腐れゲー道

プレーしたゲームの感想文を、ダラダラと粘着質に綴ります。

ソリティ馬(ば)

2020年05月18日 01時44分57秒 | ニンテンドー3DSゲーム感想文
【メーカー】ゲームフリーク
【発売日】2013年7月31日
【定価】500円(DL専売)
【購入価格】350円
【プレー時間】38時間

ソリティア。それはトランプを使った一人用のゲームである。……とずっと思っていたんだけど、違うらしい。
正確には、トランプに限らず、一人で遊ぶボードゲーム等の総称なんだと。つってもまぁ一番有名なのはトランプ版だが。
そして更に言えば、「Windows標準装備ゲーム」としての知名度が高い。と思う。俺はずっとそれが=ソリティアと信じてた。
Windowsは今更説明するまでもなく、世界中でほぼ標準となったPCのOSだ。その普及率は凄まじく、知らん人はほぼいない。
そんなOSに標準搭載なんだから、プレー人口はもしかしたらマリオ等に匹敵するかもしれん。……言い過ぎ? 分からん。
しかしながら、俺自身は驚いたことに、WINソリティア未経験である。今回興味を持ち、つい先日初プレーしたくらいだ。
PC歴一応20年以上、WIN98から2000、XP、今は7(全部正規品だぞ)を使っていて、多分全部に入っていたはずなのに、未経験。
ソリティア以外にもゲームは入ってるし、ゲーム好きの端くれとしてチェックくらいするやろ普通? ……うーむ、謎だ。
まぁなんだ、俺は「PCでゲーム」に全く馴染みがないからな。それにこの手の軽いゲームは、ネットでやるて思い込みもある。
そんな俺が、遂にトランプソリティアをプレーする時が来た。ネタはもちろん家庭用ゲーム機、「ソリティ馬」である。

ぬぅ。ソリティ馬。ずっと「ま」と読んでいたので未だに違和感があるが「ば」が正解である。正しく覚えましょう。
比類なき3DSで発売されたDL専用ゲームで、価格はたったの500円。今はともかく、7年前ではかなりインパクトある値段だった。
そしてメーカーは、ゲームフリーク。説明するまでもない、ポケモンで定期的に大金ゲットだぜな超絶ゲーム製作集団だ。
といってもそのポケモンも発売は任天堂であり、ゲームフリーク自身が販売まで担当するのは珍しい。と思う。気がする。
500円という超安価、ゲフリの自社販売、そして「競馬とソリティア」という、凡そ訳の分からない組み合わせのゲーム。
取り敢えず、DL版ながらかなり「目立つ」ゲームだと思う。誰もが「おっ?」と思う、これは非常に得難い宣伝効果だ。
ちなみにこの値段ながら体験版まで存在するので、興味があればそこからやればいい。製品版へのデータ引き継ぎも可能だ。
俺は体験版も少しプレーしたのだが、正直イマイチよう分からずに終えた。その後、セール時にいつも通りな感じでゲット。
そろそろやるかなぁでプレー開始した次第である。3DSも10年目に入り、そろそろ終焉が見えてきたね。しゃーない……。


さて、このゲーム。言ってしまえば「競馬とソリティアの合体」なのだが、実際やってみると結構ややこしい。
まぁソリティアについては初めてでもすぐ覚えられるが、競馬部分、馬の位置取り関係に今作独特のシステムがあるのだ。
この辺はチュートリアルやヘルプ、そして(電子)説明書を読んで覚えるしかない。尚、アクション性はほぼない。
今作のメインは、もちろんレース。自分以外のライバル達と熾烈な先頭争いを繰り広げ、栄冠の優勝へとむけてひた走る。

レースは幾つかのターンに分けられる。コースの長さにより最短だと2、長丁場だと6ターンくらいか。
まず、最初は「スタートソリティア」がある。ごく小規模なソリティアにより、スタートダッシュの良し悪しが決まる。
スタートが終わればターンに入り、早速ソリティア用のトランプが並べられる。いよいよソリティ馬が本格的に始まる。
今作のソリティアは「数字が連なるカードを只管重ねていく」もので、恐らくルールとしては最も簡易なタイプだと思われる。
例えば4なら、3か5を重ねる。5を重ねれば、次は4でも6でもいい。前進後退どちらも可であり、1とKINGは繋がっている。
場札は4~7つくらい別れた束が置かれ、全て開示されている。で、自分には一番上だけが開示された山札が用意される。
まずは場札で連なり……面倒だ、「コンボ」を探す。単純に、数字の繋がりがあるカードを場札の一番前から見繕うわけだ。
場札の一番上が【4、8、5、7、12、1】だったとしたら、4と5、若しくは8と7がコンボになる。これを瞬時に判断する。
コンボに使った場札は取り除かれ、その下にあるカードが次に使えるようになる。それも使えるなら、コンボを継続できる。
例えば4と5でコンボを作って、その下に6があれば、更に6、7、8と繋げられるわけだ。以下繰り返し。コンボに制限はない。
場札でコンボが不可能となれば、山札の一番上を開き、そこを起点に再びコンボを狙っていく。……伝わるかな?
そうして場札の山を減らしていき、最終的に全てのカードを消化出来れば、そのターンのソリティアはクリアーとなる。
場札を消化し切る前に山札がゼロになると、ソリティア失敗。ペナルティを喰らい、レースが不利になる。厳しい。

