腐れゲー道

プレーしたゲームの感想文を、ダラダラと粘着質に綴ります。

妖怪ウォッチ

2016年11月28日 01時28分30秒 | ニンテンドー3DSゲーム感想文
【ハード】ニンテンドー3DS
【メーカー】レベルファイブ
【発売日】2013/7/11
【定価】4937円(税込)
【購入価格】540円(中古)(税込)
【プレー時間】53時間

ゲームっちゅうもんは、商品だ。商品だから当然、それを売りたい相手、訴求対象というものを想定して作られる。多分。
「万人受け狙い」と口にするのは簡単だが、これは非常に大変で欲張りな文句であり、最初から目指そうとするのは馬鹿だ。多分。
尤も「結果的に万人受けする」ことはあるから、そう夢見て作るのも間違いじゃないだろうけど。……た、多分。
まぁ実際にわざわざターゲットを公言することは少なく、基本的にどんなゲームでも「色んな人に遊んでほしい」と作り手は言う。
それでいて、本当に買ってほしい層、狙い撃った層は確実にある。そうすることで対象以外の層を遠ざけることがあっても、だ。
雲を掴むような万人向け狙いでターゲットを広げてコケては意味がない。ゲームは商品、売らなければ食えない。当たり前だな。

んで俺。「自分はメーカーにとってどんな『層』なのか?」てことはたまに考える。何らかのカテゴリには居るだろう。多分。
……つっても、実際はその層にいないんだろうな。だって「これ俺のためのゲームやん!?」なんて思うことないし。はぁ。
ゲームに対しては一応「何でもやる」「全部やりたい」なんて言ってるが、改めて考えると結構好き嫌いは多い。そんなもんだ。
ザッと並べてみると

・中高生向け→余裕でプレー可能。そりゃ俺は中高生じゃないけど、まだ若いし。若いし。感性ついて行ってるし。ナウいし。
・大人向け→もちろんプレー可能。だって俺大人だし。チン毛生えたてのガキには分からんゲームでも分かる。アダルツだし。
・女性向け→これはちょっと……特に腐向けは金貰ってもやらんレベル。それ以外も正直興味は薄く、自主的にはまずやらない。
・子供向け→普通にプレーするが、ここまで来ると年齢差で躊躇する所もある。あとどこか「子供騙し」と侮っている部分も?
・壮年~老人向け→今現在は殆どない(多分)が、今後このユーザー層が増えれば自然に登場するだろう。どんな内容になるか……?

てとこか。ファミコン時代は明確に子供の玩具だったが、随分と多彩になったもんだ。その全容は今やもう誰にも分からない。
さて、様々な対象に向けられた各種ゲーム。その方向性により、俺がプレーに至る道は下り坂にもなれば高い壁が立つこともある。
が、その壁が一気に崩れる場合がある。「大ヒット」だ。作品がバカ売れし、話題を呼べば、訴求対象以外の耳にも自然に届く。
そうなればしめたもの。「話題になってる」はいつの時代も最強級の武器だ。「話題だからやってみた」というアリバイも作れる。
世間にはこういうミーハー行為を唾棄する「特別な人間」も多いが、放っておこう。作品に至る動機が増えるのはいいことなのだ。
大ヒット作には「品質保証」という有難いマークも付く。「大ヒット駄作」はあり得ない。もちろん自分と合わないことはあるが。
結局のところ、普段やらないタイプの作品をプレーするのは、この動機が一番自然だと思う。いやもう「これしかない」かもしれん。
だって、普通に生活してたら縁がない世界なんだから。逆に言うと、話題性が大きければ、縁がない世界もグッと近づいてくるのだ。

いつものグダ前置きはこの辺で。「妖怪ウォッチ」である。このタイトルを知らん日本国民はまずいまい。SSS級の大ヒット作だ。
発売は3年前の夏。発売当初の売上は大したものではなく、そこそこ売れてすぐランキングから消えた。「普通の」ゲームだった。
それが年が明けてアニメ版の放送が始まると、その面白さが話題を呼び、やがてゲーム版の売上を復活させることとなる。
その相乗効果は凄まじく、ゲーム版はミリオン目掛けてガンガン数字を重ねていった。そして、初代から1年後、続編の「2」が登場。
いやぁ、もう言葉もない。圧倒的、異常、日本全土がハルマゲドン。2014年、妖怪ウォッチは日本最大のヒットコンテンツとなった。
さすがにここが人気のピークで、更に2年が経過した今では、大分落ち着いてきている。が、決してオワコンではない。安定状態だ。
「ヒット作を作る」……制作者の9割9分9厘が狙って、成し得ない夢。レベルファイブは、日野社長は、それを何度も達成している。
「内容ないけど商売だけは上手いなww」「すぐオワコンになるけどなww」なんて僻み全開の冷やかしを嘲笑うかのように。
とことん凄い会社である。妖怪ウォッチの今後や、新企画「スナックワールド」から目を離せない。……随分遅れてるようだが。
はぁ。

