腐れゲー道

プレーしたゲームの感想文を、ダラダラと粘着質に綴ります。

妖怪ウォッチ2 真打

2019年06月10日 01時00分22秒 | ニンテンドー3DSゲーム感想文
【ハード】3DS
【メーカー】レベルファイブ
【発売日】2014年12月13日
【定価】4,968円(現物版)
【購入価格】108円(中古)
【プレー時間】58時間

比類なき初代「妖怪ウォッチ」が発売されたのは、2013年夏だ。……もう6年も経つのか。早すぎる。妖怪ゲンジツの仕業か。
発売当時は、静かなものだった。中ヒットはしていたと思うが、そこより口コミで広がることもなく、ランキングから消えた。
しかしその半年後の2014年初頭。アニメ版の放映が始まると、状況は一変する。マジで妖怪の仕業かと思われるほどに。
アニメ版妖怪ウォッチは単純に面白く、また「誰にでも楽しめる」内容で大好評だった。こちらはすぐに口コミが広まった。
となれば原作となるゲームに注目が行くのは必然。ゲーム版はランキングに復活し、以後は常に上位に居座るようになった。
アニメの放映を半年遅らせるという判断は、結果的に大成功だったと言えよう。……狙ってやったのかどうかは知らんけど。

で、その後はもう……何と言うか、人気にバイバインが注入されたかのようだった。日本中がどんどん妖怪に染まっていった。
2014年夏、初代発売から1年後になると、もう妖怪ウォッチの名を知らぬ者はこの国にいなかった。完全無欠の、大ブーム。
直接触れてはいない俺でさえそう感じていたんだから、渦中にいたユーザーらはどれくらい熱狂していたんだろうな。
とにかく、凄まじかった。玩具の妖怪ウォッチと「妖怪メダル」が特にバカ売れし、各地で品切れが相次いだという。
妖怪メダルはゲームを含めた各種商品の特典としても効果を発揮し、これがまたブームを加速させた。上手いよなぁ。
そんな、日本中が妖怪ブームの真っ最中に発売されたのが、シリーズ第二作「妖怪ウォッチ2」である。……あーあ。
こんなもん、天変地異が起きてもバカ売れするわ。「元祖/本家」の2種が発売されたが、両方あっと言う間に200万本突破。
オワコンの反対語「イキコン」である。活きのある、或いは勢いのあるコンテンツな。今テキトーに考えた造語だが。
仕掛け人であるレベルファイブ日野社長の実力には改めて驚嘆させられた。誰が何と言おうと、俺はこの人を凄いと思ってる。
妖怪ブームはその後も続き、2014年は妖怪の年だったと言える。……だが、話はそこで終わらなかった。最後に、トドメ。
2014年末、「妖怪ウォッチ2 真打」発売である。元祖・本家に次ぐ3バージョン目であり、追加要素も盛りだくさん。
……妖怪ウォッチは当然ポケモンもかなり研究して作られたはずだから、この辺抜かりはない。ハッキリ言って、エグい。
元祖本家が概ね行き渡ったと判断しての3つ目発売だからな。無論、これもまたアホヒットした。ほんま、妖怪の年だった。
3本の合計は、700万本以上あるのではなかろうか。日本のサードソフトでは史上最高の数字だと思う。凄すぎた。はぁ。

俺自身は3年前に初代をプレーした。明確に子供向けなゲームだけに「俺がやって楽しめるのか?」との不安はあったが……
やってみなけりゃ分からんからやってみた。そしたらどうよ。何とも面白い。感性のズレも感じない。普通に良作だった。
ジャンル的にはRPGで、そこにや多くのクエストや収集要素をごった煮にした、非常に贅沢なゲームだった。
ガッツリと楽しみ、当然妖怪ウォッチに好感を持った。「こりゃ続編もやっていかなきゃ」と思った。既に3まで出てたしね。
……ただ、予定は未定、なかなか上手くは回らない。そしてその間、妖怪ブームは……その……。いや。関係ないさ。今は。
初代を中古買いしたから続編は新品をと考えていたんだが、最近はどこにでも中古108円で売られてるんで、負けちまった。
ちなみにメダルは欠品だった。一枚くらい妖怪メダル持っときたかったんだけどね。まいいや。妖怪ウォッチ2 真打である。
元祖・本家との違いは一切調べてないので差は分からん。最終バージョンであるこれをやれば間違いないと判断した次第だ。
取り敢えず、やってみよう。……もうすぐ4が発売されるのに、中古の2を今更。日野さんごめんなさい。はぁ。


