腐れゲー道

プレーしたゲームの感想文を、ダラダラと粘着質に綴ります。

ミラーズエッジ(XBOX360版・PS3版)

2021年06月01日 23時23分15秒 | PS3ゲーム感想文
【ハード】XBOX360
【メーカー】エレクトロニック・アーツ
【発売日】2008年12月11日
【定価】1234円(DL版 税込)
【購入価格】0円(Games with Gold 2016年9月)
【プレー時間】45時間

【ハード】PS3
【メーカー】エレクトロニック・アーツ
【発売日】2008年12月11日
【定価】3129円(現物EAベストヒッツ版)
【購入価格】990円(新品 現物EAベストヒッツ版)
【プレー時間】35時間



先日「アサシンクリード」をプレーした。PS3・XBOX360両機種版をやるという、俺にとってかなり特殊な形態のプレーだった。
まずPS3版を開始した。……が、どうにも乗れない。ぶっちゃけやる気が出ない。となると、起動や読み込みが重く感じる。
ゲームプレー上、非常にまずい状態である。と言えど我がゲー道、放置は認めても投げ出しは許されない。何とかせねば。
そこで思いついたのが、XBOX360版への切り替えだ。これなら互換により快適プレーが可能。ついでに実績獲得の楽しみもある。
幸い中古で安く買えたので、計画実行。……で、大成功。一気にハマり状態に入り、後にPS3版も含め勢いでクリアーした。
同内容なのに、一方の機種で乗れないから別ハードに切り替えてプレーしたら、一気に面白くなった。……実に変な話だ。
ともあれ、いい経験になった。これはいずれ他ゲーで応用出来るかも? いやこんなケースそうそうないやろ。はっはっは。
……なんて笑っていたら……思い出してしまったのだ。そうだ、機種切り替えはアサクリが初めてじゃない。経験済みだ。
ほんの2年前、俺は全く同じことした。だがその記憶を俺は無意識に封印していたようだ。「ミラーズエッジ」の苦い記憶を。

ミラーズエッジは13年前にPS3・XBOX360同時発売で、ほぼ同内容。アサクリと同じだ。尚PS3版にトロフィーは搭載されている。
つっても当時の俺が手を出すゲームではなかった。後に廉価版が登場したが、それでも「知ってるゲーム」なだけだった。
だが数年後にその廉価版が新品で値崩れしているのを見て、衝動買い。「廉価版の値崩れ」て萌えるよね。……キショッ!!
そのまま9年ほど寝かして、今から2年前に「いい加減やるか」と開始した。それなりに覚悟をして始めたつもりだった。
……けど、ドカーン。取り敢えずめっちゃ酔うし操作にちっとも馴染めんしクソイライラするしで、チャプター3辺りでダウン。
数ヶ月放置した後、アサクリと同様に「XBOX360版ならイケるんじゃね?」と思い、開始。GwGで持ってて良かったよ。
……しかしアサクリと違い、今作はこっちでもドカーン。ゲームの根本からして合わん。やばい。借金が2倍になった。
うん、忘れよう。これは逃亡ではない、勇気ある撤退だ。いつかやる、いつか。未来の俺が。今よりずっと成長した俺が。
てわけでよろしく未来の俺、じゃ。完。……はぁ。かなり本格的な放置になった。そんだけゲームに行き詰まったからな。
だが今作以上に放置してた「ゴッド・オブ・ウォー」をやり遂げたこともあり、そろそろ決着を付けねばと重い腰を上げた。
やはり、まずはプレー環境の良いXBOX360版にすべきだろう。Xbox Series Xにて互換はより快適になり、そこはバッチリだ。
大丈夫だ、きっとやれる。今まで何度も経験してるだろ? ゲームは化ける。きっと今作も変わるさ。……といいなぁ。はぁ。