んで妖怪ウォッチ、今更言うまでもなく、この作品は「子供向け」である。社会現象は起こしたが、対象はあくまで子供だった。
だが「子供向け」は結局「親が買う」んだから、作中には親へ向けたネタも多数入っているらしい。特にアニメ版には。
それも大ヒットの要因になったと思われる。「子供だけ」と「親も一緒に楽しめる」では大違いだからな。全く見事な戦略だ。
とは言っても、俺はそのどちらの層にも属していない。まして「子供向け」からは遠ざかる一方だ。……それでいいんだけどね。
今のガキなんて俺にとっては地球外知的生命体と変わりはない。何が普通で何が好きで何を楽しんでいるのか、想像すら出来ない。
だから今作も、近いようで遠いゲームだった。ゲームはともかくアニメの一話くらいいつでも観られるのに、そうしなかった。
……が、俺はこういう流れで、過去痛いミスを犯してるんだよね。「ポケットモンスター」である。もう20年前になるのか。はぁ。
ポケモンは妖怪と同じかそれ以上大ブームを巻き起こし、また明確に「子供向け」だった。それゆえに、近くて遠いゲームだった。
当時はゲーム機の進化が心地よい時代であり、「今更GBはなぁ」「ガキ向けはなぁ」という、外装で侮っていた面も正直ある。
まさか数十年もの、任天堂の看板タイトルにまで成長するとは想像できなかったしね。一応初代はプレーしたはずだが。
続きものは、初期に触れていないと、後で手を出しづらくなる。俺はゲームで何度もその経験をしている。情けない限りである。
妖怪ウォッチはまだ若い。今なら初代でもそう古くない。あんまよろしくないが、中古で安くなってた。うむ、やってみよう。
合わなきゃ合わないでOKだ。現代の子供向けゲームとは? 子供達の感性とは? ゲームが世の中を教えてくれるであろう……。


プレーを開始。……しばらくして「意外と普通だな」と思う。いい意味だ。謎の生命体「最近の子供」向けのはずが、俺にも分かる。
もしかしたら俺に理解不能なキャラ・言動・価値観が跋扈する怪奇ゲーではなかろうかとビクビクしていたが、全然そうではない。
夏休みを舞台に、少年が虫かごと網を持ってチャリで町を走る……無論妖怪というフィクションはあるが、実に普遍的な題材だ。
ジャンルは、RPGである。システムは古くからあるタイプだ。移動、戦闘、経験値と金、レベルアップ。装備の概念は薄いかな。
フィールドは広く、メインシナリオの脇に膨大な数のサブクエストを配置している。ここは現代的な作りだな。。
広いと言ってもフィールドは踏破出来ない程でもない。だが構成はかなり入り組んでいて、探索にはそれなりの手間がかかる。
俺の知る限りだと、プレー感覚は「龍が如く」に近い。比類なき大人向けヤクザゲーと今作に似た所があるのは面白いものだな。
だがプレー密度に関しては、こちらの方が上であろう。とにかくやることの洪水。メインにサブクエストに収集にと、途切れがない。
メイン進行中、クエスト発見→妖怪が必要→友達にするため移動→新たなクエストに遭遇→また別の妖怪が必要→繰り返し て感じ。
「やることが多い」は基本的にいいことだが、こんだけ多いと何が何だか分からなくなる……のが普通だが、心配ご無用。
今作にもレベルファイブ伝統の親切なナビシステムがあり、特にメインシナリオの次の目的地は常時表示される。迷うことはない。
この配慮には「親切過剰」「白ける」という声もあるようだが、アクションゲーの手助けと違い、別にインチキではない。
プレーヤーのメモ作業の代行だ。今作の場合、この配慮のおかげで、要素の多さに「楽しく困る」ことが出来た。これは大きいよ。
思う存分、気の向くままに、広い町を足でチャリで駆け回る夏休み。やることなすことてんこ盛り、明日は何をしようかな。
いやぁ、このゲーム、端的に言って面白いよ。大ヒットの要因はあっさり理解出来た。妖怪ウォッチ、売れて当然のゲームだった。

