腐れゲー道

プレーしたゲームの感想文を、ダラダラと粘着質に綴ります。

真・三國無双5(XBOX360版)

2022年01月23日 21時44分04秒 | XBOX360ゲーム感想文
【ハード】XBOX360
【メーカー】コーエーテクモゲームス
【発売日】2007年11月11日
【定価】7920円 (現物版 税込)
【購入価格】110円(中古)
【プレー時間】70時間




三国志。その名と概要を知らん人は最早日本にはいない。……去年、某プロゲーマーが「日本の歴史だっけ?」と言ったが。
そもそも、三国志は何故日本でこんなに人気と知名度があるのだろうか? 今更言うまでもなく、海外の歴史物語なのに。
そらディズニー等、海外創作が定着した例は多くあるさ。けど、歴史だよ? 原案が事実から作った三国志演義であってもだ。
「そこそこ有名」ならともかく、何故にこうまで一般常識化されているのか。俺はそれが未だに分からん。少し怖いくらいだ。
つっても、20世紀までは俺の感覚では「そこそこ有名な歴史創作」レベルで、興味を持たなくてもさほど問題はなかった。
一般常識化したのは21世紀に入ってから、そしてその立役者こそ「真・三國無双」シリーズである。認識おかしい? ぬぅ。

あまり知られていないが、PSで発売された初代「三國無双」は、実は3D対戦格闘ゲームだった。現状とはかけ離れていたのだ。
が、既に格ゲーブームも収束していた時期なので、あまり売れなかった。そのまま続編を出すのは無意味と判断されたのだろう。
そんな頃、新ハードPS2が登場。PSを遥かに上回るハード性能は、膨大な数のキャラが画面上で蠢くことを可能にした。
コーエー(当時)はPS2発売と同時に無双的な「決戦」を出しており、PS2の描画能力の可能性にいち早く気づいていたのだろう。
同年、満を持して「真・三國無双」を投入。従来ハードでは絶対不可能な、非常に豪華で爽快感のある戦略的アクションゲーム。
PS2は発売直後から大人気だったものの、ソフト面ではいまいちパッとせず、苦戦していた。そんな中でキラリと光る一本だった。
その翌年には「FF10」等でPS2もエンジンがかかりだし、一気に独走体勢へ。そこに投入された「真・三國無双2」は……
答えるまでもない。大ヒットを飛ばした。100万本を軽く突破し、このシリーズを完全に定着させた立役者と言えるだろう。
その後も続編はガンガン発売され、「ガンダム無双」からはコラボ企画も始まり、無双シリーズは日本ゲーム業界を席巻した。
歴史SLGの雄としてファミコン時代から存在感はあるものの地味でもあった光栄が、何とも変わったもんだとしみじみ思ったよ。
俺自身も、随分遅れたがガンダムからシリーズに入り、以後北斗、ドラクエ等を幾つもプレー、楽しんだ。立派な無双ファンだ。
……しかし、いつまで経っても三國無双には手を出さない、出せなかった。俺には三国志コンプレックスがあるから。はぁ。

コンプレックスと言っても、要は「知らない」ことの後ろめたさだ。また全く知らないわけじゃなく、劉備や関羽等は知ってる。
ファミコンの「天地を喰らう2」はやったので、その程度の知識はある。そして無双はその程度の知識で始めても全く問題ない。
……けど、やれなかった。最初に書いた「何故こうも一般化してるの!?」という疑問が、俺に変な意地を抱かせていたから。
無双売れまくってるけど、お前らちゃんと予備知識持ってからやってんか!? と。……だから、ンなの必要ないんだっての。
まぁ要するに、売れてるものに対するありがちな反骨精神だったのかな。ゲームではあまりないんだが、無双には少しあった。
けど、無双も既に20周年を越えた。多作化によりマンネリの空気が漂い、残念ながらPS4世代では勢いを大きく落としたと言える。
もう意地を張る状況じゃないし、張るべきでもない。三国志を知らない? なら無双で知ればええやんけ。上等よ。
何だかよう分からん方針転換により、プレー決定。では何をやる? 選択肢は非常に多いが、他ゲーと違って初代からはない。
シリーズ作品ながら同じ題材を使い続けているという特殊なタイトルだからな。少なくともPS3世代以降からやると決めた。
となればやっぱ……幾つかはこっそり買ってるし……これだ。「真・三國無双5」。PS3版にはトロがないので、XBOX360版だ。
シリーズ開始から20年超、今作でさえ14年前。あまりにも遅すぎるが、今こうして、遂に、俺の三國無双が始まったのだった。
いやー。どうせならサクッと最新作を買えってなぁ。ごめんなさいコエテクさん。中古が充実、無双シリーズ。嗚呼。