こうして俺のソリティア(広義でも狭義でも)が始まったわけだが……ううむ、熱いねこれは。面白いゲームだ。
ルールは明快だし、やることは単純。恐れるのはミスだが、こんな簡単なことでミスなんて起こるか? ……と最初は思う。
だが現実には、ミスが多発する。繋がってないカードを置いてしまったり、まだコンボを続けられるのに山札を捲っちまったり。
今作の場合は制限時間があり、速く終えればそれだけメリットが大きい。その「追われる」感覚もまたミスを誘発する。
単純なことを、速く正確に。追われる感覚の中で頭を必死に回してソリティアに取り組むのは、楽しい。面白いわこれ。
単純単純言ってるが、慣れてくるとソリティア独特の奥深さが見えてきて、そうなるとますます面白くなる。
例えば、場札は「平均的に減らす」のが理想で、凸凹状態は好ましくない。そのため、コンボはただ繋げればいいわけではない。
最後に残った場札山の枚数が多いと、前面札に合うカードがその都度必要になる。……説明が難しいが、やれば分かる。
前面札以降の札を適宜チェックしておくことも重要。それを頭に入れることで、コンボルートの構築がどんどん多彩になる。
慣れると「ソリティ馬脳」が頭に作られる。刹那のコンボを構築する為ソリティ馬脳を必死で回せば、もうゲームにどっぷり。
長いコンボを作って場札が綺麗に消えた時の快感は格別だ。素晴らしい。単純で熱くなれる、飾り気のない面白さ。
いや、ホント、「なんで今までこれをテレビゲームに持ってこなかったの?」と不思議に思うくらい面白い。いいネタだ。
ソリティアに着目した製作者は実に慧眼だと言える。コロンブスの卵だ。久々にゲームで「アイデアの勝利」を見た気がする。

ソリティアが終われば、次は馬の位置決め。レースにおいて、ソリティアと並んで攻略上大事な要素である。
馬をコースのどの位置に置くか、タッチペンで線を引いて導く。ここで注視すべきなのが「気合ゾーン」だ。
今作の「気合」は、最後の直線での速さを決定付ける非常に重要な要素で、レース中はこれを多く溜めるのが基本方針となる。
気合は自然に増えるが、1~3までレベルがある「ゾーン」によって増加量が違う。そしてゾーンは線で図示され、移動する。
ゾーンの移動は「ゾーン予想」により概ね情報として開示される。その移動に合わせ、タッチペンで馬をいい位置に導くのだ。
ただし、いい位置は他の馬も狙ってくる。バッティングすると気合の数値次第では弾き飛ばされ、大きな出遅れになってしまう。
ちなみに最終順位はほぼ最後の直線で決まるので、レース中にトップを取っても殆ど無意味だ。順位は気にしなくていい。
気合ゾーンも全馬の真ん中辺りに集中しているからな。途中の順位にあまり意味がないのは、リアル競馬もそうなのかな……?

さて、こうなると「気合ゾーン3に移動する」のが正解と考えられる。それは無論間違いではないが、絶対の正解でもない。
というのも、気合ゾーンとソリティアの難度は連動するからだ。つまり気合ゾーン3ではソリティアのカードが増えてしまう。
今作のソリティアは「完遂する」ことが大事で、失敗に終わると馬の機嫌が悪くなり、スタミナ消費も激しくなる。
となれば「気合ゾーン2で妥協し、ソリティア完遂を重視する」という選択も出てくるわけだ。状況を見て、それを決定する。
かと言って妥協ばかりしていると気合が溜まらず、最後の直線で速度が出ず、負ける。さすがは競馬、博打も求められる。
この位置決めのバランスは奥が深く、理解すると面白い。今作が単なる一発ネタゲーではない、よく練られた作品だと分かる。
他にも「馬の機嫌」「スタミナ」という要素があり、レースに影響する。どちらも悪化するとそのレースはほぼ絶望的。
まぁ、「ソリティアを完遂出来れば何の問題もない」とも言えるが。とにかくソリティアの結果が露骨に数字に出るからな。
今作は、ソリティアの腕で競馬に勝つゲームである。……なんと見事な有限実行。ぐぅの音も出んです。はぁ。