今作は非常に敷居が高い(誤用)ゲームである。何故か。まず最初に立ちはだかる壁が「酔い」だ。ゲームの3D酔いである。
今作のジャンルは「FPP(ファーストパーソンパルクール)」だ。ごめん俺が今勝手に名付けた。正式には何だろ? 知らん。
パルクール。現実の建物や道をアスレチックに見立て、身体能力のみでそれを突破する競技だ。ごめん勝手に想像で語った。
詳細は各自調べてくれい。個人的には迷惑行動にしか思えんから嫌いなんだ。ただ今作がパルクールゲーであることは事実。
そしてFP、つまり一人称視点だ。FPでパルクール。全力で走って跳んで壁走りして壁ターンして……「超運動ゲー」である。
こんなもん、2秒で酔うと分かる。そして実際酔った。俺はゲーム酔いに強いんだが、「ポータル2」以来の吐き気が来た。
10分もプレーすると臨界の6割ほどの吐き気。耐性のある俺だからそれで済んだが、無い人なら多分嘔吐レベルまで行くかも。
まぁプレーを続けるうちに慣れはしたのだが、それでも「何となく気分が悪い」状態は最後まで消えなかった。
慣れるまでプレーするだけでも結構な壁があると言えるだろう。「よくここまで確実に酔うゲームを出せたな」と思った。
もちろん製作者もそれは重々承知してたらしく、画面の挙動等で対策はしてあるらしい。が、正直効果の程は分からん。
けど酔いは今作の「やむを得ない特性」なので、耐性もあったから、我慢は出来た。今作の真の問題はこれではないのだ。

次に、操作性。パルクールだからジャンプは当然ある。ではそのボタンは? ……なんとLである。今作はLジャンプゲーだ。
それ以外もR2がパンチでRが180度ターンだったり、メインボタンはLRに集中している。任天堂に中指立てるゲームである。
この前の「ゴッド・オブ・ウォー」もそうだったが、洋ゲーにはLRボタンをメインにする文化があるんだろうか。知らんわ。
もちろんこれは製作者なりの理由があるのだろう。左右のスティックを操作しながらでも押せるようにってとこだろうか。
しかし異端過ぎるこの操作は、当然慣れるのに非常に時間がかかる。俺は酔いは慣れても操作性には延々馴染めなかった。
また操作は身につけても、今作は「言葉にし難い微妙な挙動」が非常に多く、それを体得するのはこれまた並大抵ではない。
操作の奥深さはマジで舌を巻くほどで、13年前にこれを作ったEAの凄さには感心するしかない。……全く一般向けではないが。
基本操作に慣れるのが大変なら、微妙な感覚を身につけるのも大変。というか無理。俺は未だに今作の半分も理解していない。
せめてTPS視点だったらと何度思ったことか。それでもゲーム性は保たれるはず。アサクリがまさにそれだったではないか。
……今作は臨場感を重視したってことか。頑としてFP視点を続ける画面が憎かった。世界はもっと広いはずなのに。はぁ。

つっても今作は時間制限はなく、死んでもチェックポイントから無限に再開可能。じっくり進めることは可能なのだ。
けど、出来ない。今作最大の問題点「行き方が分からない」が立ちはだかるからだ。これへのイラつきは半端ではない。
今作はパルクールを題材にしてるだけあり、「ルート」は多彩だ。腕前次第で様々な方法を駆使し先へ進むことが出来る。
だがゲームはゲームだから、例えば通らなければならない扉は常に固定だ。他の扉はそもそも開けられなかったりする。
時間制限はなく、どれだけ失敗しても最終的にその扉を開ければいい。はい。……ところで、どうやってあそこまで行くの?
そうなのだ。今作はマップ機能がなく、進行先が分からない。その補助として「キャラの目線で方向を示す」システムがある。
ボタンを押すと、カメラが行くべき方向を向いてくれる。俺はそこを目指せばいい。はい。……だから、どうやって!?
教えてくれるのは、あくまで方向だけ。そこに至る壁や段差やビルの谷間をどうやって越えるか? 自分で考えろカス。
パルクールが題材なので当然と言うべきか、行くべき場所には殆どの場合、厄介なアクションをこなさねば辿り着けない。
頑張れば辿り着けるならまだマシで、「これどうやって上階に行くの?」といった手詰まりが多発する。これが非常にキツい。
分からないのである。繰り返すが、教えてくれるのは方向のみ。やるべきアクションやお勧めルート? 自分で考えろゴミ。
試行錯誤を繰り返しても、どうすればいいのか自体が見えない。この状況がどれほどイラつくかムカつくかお分かりだろうか。
世を儚んでビルから飛び降りても、グシャッとなった後はチェックポイントより再開。ミラーズエッジからは逃げられない。
これは放置も当然である。こんなイライラ製造ゲー、土鍋で煮るべきだ。……ほんまどうしよう。途方に暮れるばかりだった。