……うーん。正直、ビックリした。悪い意味で。「これ、初代のコピーゲーか?」と。前作に似すぎ。つーかまんまやん。
主人公の家がある序盤の舞台「さくらニュータウン」の町並み、様々な建物。そこを移動する主人公。カメラアングル。
木々や草むらを調べてやる虫取り。そしてメインである妖怪発見のプロセスと戦闘、確率で仲間になる敵妖怪。
どれもこれも、マジで初代と全く変わらん。実際に初代を起動してしばしプレーしてみたが、違いが発見できなかった。
BGMはさすがに変わってる……と言いたいとこだが、町の曲や効果音は多数流用されている。ええんかこれ。続編だろ?
初代は様々な面で完成度が高く、細かく作ってあったと思う。だから続編である程度それを流用するのはまぁアリだろう。
しかしそれにしても、これはやり過ぎではないか。妖怪ウォッチ1.5と名乗った方が適切と思うほどの変わらなさである。
俺は、前作で「調査画面で調べ終わったらBボタンを押さないとフィールドに戻らない」点が非常に不満だった。
プレーしないと伝わらんだろうが、あれはA連打でいいと思うのだ。無意味にBを押させる非常に不親切な仕様だと感じた。
んでこの欠点、今作でも全く直ってなかった。頻繁に行われる調査画面で、毎回Bを押さないとフィールドに戻れない。
規模のデカすぎる流用に、更に「何も考えてない」という印象まで加わった。いやマジでええんかこれ日野さん。
妖怪2はバカ売れはしたが、大分部は妖怪ブームのお陰だったのではなかろうか。そんなことまで考えちまった。はぁ。

つってもまぁ、前作ほぼまんまということは、前作ほぼまんまに面白いとも言える。実際、プレーしていけばハマっていった。
さすがにイベントまで同じなわけないし、「やることの洪水」も健在だ。町を走り回ればそこらにネタだらけ、退屈しない。
……ただやはり「前作と感触が同じ」というのは大きく、前作ほど各要素に目移りする感覚はなかった。どこか淡々と遊んだ。
面白いとは言っても「期待してたのとまるで違う」からな。複雑な気分である。ガキの頃の俺なら……素直に楽しめた、かな?
それでもゲーム中盤からは新規マップも多く登場し、新鮮味を味わえるようになってきた。妖怪2は中盤からが本番だな。
何と言っても、「田舎」「60年前」に行けるというのは熱い。今作は現代日本にリンクしている作品、60年前も同義となる。
俺は無論60年前の日本を直接は知らんが、今作は見事に「それっぽい」町を作っていた。自然に過去の世界に浸れた。

妖怪は前作からフィールドグラフィックや構造が非常に優れていた。なんつーか、デフォルメ・リアリティが感じられるのだ。
家や河原や様々な店……それらの表現が実に巧みなのだ。町の構造も立体的でいい。……上手く説明出来んな、すまん。
そして田舎。俺にもガキの頃長期休みに泊まりに行った母方の実家がある。自分の家とは一線を画す自然に溢れた地だった。
そんな俺の「原体験」を十分に刺激してくれる風景が今作で展開される。これは心地よい。これだけでかなり面白かった。
無論まんまではない。具体的には俺の田舎には畑とかそんななかった。でもとにかく「それっぽい」のだ。実に上手い。
子供向けに作られているゲームでそう感じられるってことは、今のガキも似た体験してるってことなのかな。ちと嬉しいな。
ホント、妖怪シリーズの「最大公約数的絵作り」は特筆すべきものがあると思う。子も親も、日本人の多くが浸れる世界。
作り物なのに、歩き回るとリアルさを感じる。つっても無論美麗グラフィックだからではない。要素の抽出が上手いのだ。
前作でもあったこの美点は今作でも十二分に発揮されており、大きな魅力になっていると思う。素晴らしいね。
妖怪云々より、田舎で虫や魚取りする方が楽しいかもしれん。……欲を言えば、泥沼でザリガニ釣りしたかったな。はー。