今作の肝となるのは、言うまでもなく「妖怪」である。何はなくとも、多彩な妖怪を集めなければ話にならない。
そのためには、戦闘である。イベントで加入する妖怪も少しはいるが、基本的には戦闘で敵の妖怪を友達にすることになる。
具体的にはどうやって? 「戦闘終了後、敵が起き上がってくれれば」である。そう、比類なき「ドラクエ5」方式だ。驚いた。
戦闘中に敵に賄賂(食べ物)を渡すと起き上がり率を上げられるので、「ドラクエモンスターズ」の方がより近いかもしれん。
……ドラクエ5の頃から不思議なんだが、何故戦闘でボコボコにしたのに、元気満タンで仲間になる余裕があるんだ? 
毒針で急所突いても、ザラキ決めても起き上がってくるしなぁ。今作でも傷一つない姿で加入する。化け物だ。妖怪か。はぁ。

俺は何を隠そうドラクエ5大好きで、SFC版では全モンスターを集めたほどだ。履歴書に書いてもいい俺の誇りである。多分。
だから今作の起き上がり加入システム……早い話が運加入も、自然に馴染めたし楽しめた。ダメだったらもう一回戦えばいいんだ。
……が、序盤はそれでよくても、中盤からはだんだんしんどくなってきた。起き上がり率がどんどん下がる。友達になってくれない。
妖怪には肉や野菜等の好みがあり、適した品を渡すと加入率は上がる。またパーティに入れることで加入率を上げる友達妖怪もいる。
これらの要素を駆使して「思い切り加入率を上げてる」はずなのに、起き上がってくれない。無情にも彼が死んだまま戦闘が終わる。
今作は良くも悪くも妖怪の数が非常に多い。一匹がなかなか友達になってくれないと、これは結構なストレスになってしまう。

こういう時はダラダラと戦闘を繰り返し、気長に待つのがいい……のだが、今作はそれが出来ない。戦闘するにも手間がかかるのだ。
フィールドでは「木」「車の下」「電柱」等がスポットとして拡大表示出来るようになっていて、そこに時々妖怪が潜んでいる。
プレーヤーは妖怪のいる場所でボタンを押し、まず拡大表示する。更に妖怪ウォッチの機能で妖怪を発見し、特定し、やっと戦闘だ。
ドラクエ5のように「フィールドを移動していればランダム戦闘が発生」するのではない。ここが「繰り返す」のに厳しいのだ。
それでも目当ての妖怪が潜んでいればいいんだが、それ自体もランダムで、どこを探してもいないこともある。お手上げだ。
こうなるとフィールドを切り替えたりしてフラグを立て直すしかない(多分)。非常に面倒臭い。もっとダラダラやらせてよ。
更に妖怪の中には「レア」ものもいて、そいつらはより出現率が低い。正直とてもじゃないが集める気になれないレベルだ。
起き上がり率はいいとしても、試行に関してはもう少しダラダラやれる仕様にしてほしかった。ここは強く不満に思う。
せめて終盤には、特定の妖怪と好きなだけ戦える場所等を用意してほしかったな。うーん……。

もう一つ、「目当てと違う妖怪が起き上がってくれる」のにも困らされた。今作の敵は、殆どが3人パーティで挑んでくる。
だが起き上がり友達になってくれるのはうち1体だけ。つまり目当て以外の妖怪が起き上がると、目当ての妖怪のフラグを潰すのだ。
ちなみにドラクエ5では「最後に倒したモンスターのみ」が起き上がり対象だったが、今作は違う模様。細かいことは分からんが。
そしてドラクエ5では「既に仲間にいるモンスターは加入率が下がる」調整だったが、今作にそれはない。寧ろ上がる? と感じた。
もう友達になってる妖怪と、欲しい妖怪がパーティになって登場すれば、アホみたいに既出妖怪が起き上がってくる。何でやねん。
同種妖怪の加入上限もあるのかないのか、3匹でも4匹でも増やせる。起き上がり率が下がる様子もない。もう、君、いいから。
「友達になりますか?」と問われても断りたくなったよ。この調整はどうかと思う。既存妖怪の加入率は下げてよ、マジで。
戦闘後のボタン送り→フィールドに画面が切り替わらない→キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!→既出妖怪だった のガッカリ感は異常。
妖怪集めは今作の核になる要素だが、何気に厳しい作りであった。まぁゲームで強制はされないから、これでいいのかもしれんが。