そうしてターンを規定回数こなせば、「最後の直線」に入る。溜めた気合が「本気度」に換算される。本気度の最高は100。
今作の馬には速さやスタミナのパラメータはあるが、それが高くてもレースではまず勝てない。求められるのは本気度だ。
本気度さえ高ければ、他の馬をごぼう抜きしてレースに勝てる。先述の通り、レース途中の順位になど殆ど意味はない。
逆に本気度が低いと全くスピードが出ず、散々な結果になる。ここではソリティアもなく、実力での介入も不可能。
もちろん馬のパラメータも重要ではある。酷いレースだと、敵馬がチートすぎて、本気度100を出しても勝てないこともある。
馬は自動で走るが、一定回数だけムチを入れて加速させられる。この回数もまた事前のソリティアの結果次第となる。
また前に馬がいて邪魔な場合、キーの上下で走路を変えるという要素もある。馬群に囲まれると詰むので、これも重要。
基本は見守ることになるが、ある程度の技術介入により、自馬の奮闘を手助けする。これもまた熱い。よく出来ている。
高い本気度を達成し、スタミナも十分ある時の「無敵感」は非常に気持ちが良い。他馬を置き去りにブッチギリでゴールイン!
今作はソリティアが目立つゲームだが、同レベルで競馬ゲームでもある。ゲーム性でも演出面でも、プレーすればよく分かる。
ターン時の位置取りと最後の直線、どちらも競馬の面白さを大いに味わえることだろう。……俺競馬やったことないけど。は。


レースを終えて、優勝出来れば一枚絵で讃えられ、賞金が入る。2と3位でも賞金は入るが、扱いはドベと同様に「負け」だ。
今作はレースにおいて優勝以外には全く価値がないと言っていい。賞金も2と3位だと端数レベルだから嬉しくもなんともない。
ゲーム全体の目的は、ズバリ「G1レースに勝つこと」である。G1は全部で20。その全てで優勝すれば、晴れてEDとなる。
G2やG3のレースもあるが、優勝しても「参考」程度で、正直どうでもいい。それらは敵馬のレベルも賞金も相応に低いし。
G1で優勝すれば優勝カップが展示されるが、G2と3にはない。G1カップの空欄を埋めることこそ今作の最終目標である。
と言っても、好き放題にレースに参加出来るわけではない。今作にはカレンダーの要素があり、スケジュールはそれに沿う。
選択肢が出ることもあるが基本的に一本道で、事前の勝敗や馬の性質により調教師が自動で次の参加レースを決めてしまう。
更に馬には年齢の要素があり、歳により参加制限のあるレースもあるし、5歳くらいになれば強制的に引退させられてしまう。
自馬が引退となると新馬を選んでまた最初から。今作は周回前提の作りになっていて、更にその回数は相当に多い。
500円の超安価ゲーだが、その作りは良くも悪くも硬派で、遊ぶには気合が要る。ソリティアやってりゃいいわけじゃない。

んで、こっからなんだが……実はこのゲーム、面白いのは間違いないが、非常に硬派でシビアでもある。俺ビックリしたもん。
というのも、「ほぼ全てがオートセーブで進行する」のだ。そしてデータは1個のみ。これがどういうことか、お分かりか?
例えば、次のレースは未勝利のG1だとする。当然勝ちたい。何としても勝ちたい。「勝つまで何度でも挑みたい」!!!!
……けどそれは叶わない。レース終了時にオートセーブが入り、結果がどうあれそれの受け入れを運命づけられる。
レースが敗色濃厚になったからとホームボタンでゲームを終了させると、自動で敗北扱いになる。神の手に隙間はない。
レース自体も、ソリティアの結果次第では序盤で「詰み」になることも多い。そうなったらもう挽回は不可能だ。
今作のレースは10割……とは言わんが、8割は「成功」しないと優勝出来ない。そして優勝以外は2位もドベも評価は殆ど同じ。
さっき書いたが、今作はカレンダー通りにレースをこなしていく。そして馬は歳を取り、例えば「3歳の春」は一度しかない。
つまり3歳春のレースで優勝出来なければ、二度とチャンスは来ない。やるならまた別の馬を1から鍛えて臨むしかない。
僅かに2回チャンスのあるレースもあるが、大抵は1度だけだ。ハッキリ言ってシビアすぎ。ちょっとこれはどうかと思う。