では、妖怪。多彩な遊びのあるゲームだが、メインは無論妖怪である。多種多様な妖怪と「友達」になり、メダルを集める。
してその手段は、戦闘である。女神転生型交渉ではなく、ドラクエ5型の殴り覚醒だ。……よくそれで友達になってくれるな。
妖怪が仲間になる確率は、ハッキリ言って低い。幾つか確率を上げる手段もあるが、効果を実感出来ないくらい低い。
正直、低すぎると感じた。素の確率が低いのはいいとして、確率アップ手段の効果はもっと高くてよかったのではないか。
欲しい妖怪がちっとも起き上がってくれず、イライラする。別にレアな奴を狙ってるわけではないのに、だ。
一方で同種の妖怪が仲間になる確率は妙に高い(と思う)。目当てのが来ないのに、同種が3回連続で仲間になったり。
どうにもしっくり来ない調整である。感覚的な話だから実際の確率がどうなのかは知らんけど、納得はいかんかった。うーん。

まぁ確率が低いだけなら別に構わない。試行回数を増やせばいいのだから。……が、妖怪シリーズはそこに問題がある。
前作でも今作でも、戦闘は フィールドで妖怪反応キャッチ→調査画面で発見→戦闘開始 というプロセスを踏む。
「妖怪ウォッチで妖怪発見」という遊びを再現しているわけだが、何度も繰り返すと飽きる。戦闘前のただの手間になる。
また、妖怪の出現はランダムであり、その確率も割と低い。歩き回っていればすぐ反応が出るというわけではない。
例えば「駅周辺の木に出現する妖怪」がいるとする。実際いる。だが駅周辺の木はそんなに多くなく、立つ間隔も広い。
だからこの妖怪に出会うためには、駅周辺をかなり広範囲に走り回る必要がある。だが遭遇率は低く、思うように会えない。
いざ発見しても、面倒臭い手間を求められる。やっと戦闘に入り倒しても、起き上がる率が低くて空振り。……嗚呼。
ダンジョンではシンボルエンカウントになり、幾分戦闘回数を増やせるが、必ずしも目当ての妖怪を狙えるわけじゃない。
仲間にするのに戦闘回数を求めるなら、そこは思う存分やらせてくれてもいいだろうに。ここをケチるのは納得いかんよ。
好きなように戦闘出来ないから、仲間集めが捗らず、楽しめない。起き上がってくれた時の喜びは格別なのだが……な。

そもそも、「戦闘」を、この妖怪ウォッチの世界のメインに据えるのはどうなのか。そこからして疑問である。
強い妖怪、戦い好きな妖怪がいるのはいい。けど今作じゃ全ての妖怪が戦うのだ。発見されたら襲ってくるのだ。
アニメ版を観れば分かるが、妖怪の在り方は基本的に「世の中に影響を及ぼす」ことである。戦闘ではない。
バクロ婆やコマさんまで戦闘で仲間にし、戦闘に参加するってどうなのよ。このゲーム、妖怪ウォッチの世界を壊してない?
もちろんゲームにするにはこれが一番適切なやり方というのは分かるが……どうにもこうにも、違和感のある作りである。
今作には戦闘以外でも「隠れてる妖怪を発見する」イベントが多く用意されている。発見するとアイテムをくれたりする。
本来はこれこそが妖怪ウォッチだと思う。が、それら隠し妖怪の多くは、発見しても友達にはなってくれない。冷たいのう。
結局友達になるには、一度ブッ倒して差し上げるしかない。それも主人公じゃなく仲間妖怪の力で。これでええんか現代っ子。

んでその戦闘のシステムなのだが、先述のように前作とまるっきり同じ。そりゃ確かに完成度は高かったが……。
手持ち妖怪6体を円形に配置し、半円3体が前線として戦う。で、その円をLRで回すことで、メンバーを変更出来るわけだ。
円を回すことは可能だが配置は戦闘中に変えられないので、例えば時計で8時の位置の妖怪と2時の妖怪は同時に戦えない。
個々の妖怪の強さはもちろん、円を回して戦略を変えられるような配置を考える必要がある。ま、よく出来ていると思う。
バランスもヌルすぎずキツすぎず、良好だと思う。子供向けゲームだが甘さを感じられないのは今作の美点である。多分。
今作の妖怪は、もちろん強さにバラツキはあるが、全員がレベル99まで成長する。極端な「ダメな子」は多分存在しない。
よって、プレーヤーの好きな妖怪でパーティを組んで戦える。少なくともEDまではそれで十分。これも非常に良いことだろう。
ちなみに俺のメイン妖怪は、ジバニャン。前作では少々優遇程度だったが、今作じゃアニメに準じてレギュラー化してたから。
戦力的にも、ジバニャン専用の非常に強力なアクセサリが用意されていたりと、使用を奨励されていたと思う。ま、いいな。
妖怪の直接操作は出来ず、基本オートバトル。適切な行動を取ってくれんし、時々「サボる」こともあり、割とイラつく。
「所詮妖怪とは分かり合えんのだろうなぁ」と思う戦闘システムである。つっても、主人公がは見てるだけだしね。