もう仕方ない。チャプター3辺りで諦め、インターネットを発動した。やり方を確認し、なぞる。惨めな現実であった。
……が。ガッツリやり込んだ今になって思うが、この選択は正解だった。寧ろ今作は、最初からこうした方がいいとすら思う。
今作の本質は、タイムアタックである。コースクリアーのタイムを如何に縮められるか? だ。初回プレーなどただの前座。
もちろん初回で進み方を発見するのもゲーム性ではあるが、俺の感覚だと自力で発見しても喜び半分、ムカつき半分だった。
なんつーかな。今作は全てが「中級者になってから」を前提に作られているのだ。初心者が挑むとブチのめされて当然だ。
「そんなことない!」と言えるのはゲームうま夫な一部例外だけで、普通の人間は無理。頑張る価値が薄い。俺はパスする。
それよりさっさと一周ゲームをやり、基本ルートや様々な技術(の基礎)を頭に叩き込んだ方が、その後がスムーズになる。
負け惜しみのしか聞こえないかもしれないが、今ではガチでそう思ってる。最初からネット動画を観ろ。そういうゲームだ。
「そんなんじゃゲームが温くなるだろ、お前それでもゲーオタか!」と? ……安心しろ。言ったろ、本質はそこじゃない。
ミラーズエッジはタイムアタックに帰結する。そしてそこにはゲームが、ゲームの苦しみがたっぷりとある。安心しろ。はぁ。

取り敢えず、形だけはメインモードを一周した。充実感などは更々なく、ハッキリ言ってゲームへの怒りばかりを抱いていた。
そこで俺は決心した。何としてもこのゲームをやり込める。「やり込む」ではない。屈服させ、俺の勝ちだと宣言するのだ。
……現時点でもう負け確なのかもしれんが、無視する。全てはこれからだ。じゃあどうすれば? となれば!! 実トロだ。
アサクリと違い、今作はPS3版にもトロフィーがある。XBOX360版の実績は言わずもがな。これらをコンプする。してやんよ。
そう、両方だ。片方だけならともかく、両機種でコンプは相当なもんだ。そこまでやり遂げられれば、十分に「勝ち」だろう。
もちろん、怖い。「やれるのか?」とビビる気持ちも多大にある。だがこの時俺は怒っていた。このゲームが許せなかった。
2年に渡り蓄積されたイラつきとムカつきは、恐れの気持ちを凌駕していた。腹ぁ括った。やんよ。両機種共に、な!!!
さて、じゃあ何をやるのか。前述のように、今作の本質たるタイムアタックである。一周クリア後に一気に開放される。
まず本編のチャプターをそれぞれ規定タイムでクリアーする「スピードラン」だ。全10チャプが容赦なく並べられる。
次に、幾つものチェックポイントを順番に通っていく「タイムトライアル」だ。これはクリアタイムで三段階に評価される。
最高だと星3つ、最低だと1つ。それが全23ステージあり、実トロで求められる星は50。最終的に50個あれば過程は問われない。
つまり全ステージ星2でも46までは行けるが、どれか4ステージだけは星3が必要なわけだ。もちろん割合はこれ以外でもいい。
この2種のタイムアタックをやり遂げられれば、実トロコンはほぼ完了だ。他にも小ネタは多いが、それはどうにでもなる。
ちなみに「本編ハードモード」「本編で銃未使用」てな課題もあるが、そんなのはタイムアタックに比べれば雑魚も雑魚。
ハードつったって敵の攻撃力が高いだけで、進行はイージー・ノーマルと同じだからな。何の枷にもならない。
イージーではルートを教えてくれてもよかったと思う。それなら今作の印象はずっと良くなっただろうに。はー……。