今作のソリティアは面白い。面白いが、ネタがトランプだけに、ランダム要素が非常に強い。「リアルラック」が非常に大事だ。
プレーしていると、信じられないほど悪いカードの巡り合わせに愕然とすることも多い。良いパターンは滅多にないのにな。
恐らく、内部的にも完全にランダムで処理していると思われる。状況を見てカードを偏らせるようなことはやってない。多分。
また、スタミナ増加やコンボカードを教えてくれるインチキアイテムも存在はするのだが、これがどれも冗談のように高い。
G1優勝賞金ですら一律で100万円なのに、スタミナ人参が300万円とか。この辺の価格設定、今作で一番狂気を感じた。
ちなみにアイテムを売るのは愛らしい幼女キャラだったりする。あのガキ、あの歳であんな阿漕な商売して将来が心配過ぎる。
だがインチキアイテムも勝負の決め手になるほど強力な効果はなく、あくまで補助だ。そして全て使い捨て。300万円でも。
とにかく不安定極まりないのに、オートセーブにより挑戦は1度だけ、結果がどうあれもう1回やりたきゃもう1回最初から。
……いや、ほんま、なんてシビアさだよ。レース自体の難度バランスは良いと思うが、片道切符っぷりはどうなのか。はぁ。


ともあれ、今作は1周でどうにかなるゲームじゃない。何度も何度も新たな馬を育てて走り、最終的に全G1制覇を目指すのだ。
ちなみに馬に歳の概念はあるが、プレーヤーや調教師ら登場人物の時間は止まってる模様。そらそうやな。上手い仕様だ。
で、だ。引退した馬には当然もう乗れないが、そいつらは別の形でゲームに残る。そう、次代へと夢を繋げるために。
競馬と言えば血統である。知らんけど。今作はレース主体のゲームだが、血統、配合(と言っていいいのか)要素もあるのだ。
引退した馬は「牧場モード」に送られる。最初はその一匹だけだが、周回を重ねれば引退馬が増え、牧場が賑やかになる。
その中から2頭(当然牡牝の組み合わせに限る)をカップルとして設定すれば、目出度く間の子が生まれる。……裏山。
生まれる子馬は両親の能力を「ある程度」引き継ぎ、少なくとも両親よりは高いパラメータにまで成長できる。
あ、書き忘れていたが、今作には成長要素もある。レース中のアイテムを拾って経験値を溜めればレベルアップ、数字が上がる。
ただしレベルアップ回数は非常に限られている上に、血統が浅いうちは伸びも渋い。この辺のバランスもかなりシビアだ。
だが配合を重ね、子から孫、曾孫とやっていけば、馬は強力になっていく。最初は勝利より成長を優先させるべきかもな。
G1の中には幾らソリティアで成功しても他馬が強すぎて優勝はほぼ不可能なものもある。結局、地道な育成は必須だ。
俺はその辺が読めず、最初からガツガツ勝利ばっか追っちまって、失敗した。でも、正直今でもバランスに納得出来ない。

というのも、今作の強い馬作りは、時間がかかりすぎるのだ。幾らゲームが面白くても、こんなのやってられんよマジで。
一頭を引退までやるだけでも何時間かかかり、それを牡牝揃えて2頭でやっと次代を作れる。でも生まれるまでも時間がかかる。
世代は幾つも重ねないと全G1制覇は難しい。そんな、何十時間も育成のためにだけ頑張れと? 500円の「お手軽ゲーム」で?
レース部分が面白いからなんだかんだで最後までやれたが、この調整はおかしいよ。単純に今作、ED見るのめっちゃ大変だよ。
「ED後も強い馬を求めてプレーし続ける」層に提供すべきことを、全ユーザーにやらせている。ちょっとない。無茶である。
ちなみに引退馬はQRコードという形で他者に公表・提供が可能。今では超強い馬のデータを公開してる人がいっぱいいる。
引退馬だからあくまで種馬としてしか使えないが、生まれる子馬の能力はグンと高くなる。デメリットも一切ない。
邪道のようだが、このバランスなら、ある程度自力で周回した後は他人の血統で強い馬を作っても構わんと思う。
俺は一応やらんかったが、疑問しか感じない調整だったからな。せっかく面白いゲームなのに、妙なとこで歪んでる。うーむ。