見てるだけと言っても円回しや呪いの解除(ちょっとしたミニゲーム)がちょくちょくあり、特にボス戦は割と忙しい。
つまり関与度はそれなりにあるわけだが、何分「妖怪は勝手に動く」から、やっててどこか熱くなれない部分がある。
オートバトルはいいとしても、やはり作戦立案程度の関与は用意すべきではなかろうか。今作は続編なんだから尚更だ。
妖怪達は強く頼もしいが、戦闘の行方は全て彼らの能力と機嫌次第。俺はヘコヘコ雑用に走り回るだけ。……虚しい。
やっぱさぁ。妖怪シリーズは「友達」て言葉の意味をもっと重く考えてほしいよ。その点の浅さは非常に引っ掛かる。
少なくとも俺はこんなんじゃ彼らと友達になったとはとても思えんわ。……俺、重い? クッ。若者の感性は分からん……。


物語は……驚いたことに、時間軸的には前作と同じだった。つまり主人公が小学5年(多分)の夏休みという設定。
ちなみに今回も主人公を男女で選べる。女子にした場合はのフミちゃんな。……選んでみたかった気もしないでもない。
しかし世界設定は明らかに男児向けなのに、女児主人公は非常に無理がある。小5女子が虫取りに夢中になるか? ねーよ。
前作では主人公を不定にしたことで、シナリオが緩いという欠点があった。マシになってるものの今作でもそれは残っている。
女児プレーヤーは当然いるだろうが、女児主人公は必要か? ……まぁ俺に分かるわけはない。完全異分子だし。はぁ。

で、時間軸的には前作の続きだが、OPにて主人公は妖怪ウォッチを失う。今作における黒幕妖怪の策略によって。
奴らは時間を操る能力を持ち、それにより過去を操作し、現代における妖怪ウォッチの存在を無くしてしまったのである。
……あーあ、時間操作、やっちった。これをやられると、最早「考察」が意味を成さなくなる。俺も放棄。出鱈目物語確定。
安易に時間ネタを使っちゃいかんとあれほど言っただろう! ……でもあまりに便利だから創作家はすぐそっちに走る。はぁ。
その後なんやかんやで妖怪ウォッチは戻るのだが、過去は捻れたまま。それを正すために、主人公は過去に飛ぶ。
そこで出会うは、主人公の祖父であるケイゾウ。彼こそは、妖怪ウォッチの生みの親でもあった……!!

まぁドラマチックではある。前作よりは面白かった。反則技である時間ネタを使ったんだから当然とも言えるけど。
引っ掛かるのは、ケイゾウ爺ちゃんの異常な高スペックだな。60年前、年齢は主人公と同じ。つまり10~11歳。
その年で妖怪ウォッチの原型を既に作ってるばかりか、妖魔(妖怪とは別の敵)と戦うし、普通に妖怪と友達になってるし。
ウォッチの力と友達妖怪に頼り切りの主人公とは偉い違いである。……今と昔の「人間力」の差を見せつけられた気がした。
一方で「ガッツ仮面(モデルは月光仮面だろう)」なるヒーローに憧れる少年らしさもある。テレッテレッテーーテレッ!!
完璧少年である。共闘しラスボスを倒した形だが、どう考えても爺ちゃんにおんぶに抱っこだった。締まらねぇ。