妖怪は戦闘後、起き上がって友達になる。まずは戦闘で勝たなければならない。友情も強さが大前提。それが世の理だ。
戦闘で戦うのは主人公ではなく、仲魔……いや仲間……いや友達である妖怪達だ。主人公、見てるだけ。……それでいいのか?
まず戦闘参加=常時連れ回せる妖怪は、6匹で固定。その6匹を円状にセットし、半円の3体が戦うことになる。残り3体はサブ。
円状配置というのが肝で、下画面のサークルを回すことで、いつでも前衛の3体を切り替え可能。後衛は一切攻撃を受けず、安全。
基本は最強の3体で戦い、HPが減ったり呪いを受けたりしたら後衛に回して回復、ってのが今作の戦闘の流れだろうか。
取り立てて斬新ではないが、まぁ普通に面白い。あと前衛の種族が同じだと特殊効果が発生したり、火水風等の属性要素もある。
「たたかう」を選べば妖怪達は全自動で行動する。殴る・魔法・呪う・ガード・サボる を「性格」によってテキトーに使い分ける。
HPが少ないからガードしようとか敵が硬いから魔法にしようといった思考要素はないようで、実にテキトーに動く。友達とは……。
主人公はただ只管に見ているだけ。……何と言うか、シュールな光景である。一応指示は出してるって設定なのかな……。

戦いは全自動で進むが、プレーヤーの介入要素ももちろんある。サークル回転や回復アイテムの使用は頻繁に行う必要がある。
今作の戦闘は回復関係がシビアだ。被ダメージが大きめで、回復魔法を使う妖怪がいなければ、基本的にアイテム使用しかない。
だがアイテムは一つ使うとしばらく使用不可能となる。いつでも幾らでも注ぎ込めるわけではないのだ。
強敵相手だとアイテム使用が間に合わず押されて負けることもよくある。タイミングを計り、適切な品を使う必要がある。
また敵の攻撃には「呪う」があり、かかってしまうと、徐々にHPが減ったり動きが鈍ったりといったマイナス状態に陥る。
これは後衛に回って「呪いの回復」というミニゲームをやって解く必要がある。呪いの強力な敵だとてんてこ舞いになる。
……とまぁ全体的に、自動の手軽さと介入要素がバランスよく混ざってると思う。子供向けとしてはこれでいいのだろう。
深く攻略する余地があるのかは……分からん。俺は順当に、レベルを上げて先に進んでいった。これでよかったと思う。

戦闘に関しては「無難に纏まってる」と思うが、不満なのが「連れ回せる妖怪の少なさ」だ。単純に、6匹しか同行できない。
それ以外の妖怪は全員お留守番で、経験値を一切貰えない。当然成長はせず、レギュラーとの力の差は開く一方だ。
メンバー変更は拠点でのみ可能なので、どうしても固定しがちになる。ちなみに変更のインターフェースが悪くて非常に使いづらい。
妖怪の数は非常に多く、それぞれが個性的なスキルや必殺技を持っている。色々使いたいのに、システムがそれを阻む。
もうちょっと気軽にメンバー変更が出来るようにすべきではなかったのか。せっかく色々用意してくれてるのに非常に勿体無い。
俺も大半の妖怪が「友達にはなったものの一度も戦闘に参加せず」で終わった。なんて儚い友情だ。ネット時代を表現してるのか。
それだと戦闘バランスが温くなるかもしれんが、今作の場合それよりも「多彩な妖怪と遊ぶこと」の方が大事だと思う。
ちなみに俺は序盤で「ギャクジョウウオ」というレア妖怪が運良く手に入ったので、コイツを軸にゲームを進めた。
見た目が気に入った妖怪はたくさんいて、本当はもっと色々使いたかったんだけどね。何せたった6匹枠だからね。はぁ。

妖怪はE~A、そしてSのランク分けが為されている。もちろん上に行くほど強い。……のだが、戦闘参加の場合そう単純ではない。
ランクに関係なく妖怪のレベルは1~99まであり、Sランクだろうと低レベルではかなり弱い。即戦力の強者は殆どいない。
もちろん鍛えていけばいずれ逆転するが、そこを補う低ランク妖怪専用の強化装備なんかもあり、割とどうにでもなる。
ここは「強い奴ではなく好きな妖怪を使ってね」という制作者の意図を感じられて好感を持てた。うん、そうでなくてはな。
……そうしたいんだけど、枠の少なさがね。面子が固まった後にお気に入りが加入しても、正直使えないよ。うーん……。

物語。ごく普通の小学生である主人公は、ある日神社で妙なガチャガチャを発見する。そのまま謎の声に導かれ、100円入れて回す。
……このガチャガチャ、「妖怪コイン」というアイテムでないと回せないはずなんだが、何故最初は100円玉でOKだったんだ……?
まぁそれはともかく回し、出てきたカプセルを開くと、かの執事妖怪「ウィスパー」が大登場。うぃす! 関智一さん大活躍!
ウィスパーはこの世が妖怪だらけであることを教えてくれ、更に彼らが見えるようになる「妖怪ウォッチ」をプレゼントしてくれる。
執事妖怪ということで、そのまま世話係として同行。かくして主人公と周囲に溢れる妖怪との不思議な関係が始まるのであった……。