それでも40時間近く面白くプレーできたんだから、ほんま500円とは思えない作り込みのゲームである。凄いよマジで。
やればやるほどソリティア脳が育っていき、結果が悪くても「次だ次!」と次レースへ臨む。以下エンドレス。
1レースにかかる時間や手間も絶妙で、非常に尾を引くが、それでいてプレー後の疲れもあまりない。「重さ」が絶妙だ。
やー。俺、正直ポケモンには「いつまで似たようなモンを」と思ってんだけど、今作でゲフリの印象が一気に好転したわ。
アイデアは満点、バランスは満点じゃないけど見事、軽さも深さもあり、価格はワンコイン。こんなゲームそうはないよ。
予想以上に時間を食ったし、それに不満はあるけど、面白かったからな。オッケーだ。望み過ぎちゃいけない。

グラフィックは、まぁ「500円なり」である。間違っても綺麗ではない。が、ちゃんと今作なりに整えられていて、悪くない。
そもそも「ゲームは絵が綺麗じゃないといけない」なんて決まってないもんな。結果として面白けりゃそれでいいのだ。
もちろん綺麗であるに越したことはないが、今作はそうでなくても魅力を損なっていない。だから可。今では寧ろ好きな絵だ。
音楽は、実は最も「これ本当に500円でええのか?」と思った部分だ。曲数も質も、ちょっと心配になるくらい高かった。
レース中の曲も幾つも用意されていて、格が高いG1ではそれっぽい曲になったりして盛り上がる。ほんま大丈夫なのかおい。
実際ユーザー評価は高かったようで、後にサントラが発売された。無論ゲーム本編の5倍くらいする。割とシュールな話やな。
俺も欲しいと思ったが、今では絶版になっていて、デジタル版もない。デジタル2000円なら買うから、出してください。
サウンドテストモード……は望みすぎかのう。いい曲の数々も、オートセーブのせいで聴く機会が限られているのがなぁ……。

物語も一応ある。主人公(男女から選べるが絵以外は同じだろう、多分)はヘボ騎手で、ある日落馬事故で意識不明に。
そこに神様が現れて、以後レースをソリティアで戦えるようにしてやろう、と。そんな感じのギャグ展開で始まる。
だが傍目には「騎手として生まれ変わった」かのようで、彼女(女にした)は事故前とは別人のように優勝を重ねていく。
普段は淡々とレースをしていくだけだが、G1で勝つとライバルや先輩との寸劇が挟まれる。つってもマジトーンではない。
ゲームはシビアだが物語や世界設定はゆるゆるだ。寸劇はそういう雰囲気でよく出来ていて、見ていて楽しい。これも見事だ。
ちなみに主人公は「次のレースは〇〇だ」と言われると「かしこまり!」と答える。……うーん。それは。ええんか……?

あと、馬主とのやり取りもある。馬はプレーヤーの所有物ではなく、あくまで馬主のものに騎乗させてもらうという設定だ。
馬主の要求はもちろん勝つこと。勝てば上機嫌で現れて色々なエピソードを語ってくれる。これもなかなか面白かった。
馬主の個性も多彩で、成金やアイドルやゲームクリエイター(ダビスタ薗部氏リスペクツ?)等、いいのが揃っている。
ただ、とにかくオートセーブのせいで思うようにイベントを見られないので、観賞が中途半端になっちまったのは残念だ。
もしかしたら馬主とのやり取りも終わりがあるのかもしれんが、それは見られなかった。よう分からんのよね、その辺。
イベント関係は成績と関係なく、ゲームを進めれば自動で見られるようにしてほしかった。それくらいはええだろうに。
せっかく作ったもんを、ユーザーにロクに見てもらえなけりゃ、作り手だって悲しいだろう。今作はそうなっちまってるよ。
惜しいが、そのためだけにゲームを続ける気にもなれん。薗部氏くんとのイベントは殆ど見られなかったな。うーん。


ふぅ。実は一つだけ獲ってないG1がある。「キングスゲート」というもので、恐らく凱旋門賞のオマージュだとのこと。
しかしこのレースの難度は非常に高く、それでいて他と同様挑戦機会は1周に1回。まぁクリア後の要素に相当するのだろう。
俺も2回ほど挑んだが、無理だった。外国馬のパラメータ高すぎ。これは諦める。ED条件外だし、仕方なかろう。……チッ。
いやー、それでも、予想を遥かに越えて濃く、面白いゲームだった。何度も言うが、500円は破格だ。信じ難い値段だよ。
今作は後にホゲ化したらしい。……どういう内容だろ? ガチャもあり? 怖いので調べない。今はもう終了したらしいが。
値段が値段だから幾ら売れても大した儲けにはならんかっただろうが、もっと広まって欲しい一本である。Switch版はどうか。
一画面でもやれるゲームではあると思うが、色々調整は必要になるだろう。となれば価格的に難しいかなぁ。うーん。
もちろん続編はもっと望みたい……が、これはもっと無理だろう。良くも悪くも完成度が高いから、続きの要素がない。
バランス調整だけではアレだしな。となればソリティ馬、今作限りか。これはこれで仕方ない、か。
俺としては非常に満足な一本だったよ。セールで買っちまって罪悪感すらあるわ。ゲームフリーク、敏腕製作集団ナリ。
比類なき(誇張にあらず)ソリティア+競馬ゲーム、ソリティ馬を賛美して終わり。いい体験が出来たよ、ありがとう。