話としてはまぁ面白かったが、やはり「主人公の関与度」という点では大きな不満が残った。バトル中心ゲームの弊害である。
戦闘以外の部分でいいから主人公の見せ場を用意すべきだった。固定主人公ならそれも可能だっただろうになぁ。
主人公の存在があやふやで、魅力的な物語を描けるかってんだ。すぐキャラメイクさせるそこのゲーム、お前のことだよ!!
ちなみに今作の物語は、アニメ映画の1作めとほぼ同じである。それの公開時期は、この真打とほぼ同時。
つまり妖怪ウォッチ2をプレーしたら、その年末に公開される映画の物語をほぼ知っちまったことになる。……ええんかこれ。
実際アマプビで映画を観てみたんだが、ほんま同じだった。妖怪シリーズの流用具合はちょっとかなりダメなものを感じる。
映画自体は妖怪ブームのおかげで大ヒットしたらしいが……客は満足したんかな。内容が悪いわけじゃないけどな……。

前述のように、今作開始時、妖怪ウォッチは失われている。しばらくして戻った後も、妖怪メダルは全て失われている。
「時を戻した」から、まぁ理屈は通っている。ゲーム的にも、前作の成果まで引き継げたらバランスが出鱈目になっちまう。
けど、ここまで前作を「なかったこと」にするのはどうなのか。せっかく多くの妖怪と友達になったのに、全部パーである。
今作でもう一度同じ妖怪を仲間にすることも可能(ブン殴って起き上がり待ちだが)なものの、なんか非常に虚しかった。
「妖怪との友情など所詮その程度」という暗示だろうか。この辺も「ゲームの都合」を優先したことの弊害が出ている。
恐らく続編でもまた最初からであろう。儚いもんやで。グラフィックと違い、世界設定への配慮がまるでない。はぁ。

妖怪2は元祖・本家と2種類出した。これは当然ゲーム内容に深く絡んでいる。真打は第三勢力ではなく、あくまで2陣営だ。
あんま調べてないが、それぞれに独自のクエストやイベント等があるらしい。商売っ気満載である。気にしない方がいいか。
シナリオ上で何度か元祖・本家どちらの陣営かを選択させられる。それにより少々のシナリオ分岐があるのだろう。
一度、両陣営がぶつかる大合戦があり、主人公も所属する陣営の勝利に向け動くことになる。これが一番大きいイベントか。
つっても結局「黒幕に対立を煽られていた」で終わるので、あんまし盛り上がらない。まぁこんなもんか。
友達妖怪達にも陣営が付与されるが、同じ妖怪でも別個体だと陣営が違ってたりする。要はランダム? 分からん。
プレーヤーが元祖陣営だからって本家妖怪を友達に出来ないというわけでもない。じゃあ陣営て何なんの? 半端やなぁ。
そもそもこんな要素、当然前作にはなかったからな。いきなり今作で「実は妖怪は2陣営に分かれてた」って。
大々的に取り入れた割に、商売っ気しか感じられない要素だった。分けたら儲かるからね。実際儲かったし。なら正しい。
はぁ。

今作のイベント関係全体で特筆すべきことが「笑える」ことだ。素直な意味で、ギャグに笑えるのである。
何と言っても、ウィスパーである。登場妖怪の中で唯一一切戦闘に参加せず、「妖怪大辞典」にも載らない例外中の例外。
ジバニャンも特別扱いされているが、パーティから外すことも可能だし、その意味じゃ他と同じだ。が、ウィスパーは違う。
主人公の相棒として完全にシナリオ、そして世界設定に組み込まれている。妖怪ウォッチを象徴する妖怪であると言える。
そのウィスパーと主人公のやり取りが、ビックリするくらい面白かった。何度も普通に「わはは」と笑わせてもらった。
ウィスパーは妖怪執事を名乗り、起こる現象に関して色々ウンチクを垂れる。が、実際はロクに知識を持っていない。
実は解説する際は「妖怪パッド」というタブレットでカンニングをしているのである。で、主人公らにはその辺がバレバレ。
この設定ややり取りは、アニメ版からの逆輸入らしい。しかしこれが面白い。説明不要で笑える。良質のギャグである。
子供向けゲームの笑いだが、うんこちんことかそんなんじゃないぞ。キッチリしてるし、なんちゅーか「歴史」を感じる。
日本で長年育まれてきた漫画的ギャグの血が受け継がれている笑いというか。パロディもふんだんに組み込まれてるしね。
まさか今作を笑えるゲーム(もちろん揶揄の意味ではない)として楽しめるとは予想外だった。実にいいことである。
主人公とウィスパー、にジバニャンを加えたトリオは、鉄板である。「核」なんだよなぁ。売れる作品には理由があるわ。