さぁて、タイムアタック道の始まりである。……いや訂正する、タイムアタック地獄の始まりである。ほんまもう……。
求められることは非常に単純だ。早く短いタイムでクリアーすればいい。適切な技術でパルクールをこなしていけばいいのだ。
……はっ。簡単に言ってくれる。最初に言っておこう。いや言うまでもないことだが。むっっっっちゃくちゃ、大変である。
単にクリアーするだけなら、もう簡単だ。なんせルートとやるべきことは分かった。基礎技術もほぼ身に付けたと言っていい。
だが本編クリアーでは、タイムは求められなかった。失敗すれば無限にやり直せた。それが通用しない世界がここにあった。
スピードランでの要求タイムは、いちいち厳しい。そらノーミスとまでは言わんが、非常に迅速なプレーが必要となる。
「単にクリアーするだけの腕」だと、真面目にやっても全く全然規定に掠りもしない。そんなのは子供の遊びだった。
各チャプターはどれも数分、長いものだと10分以上かかる。それを極めて少ないミスで、文字通り駆け抜けねばならない。
タイムトライアルは更に極端だ。こちらは1~2分程度の短い課題ばかりだが、その分必要な速さ・正確さも非常に高い。
最早「ただクリアー」では全くの不足で、それなりに高度なショートカットを幾つもこなさねばならない。正確・迅速に。
それでも星3つを獲得するには極めて厳しいというレベルだ。ハッキリ言って大半のステージで星2つ獲得が精一杯だった。
しかしそれでは星合計50には届かない。「どのステージなら星3を取れるか?」を冷静に見極めることも必要となる。
どれもこれもがいちいち厳しい。あまりにシビアな数字をガンガン要求され、徐々にイラムカする余裕も無くなってきた。

それからは、1に試行2に試行三四も試行で五に試行である。コースを把握し、テクを頭に入れ、回数を重ねて指に覚えさせる。
ネットにお手本はあるが、当然ながらそれらは超絶プレーで、完全に真似は出来ない。でもやれる範囲でトレースを頑張る。
想定では達成可能でも、実際にやればミスが多発する。その原因を考え、潰していく。「何度やっても成功」を目指していく。
タイムは1回だけ達成すればOKだが、まぐれ狙いだと結局余計に時間がかかる。アドリブはあれど、安定した実力を身につける。
とにかく反復反復である。毎日毎日ミラーズエッジ。……あれ? あれれ? 俺完全にこのゲームにハマってない? あれぇ?
そうなのだ。タイムアタックに入って以来、俺はミラーズエッジ漬けの日々を送っていた。仕事中にまで思考が及んでいた。
あれだけイラつき吐き気を我慢し機種替えまでやりそれでも長期放置に至った忌みゲーを、今は生活を費やしてプレーである。
2年前の俺が知れば泡吹いて倒れただろう。まさに状況激変。本当に、何十年何千本プレーしても、ゲームは分からないもんだ。
つっても、「超面白くなった!」とは違う。毎日毎日プレーしながらも、イラつきとムカつきは常に共にあった。
やはり根本的にFPパルクール(仮)という今作のコンセプトは俺には合わない。画面が狭すぎて無理があるとしか思えない。
それでも何でもかんでもとにかくハマったのである。まぁ「ムカつきハマリ」はゲームやってると稀によくあることだ。
悪いことではもちろないのだからな。俺は毎日少しずつタイム課題を片付けていった。……めっっっっっちゃ大変よ。はぁ。