出たしはいいね。ちなみにウィスパーは、今作で唯一「妖怪大辞典」に載らず、戦闘にも参加しない。異例中の特別な存在である。
妖怪ウォッチの象徴と言えばジバニャンだが、ゲーム的に特別扱いされているのは明らかにウィスパーだった。うぃす! うん。
ちなみにジバニャンは、イベント加入妖怪ではあるものの、普通にパーティから外せるし、それどころか合成素材にもなってしまう。
と言っても後に雑魚敵として登場するから、再加入させることも可能なんだけどね。……こういうの、どうなんかなぁ。
ジバニャン以外も、大半の妖怪は雑魚敵として幾らでも登場し、複数と「友達」になれる。けど妖怪って、個別の存在じゃないの?
妖怪大辞典には妖怪達の成り立ちが書かれているが、「種」として多数いてもおかしくない奴もいるが、大半は個体だ。多分。
ジバニャンは「交通事故に遭って地縛霊になった猫の妖怪」だ。そりゃ交通事故で死ぬ猫は多いだろうが、姿は皆違うだろう。
ちょっとツッコミが野暮ではあるが、「同じ妖怪が幾らでもいる」ことは、今作をプレーしていて最後まで引っ掛かったところだ。
何かしら不思議パワーな理屈を用意してほしかったと思う。妖魔界の乱れのせいで妖怪達が分裂してしまったとか。うーん。
あとジバニャンは確かに可愛いが、種類増やして遊びすぎやね。トゲニャンワルニャンロボニャンブシニャン……多すぎだろ。
初代からこんなことしてたんかとちょっと呆れてしまった。ふざけるのもいいけど、世界設定は大事にしてほしいなぁ……。

妖怪達は人間に取り付き、良かれ悪かれ様々な影響を及ぼす。主人公は妖怪ウォッチでそれを知り、トラブルを解決していく。
悪さをしている妖怪を退治することもあれば、逆に妖怪の力を借りてトラブルを解決することもある。面白い世界である。
今作は「雰囲気」が素晴らしい。ごく普通の町並みに妖怪が溶け込んでいる……その不思議さ、可笑しみが実によく表現出来ている。
妖怪と言っても「だるだるま」「むりかべ」といった駄洒落ネタが多く、引き起こされる迷惑もそんな深刻なものではない。
殺伐としていない。トラブルだらけなのにほのぼのしているという素晴らしき矛盾。この雰囲気は今作で一番凄いとこかもしれん。
……その意味では「戦闘」要素が、この極上の雰囲気を邪魔しているとも言える。どんな妖怪でも戦闘能力を持ってるんだからなぁ。
アニメではそんなことないけど、ゲームではどの妖怪も戦闘を期待される。これはぶっちゃけ今作の世界設定に合ってない。
まぁ難しいとこだわな。戦闘参加妖怪と、サポート専門妖怪等に分ければよかったかも。うーむ……。

そして雰囲気作りに成功している今作は、相乗効果でサブクエストもとても良かった。つっても面白かったわけではないが。
どういうことか? サブクエスト……「〇〇を〇個持ってきてくれ」「××を倒してきてくれ」なアレだ。最近のゲームの常識だ。
メインシナリオとは無関係に用意されてるこれらクエスト、多くのゲームで採用されていることから、やはり好評なんだと思う。
俺自身も好きだ。チクチクとクエストを埋めていくのは、ゲームの古典的な楽しみに通じるものがあると思う。……まぁ、多分。
だがクエストには弱点がある。「つまらない」ことだ。埋めることは楽しいが、イベント内容自体はどれも実につまらない。
各種タイトルについて語る際、「あのサブクエストは印象的だった」と語る人を見たことがない。誰もそんなもの覚えてないから。
メインシナリオに絡まず、内容もただの仕事のようなものばかりだから、印象に残らない。当然、そんなのが面白いわけがない。

今作でも内容が面白くないのは同じだ。……が、今作の場合「世界設定に完璧に溶け込んでる」という比類なき特長があるのだ。
他作品のクエストは、内容が本編とはまるで関係ないものになりがちだ。だが今作ではほぼ全てが「妖怪ネタ」なのである。
妖怪のトラブルだったり、トラブルを妖怪の力で解決したり……これは「妖怪ウォッチ」のテーマそのものである。関係あり過ぎる。
よって膨大なサブクエストが全て「世界設定を補強」する効果を持つ。やればやるほど世界に浸れて、親近感を持てる。素晴らしい。
ここまで計算していたなら、やはり日野晃博氏は神としか言い様がない。実に見事なゲームデザインである。
そして前述のように、メインシナリオのガイドが常に表示されるから、サブにかまけて本編に迷うようなこともない。
ちなみに時間制限もない。好きなように好きなだけ好きなことをやれる。まさに、子供の頃の夏休み。……ちょっと切ない。はぁ。
サブクエストは見つけられるものは全てやった。正直メインを進めるよりサブクエダラダラの方が楽しかったかもなぁ……。