では、開始。……意外とモードが少なく、最初に遊べるのは「無双モード」、キャラ毎のシナリオモードだけだった。
それを初期キャラでクリアーしていくと徐々にキャラが増えていくという構図である。まぁ無双らしい作りだな。無双だし。
ゲームシステムももちろん無双で、フィールドのあちこちに「拠点」があり、そこを制圧し自軍の勢力を増やすのが基本となる。
そう、目指すのは「自軍の勝利」なのだ。プレーヤーキャラ自身の勝利ではない。故に自軍本拠地が制圧されると、即負け。
無双は「タクティカルアクション」であり、このタクティカルは決してハッタリではない。猪突猛進プレーに待つのは死のみ。
この点が、本当に誤解されていると思う。まぁ確かに「テキトー連打でやれるお気楽アクション」という一面もあるのだが。
まぁいい。取り敢えず最初からカーソルが合っている蜀軍の趙雲を選択。彼はOPムービーにも出ている今作の主役である模様。
難度はノーマル、最初のステージ。後々難しくなることを想定して、まずは気楽にテキトー連打を楽しもうと思っていた。

……で、轟沈。というかネタでなく1面で死んだ。今作も他の無双同様セーブ周りは非常に厳しく、手動でやってないと全部パー。
いやそりゃ、油断した俺が悪いと言われりゃそれまでだ。でも一面やで? 無双の一面に気楽に挑んだことがそんなに罪なのか?
具体的には、呂布に殺された。1面の終盤で突如出現する、所謂「オーラ付き」である。専用ムービーがあり、超強そうだった。
だからもちろん警戒はしたさ。けど呂布は速攻近付いてきて、繰り出される超威力コンボで殆ど即死ですよ。唖然とした。
何度も言うけど、これ難度ノーマルの1面ですよ? 最初からカーソル合ってるキャラですよ? おかしいですよシブサワさん。
もう初っ端からビックリだよ。同時にいきなり数十分が飛んで非常に気分が悪くなった。あんな罠キャラを終盤に出すな!!
ちなみにもう1回、意地になって挑んでもう1回負けた。攻撃力が尋常ではなく、どう考えてもこの時点では無理があった。
さすがに懲りて、次はセーブしつつ呂布を無視して何とかクリアー。いやー、1面ですよ? 一丁目一番地からしてこれ。
分家だけ知ってる状態で本家の門を叩いてみたら、俺の常識を覆す「無双」だった。大丈夫かこれ? まだ始まったばかりなのに。

そもそもだ。この5は、三國無双の中でも極めて特殊な作品なのだ。基本システムからして他作品とは違う。
他作品は、分家も含めて「小攻撃・大攻撃・必殺技」の3ボタンで攻撃するのが常だ。うち小数発+大のコンボが柱になる。
だが今作は、従来の小攻撃が「連攻撃」という、概念からして違う存在になった。大攻撃と必殺技は単独で使うことになる。
連攻撃は、連打すると1~3のコンボを繰り出し、それが終わるとまた最初から同じことを繰り返す。「終わらない攻撃」である。
また攻撃していると「連舞レベル」が上がり、3以上先のコンボも出せるようになる。8段階目くらいはかなり強力な技を出す。
連攻撃を連打すれば一生技を出し続けるんだから、それだけで勝てるのでは? と思うかもしれんが、無論そんな甘くはない。
今作はガードが敵味方共に非常に強く、全方位を固める上に連攻撃では基本的に破れない。一切ダメージを与えられないのだ。
加えてガードキャンセル攻撃なんかもあるので、連攻撃ばかりだとノーマルであってもすぐ行き詰まる。猿プレーは厳禁だ。
その敵のガードに対抗する技こそ大攻撃で、これを当てれば敵は怯む。しかし大攻撃は出るまでが遅く、潰されやすい。
当たり前だが、敵も攻撃してくるのだ。今作では雑魚モブも積極的に攻撃してくる。この点が一番他作品と違うかもしれない。
敵の猛攻を防ぐには、ガードと回避だ。これらを駆使して体勢を整え、再び攻撃に。一騎当千も楽じゃない。マジで。
尚必殺技こと無双乱舞はこれらのゴチャゴチャを全てぶっ飛ばす完全無敵の最強技。ゲージが溜まれば鬱憤晴らしにぶつけよう。
とは言ってもゲージの溜まる速度は遅く、そうそう乱発出来はしない。平時は只管、様々な技を駆使して凌ぐ必要がある。