そういや「有馬記念を取る」という非常にボンヤリとした夢を今作は叶えてくれた。いっぺん言ってみたかったんよこれ。
競馬にゃ興味ないのにね。そこは今作をプレーしても変わらんかったが、少しだけ知識が増えたからよしとしよう。
馬に金と夢を託す競技、ギャンブル、娯楽、かぁ。たかが馬、されど馬。いやそんな。つーか俺の何百倍も価値あるし。
そういう目で見るのも面白いのかもね。従えてるつもりが、実際は遥かに格上の生き物の争いを観戦させて頂いている。
彼らは餌も俺よりずっと良いものを食ってるのだろう。引退すりゃ種付けとして交尾まくりで酒池肉林。貴族やんけ。
色々と業が深いね、競馬って。はぁ。








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8 コメント

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Unknown (サク)
2020-05-19 22:35:59
おお、ソリティ馬ですか
なんというか、意外なところが来てちょっと驚きました
発売当時は結構話題になっていたこともあり、少し気になっていたんですが、7年も経って存在自体をすっかり忘れていました
WindowsPCにプリインストールされているソリティアには一時期少しハマりましたが、あれは確か時間制限はなかった記憶があります。時間制限があるソリティ馬はより熱中度が高そうですね
そして思っていた以上に競馬要素が強いことに驚きました。ブリード要素まであるとは。
道中の順位があまり関係なく、最後の直線で順位が決まるのは実際の競馬でもそうですね。そのあたりが再現されているのも正直予想していませんでした
かなり興味は引くんですが、500円のゲームの割に重そうなのがやはりネックですね。作業的なプレイを結構な時間強いられそうな感じが…。セールでもあれば買おうかなと思うんですが、3DSのゲームですし今となってはもう期待は薄そうですね
返信する
Unknown (SdK)
2020-05-20 14:58:02
「ソリティ馬」は、当初「世界中で遊ばれているあの超定番ゲームが、驚愕のコラボで生まれ変わる!」というゲームフリークのティザーサイトで発表された思い出です。
ソリティア×競馬だと判明した時はゲームフリークということでポケモンがなにかしらのコラボをすると思った人も多かったらしくかなり顰蹙を買っていた記憶があります。(公式ブログでディレクターの方もこの時は凹んだといっていました。)

ただ、その後はぐんぐんと評判を高めてコストパフォーマンスの高い3DSDLタイトルの定番として頻繁にオススメされる地位にまで就いたという感がありますね…。
安価で高品質な海外製のインディーゲームがたくさん出ている現在でもこの値段でこのアイディア、作り込みというのは出色の出来だと思います。

>やー。俺、正直ポケモンには「いつまで似たようなモンを」と思ってんだけど、今作でゲフリの印象が一気に好転したわ。
私はポケモンも何気にシリーズが出るたびに対戦に何百何千時間とつぎ込んでいるのですが、あれは半分カードゲームのようなものだと思ってますw。(かかるのは金じゃなく時間ですけども)
ポケモンの対戦は運・構築・プレイングの比重からTCGライクだと例えられることがありますが新ポケモンや新アイテムなどが追加されて新たな対戦環境にアップデートされる新作発売はその例えでいうと新パック発売みたいな…w

>音楽は、実は最も「これ本当に500円でええのか?」と思った部分だ。曲数も質も、ちょっと心配になるくらい高かった。
楽曲は金銀以降の「ポケモン」で「戦闘!フロンティアブレーン」「戦闘!ホウオウ」「PWT決勝戦!」等の人気曲を多数手掛け、高い評価を得ている一之瀬剛氏が作ったようですが、別タイトルでもその手腕は健在といったところですね。
私も氏の作る曲はとても気に入ってます。

>馬主の個性も多彩で、成金やアイドルやゲームクリエイター(ダビスタ薗部氏リスペクツ?)等、いいのが揃っている。
電ファミで薗部氏と「ソリティ馬」開発者の対談記事なんかも行われていましたが、パラメータのバランス調整の話などにも踏み込まれていてなかなか面白かったです。