そう、メインシナリオ。実はこちらがよろしくない。つまらないというか淡白と言うか、何も残らなかった。
シナリオは、妖怪騒動を解決しているうちに、妖魔界」の大物が人間界支配を企んでいることを知り、それを阻止するという流れだ。
それはいいんだが、とにかく薄い。メイン上のトラブルも、ラスボスとの対立の流れも、対決も、EDも。あっさりし過ぎである。
そしてこれは原因がハッキリしている。今作は、主人公を男女で選べるのだ。男ならアニメ版のケータ、女ならフミちゃんになる。
しかし選べるといっても、完全別シナリオを二種用意なんて出来るわけがない。細部こそ違えど、ほぼ共通のものになってしまう。
両親の喧嘩を解決するのも同じ。父の会社に書類を届けにいく時も、、両者の父が同じ会社で働いてるというご都合設定である。
級友と絡むこともあるが、これも非常に淡白で、イベントを通して友情を深め合うって感じがしない。サブクエストの一種レベル。
大体、小学五年にもなったら、男女間の壁は非常に厚くなる。絡むにしても、絶対に色恋方面になる。友情描写には無理がある。
正直、主人公は男の子だけで良かったと思う。……それだと女児ユーザーを掴めないのかなぁ。その辺は俺には分からんが。
収集要素には虫取りと魚釣りがあるが、小5女児がそんなことするか? という違和感もある。虫なんて寧ろ大嫌いじゃないのか?
設定をどっち付かずにしたことで、非常にどっち付かずのシナリオになってしまった。ここは大きな不満だな。うーむ。

シナリオが薄いから、「主人公の成長」もあんま感じられなかった。色々やっていたが、彼はちゃんと経験を積んでたのかね。
そもそも戦闘もイベントも、全部妖怪頼みだからなぁ。「俺の友達、出てこい!」で終わり。これではなぁ。
ただ、行動自体はかなり凄いガキである。「バク」を代わりに眠らせることを覚えたら、延々夜遊びをするようになる。
また自転車を買ってもらうと、街中を階段以外はどこででもチャリでぶっ飛ばす。歩道も店の前も堤防も彼の暴走を止められない。
深夜の波止場の先までチャリで走り回る姿は「これ、子供にプレーさせていいのか?」と真剣に思った。ヤバいよこの子。不良だよ。
町ではオブジェクトとして車が走ってるが、もちろんお構いなし。対向車線からチャリで突っ込んで車に止まらせる。ヒィいいい。
ゲーム中、結構マジに「ヤベッ、死にかけた、てか死んだ!」と思ったもんな。ほんまこれ、年端もいかぬ子供にやらせていいのか?
未就学児がプレーして、変に影響受けたらどうしよう、という妙な心配をしてしまった。大丈夫なんだろうか。まぁ知らん。はぁ。

グラフィックは、極めて良好と言っていいだろう。町並みもキャラも理想的な仕上がりで、何気にとても感心させられた。
広すぎず狭すぎず、複雑すぎず簡素すぎないマップの作りも見事だったな。「普通に凄い」と思った。スタッフの力量を感じた。
見た目が良ければ、ゲームに浸りやすい。グラフィックは大事である。単純ながら一番大事なところを抑えているのはさすがだな。
音楽も、場所や場面に合っていて良好だった。ちなみにアニメ版でも流用されてるから、元からその予定だったのかもしれん。
特にボス戦の曲が気に入った。今作らしくちょっと不気味で、しかし燃えられる良曲だった。やっぱRPGは中ボス戦曲なんだよなぁ。
ゲーム内容に凝るだけでなく、「ガワ」の重要さを熟知し、キッチリ仕上げる。当たり前のことを当たり前にやるから、勝つのだ。
やっぱ凄いな、レベルファイブ。そして妖怪ウォッチ。売れるものには、理由がある。売れるものは、凄いのだ。うん……。

ふぅ。俺の妖怪大辞典は、埋め率63%。これでも相当頑張ったんだが……完成は遠すぎる。この辺で諦めることにする。
メインシナリオクリア後もプレーを続け、各種隠しボスは鬼以外全部倒したから、まぁいいや。十分に楽しめたよ。
……あーそうだ、クリア後の要素が多く、その存在がED前から露骨に分かるのはどうかと思ったな。ラスボスの威厳が全然ない。
なまはげや赤鬼はラスボスの100倍は強いのに、ED前に戦えるからなぁ。特に赤鬼、イカなんてアンタがブン殴れば一撃でしょうが。
ED後の要素はもちろんあっていいが、仮にもラスボスは「ゲームの終わり」を象徴する存在なんだから、重みがなくちゃいけない。
ここは気を配ってほしかったな。「クリア後の要素が充実」は、そもそもいいことなんだろうか。うーむ、難しいな……。