そのウィスパーだが、戦わないだけでなく、かなり謎の存在である。シナリオに組み込まれているのに正体は全く不明だし。
が! クリア後の要素として、ウィスパーの過去が語られる大規模なサブクエストが用意されていた。真打のみの要素らしい。
何とその正体は!! ……正直そんな面白くも意外でもなかったが、舞台が戦国時代で、そこへ飛べるのは面白かった。
ウィスパーシナリオでは戦闘がない(規模がデカくなりすぎるから仕方ない)のだが、フィールドは他と同様気合入ってた。
真打だけの追加要素なのに、戦国時代の町をキッチリ作ってたからな。少なくとも他と同様の「それっぽさ」はあった。
でも結局「何故あんな妖怪として生まれたのか」が語られず、正体は不明のままとも言えるけどな。妖怪は起源が大事でしょ。
ウィスパーなら俺も友達になりたいや。「戦わない」しね。……嫌?。ごめんなオッサンで。そういう問題じゃないか……。

前作もそうだったが、今作もクリア後の要素が非常に多い。ウィスパーシナリオ以外にも、大きなネタが幾つもある。
クリア後ダンジョン、クエスト、仲間になる強力な妖怪等がゴロゴロ。更には「ラスボスの救済シナリオ」まであった。
EDまででは語られなかったラスボスの事情が詳細に描かれ、更にそいつを救うことになる。……あーあ。やり過ぎだよ。
こういうことすれば「じゃあEDは何だったの!?」てことになるだろう。全然終わってないやんけ。救済まで本編に含めろよ。
クリア後の要素充実はいいけど、その分本編の価値がガタ落ちしている。近年ありがちな「ダメな作り」だと思う。
敵の強さも、EDまでとは比較にならないほど上がる。ボスだけじゃなく雑魚、それも「今までに見た」連中が。
今作は味方だけでなく敵妖怪にもレベルの概念があり、後半出てくる奴は同じ種族でも強さが全然違ってたりする。
ラスボスより強い雑魚パーティがゴロゴロいるクリア後。特に理屈が語られずそうなる。またも「ゲームの都合」である。
やり甲斐があるのは確かだが、そういう「本編軽視(悪意ある表現)」で徐々に萎えてきて、ある程度で止めてしまった。
仲間になり難いレア妖怪もいっぱい用意されてるんだが、挑戦が一日一回とか、そういう足枷もしっくり来なかった。
今作は「バスターズ」等のネット要素も充実しているからそれらもクリア後に触れてみたが、残念ながら楽しめなかった。
ネット対戦は妖怪のレベルが60で固定されるという平等なものだが、それでも赤鬼とか強すぎて一瞬で轢き殺された。
な~~んか虚しい。今作、バトルを中心に見るとどうも白けるものがある。それでいてバトルは今作の中心にあるのだ。はぁ。

グラフィックは、何度も書くが極めて良好。フィールドだけでなく妖怪達の姿や必殺技もどれも見栄えがすると思う。
3DSというハードに最適化されていると感じた。つくづく見事。ちなみに立体視にも対応している。「当然」だよなぁ!?
音楽もいい。相当良い。……実はこれも前作からの流用が多く、そこは不満なんだが、質が高いから嬉しいとも思う矛盾。
ありがたいのが、前作でなかったサウンドテストが実装されたことだ。これで気に入った曲を好きなだけ聴けるようになった。
前作で非常に気に入った「VSつよい妖怪(中ボス戦曲)」が今作でも流用されていたんで、もう聴きまくった。とてもいい。
そんな激しい曲ではないが、少々おどろおどろしい、今作の世界にマッチした見事な「つよい妖怪との戦い」曲だと思う。
久々に俺の中で殿堂入りしそうな逸品である。不満の多い今作の戦闘部分だが、この曲だけは文句なしだ。
他の戦闘曲やフィールド曲も、良質なのが揃っている。今作は「ガワ」がつくづく良い。別に中身が悪いわけじゃないけど。
日野氏と原田(鉄拳の人)氏の対談によると、日野氏はシステムよりも世界設定がキッチリしたゲームを作りたいらしい。
その思想は今作によく出ていると思う。見事だね。ここには、この世界だけには、たくさんの妖怪がいるのだ……。