そう、この真・三國無双5、ハッキリ言って難しい。まぁ「無双では」との前提だが、それでも他の無双とは比較にならない。
だって「ボタン連打が通じない」のだ。いやそれも極論であって、全然通じないわけじゃない。テキトー攻撃でも雑魚は倒せる。
けどそれだといちいち敵のガードや反撃に足を止められ、快適なプレーにはならない。連打じゃ「ちゃんとしない」のである。
基本は連攻撃を繰り返し、敵の攻撃やガードを見て回避や大攻撃に切り替え、時には乱舞をブッパし……無論、他にも色々ある。
今作は無双にあって無双にあらず。「小と大攻撃でテキトーにやるゲーム」を想像して始めた人は度肝を抜かれること確実だ。
それでいて、チュートリアルは一切ない。説明書がある時代(今や昔)なのでもちろん連攻撃くらいは書いてあるが、それだけ。
戦略において非常に重要なガードキャンセルその他の説明がなく、開始しても今作独特の感覚に慣れる道が敷かれていない。
ちなみに俺は今作の攻略本も持ってる(上下巻で合計だと非常に高い)が、それにも詳しい説明はなかった。あかんやろ。
今作の時点でシリーズのマンネリに危機感を覚え、大胆な変更を加えた。それは分かるし、変更でやりたかったことも分かる。
けど伝える努力を完全に怠ってるのは非常に頂けない。今更やる俺はええとして、当時のシリーズファンがどう感じたか。はぁ。

実際、今作は発売当時非常に不評だったらしい。俺もネットでそんな話を目にした記憶がある。「4」が大好評だっただけに。
確かに今作はシリーズファンの望みを良くも悪くも裏切っている。そこに説明不足があり、裏切りの印象が強まったのだろう。
だが時間が経ち、システムが理解され始めると再評価されるという流れもあったらしい。今では「惜しい一本」扱いか。
かの「ゴジライン」が、発売10年後の2017年になって、今作のかなり詳しい再評価記事を作っている。正直ビックリした。
ちゃんと理解して遊べば面白いのに、そこに至る前に多くの人が脱落し、ダメゲー判定を押してしまった悲劇の無双。それが5。
今になって触れる俺は幸運と言えるのだろうか。14年前のゲームだよ? 冷静に考えると相当おかしなことやっとるよなぁ。
呂布に殺されてからこっち「どうもこの無双はおかしいぞ」と思った俺は、まぁ深くはないが少し注意してシステムを観察した。
それで今作の肝は連攻撃とガードであること、けどそればかりでは駄目なことを学び、それと同時にゲームが面白くなってきた。
今作はやはり無双と言うより「無双風アクション」と捉えた方がいい。同じことやろ、と? いやその微細な違いが大事なのよ。
バッタバッタと敵を倒せる。今作でも1面で1000殺くらいは普通に出せる。けど何も考えずボタンを押すだけでそれは成らない。
常に注意深く状況を見ながら動けば、無双の爽快感と考えての攻撃を兼ね備えた良作アクションが展開される。とてもいい。
……尚、他の無双が脳を使わんと言うわけではないので悪しからず。他も含め、そんな甘くないよ無双は。はぁ。

攻撃システムが大きく変わった今作だが、ゲームの流れは殆ど同じだ。まぁ俺はこれが初三國無双なのでそれ以外は知らんが。
ステージ中に幾つもある「拠点」と、雑魚とは隔絶した「名付き」武将がゲームの肝だ。拠点制圧と武将討伐が基本目標になる。
最終目標は大抵が総大将の首だが、いきなりそれに挑めるステージは少ない(あるにはある)。幾つかの段階を踏む必要がある。
目標は都度指示されるので、それに従って武将なり拠点なりを潰して目標を達すれば、増援が出たりと状況が変わっていく。
まぁ「殺しては駄目な敵」はいないから、可能ならば全殺すれば間違いない。やや複雑化した今作だが、そこは極めて単純だ。
……「自分のことだけなら」な。そう、今作は無双なのだ。他の無双と同様「一騎当千なだけでは駄目なゲーム」なのである。