ともあれ終わり。
妖怪集めに気持ちがダラけもしたが、50時間以上も遊べた。妖怪ウォッチ、子供だけじゃなく万人が楽しめるゲームだ。多分。
んで最近アマゾンプライムに加入しちゃったりして、ビデオライブラリに今作のアニメ版があったので、テキトーに観ている。
……いやぁ、「妖怪ウォッチのアニメ」としか言い様がないね。完璧なアニメ化だ。こら相乗効果出るわ。違和感皆無やもん。
内容もゲーム同様、万人向けな感じだ。まぁむっちゃ面白いもんじゃないが、無難に観ていられる。これでいいんだろう。
最近は年甲斐もなく「ゲラゲラポー~ゲラゲラポ~」と(脳内で)歌っている。反面「ようかい体操第一」は合わんかな。
話数はアホほどあるから、今後もテキトーに観よう。これぞメディアミックスやね。基本を大事にしてるから成功するんだなぁ。
そして続編「妖怪ウォッチ2」である。今作が好感触だから当然やってみたい。……が、今すぐ向き合うのはちょっと重そうだ。
公式サイトを見るに、要素はますます充実してるようだからね。面白そうと思う反面、大変そうでもあるから。ははは。
俺が訴求対象のガキなら、貪欲にもっともっと!! で進めるんだけどね。そうじゃないんだよ。またいつかね。はぁ。

シリーズは最新作「3」の3バージョン目がもうすぐ発売される。……勢いは落ち気味なだけに、どれだけ売れるか注目だな。
3は海外展開も重視し、舞台がアメリカと日本に分かれ、主人公も男女二人になっている。……随分狙ってるなぁ。
妖怪ネタは駄洒落を核に日本文化に根ざしてるから、海外だと意味不明だと思うんだが……その辺どうなんだろうな。
妖怪ウォッチは、ポケットモンスターに似ている部分が多い。だから海外での成功もポケモンに倣いたいところである。
比類なき妖怪ウォッチシリーズの更なる発展・成功を願って終わり。日野神ならやってくれるさ。氏は不可能を可能にする男だから。

つっても俺は後追いになりそうですけどね。すみません。この歳になるとゲームするのも大変ですからね。気力がなぁ。
取り憑いてゲームばっかやらせる妖怪「ゲームどうじ」とかいないんでしょうか。いや昔はいたんですよ。取り憑かれてたんですよ。
けど俺の気力が減ってくると、憑き甲斐がなくなったのかどっか行っちまったんですよ。俺はあいつに生かされてたと痛感してます。
戻ってきてくれんかなぁ。全く、人生何でも妖怪頼みやで。妖怪が何とかしてくれる。逆に妖怪がいなきゃどうにもならないよ。
……今作を悪い方向に解釈しちまったな。あーあ。ゲームを終えたら、現実に戻らんと。冷たく暗く、生々しいこの現実にね。
はぁ。







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8 コメント

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Unknown (Unknown)
2016-11-28 19:10:36
卑屈さは伝わりました
返信する
Unknown (グレイ)
2016-11-28 22:38:00
おおー妖怪ウォッチとはまた流行を追っていますな(そうでもないか)。こういう流行ったゲームは一応触れておきたいという気持ちこそあるものの、中々手が出ないんですよね。流行りのゲームは、半分くらい惰性でポケモン最新作買ったくらいです。

ポケモンは大人のノスタルジックを刺激するよう作られたゲームで、子供にも受けたのは結構意外だったみたいな話をどこかで誰かが言ってた記憶がありますね。いつどこで誰が言ってたかまるで思いだせませんが……。妖怪も似たようなものを感じます。ある種ポケモン以上に。舞台設定とかは良く出来た作品の印象は前々から有りましたが。

やはり良く出来たゲームなんですね。自分のノスタルジックを刺激するかは分かりませんが、何故か中古が安いので暇と気力があったら買ってみようと思います。

話はそれますが今の子供って何してるんでしょうね。自分が子供だった頃は住んでいたところが田舎だった影響か知りませんがまだ辛うじて近所の林を冒険とか秘密基地作るとか自転車こいで遠くまで行くとか木登りするとかあったんですが、もうまるで見当がつかないです。バリバリスマホを操作してる子供とか見たら何かもう敗北した気分になりそうです。