で。先に宣言したように。俺は今作を両機種共にコンプするつもりだ。我ながらこれはとんでもない。初めての挑戦でもある。
と言ってもメインがタイムアタックであることは分かってたから、同じ内容である以上、片方での経験がそのまま活かせる。
まずXBOX360版でじっくり修行を積み、課題を達成したらPS3版もサクッとこなす。これならある程度効率的にやれるのでは?
そんな打算で始めた。……これはまぁ半分成功半分失敗だった。活かせる部分は多くあったが、そう単純な話でもなかった。
何より大きいのが、コントローラーの差だ。XBOXとPSは基本的に同じ形だが、細部は違う。それが今作だと大きく響く。
特に右スティックの位置の違いが、それを酷使するゲームだけに、切り替える度に適応に苦労した。いやマジで。
XBOX360版で達成したら、指と頭がホットなうちにPS3版でもやり遂げたい。しかしコントローラー格差がそれを邪魔をする。
もちろん単純に「もう一度再現するのが難しい」というのもある。安定したプレーを志してはいるが、本当に難しいのだ。
少しずつ少しずつ、埋めていった。むっっっっちゃくちゃに大変だった。けど、告白する。楽しかった。はい。ハマったもん。
「こんなの出来るわけねー」と思ってたプレーをやがて(まぐれ臭く)やれた時の達成感もある。嗚呼、テレビゲーム大好き。
プレー時間は本編クリアーまでの何倍もかかったが、ハマり度はそれの53万倍くらいあった。非常にしんどいが苦痛ではない。
只管に走り続けた(比喩ではない)結果、実トロコン完了。完璧。やり遂げた。俺イズ神。誰も知らんが俺は知っている。
ちなみに今作にはDLCがあり、それでタイムトライルの課題と実トロが追加される。なので厳密にはコンプしていない。
だが無料ならともかく、DLCは別腹だろう。なのでコンプしたという発言は嘘ではない。俺はミラーズエッジマスター。ふふん。
……DLCを含めた実トロコンとなると、更に1.5倍くらい難しくなるらしいがな。いや無理。俺には無理。マジ勘弁して下さい。
正直有料DLCでこの上なくホッとした。もしこれも「やらねばならない」案件だったら……嗚呼、テレビゲーム怖い。

一番苦戦したのは、本編だとチャプ3と9。逆に難関とされるチャプ2は割とあっさり行けた。無論、全部難しかったけどな。
チャプ3は何度やっても安定させられず、毎度違うミスでボツが出る感じだった。一つ一つの場面を見直していくしかなかった。
「Mighty No.9」でも思ったけど、「出来る」と「安定して出来る」は全く違う。勢いと運じゃ無理。そもそも俺に運はない。
俺のゲーム観の根底に「ミスってもやり直しゃええやん」があるのだろう。これも間違いじゃないが、故に一発勝負に弱い。
要は普段は微温湯に浸かってるのだ。もちろんゲームは娯楽だ、それでいい。それでもいい。……しかし、それじゃダメだ。
普段から己に厳しくゲームをプレーしないとなぁ。……はは。我ながらどうよそれ。うーん。ま、ゲーオタ道は悩み多し。
チャプ9は最終盤のサーバー守備兵士5人の攻略に苦労した。あれを一応安定させたのは今作で一番の頑張りと言えるかも。
ちなみに今作には申し訳程度に撃ちゲー要素がある。つまりFPSでもあるわけだ。本当に申し訳程度で、非常にチャチだけど。
ゲーム的には撃つことより近寄って武装解除する方が重要だし、またそっちの方が面白い。ノーコストで無力化が気持ちいい。
武装解除の際、敵兵が毎回無表情でこっち向いたまま沈んでいくので、シュールで笑える。今作で一番馬鹿っぽい部分だった。
今作の戦闘部分はハッキリ言って蛇足に感じた。戦闘というより邪魔されるシーンばかりで、鬱陶しいことこの上ない。
それでも入れざるを得なかったんだろうな。FPでありながらSを避けるなど許されない。誰も撃ちゲーからは逃げられない……。

物語・世界設定。何気にこれが非常に凝っている。FPパルクールゲーだが、実際は遊びやスポーツでやってるわけじゃない。
舞台は近未来で、そこでは人類は全てが管理された、所謂ディストピアになっていた。けど人々は快適に暮らしていた。
しかしそんな世界を受け入れられない者も当然いる。管理された世界で彼らが物や情報をやり取りするには、手渡ししかない。
そこで登場するのが「ランナー」という、文字通り走って物を受け渡しする、今作の世界ならではの「裏の運び屋」である。
ランナーは鍛え抜かれた体でビルの屋上等を自在に移動する。そうして監視の目を潜り抜け、目的を達成する。
主人公「フェイス」もランナーの一人。彼女は今日も相棒のオッサン(無線で指示だけしてくる)と共に活動していた。
そんなある日、生き別れた(居場所は知ってる)フェイスの妹が上司殺害の嫌疑で逮捕されてしまう。もちろん無実の罪で。
家族愛の強いフェイスは妹の濡れ衣を晴らすためにランナー活動を開始する。やがて巨大な陰謀が明らかになり……!!