無双とは? 高性能自キャラと低性能敵キャラが絡み合う俺TUEEE!!堪能ゲーム? まぁその一面はある。間違っちゃいない。
だが。実際にそういうプレーを堪能していると、負ける。何故か? ステージには勝利と同様に「敗北条件」があるからだ。
敗北条件は、操作キャラの死は当然として、大抵が「味方総大将の敗走」か「味方本陣の陥落」だ。両方あるステージも多い。
自分が敵を千人殺そうと億人殺そうと、本陣が落ちたら終わり、負け。中途セーブをしてなければ全てがパーとなる。
そして味方は、弱い。それ以上に、アホだ。わざわざ自分から死ににいく「総大将」が何処にいる? 無双の世界には、いる。
そんな無能味方を守って戦うのも、もちろんプレーヤーの仕事だ。味方を守って拠点を守って、獅子奮迅の活躍である。
けどそれだと今度は攻めが手薄になり、敵軍がどんどん迫ってくる。そっちの対処は? プレーヤーだよ。味方? 知らん。
「一騎当千」の正しい意味は「一人で千人殺す」ではない。「一人で千人分の仕事をする」である。それを求められる。
ほんと、このゲームやってると、保育園児の引率とか、無能社員を率いる社長とか、そういう立場の気持ちを十全に味わえるよ。
味方は味方で戦ってはいるし、「勝手に敵将を討ち取ってた」なんてことも発生するが、本当に極稀だ。基本は無能集団。
それも能力がない、脳みそがない、やる気がないという最低最悪の無能だ。せめてやる気だけは見せろよ!! 戦場で!!
俺が無能大将の救助のために戦場を駆け巡ってるのに、拠点では無能雑魚どもがボーッと整列して俺を見送ってるのよ。
「あ、お疲れーっスwwww」とでも言わんばかりに。無双乱舞叩き込みたくなるよ。味方には当たり判定ないから無理だけど。
今作を、特に高難度でやるなら、「気配りの精神」は欠かせない。一騎当千では生き残れない。この現実をまずは知れ。
いやーしかし、ここまで味方が役立たずなゲーム、他にあるだろうか? 味方への怒りを燃料に敵を殺す、地獄のゲームである。

今作には敵味方共に「士気」の概念があり、武将を倒したり拠点を制圧したりすると士気アップ。無論それで能力も上がる。
士気が相当高い状態だと味方もかなり強い……が、そんなのは稀で、基本は低い。低いと無能はもっと無能。もういっそ死ね。
ただ、士気の概念自体は面白いと思う。戦場というものを上手くゲームに落とし込んでいる。人間、最後は気持ちだもんな。
士気はゲームの展開で勝手に上下することもあり、それで下がった場合は激しくムカつく。操作キャラに無関係なのは救いか。
とにかく、今作は「広い心で」やるべきゲームである。味方の無能や勝手にいちいち怒っていてはゲームにならないのだ。
修羅となり敵を殺しつつ、味方に対しては仏の心で接するのが真・三國無双5である。いやテキトー言ってんじゃなく、マジで。
本来なら「頼りになる味方に背中を任せて無双」したいとこだが、それではゲームバランスが取れないのだろう。まぁ分かる。
無双には爽快感と並んで強い圧迫感・焦燥感がある。ただ暴れ回るだけではすぐ飽きるから。ゲームがゲームであるために。
なんかほんま、不思議と「現実味のあるゲーム」と捉えてしまう。こんなにブッ飛んだ設定なのにね。うーむ……。

無双モードで使えるキャラは、魏呉蜀の3陣営+少しだけ呂布ら野良人となっている。で、3陣営のシナリオは概ね共通している。
そらそうだ、立場は違えどそれぞれ目指してるものは同じなんだから。なので、例えば曹操と夏侯惇だと似たような話になる。
この点はあまり面白くないと思った。もちろん上司と部下で描かれてることは違うが、そこまで深くはない。戦場も共通するし。
特に呉は……個人的に「ブッチギリで魅力がないな」と思った。孫堅と孫権で超ややこしいし。孫尚香たんだけは好きだけど。
シナリオでは唯一、司馬懿だけは面白かった。魏軍所属で、当然曹操のために戦うのだが、コイツだけは先の展開がある。
何と自ら天下の野望に目覚め、曹操に反旗を翻すのだ! これは熱い。そのまま本懐を遂げてED。俺はこういうのが見たかった。
「史実を元にしたフィクション」だし、キャラ設定も独自解釈入れまくり(多分)なんだから、これくらい弾けてもよかろうに。
まぁ結局は原作に縛られる運命のゲームってことかな。劉備が闇落ちして世界滅ぼしに行くとかやったら怒られそうだもんな。

無双モードにシナリオがないキャラも使用可能にはなる。それらは「フリーモード」にて好きなステージで使うことが可能。
フリーモードは無双モードでのシナリオを好きなキャラでやれるので、例えば魏軍シナリオに張飛を入れて戦わせることも可能。
無論そのまま劉備を討ち取れる。無双モードは原作を大事にしているのに、こっちは一転、無茶苦茶である。面白いけど。
つっても残念ながら「ち、張飛? 裏切ったのか!?」てな台詞はなく、ただ機械的に戦うだけだ。IFは脳内で作れってな。
フリー専用のキャラ達も、もちろん掛け声や「敵将、討ち取ったり~」系のボイスはあるが、シナリオに絡む台詞なんかはない。
今作はそもそもPS3世代での1作目ということで、ボリュームは旧作より減っているらしい。俺はそう感じなかったが。
まぁ名前は違えどモーションを流用している奴は多く、そこに少し手抜きを感じた。14年前だし、大目に見よう。何様だよ。
流用を除けば各キャラ「無双としては」個性があり、違った使用感を楽しめる。アクション性の高さがここで活きている。
フリーモードなんかやっててもすぐ飽きるんじゃねと思ってたが、高めの難度も幸いし、結構ダラダラとプレーし続けられた。
このゲーム、いいよ。今でも遊べる。少なくとも発売当時の酷評はおかしい。再評価を! ……今更過ぎんだろ。もう遅い。

