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著書『芸術家たちの生涯』
『ほんとうのこと』
『ねむりの町』ほか

1月5日・宮崎駿への期待

2014-01-05 | 映画
1月5日は、語呂合わせで「囲碁の日」。この日は、文豪、夏目漱石が生まれた日(慶応3年)だが、マンガ家でアニメ映画監督の宮崎駿(みやざきはやお)の誕生日でもある。アニメ映画制作会社、スタジオシブリの大黒柱である。
日本で圧倒的な人気をもつジブリ・宮崎アニメだが、自分もファンで、彼が監督したアニメ映画は「ルパン三世・カリオストロの城」以降はほとんど見ていると思う。

宮崎駿は、1941年、東京で生まれた。父親は飛行機部品を作る会社の経営者で、駿は4人きょうだいの上から2番目だった。
小さいころから絵が上手だった彼は、学習院大学の政経学部に進み、マンガを描いていた。同大では後に政治家になる麻生太郎と同期だったという。
大学を卒業した22歳のとき、アニメーション映画の制作会社に入社。以後、同社で、また転職先で一貫してアニメーション制作にかかわりつづけた。
33歳のとき、テレビアニメ「アルプスの少女ハイジ」の全カットのレイアウトを担当。
37歳のとき、テレビアニメ「未来少年コナン」を演出、監督。
38歳で、アニメ長編映画「ルパン三世 カリオストロの城」を監督。
そして41歳のとき、雑誌に「風の谷のナウシカ」の連載をはじめ、この壮大なマンガ作品の一部を映画化したアニメ作品「風の谷のナウシカ」を43歳で発表。
44歳のとき、スタジオジブリを設立し、以後「天空の城ラピュタ」「となりのトトロ」「魔女の宅急便」「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」「風立ちぬ」などの名作アニメ映画を監督し、世界的な巨匠となった。

自分がはじめて見た宮崎アニメは「未来少年コナン」だった。重力に反抗して宙に浮かぶ飛行石というものがあって、それをめぐる少年と少女の愛と冒険の物語だったと思うけれど、あのふんわりと宙に浮かぶ映像感覚は、当時まったく新しいもので、すごいアニメ作品を作る人もいるものだと驚いた。
そして、映画「風の谷のナウシカ」を見て、圧倒された。緻密でやわらかな画風、エンジン付きグライダーで空中を自在に飛ぶ王女さまという人物造形、全体を貫く大きな自然観、ギリシア神話などヨーロッパの伝説を取り入れた終末的世界観、しかし終末を乗り越えたところに希望があるという、けっして暗く終わらせない結末、と、ほんとうに感服した。自分はマンガの「風の谷のナウシカ」も全巻そろえていて、そちらのほうがもっとすごいと思うのだけれど、映画「風の谷のナウシカ」はやはり偉大な作品だと思う。宮崎アニメというと、どれも傑作なので、
「やっぱりトトロ」
「千と千尋が最高」
などと、ベスト作品は人の好みにより分かれるけれど、自分としては「風の谷」が最高だと思う。「風の谷」は、自分のなかではアニメのジャンルを越えて「ローマの休日」や「気狂いピエロ」などと肩を並べる映画の傑作ということになっている。
2013年の「風立ちぬ」を最後に、もう長編アメニは作らないと宣言した宮崎監督だが、君子豹変しての次作を自分は期待している。おそらく日本はこれから急速に右傾化、軍国主義化し、危ない国になっていくと思われるので、宮崎監督は、やむにやまれず腰を上げて、反戦アニメを作るのでは、と自分は、そういう世の中を期待しているわけではないのだけれど、そう予想している。宮崎監督はいつも、気が進まないながら仕方なく重いみこしを上げる人だから。
(2014年1月5日)


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