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本日からは九州に出張です。これから遠距離の出張が多くなり、ブログの記事もままなりませんが、なんとか頑張ってみようかと思います。
さて、本日の作品は古染付の作品です。古染付は生産から時が経つにつれて徐々に日本の茶人の注文によって制作されるようになったとされています。上質のコバルトを使っているので、透き通るような青を醸し出し、釉薬も透明感が極めて強いとされています。
古色を付けたかのように汚れたままにしてある古染付の作品をよく見かけますが、本来は古染付の作品はきれいにしておいたほうがいいでしょう。本日の作品も入手時は汚れていました。
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古染付 山水文勾玉型三足付向付 五客揃
合箱
最大幅約160*最大奥行約110*高さ約36
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中国では元来、小皿の形の多くは円形をなしており、古染付でも円形の小皿は多くみられますが、その他にも様々な器形がつくられています。
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十字形手鉢・木瓜形手鉢・扇形向付といったものは織部に見られる器形であり、日本から木型等を送り注文をしていたのではないだろうかとも推測されています。
轆轤を専門としていた景徳鎮において、手捻ねりへの突然の変更は難しいものですが、注文に応じていくうちに更に独創的な形(菊形・桃形・柏形・魚形・馬形・海老形・兎形)を生み出し、古染付独自の器形をつくり上げていったことは確かであるとされます。
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古染付は土青による濃青な発色をうまく使い、様々な器形に合わせて絵画的な表現を用い絵付を行っています。
それまでの型にはまった様式から一歩踏み出し、自由奔放な筆致で明末文人画を例にとった山水や花鳥、羅漢・達磨など描いている作品です。
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天啓で使われていた陶土は決して上質のものではなく、そのため焼成時に胎土と釉薬の収縮率の違いから虫喰いが生まれてしまいます。
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官窯から移行した時期に世情が不安定になり、民窯となった頃には胎土となる良土が不足し、採掘に費用やリスクがあるために、浅い部分の土を胎土として使用したためとされます。
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口縁部は釉が薄く掛かるために気孔が生じて空洞となり、冷却時にその気孔がはじけて素地をみせるめくれがのこってしまう。本来、技術的には問題となるところを当時の茶人は、虫に食われた跡と見立て日本人は茶事や煎茶において鑑賞の対象としています。古染付特有の特徴であることも知られますね。
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本作品の魅力はその器形の面白さでしょう。五客が揃っているのも今となっては貴重です。
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裏面には銘がありません。古染付には「大明天啓年製」「天啓年製」あるいは「天啓年造」といった款記が底裏に書かれていることがあり、この他にも「天啓佳器」といったものや「大明天啓元年」など年号銘の入ったものも見られますね。
また年号銘でも「成化年製」「宣徳年製」など偽銘を用いた作例もあり、優品を生み出した過去の陶工に敬意を払いつつもそれまでの様式にとらわれることはなかったようです。これら款記は正楷書にて二行もしくは三行であらわされるのが慣例とされていましたが、款記と同じく比較的自由に書かれており、まるで文様の一つとして捉えていたようにも思えます。それ以前の景徳鎮では、このように自由な作例はみられず、民窯であったからこそ陶工の意匠を素直に表した染付を生み出すことができたのでしょう。
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本作品は明末というより清朝初期の頃と推測されます。古いということで下記の写真のように古く見せている御仁が多いのかな?
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これは簡単にきれいになります。
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すべての器がきれいになりました。
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器は使ってみる、飾ってみるのがいいですね。戸棚に大事そうにしまっておくのはもったいない・・・。
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さて何に使おうか? このような器を自由に使えるのは所蔵者の醍醐味で、今までいくら高級な料亭でもこのような器を使っているのを見たことはありません。
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5客揃っている勾玉状の古染付の作品は非常に少ないでしょうし、使うのが愉しくなりますね。