仕事で手がカブレーテしまったのである。

カプレーティ家の令嬢ジュリエッタのモデルの年齢は
13歳だったが、シェイクスピアのスタイルの
ソネットの行数14(4→4→4→2)に合わせて、
「14」歳、ということにされた由。
マーク・レスター君とトレイスィ・ハイド嬢が演じた役は
「めだかの学校」ではなく「セカンダリ・スクール」の
1年生で11歳だったが、それはローメオとジュリエッタの
「小さな恋のパロディ」だったのである。
「シー・ノウズ・ザット・ライフ・イズ・ア・ラニング・レイス」
(拙大意:人生が徒競走だってことが
    あの子にはわかってるんだ)
ちなみに、五十嵐浩晃の「ペガサスの朝」は
「メロディ・フェア」の節の「パロディ」というよりは、
「中田喜直式製造法」によるものであろう。

チャイコフスキーの幻想序曲「ロメオとジュリエット」の
第2主題、いわゆる「愛の主題」は、
エスプレッスィーヴォと指示されたコーラングレと、
弱音器具を装着してドルチェと指示された
ヴィオーラのユニゾンによって
第184小節から奏でられる(第1稿でも第2稿でも
同じこと。ただ、開始小節数が違うだけ)。
**♪●・・ソ・ー│ー、・>シ・・<ド・<レ│
  >ラ・>ソ、・・<ド・ー│ー・ー、・・>ラ・<シ│
  >♯ソー・ー、・・<ミ・ー│ー、・>(N)ソ・・<ラ・<♭シ、│
  >ミ・<ファ、・・<♭ラー・ー│ー・ー、・・>ソ・ー│
  >ド・●・・●♪
変ニ長調である。ところが、
ファゴットと低弦のピッツィカートがバスを押さえ、
ホルンは[●・タ・・ー・タ]というスィンコペなリズムで
和声を刻んでくだけである。なるほど、
ここではバルコニーとその下で
「愛を感じ、見つめあう」だけで、
「まだ結ばれてない」らしい。それはともかく、
この主題提示がなされると、20小節弱の
推移を挟んで、主題が再出され確保される。
♪●【ソ<ラ・<シ<ド<レ<ミ・・
  <ファ<ソ<ラ<シ・<ド<レ<ミ<「ファ」】♪
という「ニ長調」の上昇スケイルを露払いとして、
その「ニ長調」の「ファ」を
「変ニ長調」の「♯ファ」に電撃置換して、
**♪♯ファ・ー・・<ソ・ー│ー、・>シ・・<ド・<レ│
  >ラ・>ソ、・・<ド・ー│ー・ー♪
と、主題ミサイルに「♯ファ・ー弾頭」を搭載して、
「変ニ長調」の第2主題を再提示するのである。
チャイコフスキーお得意の瞬間劇的転調である。ともあれ、
このとき、その主題を奏するのは、ともに
「ドルチェ・マ・センスィービレ(柔らかく、しかし、はっきりと)」
と指示された2管のフルートと2管のオーボエによる
オクターヴ・ユニゾンである。が、その「オクターヴ」は、
フルートがオーボエのオクターヴ上を吹く、のでも、
第1フルートと第1オーボエが第2フルートと第2オーボエのオクターヴ上、
という単純なものでもない。そのチャンポンなのである。
**♪【♯ファ・ー・・<ソ・ー│ー】、・>シ・・<ド・<レ│
  >ラ・>ソ、・・<ド・ー│ー・ー、・・>ラ・<シ│
  >♯ソー・ー、・・<【ミ・ー│ー】、・>(N)ソ・・<ラ・<♭シ、│
  >ミ・<ファ、・・<♭ラー・ー│ー・ー、・・>ソ・ー♪
というように、【】内のような高音域では、
フルート2管がオクターヴ上の同音を、オーボエ2管が下の同音を吹き、
その他の箇所は第1フルートと第1オーボエがオクターヴ上の同音を、
第2フルートと第2オーボエがオクターヴ下の同音を吹く、という
オクターヴ・ユニゾンの転換をさせてるのである。
楽器の音域上の制限ながら、
**♪【ソ・ー│ー】♪と**♪【ミ・ー│ー】♪
という主題の「区切り」における混合音色に、
微妙な変化を与えることになってるのである。

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