夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

二天女 杉本健吉筆 その13

2021-10-04 00:01:00 | 日本画
台風一過、週末は芋ほりです。



今回はサツマイモ・・・・、よっこらしょと・・・。



作行きはいまひとつだが・・。



たまにはでかいのがあるし、教育は畑が一番か・・・。



さて本日の作品は杉本健吉の作品の紹介です。杉本健吉は東大寺と深く関わったせいかどうかは知りませんが、小さなかわいい天女や華精らをよく描いいます。



本日の作品はそのひとつですが、よく見られるのは版画や印刷らの作品で、肉筆画は非常に数が少ないようです。



二天女 杉本健吉筆 その13
紙本淡彩額装 F4号 左下サイン 共シール
全体サイズ:縦460*横570 画サイズ:縦260*横310



額の裏面には「阪神百貨店 1971年7月16日」と記されています。

 

阪神百貨店:エイチ・ツー・オー リテイリング株式会社傘下の株式会社阪急阪神百貨店が運営する百貨店。 また、株式会社阪神百貨店(英語: The Hanshin Department Store, Ltd.)は、2008年(平成20年)9月30日までこれを運営していた企業である(法人としては解散)。

杉本健吉の晩年には杉本美術館がある美浜町の海岸でスケッチする杉本健吉がよく見受けられたそうです。美浜町の隣、武豊町には古くから浦島太郎伝説が語り継がれているそうですが、天女の羽衣伝説もあるようですが定かではありません。そんな思いとともに筆をめぐらせたかのような楽しそうに踊る可愛らしい天女が描かれています。



羽衣伝説:世界各地に存在する伝説のひとつ。多くは説話として語り継がれている。日本で最古の羽衣伝説とされるものは風土記逸文として残っており、滋賀県長浜市の余呉湖を舞台としたものが『近江国風土記』に、京都府京丹後市峰山町を舞台としたものが『丹後国風土記』に見られる。 日本の他の地方での羽衣伝説はこれら最古の伝説が各地に広まりその地に根付いたものと考えられる。天女はしばしば白鳥と同一視されており、白鳥処女説話(Swan maiden)系の類型とみなされる。これは異類婚姻譚の類型のひとつで、日本のみならず、広くアジアや世界全体に見うけられ、天女をその部族の祖先神とみなす小規模な創世神話の型をとる。世界の逸話の共通点として、基本的な登場人物に「羽衣によって天から降りてきた天女」、「その天女を我がものとする男」の2人が挙げられる。同様の伝承は世界各地に残り、発祥はインドのプルーラブアス王の説話であるとする説もあるようです。



羽衣伝説のストーリー

1.水源地(海岸・湖水)に白鳥が降りて水浴びし、人間の女性(以下天女)の姿を現す。

2.天女が水浴びをしている間に、天女の美しさに心を奪われたその様子を覗き見る存在(男、老人)が、天女を天に帰すまいとして、その衣服(羽衣)を隠してしまう。

3.衣類を失った1人の天女が飛びあがれなくなる(天に帰れなくなる)

日本の羽衣伝説では、ここから近江型と丹後型でわかれる。

近江型(昇天型)
1.天に帰れなくなった天女は男と結婚し子供を残す(幸をもたらす)。
2.天女は羽衣を見つけて天上へ戻る
3.後日談(後述)

丹後型(難題型) 1.天に帰れなくなった天女は、老夫婦の子として引き取られる
2.天女は酒造りにたけ、老夫婦は裕福となる
3.老夫婦は自分の子ではないと言って追い出す
4.天女はさまよった末ある地に留まる(トヨウケビメ)

羽衣の隠し場所穀物の貯蔵場所 :蔵、おひつ、ワラ束の中、カマド、ナガモチ植物の植えてある場所 :畑の中、花の中、藪の中 珍しい所では、大黒柱の中というものもある。これらの隠し場所は、天女に豊穣霊あるいは穀霊としての側面があった為と考えられる。



後日談

地域によりかなりの差異が認められる。幾つかのパターンとしては
昇天型 :羽衣を見つけた天女が、夫を捨てて天にかえってしまう。子供を一緒に連れて行く場合もある。
難題型 :天女の父が難題を出す七夕伝説に連続する。焼畑農耕地帯との関連が指摘されている。山間部に多い。
七星型 :北斗七星のうちの1つのぼんやりしたものが泣き暮れている天女とする。なお、日本では沖縄県(北限奄美大島)にのみ存在。世界的には東南アジア、中国南部などに存在する。
再会型 :九州地方に多い。稲作農耕地帯との関連も考えられている。夫と相思相愛になった天女が、天の父に夫を認めてもらうため、夫を助ける。
などがある。

「天に帰れなくなった天女は男と結婚し子供を残す(幸をもたらす)」がないケースもある。

*画中にはサインのみですが、裏面には共シールが貼られています。

 

杉本健吉が天女などを題材にした小作品は数多く遺っていますが、工芸品が多く肉筆画として残っている作品は数が少ないようです。同じような索引は本ブログでは下記の3作品が紹介されています。

華精 その1 杉本健吉筆 その9
紙本水墨淡彩軸装 軸先練 共箱
全体サイズ:縦1235*横450 画サイズ:縦430*横320



落款には「昭和癸卯(みずのと う)健吉□之 押印」とあり、昭和38年(1963年)、杉本健吉が58歳の時に描いた作品と思われます。


華精 その2 杉本健吉筆 その7
紙本水墨淡彩額装 F4号
全体サイズ:縦510*横410 画サイズ:縦330*横240



琵琶童女 杉本健吉筆 その6
紙本水墨淡彩軸装 軸先象牙 共箱
全体サイズ:縦1280*横440 画サイズ:縦390*横300



可愛らしい杉本健吉の作品は意外に人気があるようです。

さて、かわいらしい子供と畑に出よう・・。


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2 コメント

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Unknown (tkgmzt2902)
2021-10-04 07:21:54
こんなに軽やかな天女を初めて見ました。
タッチがスバらしくて、目の奥に留まっています。
豊穣霊・・・サツマイモヽ(^o^)丿ですね。
時々拝見する息子さんの成長が、またいいですねぇー!
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天女 (夜噺骨董談義)
2021-10-05 05:24:59
コメントをありがとうございます。
杉本健吉の天女の作品を気に入っていただき嬉しく思います。
今後ともよろしくお願いいたします。
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