夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

水郷小趣 酒井三良筆

2019-08-08 00:01:00 | 日本画
酒井三良の作品の作品を数多く所蔵していた叔父の影響なのか、はたまた同じ東北の出身ということなのか、本日は自然と?小生の元に作品が集まってくる酒井三良の作品の紹介です。本ブログで紹介した酒井三良の作品は10作品を超えました。

水郷小趣 酒井三良筆
紙本水墨淡彩額装 三越シール 共板
全体サイズ:横635*縦545 画サイズ:横390*縦300 F6号



酒井三良は福島県に生まれ、名は三郎、別号に梧水といいます。1897年に生まれ、昭和44年(1969)に歿しています。享年は71才です。

  

福島県に生まれた酒井三良は、はじめは坂内青嵐に絵の手ほどきを受けることになりますが、自らの求める画風との違いを感じ、会津に住み込み独学で絵画を描き続けた。院展で活躍する酒井三良は、その出会いを小川芋銭としています。将来的に院展の同人となる重要人物として美術界に名を馳せます。作品の多くはのどかな田園風景を郷土愛に満ちあふれた美しいタッチで情緒的に描く、美しい作品が多数あることで有名となります。



さらに、その淡く白みを基調とした作品はどこか繊細であり、緻密な表現力で描かれる日本人の琴線に触れるような作風が多くあるのが特徴でしょう。院展の結びつきは第31回院展に出品する「寒江」「菱湖爽涼」を出品したことに始まります。その出品の年の7月には銀座松坂屋での酒井三良展を開催と、非常に画家としても精力的に活動を始めたキッカケともなっています。しかし、住居を様々な場所へ移し、決して豊かと言えない生活を妻と一人娘を引き連れて過ごす酒井三良は横山大観の勧めで太平洋側ののどかな場所で暮らします。戦後、生活も徐々に安定していく酒井三良は自然と親しんでいた経験を元に、日本の風景や四季を愛しその風景を中心に描くようになります。



私の好きな作品に酒井三良が描いた「かまくら」という作品があります。雪国暮らしの経験もある酒井三良が描く「かまくら」は優しい灯火の中、かまくらの中で仲睦まじく過ごす家族の姿が描かれる、心温まる作品であり、グレーを基調とし、まさに雪国の温度を感じるかのような、独特の描写が特徴的です。



かまくらの入り口に並べられた、家族の履物がどこか郷愁を誘い、家族の暖かさを思い出させ胸を熱くさせるような郷土愛に満ちあふれた作品となっているのです。苦しい日々をくぐり抜けながら作品を描き続け、文部大臣賞などの受賞することになります。



本日紹介するこの作品はもともと軸装であったのでしょう。共箱の蓋がタトウに組み込まれています。このようなことはもともと軸装であった作品を額装に変える時によく行います。



三越美術部のシールがありますので、銀座の三越で買い求めたもかもしれません。小生の叔父が酒井三良の作品が好きで10点近く所蔵していました。下記の作品は高島屋にて45万で購入した作品です。

江村小趣 酒井三良筆
古紙水墨淡彩軸装共箱軸先木製 高島屋 
全体サイズ:横752*縦1368 画サイズ:横602*縦468



叔父が所蔵していた作品も今は叔父が亡くなり、所蔵していた作品も散逸しています。今では人気も薄れていますが、酒井三良が好きな御仁はまだいるのかもしれませんね。
 


私の蒐集には叔父の影響がかなり色濃くあります。子息らによって酒井三良ら多くの作品を散逸した叔父の収集品を惜しむ気持ちからという面が多々あります。



叔父の蒐集した作品に近づけるように日々努力していきたいものです。



本日紹介した作品などの当方の蒐集した作品はまだまだ叔父の蒐集した作品には足元にも及びません。



郷里の叔父の屋敷で正月や五月の連休、夏季休暇にはいつも叔父と小生、そして時には家内や母を交えて骨董談義やお薄を頂てい話しが盛り上がっていた頃が懐かしいです。



酒井三良の雪景や田園風景を描いた作品には生まれ故郷の福島の風土への回想が基底にあるで、小生の故郷への思いと波長が合うようです。



戦後に住んだ茨城の海浜風景や水郷をテーマにした水墨作品のひとつでしょう。



福田豊四郎、奥村厚一、酒井三良、小川芋銭らは一貫して生まれ住んだ地や自然を独特の筆致で描いている画家です。



日本の自然を描き続けた画家の作品をちょっと部屋に飾ってみたいと思いませんか?



そうすることによって自分の国、日本という国をもっと自然に受け入れることができるように思います。



都会の喧騒に紛れる日常の心を郷里の景色の中に戻してくれることでしょう。

 

今では知る人も少なくなった日本画家、酒井三良ですが見直してもよい画家の一人でしょう。



なお本日紹介した作品は「酒井三良展 ふるさとを描きつづけた画家」(2001年8月4日~2001年9月2日)に出品されています。



この展覧会は喜多方市美術館、やないづ町立斎藤清美術館 三島町交流センターやまびこで開催され、作品集が発刊されています。この当時は軸装であったようです。



この展覧会に出品された酒井三良の作品では当方で所蔵している2作品目の入手作品の紹介となります。











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