ふぅ。不満気味に書いたが、60時間近くガッツリ遊んだ。遅れ馳せながら「妖怪シリーズのピーク」を体験できて満足である。
……そう、ピーク。5年前は日本中を席巻した妖怪ブームだが、残念ながら今現在はもう見る影もない。正直オワコンだ。
いや、今もゲーム出せば数十万本売れるし、他ゲーがそんなこと出来るのかって話だけどね。全盛期が凄すぎたから。はぁ。
何事も、いつまでもは続かない。いつか必ず終わりは来る。……実はこのことは、今作をプレーしていてずっと感じていた。
小学生の少年が妖怪達と友達になり、日々一緒に過ごす。さぞ刺激的で楽しい毎日だろう。今は。……では、いつまでも、か?
リアルな話、主人公も2年後には中学生になる。その頃も妖怪ウォッチ付けてるか? ウィスパーらと一緒にいるか?
中学生の男といったら、部屋で一人になりたい時もある。理由は秘密。友達付き合いも変わるし、色気方面にも開花する。
何事も、いつまでも続かないのである。君ら、小ガッコ時代の友達と、今も付き合いある? 「友変わり」しなかった?
現実の友人でさえそうなのだ。小学生は中学生になり、ガラッと変わる。妖怪達との友情は、それでも変わらないものなのか?
もちろん、作中ではそんなこと微塵も描いていない。楽しく充実した「今」だけがある。ゲームなんだから無論それでいい。
でも、既に子供でも何でもない(一部嘘)俺は、余計な「その後」を思い切り夢想してしまった。そして落ち込んだ。
妖怪ウォッチの世界はポケモンのような架空の星じゃなく、現代日本である。良くも悪くも「その後」を想像しやすい。
無理、だよな。仮に主人公がずっと妖怪妖怪言い続けたら、ただのダメ少年だよ。寧ろ卒業しなきゃいかんよ。
何事も、いつまでもは続かない。妖怪達との友情も、妖怪ウォッチの大ブームも。悲しいのう。悔しいのう。切ないのう。
でも、それがゲンジツ、最強の妖怪。そして俺らは現実の変化を否応なく受け入れ、新たな今を生きなきゃならん。嗚呼。

ブームはもう去ったが、今作の後も妖怪ウォッチは様々なゲームを含め展開を行った。……当然、かな。当然だな。
俺の言う「その後」そのものである、ケータの息子と娘が主人公になる「シャドウサイド」なんてアニメまで作られた。
アマプビで1話だけ観てみたが……妖怪をリアル系にするのはいいとして、既存妖怪をそうするのはどうなの? ありなの?
ウィスパーを見ただけで「あ、これはないわ」と思って閉じた。ケータのその後の設定には興味あるんだけどね……。
それからゲームの続編である。3ではケータがアメリカに引っ越し、日本での主人公(女子)と連携を取るという。
……アメリカの妖怪て。聞くだけだと「ない」としか言い様がない。そんなに世界で売りたかったか……そらそうか……。
たださすがに「完全新作」レベルで作られているようだから、プレーしたくはある。いずれ、そのうち。うん。
そしてもうすぐ発売の「4」だ。こちらはハードがSwitchになり、表現もスケールも大幅に進化していると思われる。
ムービーを観たら、遂にケータが戦闘に参加してた。これだよこれ。バトルへの違和感は残るが、これで大分マシになった。
3も4も、いずれやろう。さすがに2やったばっかだとしんどいから。何年後かな。その頃、妖怪ウォッチの勢いは? ……うぅ。