自分もゲームに対する気力があるのかないのか微妙な感じになり、自分の手の届く範囲のゲームかインディー系で評価の高い作品しか食指が動かないというなんとも中途半端な状態ですが、お互い流行の嵐に吹き飛ばされ置いてきぼりにならないよう適当に頑張りたいもんですねー。毎度毎度長々すいません。
返信する
Unknown (ota)
2016-11-29 01:21:41
>>Unknown
そう? 今回は割とポジ気味な感想なんですが。はい。ブツブツ……。
返信する
Unknown (ota)
2016-11-29 01:22:11
>>グレイさん

>流行りのゲームは、半分くらい惰性でポケモン最新作買ったくらいです。
おお、ええもん買ってますやんw ポケモンはシリーズが続き、かつてのユーザーが成長したおかげで、今は普通に万人向けですね。
……初期に乗り遅れた層を除けば、ですが。このシリーズをやり続けていく意義は大きいと思いますよ。次はスイッチかな……。

妖怪ウォッチは総合力のゲームって感じでしたね。全ての面で質が高く、ボリュームも十分。それでいて親しみやすい世界設定。
そら売れるわと納得出来ました。企画の上手さはもちろんですが、レベルファイブは純粋にゲーム開発能力が高いと思いますわ。

>話はそれますが今の子供って何してるんでしょうね。
あー、これはホント謎ですねぇw 今作を楽しめたからと言って、もちろん今の子供のことが分かるというわけではないので。
外の遊び場は減り、一方でデジタル玩具はどんどん充実……やはりそういう遊びがメインになってるんでしょうかね。
でもガキの頃の外遊びには、普遍的な、問答無用の楽しさがあると思うんですよね。俺もファミコン大好きだけど外遊びも好きでした。
外遊びをやれるのはガキの特権とも言えますし、バランスよく遊んでほしいもんですね。……うーん、分からんw

>お互い流行の嵐に吹き飛ばされ置いてきぼりにならないよう適当に頑張りたいもんですねー
グレイさんは若いんやからンなこと言ってちゃいけませんよw ガンガンゲームやってくださいな。
俺ぁ明日からFF15に取り組みますぜ。最新超大作RPGですぜふっふっふ……重……いやいや……ううむ……。
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Unknown (ケンシロウ)
2016-12-13 19:13:50
いや〜年末年始は忙しすぎて、オタさんのぶろぐをいっさい読めてなくて、今日仕事中に覗いたらこれですよ、遂にやりましたね!妖怪ウォッチw
意外におもしろいでしよ?w
おれも子供の為にやるつもりが結構はまりましたよw特に今作が一番やりましたね、子供の為に最強メンバーでレベル99にしてどの妖怪にも勝てるようにしましたしねw
続編になるにつれてどうしても面倒な要素がでてきたので1が1番おもしろかったです
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Unknown (ota)
2016-12-14 01:29:15
ケンシロウさんはお子さんが妖怪ウォッチファンでしたよね。
>おれも子供の為にやるつもりが結構はまりましたよw特に今作が一番やりましたね、子供の為に最強メンバーでレベル99にしてどの妖怪にも勝てるようにしましたしねw
理想的な流れですなw レベル99は凄い! 黒鬼まで倒せたんですかね。俺は80くらいでしんどくなって、青と黒鬼が残っちまいました。
もう少し妖怪を仲間に出来る確率が高ければ、もっとプレーできたと思うんですが……後半は全然起き上がってくれなくなりましたねw

でもホント、面白かったですわ。このゲームを楽しめたのは個人的に大きな収穫でした。
続編はしばらく間を置いてからやってみようかなと思ってます。ブームには乗れませんが、それはしゃーないな……。
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Unknown (ケンシロウ)
2016-12-14 16:22:35
黒鬼たおしましたよ!どうしても黒鬼が落とすアイテムが欲しかったので、まともに戦ったらまず勝てないので防御役を確実に1人いれておかないと詰みますw倒したときは父親の威厳を見せてやりましたよw
新作の、妖怪ウォッチはサンタさんが持ってきてくれるみたいです。子供達だけですがw
俺にもサンタきてほしいっすw
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Unknown (ota)
2016-12-15 01:57:09
おお、黒鬼が今作最強の敵らしいので、完全制覇ですな。それはすごい。
どの妖怪を使っても進められるようにしたのかバランスは結構甘めなゲームですが、クリア後ボスはどいつも強かったですね。

>新作の、妖怪ウォッチはサンタさんが持ってきてくれるみたいです。子供達だけですがw
スキヤキ版ですかw ええっすな。またお子さんと一緒に楽しんで下さいませ。
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