キャラの成長はレベルアップ・スキルツリー制、現代ゲーム(?)ではオーソドックスなタイプである。特に問題はない。
が、強いて言えばつまらない。いやそれが問題だろ。どのキャラもまずは「連舞∞」を目指して後はテキトー、こればかり。
どうしても欲しいスキルが特になく、漫然と埋めていってしまう。連舞ランクさえあればそれなりに戦えてしまうしな。
成長より大事なのは、戦闘後に貰える武器である。今作の武器は攻撃力はもちろん、備わってる武器スキルが非常に重要なのだ。
特に「一閃」は満場一致で最重要スキルで、これがないと高難度ではロクにダメージを与えられず、まともに戦えない。
それ以前に、全然減らない相手を只管攻撃するのは非常にストレスが溜まる。仮にも無双でああいうことをしたいとは思わない。
なので、とにかく一閃を軸に、目ぼしいスキルを備えた武器を求めて戦うのも今作の楽しみだ。……と言いたいところだが。
武器はステージを終えると幾つか手に入るが、パラメータや搭載スキルは完全にランダム。一応、高難度ほど良品が出やすいが。
パラメータは高くとも一閃がないから使えないなんて武器ばかりが出てくるとやはり萎える。そしてそうなりがちだ。
お約束なことに持てる武器数には限りがあり、それを超えると捨てることを強要される。俺はこの手のストレスが非常に苦手だ。
せっかくの「ステージクリアのご褒美時間」に不快感を味わうっておかしくないか? ……おかしくないんだよ。よくあるし。
まそんなわけで、成長やハクスラ要素はあまり楽しめなかった。武器に絡む実績がなかったことはありがたい。はぁ。


無双モードを全キャラでやれば一応ゲームはクリアーしたと言えるが、もちろんそれで終えられるほど今作は甘くない。
天下を取ったなら、次なる男の野望・実績取りの始まりだ。後漢時代も令和も、男が実トロに闘志を燃やすことに変わりはない。
今作はPS3版にトロはなく、XBOX360版の実績はある。この点、残念ながらどちらを選ぶかはもう一択と言わざるを得ない。
で。色んな実績があるが、結局は「全キャラレベルMAX(50)」と「難度・修羅で全マップクリアー」に集結する。
どちらも非常に大変である。XBOX360実績wikiじゃ楽勝みたいに書かれているが、お前ほんまにやったんかと。うう。惨めだ。
取り敢えずレベル上げは後にして、修羅の攻略だ。無双モードを一度クリアーすると、上級難度としてどーんと開放される。
……んで挑戦してみて面食らうわけだが。ほんまに修羅の国が展開される。北斗無双でも取り入れるべきだったんじゃね。はぁ。

今作の難度は、易普難大難超難の5つ。もちろん上に行くほど難しくなるし、それに加え中途セーブ回数が減っていく。
易では回数無限だが、普では3回。難と大難は1回、超難こと「修羅」モードでは一切のセーブ不可。失敗イコールやり直しだ。
正直、普の3回でさえ厳しいと思う。実際、中途セーブというインチキを使ってすら、それなりに歯応えを感じるバランスなのだ。
というのも、今作は回復アイテムがなかなか手に入らないのだ。この点も俺が知る他の無双と全然違うシステムだった。
具体的には、敵を倒してもドロップすることはない。易でのみあるのだが、それでも最低回復量の肉まん限定という厳しさだ。
それ以外は「自軍の拠点」に「敵将がいない」状態で「定期的に発生する」。敵将がいるとこれまた肉まんしか落ちてこない。
例えば敵陣に攻め込んで死にそうになったら、そこらで回復を調達することができない。いちいち拠点に戻らなくてはならない。
いざ拠点に戻っても、落ちてる回復アイテムはランダムで、思いの外元気になれないことも多い。まして拠点が少ない劣勢なら?
今作は味方の士気も絡み、「負けが負けを呼ぶ」ゲームである。一旦劣勢に入ると、それを覆すのは一騎当千程度では難しい。