>値段が値段だから幾ら売れても大した儲けにはならんかっただろうが、もっと広まって欲しい一本である。Switch版はどうか。
ゲームフリークはSwitchに「リトルタウンヒーロー」や「GIGA WRECKER」などを出してますし、たしかに「ソリティ馬」も移植や続編などを望みたいところですね。
仰るとおり色々厳しいのかもしれませんが…
返信する
Unknown (ota)
2020-05-21 01:01:05
>>サクさん
3DS動かさんとなー、て動機で始めたら、予想の3倍くらい深さと面白さがありました。

>そして思っていた以上に競馬要素が強いことに驚きました。ブリード要素まであるとは。
ああ、サクさん以前競馬の売上げアップの話してましたね。今作、キッチリと競馬ゲームでもあります。さすがに本格派じゃないけど。
不慣れな用語が出てくるとTIP表示まであって、抜かりはないです。ここから未来のジョッキーは……生まれるかな?w

>かなり興味は引くんですが、500円のゲームの割に重そうなのがやはりネックですね
異様にシビアなオートセーブの仕様には不満と疑問が残りましたね。それだけ面白さに自信があるとも受け取れますが。
腰を据えてやらないとEDは見られないと思います。良くも悪くも値段とのギャップが激しいゲームでしたね。
返信する
Unknown (ota)
2020-05-21 01:14:37
>>SdKさん

>「ソリティ馬」は、当初「世界中で遊ばれているあの超定番ゲームが、驚愕のコラボで生まれ変わる!」というゲームフリークのティザーサイトで発表された思い出です。
>ソリティア×競馬だと判明した時はゲームフリークということでポケモンがなにかしらのコラボをすると思った人も多かったらしくかなり顰蹙を買っていた記憶があります。
へぇ……発表当時のことは全然知りませんでした。かなり興味を引く内容だと思うんですが、顰蹙買ったんですかw 気の毒に。

>安価で高品質な海外製のインディーゲームがたくさん出ている現在でもこの値段でこのアイディア、作り込みというのは出色の出来だと思います。
ホント、驚きの完成度でした。こうなると寧ろ値段のせいでチャチなイメージを持たれてるんじゃないかと心配してしまいます。
倍の1000円でよかったかもしれませんね。まぁプレー後(ましてセール購入)に言っても説得力無いですが……。

>私はポケモンも何気にシリーズが出るたびに対戦に何百何千時間とつぎ込んでいるのですが、あれは半分カードゲームのようなものだと思ってますw。
あー……なるほど。その例えは上手いですね。しっくり来ます。ポケモン新作はTCGの新カード登場、かぁ。
プレーしてないゲームを悪くは言いたくないんですが、Switch版でもグラフィックが相変わらずに見えて、なんだかなぁと。
日本の看板ゲームの一つなんだから、「さすがのブランド」と思わせてほしいんですよね。まぁ部外者の戯言です。

>楽曲は金銀以降の「ポケモン」で「戦闘!フロンティアブレーン」「戦闘!ホウオウ」「PWT決勝戦!」等の人気曲を多数手掛け、高い評価を得ている一之瀬剛氏が作ったようですが、別タイトルでもその手腕は健在といったところですね。
おお、ポケモンのスタッフも関わってるんですね。曲は実に良かったです。……だから自由に聴かせてくれよぉ……。

>電ファミで薗部氏と「ソリティ馬」開発者の対談記事なんかも行われていましたが、パラメータのバランス調整の話などにも踏み込まれていてなかなか面白かったです。
そんな記事あるんですか。探してみます。ちなみに俺はダビスタ完全未プレーです。48ゲームコンプレックスの一つです。

>ゲームフリークはSwitchに「リトルタウンヒーロー」や「GIGA WRECKER」などを出してますし、たしかに「ソリティ馬」も移植や続編などを望みたいところですね。
ゲフリはとにかくポケモンのイメージが強いですが、他にも色々出してるんですね。そこはちゃんと認識しとかにゃならんな。
Switchにはセーブ周りを少し調整して1000円!! で出してほしいですね。あ、サウンドテストの追加も是非w
返信する
Unknown (サク)
2020-05-22 16:33:14
大阪府の緊急事態宣言明けましておめでとうございます
と正月マニアさんみたいなことを言ってみたり

さて、ここにコメントを付けた後、体験版をやってみたら面白かったので購入してプレイしたのですが、このゲーム飽きますね、やっぱり
馬を育てていくのはやはり面白いんですが、競馬ゲームにありがちな「単調」という弱みががっつり当てはまってしまっているのかなと
競馬ゲームって基本的にやることはずーーーっと同じですもんね。凱旋門賞も未勝利戦も結局レースの格が違うだけでやってることは何にも変わりないですし
ソリティアも最初は面白いですが5頭もやるともう飽きてしまいました
結局7、8頭育てて止めてしまいましたが、500円以上の価値は十分ありました。3DSの思い出記録帳を見たら体験版と合わせて17時間近く遊んでいたようです…
4日でこれとか遊びすぎですね、自分