何事も、いつまでもは続かない。「いずれやろう」は俺がいつまでもゲームをやり続けることが前提だ。
今現在はその前提に問題はない。だが、時間は進むのだ。そして未来は不明だ。悪い方向でばかり、予想が立つのだ!
俺もいつかゲームを離れるのかな。ケータが妖怪ウォッチをいつか手放すように。……だからそんな描写ないっつってんだろ。
今作には「切り取られた楽園」みたいなことを無駄に感じてしまったな。全ては有限。時間も友情もブームも、情熱も。
俺は、もう使い切った? 何を? うーん。もう考えないようにしよう。どっちにしろ明日は来る。誰も止められない。
俺のこんな気分も暗い未来予想も、妖怪の仕業なのだろう。実際そう考えた方がしっくりくる。見えない奴に責任転嫁しとく。
比類なき妖怪ウォッチシリーズのブームがいつまでも続くことを願って終わり。もう続いてない? は。黙ってろ。
なまじ超ヒットしたから勢いが落ちたらオワコン呼ばわりされる。寧ろダメコン扱いまでされる。ひでー話だと思う。
じゃあ売れない方がよかったってのか!? そんなわけない。そんなわけないけど。何事も、いつまでもは続かないのである。
このフレーズ気に入っちまったな。新しくも何ともない、ごく有り触れた、単なる有史以来の世界の真実なんだけどな。
はぁ。






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4 コメント

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Unknown (ケンシロウ)
2019-06-12 21:27:30
いやー、なつかしいですねーw
ウチもめちゃくちゃ妖怪ウォッチには振り回されましたよ。この時から転売屋が死ぬほど嫌いですw
子供ってやっぱり、最強とかそういう妖怪を使いたいから夜に必死にコードを読み取ってガチャしたりして集めた記憶が蘇りましたよw
このゲームのストーリーの映画のDVDとかも買いましたし、映画館でもらえるメダルの為に映画みたり、本当にピークだった気がします
シャドウサイドはウチの子たちにも不評でしたがまたケータ達に戻って子供達みんなで見ていますよ!昔ほどの勢いはないですけど番組がやっていればなんだかんだ見ているのでオワコンとはおもえないですけどねw
Unknown (ota)
2019-06-13 22:12:36
ケンシロウさんは前作の時もコメント頂きましたね。お子さんがリアルでハマッたという、非常に真っ当なユーザーですなw

>子供ってやっぱり、最強とかそういう妖怪を使いたいから夜に必死にコードを読み取ってガチャしたりして集めた記憶が蘇りましたよw
あー……なるほど。時代が時代だけに、そういうのを親がある程度手助けしてあげるものなんですね。ご苦労様でした。
「子供が買う≒親が買う」ということを改めて実感します。考えてみりゃ、ブームの当事者の半分は親御さんなんですな……。

>シャドウサイドはウチの子たちにも不評でしたがまたケータ達に戻って子供達みんなで見ていますよ!
ケータ主役の続編て「妖怪ウォッチ!」ですかね。アマプビにあったんで1話は観ました。こっちの方がいいですね。
今度出る4と上手く絡み合い、またデカい爆発を見せてもらいたいもんです。
Unknown (Unknown)
2019-06-20 17:54:15
妖怪ウォッチは本当に良く出来てますよね。
ポケモンって虫取りの面白さを原体験に作ったそうなんですけど、
その精神をポケモン以上に昇華させているのは今や妖怪ウォッチだと思います。
それと戦いが中心の価値観に違和感を覚えるのも同意出来ます。
「お前はバトルじゃないだろ」っていう妖怪いっぱいいますからね。
もっと突っ込んだ話をすると魔法使いがみんな最初にメラを覚えるのも良く考えればいかがわしい(戦闘目的の都合があからさま過ぎる)。
まあ、日常パートはアニメで楽しんでねって事なんでしょうか。
Unknown (ota)
2019-06-22 18:51:11
>ポケモンって虫取りの面白さを原体験に作ったそうなんですけど、
>その精神をポケモン以上に昇華させているのは今や妖怪ウォッチだと思います。
ホントよく出来てますね。子供の好きそうなこと=子供の頃に好きだったこと を丁寧にゲーム化しています。
夜の学校や排水路の探検といった「現実ではやりたくてもやれない(なかった)こと」をキッチリ抑えているのも見事ですね。

>「お前はバトルじゃないだろ」っていう妖怪いっぱいいますからね。
発見だけで友達になれる妖怪がいてもいいと思うんですけどね……何故どいつもこいつも襲いかかってくるのかとw
そこは結局ゲームであり、RPGであるなら戦闘は必須で、必須であるならそんな細かいことまで考慮していられない、と。はぁ。

>魔法使いがみんな最初にメラを覚えるのも良く考えればいかがわしい(戦闘目的の都合があからさま過ぎる)。
ははは。こういう欺瞞を紐解いていくといちいちロクでもないですね。創作の中ですら、現実(?)は出鱈目だ……。

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