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著書『芸術家たちの生涯』
『ほんとうのこと』
『ねむりの町』ほか

7月8日・東山魁夷の精神性

2018-07-08 | 美術
7月8日は、実業家、ジョン・ロックフェラーが生まれた日(1839年)だが、東山魁夷(ひがしやまかいい)の誕生日でもある。

東山魁夷は、本名を東山新吉といい、1908年、神奈川の横浜で生まれた。父親は船具商だった。
3歳のとき、一家は兵庫の神戸へ引っ越し、伸吉は関西で育った。
中学のころから画家を志していた彼は、上京して東京美術学校(現在の東京芸術大学)の日本画科に入った。在学中の21歳の年に帝展に「山国の秋」で初出品、初入選。卒業後は、ドイツへ留学した。
37歳になる年に召集されたが、同年、すぐに終戦を迎え召集解除。
戦後は「残照」「道」など、単純化された構図で、深い精神性を感じさせる作風の作品を発表。ヨーロッパやオーストリア、中国にも取材し、透明感のある独特の画風で国民的画家となった。
52歳のとき、東宮御所、69歳で皇居宮殿の障壁画を描き、その後、奈良・唐招提寺の鑑真和上像が安置された御影堂内の襖絵を10年かけて完成させた。
文化勲章を受賞し、1999年5月に没した。

東山魁夷に「白馬の森」という、透明感のある森に、白い馬が妖精のように一頭いる、という絵のシリーズがある。幻想的で、象徴的。日本画というと風景画や人物画の世界のようだが、実は本来、精神を描くものなのだとこのシリーズに教わった。

東山魁夷の画風は、独立独歩のもので、ほかの画家とは比べられないけれど、強いてたとえるならば、人物を描いた洋画の東郷青児の世界を日本画の風景画の世界に取り入れた感じ、あるいは、印象派のモネの世界を日本画で実現したもの、と言ってしまうとぜんぜんちがう気がするけれど、感じはわかるかもしれない。それにしても、あのピュアな精神世界の感じには打たれる。
東山魁夷の絵を見て、心が癒される人は多いのではないか。
東山魁夷のつぎのことばが彼の精神性をよく表している。
「私は生かされている。野の草と同じである。路傍の小石とも同じである。」(Kotovasky.com: http://kotovasky.com/)
(2018年7月8日)



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