夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

大日本魚類画集 NO78 クロダイ 大野麥風画 

2021-05-14 00:01:00 | 浮世絵
連休中も息子は早起きです。5時には起きて義母の畑の手伝いでサヤエンドウを採ってきたり、庭の掃除をしたりしています



当方は眠い目をこすりながら2階の窓から顔を出すと、息子が庭から大声で「パパ、手伝ってね~」だと・・



さて、本日は大日本魚類図集の作品からの紹介です。

入手時に書斎の壁にこの作品を仮止めした飾っていたら、息子と家内が「クロダイ?」と話していました。正解です!



大日本魚類画集の作品で状態の良い作品は少なく、どうしても日焼けやシミ、折れ、破れの多い作品となり、完全な状態の作品を探しても、せいぜい良くても本作品のような状態の作品となってしまうようです。

大日本魚類画集 NO78 クロダイ 大野麥風画 
紙本淡彩額装 版画 1939年9月第1回(第3号の1)
画サイズ:縦400*横280(版木部分:270*391)



掛け軸のように染み抜きや改装が版画ではできないので保管には気をつけるべきでしょう。額に入れず和紙に入れて、タトウに挟んで、空調の状態の良い引き出しにしまいこんでおくのが最適なのでしょう。



ただそれではつまらないのでたまには額に入れて飾るようにはしたいのですが、額に入れての長期間の展示は禁物で日光や照明に当てないようにする必要があります。たとえば浮世絵の展示会は期間が短かったり、うす暗いのは保管上の理由が大きいようです。



クロダイについては下記の説明があります。

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クロダイ:(黒鯛)タイ科に分類される魚の1種である。東アジア沿岸域に分布する大型魚で、食用や釣りの対象として人気がある。日本ではチヌ(茅渟、海鯽)という別名もよく用いられる。全長は最大70cmを超えるが、よく漁獲されるのは30cm前までである。

背側と鰭膜は和名通り黒、ないし灰色で、腹側は白い。体側は銀色に光る灰色だが、不明瞭な縦縞があるものも多い。鰓蓋上端・目の後方やや上に、目と同程度の黒斑が1つある。体型は左右から押しつぶされたように平たい楕円形で、典型的な鯛の体型だが、マダイに比べると口が前に突き出す。顎の前方には3対の犬歯、側面には3列以上の臼歯があり、ヘダイ亜科の特徴を示す。

大都市圏の海にも多く、手近ながら奥の深い釣りの対象として人気があり、様々な技法が発達している。上から落ちてくる物体に喰いつく性質を利用したヘチ釣りが親しまれている。磯において夏の黒鯛は、冬のメジナと並び人気の魚種である。

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大日本魚類画集の作品は第1号(12作品揃い)の作品の出来が一番いいように思いますが、これは今後の蒐集で明らかになっていくでしょう。



紙質、摺の状況、色使いなどが徐々に劣っていくようになるのは、状況が戦時中になっていくなど周りの変化のせいかもしれませんね。第4号以降は500部限定から300部限定となっているようですが、さらに需要と供給になんらかの異変があったのかもしれません。このことも今後の蒐集で明らかになっていくでしょう。



本作品のおける大野麥風の落款と印章、彫師・摺師は下記のとおりです。彫師で有名な「藤川象斎」と二人の名人摺師の「光本丞甫」、「裲宜田萬敏」とのコンビで大日本魚類画集における多くの作品を手掛けていますが、本作品の摺師は違うようです。同じ作品でも摺師の違う作品が散見され、摺師は幾人が大日本魚類画集に関わったかは当方では解りません。

 

大日本魚類図集は第1号から第6号まで、各12種類、合計で72種の版画のシリーズですが、すべて揃っている蒐集作品はこの世に二桁あるのでしょうか? 特に第4号以降は市場に出回りませんし、200度摺という微妙な色合いゆえにかヤケのある作品が多く、完品の全種揃いはかなりハードルが高そうです。しかも発行当時のタトウも揃えるのは至難の業か・・、いくら早起きしても無理か??






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