十分面白いゲームでしたが、1レースのプレイ時間をもっと短くするなど、もっと軽いゲーム性にして欲しかったですね
馬の育成は楽しいのにそこをあまり味わえないのが残念でした
返信する
Unknown (ota)
2020-05-24 03:55:41
>大阪府の緊急事態宣言明けましておめでとうございます
ありがとうございます(?)。まぁ正直、俺の生活には殆ど変化がないのですが。

>さて、ここにコメントを付けた後、体験版をやってみたら面白かったので購入してプレイしたのですが
おおーこれこそ本心からありがとうございます。3DS、まだまだやっていきましょう。

>馬を育てていくのはやはり面白いんですが、競馬ゲームにありがちな「単調」という弱みががっつり当てはまってしまっているのかなと
単調さはありますね。ずっと同じことの繰り返しだし。俺はソリティア部分が面白かったからダラダラとやれましたけど。
競馬ゲーは単調さを補うために、血統から馬のドラマを脳内で作り、思い入れを養成するのが大事なのかなと思いました。

>結局7、8頭育てて止めてしまいましたが、500円以上の価値は十分ありました。
>3DSの思い出記録帳を見たら体験版と合わせて17時間近く遊んでいたようです…4日でこれとか遊びすぎですね、自分
うあ、そんなにw 俺も最ハマり期はやりまくりでした。最終的に飽きても、尾を引く面白さは十分あったかと思います。

>もっと軽いゲーム性にして欲しかったですね
>馬の育成は楽しいのにそこをあまり味わえないのが残念でした
その辺の調整は残念でしたね。「予算的にこれ以上は作り込めなかった」のだとしたら、仕方ないと言うしかないですが。
500円だからソリティ馬なのか、価格を上げてもっと作り込めばもっと良くなったのか。……分からん。あー。
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Unknown (サク)
2020-05-24 05:01:13
>3DS、まだまだやっていきましょう。
未だにDSのソフトも結構遊んでますし、私の3DSはまだ現役バリバリですね
積んでるソフトも何本かあるので、まだまだ働いてもらいますよ
しかし3DSの発売からもう9年以上ですか…。3DSの思い出記録帳を見ているとあのBGMも合わさって凄く感傷的になってしまいます。あの頃に戻りたい…

>500円だからソリティ馬なのか、価格を上げてもっと作り込めばもっと良くなったのか。
もっと価格が高くてフルプライス近くなってくると比較対象がウイニングポストとかになってくるので、さすがに厳しいのかなと思いますね
ウイニングポスト、何十年も作り続けてるだけあって作り込み方はやはり凄いですよ。イベントなんかも多すぎて絶対全部は見られないですし
久しぶりに遊びたいなあとも思うんですが、プレイの重さも半端じゃなくてなかなか手が出なかったり

そういえばソリティ馬のオートセーブはあまり気にならなかったというかむしろ美点に感じましたね
リセット出来るようになるとむしろめんどくさくなるような気がしましたし、思い通りいかないところが競馬らしいのかなあと
otaさんと私だとこの辺りはいつも意見が異なりますよね
otaさんは結構リセットを繰り返して遊びたいタイプで、私はリセット不可やデスペナルティによる緊張感を楽しみたいタイプなのかなと
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Unknown (ota)
2020-05-27 01:48:39
>3DSの思い出記録帳を見ているとあのBGMも合わさって凄く感傷的になってしまいます。
プレー履歴を残す機能は非常に素晴らしいと思うんですが、Wii Uでパワーダウンし、Switchではほぼ無くなりましたね。
「ゲームにこんなに時間を使ったと意識する」ことを嫌う人も多いらしく、任天堂としてはそっちに配慮したのかな……。

>ウイニングポスト、何十年も作り続けてるだけあって作り込み方はやはり凄いですよ。
競馬ゲーと言えばダビスタですが、着実に出し続けてるのはこちらですね。PV観たら人間の結婚システムがあって笑いました。
でも良くも悪くも「超本格競馬ゲーム」ですねこれは。相当な興味がないと一生手は出せんな……。

>そういえばソリティ馬のオートセーブはあまり気にならなかったというかむしろ美点に感じましたね
なるほど、そうですか。まぁ俺の場合人より多く死ぬのは最早前提ですからね。こればっかりはなぁ。
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