夜噺骨董談義

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三島由紀夫の岳父の作品 椿図 杉山寧筆 1950年頃

2024-02-09 00:01:00 | 掛け軸
杉山寧というと「文藝春秋」の表紙絵で著名で1956年4月から1982年6月までの26年間続いていました。また三島由紀夫の岳父であり、文化勲章を叙勲している画家ですね。

本日はその杉山寧のかなり大きな作品の紹介です。



三島由紀夫の岳父 椿図 杉山寧筆 1950年頃
紙本水着色軸装 軸先象牙 太巻誂 上共箱二重箱 
SINWA AUCTION出品作?
全体サイズ:縦1770*横868 画サイズ:縦590*横708



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杉山 寧:(すぎやま やすし)1909年10月20日~1993年10月20日)。日本画家、日本芸術院会員、文化勲章受章者。三島由紀夫の岳父。


東京府東京市浅草区浅草西三筋町(現在の東京都台東区三筋一丁目、二丁目西側辺り)に文房具店を営む杉山卯吉の長男として生まれる。本籍・神奈川県。父親が早くに他界したため母親に育てられる。

浅草育英小学校、東京府立第三中学校を経て、1928年(昭和3年)、東京美術学校(現在の東京芸術大学美術学部)に入学、松岡映丘に師事する。山本丘人、高山辰雄らと「瑠爽画社」(るそうがしゃ)を結成、日本画の革新をめざす運動に携わる。
1929年(昭和4年)、帝展に出品、
1931年(昭和6年)、美校日本画科卒、結城素明に師事。 
1932年(昭和7年)、第13回帝展に『磯』を出品して特選。 
1934年(昭和9年)、第15回帝展に『海女』を出品して特選。また、この年、第1回日独交換留学生に選ばれベルリン大学に学ぶ。だが1938年(昭和13年)に肺結核を病む。
1943年(昭和18年)、朝鮮満洲支那へ取材旅行。その後は病のために長く創作活動が止まる。
1947年(昭和22年)に日展特選、
1950年(昭和25年)、日展審査員。
1951年(昭和26年)に「エウロペ」を日展に出展して本格
的に画壇に復帰。以降、作風を一新した絵画を意欲的に発表
する。
1957年(昭和32年)、日本芸術院賞受賞、
1958年(昭和33年)、日展評議員。
1970年(昭和45年)、日本芸術院会員。
1974年(昭和49年)、文化功労者、文化勲章受章。

*1958年(昭和33年)6月、長女・瑤子が三島由紀夫と結婚。三島は瑤子を選んだ理由について「芸術家の娘だから、芸術家に対して何ら幻想を抱いていないこと」を挙げた。実際は瑤子は見合いの際に一目で三島を気に入り、結婚を強く希望した為に、両家話し合いの末結婚と成った(媒酌人は川端康成夫妻)。



1969年(昭和44年)に日展常務理事となり、1974年(昭和49年)に日展理事長に就任。この間、1970年(昭和45年)に娘婿の三島が割腹自殺。
1976年(昭和51年)、西ドイツより大功労十字勲章受章。
1977年(昭和52年)、東京国立近代美術館評議員。
1991年(平成3年)に東京都名誉都民になる。 
1956年(昭和31年)から1986年(昭和61年)12月号まで『文藝春秋』の表紙画を描いた。
1993年(平成5年)の誕生日の10月20日の午前0時5分、心不全のため没した(生没同日)。死後、従三位に叙せられる。墓は寛永寺谷中墓地にある。

*下記の写真はこの作品を描いた頃の杉山寧の写真(1951年頃撮影)



戦前は日本画の技法を極めた技巧で知られたが、戦後は岩絵具を用いながらも線描などの日本画の技法を一新し、メチエールにこだわった独自の作風を確立した。また、エジプトやインドなどの古代遺跡や神像、抽象画や裸婦など従来の日本画にはなかった題材も手掛けた。亡くなる直前まで、納得いくまで絵を修正し続けるなど完璧主義者としても知られた。

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本作品は1950年頃の文芸春秋の表紙絵を描くようになる前の作品と推定されます。



表具や収納箱の誂えは最高級となっていますが、欠損部分の補修や真田紐の欠損補填は当方にて行っています。





SINWA AUCTION:創業1989年。東京を拠点に、美術品全般などを年間定期開催しているオークションハウス。



作品中、箱書の落款と印章は下記のとおりですが、作品中の印章には「燕処」とあり、「燕」の字は「やすし」とも読めますが、これは老子から引用した言葉のようです。「例え名声を得ても安らかにしていて超然である。」という意味で、自分を戒めるためにもこの言葉を使ったのではないかと推定されています。

 

同時に描いた作品がなんでも鑑定団に出品されていました。評価金額が400万円・・・・??? 当方でのこの作品は8万円程度で入手していますが・・。

参考作品   「桃図」         
なんでも鑑定団出品作 2016年8月30日放送



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評価金額400万円:杉山寧の作品に間違いない。杉山といえば一番馴染みがあるのが「文藝春秋」の表紙絵(1956/4~1982/6)。依頼品はその表紙絵を描く以前の作品ではないかと思われる。桃が枝の折れたまま描かれているが(折枝画)、草木の全体ではなく一部分をクローズアップして描く中国宋時代・元時代を理想とした作品。印章には「燕処」とあり、「燕」の字は「やすし」とも読めるが、これは老子から引用した言葉。例え名声を得ても安らかにしていて超然であるという意味で、自分を戒めるためにもこの言葉を使ったのではないか。

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「なんでも鑑定団」では、ともかくあまりにも高い評価金額なので、いつもびっくりしますね。

なかなかいい作品なので、当方では大切に保管したいと思っています。このような佳作はなかなか入手が難しい・・。

2024年7月に染み抜きして締め直しの改装が完了しています。

































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