俺は過去の無双で「瀕死状態でセーブ→必殺ゲージ自動回復→難所突破」という戦法を何度も使ってきた。有効だったからな。
だがそれは、必殺技をブッパした後で回復できて、また上書きセーブ出来てこその危うい戦法だ。今作では役に立たない。
瀕死でセーブすると、何度再開してもすぐ殺される。少し上手く行って敵を倒せても、回復が叶わず結局は死に至る。
セーブは健康な時にやっておくべきだ。……が、そういう時はオラオラと調子に乗ってるから手間を惜しむのだ。人間だもの。
それでも中途セーブは長いステージにおける生命線だ。横着せず、区切りがついたと思う場面ではしっかりやっておこう。
……で、修羅だとそんな作戦が全部ブッ飛ぶ。一旦ステージが始まれば、終了に導くのは自軍か敵軍の勝利のみ。
それでいて、敵の攻撃力は他と比較にならないほど高く、凄まじいダメージを受ける。無論、回復アイテム事情は据え置きだ。
更にこちらからの与ダメージも露骨に減っていて、虚しくなるほど減らない。「一閃」スキルが最重要な理由がここにある。
一閃なら一定確率でそこそこのダメージを与えられるのだ。それが発動してやっと戦闘になる。でなきゃマジでやってられん。
それに加えて、ステージ毎の難度もある。星で表示されるそれが五つ星だったりしたら……ゲームは修羅の場となる。嗚呼。

いやー、ほんま難しい。難しい。死ぬ。殺される。慎重にやっていたら今度は仲間が殺される。それら全てが俺のせいにされる。
異様な敵の攻撃力・防御力は、モブ武将との、いや雑魚敵との戦闘でさえ緊張を強いられる。実際そいつらも油断は出来んし。
なんせ一瞬で殺されるからな。検証はしてないが、修羅だと敵にガードを弾かれる率が高い気がする。システムが違うのか?
必死でガードしているのにガキンと弾かれ(手に来る振動がまた生々しい)、そっからザクザクと致命傷を食らう。痛すぎる。
もちろん無双として「全部自分でやらなきゃならない」のは修羅でも変わらない。あちこちに無能の尻拭いのため出張する。
無能共は、そら難度に合わせて強化はされるが、頼りになるなんてこた一切ない。修羅になるのは一人でいい。よくねーよ。
「修羅で全マップクリアー」は、他ゲーの最高難度に劣らぬ大変さだった。緊張感なら他よりも上だったかもしれない。

修羅で俺が頼ったキャラは「諸葛亮」と「孫尚香」である。どちらも明らかに抜けた強さで非常に助かった。
諸葛亮は「火計」という特殊スキル持ちで、これを発動すると敵陣に放火し(本当)、敵のHPを大幅に削ることが出来る。
それは修羅でも有効なので、敵の本陣に最初から行けるマップなら、諸葛亮で特攻→放火→総大将を削って勝利 で終了だ。
ちなみに武器は扇子である。扇子で扇いで敵をバッタバッタ。あんたほんまに軍師か。変なビームも出すし。
なんかもう無茶苦茶である。台詞では偉い策謀家みたいなことばっか言うが、彼の実態はまさに「三國無双」の体現者だった。
孫尚香は、武器が何と弓、つまり遠距離攻撃が可能。これは彼女とコンパチキャラである月英(諸葛亮の妻)のみの特長だ。
弓ながら3ウェイ5ウェイと多段発射、段数無限、連舞ランクにより性能大幅上昇と、とにかく使いやすくて強い。
もちろん修羅なので攻撃を喰らえばすぐ死ぬが、そこをヒット&アウェイで頑張る。離れて弓で無双は独自の快感がたまらない。
クリアーまでに幾つかの手順が必要なマップは彼女の出番だった。着実に敵を葬り、少しずつ総大将に迫っていく。
ふふふ、これもいい。……とか言ってたら激痛コンボ食らって全部パーとかね。マジで厳しい。無双はするか、されるかだ。
最も難しい呂布シナリオ最終ステージを孫尚香でやってる時の緊張感はたまらなかった。しんどい反面非常に面白かったね。
尚、作中で露骨に最強扱いされる呂布は、実際使うと弱くはないが強くもないと思った。あれなら関羽の方が使いやすい。
天喰らの朧げな知識じゃ「呂布は裏切り者」と認識してたんだが、強者の側面が大きいんやね。無双だけかもしれんけど。

ヒィヒィで何とか修羅全マップクリアーを達成したなら、今度は全キャラLV50だ。これまた非常に大変。今度は作業的な意味で。
今作はまぁ普通にやっていればレベルもどんどん上がるが、逆に「稼ぎ場」がない。地道にコツコツ殺人を重ねるしかない。
一応稼ぎに向いているマップがあるのでそれを周回することになるのだが、とてもじゃないが「効率良く」とはいかない。
また同じマップを繰り返すんだから、当然面白くもない。時々他マップで箸休めをしたりするが、やはり「作業」がずっと続く。
貰える経験値は難度と連動するので、基本的に修羅の一個下でやる。となればさすがの高難度、死んで終わることもあるのだ。
今作は死ねば経験値その他は全部パーとなる。修羅の一個下は1回だけセーブ可能だが、それでもクリアーはなかなか安定しない。
ダラダラ稼がなきゃならないのに、ダラダラ稼がせてはくれないわけだ。ある意味では修羅クリアー以上に大変だった。
ちなみに今作は画面分割による二人同時プレーが可能で、この場合経験値も両方に入る。稼ぎではこの仕様を最大限に利用した。
2Pは当然放置になるが、それでも比較的安全な位置から始められるステージを選び、速攻でクリアーすれば一丁上がり。
アホらしいし2コン操作が面倒だが、効率は上がるから仕方ない。……純粋な二人プレーもやってみたかったな。畜生。
そんな虚しき作業を淡々と重ねた。まぁこれも実トロのあるべき姿だ。楽しくないことさえやる。それが俺のゲー道。アホか。
全員レベル50になれば、実績1000達成。DLCはないからこれでコンプリートだ。ふー。天下統一、完了? そんな甘くないよ……。

グラフィックは、HD機第一弾としては上々ではなかろうか。俺の曇った目では、今でも普通に遊べた。まぁ綺麗でもないが。
無双といえば処理落ちやステルス(表示しきれなかった敵がいきなり出現する)が問題視されるが、さほど気にならなかった。
この辺はPS3以降のハード性能で解決に向かったのだろう。高性能ハードは偉大である。無双はほんまいい時期に作られたな。
キャラ絵はどれも「それっぽく」て良いと思う。もちろんゲーム的にアレンジされているが、古代でありつつカッコ可愛い。
三国志は作品・作者によって絵柄が「似てるけど違う」ものだが、無双は「真・三國無双」の三国志キャラを作ってる。多分。
女性キャラが少ない(無双モードは孫尚香と貂蝉だけだし)のは不満だった。基本的にバカ世界だから女一騎当千もっと見たい。
音楽は、かなり好印象。コエテクの無双チームことオメガフォースの音楽班はいつもいい仕事をしている。ファンになったかも。
舞台は大昔なのに、音楽は実に現代的というかロックと言うか、オラオラしている。なのに作品にはマッチしていて浸れる。
特に「SLASH THE DEMON」は大好き。口ずさみながらプレーしたら、人殺しが実に捗る。無能どもの所業も少しは許せる曲だ。
幸いにもスポッチにサントラがあったので、今もガッツリ聴いている。音楽が残る作品はいいゲーム、これ俺の真実。


……ふー。真・三國無双を一本ガッツリとやった。では、どうだろう。三国志への理解度、そして愛着は増えただろうか?
正直、分からん。要は3勢力による天下取り戦争なわけで、難しくはない。後は個々のキャラやエピソードの魅力次第である。
でもそこは……うーん。「まぁ魅力的っちゃ魅力的だけど、ここまで人気出るようなもんか?」というのが正直なところだ。
創作というのはパク……オマージュの積み重ねにより、どんどん後発が生まれ、洗練されていく。ハッキリ言えば面白くなる。
元祖の魅力というのはもちろん色褪せないが、元祖がいつまでも一番面白いかと言えば、それは違う。色眼鏡をかければ別だが。
三国志もそういうもんだと思う。後発創作に多大な影響を与えた元祖ではあるが、それが今でも輝くほど面白いかというと……?
少なくとも「今でも何回擦っても通用する永遠の大傑作」ではないと思う。数多のフォロワーに触れてきた俺はそう感じた。
三國無双シリーズは残念ながら現在では勢いを大きく落としている。最早かつての栄光は遠く、復権も難しいのではないか。
それはジャンル的な理由もあるけど、「もう三国志はいいよ」な世間の空気も大きいのではなかろうか。うーむ。
今後俺は続編に触れることになるが、そこでも劉備は張飛や関羽と友情を結び、呂布は暴れ回り、司馬懿は裏切るのだろう。
お約束と言えば聞こえがいいが、ワンパターンである。ガンダムのように数多の続編があれば薄められるが、それもない。
つっても全く魅力がないのかというともちろんそれも違うわけで、「もうやるな」は違う。擦り続けるのも止めるのも違う。
「三国志もの」は安易なネタだと思っていたが、実のところ、現代では扱いがかなり難しいものだった。世の中甘くない。はぁ。

あとプレー中ずっとモヤモヤしたのが「距離」の問題だな。三国志の舞台は、広い。非常に広い。移動するだけでも大変だ。
現代目線でさえそうなのに、電車も飛行機もない馬だけの時代に、戦争だ。兵は当然として物資や補給も全部大移動が必要。
……そんなこと、やれるの? と。まぁ1回2回なら分かるよ。でも長々とそれを繰り返していたって。全然ピンと来ない。
日本で例えるなら長崎と北海道が戦争してた感じか? そんなん絶対ウンザリしてどっかで痛み分けになるよ。なるだろ?
情報もだ。こんだけ距離が離れてて、時代は古代。戦争は可能にしても「因縁」なんてそうそう生まれるか? と思う。
劉備と曹操が会うことすら大変なのに。手紙のやり取りだけでドラマが生まれるのか。計略? 軍師? そんな次元になるのか。
これが日本の戦国時代なら、まだ理解の範疇にある。逆にあれくらいが現実性の上限だと思う。少なくとも俺にとっては。
まぁ非常に感覚的にテキトー言ってるが、やはり三国志はどこまでも創作なのだなと思う。演義はもちろん、原典も、ある程度。

しかし俺はまだまだ三国志初心者、しばらくは擦っても問題なかろう。それで飽きるならそれもいい。俺は自由だ。よかったね。
次は今作の続編(?)、「真・三國無双5Empires」をやる。もう持ってる。PS3版。ちなみに5は「猛将伝」が出ていない。
エンパは無双の定番だが、どんなゲームか概要読んでもピンとこない。まぁやれば分かるさ。エンパはトロもある。やる。
そして「6」は、本編・猛将伝・エンパを既に揃えている。準備が良いと言うより投げ売り漁りを頑張ったってのが正しい。
未だにPS3シリーズに触るのはどうかと思うが、俺には今更な話だ。システムが元に戻った本来の三國無双を見せてもらおう。
一方で今作の路線も続けてくれれば……と思うが、その道は完全に閉ざされたようだ。客に受けなかったんだから仕方ない。
慣れればかな~りいい感じなのだがなぁ。マンネリ打破をのための足掻きは難しいね。「8」もそれで苦戦したみたいだし。
今後三國無双がどうなっていくのかは分からんが、後追いの俺は楽っちゃ楽だ。テキトー気ままにやらせて頂くとしよう。
比類な……いや比類だらけな無双シリーズの創始者、真三國無双シリーズを今後ガンガンやっていくと決意して終わり。
カッコよくまたは可愛い、実在の英雄達(創造含)。そんな彼らが縦横無尽に暴れ回る戦場は、いつも魅力に満ちているのだ。

……けど俺は、時々ふとモブ雑魚に感情移入しちまうんだよな。こいつ今何考えてんのかなって。雑魚なのに。雑魚のくせに。
まぁ何を考えていようと、俺がボタン一個押すだけで死んじまうんだが。あばよ。それがお前の「分」だ。泣くな。諦めろ。
はぁ。










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2 コメント

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Unknown (うに)
2022-01-30 14:22:44
こんにちは、いく度目かのコメントです。

自分は三国無双の中では5が1番好きなんですよね。4までと路線を変えて5を作ったのに日和って6から路線を戻したのに愛想がつきました。6以降は士気ゲージがなくなっているし…正直6以降は単なる草刈りという言葉が正しいと思ってます。8はまだやれていませんが。

とりあえず5が出たときにおもろいぞ、これはって思ったのにネットの評判が悪くてビックリしたのも思い出です。

5はご存知の通り異色で、攻略の順路や自由度が非常に高いあたりに魅力があります。これから過去作をやっていったりするのわかるとおもうのですが、基本的に決められた順路、順番でないと進行出来ない事がよくあります。扉が閉まっているので門番を倒さないと扉があかない、とか。5はそういったのを無視して扉が壊せたりして自分なりの戦術で戦っていくというのがとても面白く、タクティカルアクションそのものだと思っています。ちなみに5のEmpireは5で不評だった攻撃音がほぼない、という点を見直していて、ワラワラ感も更に高い良ゲーだと思います。
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Unknown (ota)
2022-01-31 01:27:18
うにさんどうも、コメントありがとうございます。

>自分は三国無双の中では5が1番好きなんですよね。
発売当時にプレーされたんですね。「今回は駄作」「HD機移行に失敗」と叩かれてたのは俺も覚えてます。
そして6以降は評判が持ち直したので、そのままの意味で受け取ってたんですが……実際にプレーすると全然違ってましたね。
よく考えられてるし、臨機応変に戦うシステムは面白かったです。発展・改良の余地もある。続編でそれをやってほしかった。
とは言えそれはユーザーの求めるものとは違ったんでしょうね。多作なんだから、色々な方向性があってもいいのになぁ。

>5はご存知の通り異色で、攻略の順路や自由度が非常に高いあたりに魅力があります。
戦略性は意外なまでに高かったですね。ただ画面情報が不足していて、いちいちメニューを開いて確認するのが面倒でした。
戦況がもっとスムーズに伝達&把握できれば無茶苦茶面白くなりそうなりそうと思うのですが……物理的に無理なのかなぁ。
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