むぅ。かなり凝っている。今作はゲーム内容自体に「ようこんなの考えて形にしたな」と感心したが、物語も同様だ。
「パルクール、微撃ちゲー、スピードが命」というゲーム性と世界設定がピッタリ合ってる。……魅力的かどうかは別として。
残念なのは、妹の事件が早々に発生し、シナリオはほぼそれのみなこと。「運び屋」としての仕事描写が実際にはないのだ。
序盤は運び屋エピソードを幾つかやり、後半で大きな事件という流れの方が良かったのではないか。この点かなり残念だ。
例えば、少女が祖父(政治犯として捕まってる)に渡したいプレゼントを届けるとかさ。報酬? もちろん少女の笑顔よ。
設定的にそういうネタいっぱい作れそうなのに何もなかったからなぁ。肝心の妹事件も別に面白いものではなかったし。
そして、半ば予想していたが、ラストは俺これ(俺たちの戦いはこれからだ)エンドだった。黒幕の正体とか全部投げてた。
続編を想定してたのかただの投げっぱなのかは知らんが、よくある「ゲームシナリオ」だった。ガッカリも今や少しで済む。
まぁ今作の場合、世界設定だけで割と勝ちだろう。そこは見事だった。……俺はディストピア生活でも別にいいけど。はぁ。

ところで、主人公のフェイスなのだが。確か24歳のはず。パッケ絵にドンと描かれてるから、見たことある人は多いだろう。
……そして誰もが「うーん……」と思うのではなかろうか。実際発売当時にそれでひと悶着あったらしい。詳しくは知らんが。
何やらプロデューサーの妻(アジア人)をモデルにしたとか何とか。いや知らんけど。取り敢えず、キャッチーではない。
そこに媚びるゲームではないのは確かだが、媚びてダメとも思わない。長く同化していた我が分身だ。なのに。うーん。
フェイスは顔や腕にスミを色々入れており、そういう意味でも好きにはなれない。日本の美少女文化は素晴らしいと思った。
今作に限らず、「洋ゲーにおける創作女性文化」は未だにさっぱり分からん。作り手も基本男でしょ? 欲しくならないの??
俺にもしっくり来たのは「トゥームレイダー」のララさんくらいだ。ララさんは綺麗だった。久しぶりに会いたいな。チッ。
ちなみにフェイスの妹ももうバリバリにうーんだった。救助にあまり燃えなかったのは仕方ない。世の中は残酷なのでね。
ともあれ、フェイスの顔(洒落)について考えると、形容し難い微妙な空気になるゲームである。……この辺にしておこう。

グラフィックは、綺麗汚いより「特徴がある」と言える。殆ど白一色なビルの屋上や壁面は、確かに近未来っぽい。
実際は視認性重視なんだろうけど、雰囲気は出ていた。……ただ、とにかく類型的なのがね。ずっと似たような建物ばかり。
屋上以外に倉庫やモールを走ることもあるが、まぁあまり綺麗ではない。そもそも13年前のゲーム。求めてはいけない。
尚今作は死ぬほど死ぬゲームだが、死因の9割は落下死だ。それもビルの屋上から。いやー。マジでごめんなフェイスたん。
その際は「ヒューン……ズガガガガ!」て感じの表現が入り、非常に生々しい。つってもそれでもかなり抑えてあるのだが。
悲鳴やグシャ音なんかはないからな。さすがにそこをリアルにしたら発売不可能だろう。ともあれ、残酷なゲームでもある。
音楽は起動時のメインテーマ等が(図らずも聴きまくったから)印象に残った。音が目立つゲームではないけどね。
それより進行中のボイスが目立つゲームだ。相棒との無線でのやり取りはなかなか凝ってる。日本語対応もバッチリ。
ほぼ常時追われてるような状況なので、やり取りに緊張感がある。……尤も、初回はゆっくり聞いてる余裕などないのだが。
そしてスピードランだと今度は何度も何度も同じセリフを聞くことになるので「わぁっとるわ、黙っとけ!!」と言いたくなる。
今作に限らんが、「ゲーム部分とイベントの同時進行」をやるなら、初見プレーヤーが把握できるよう配慮してほしい。
製作者は散々テストプレーした場面でも、プレーヤーは初めてなのだ。あちこちから情報が入ってきたら処理しきれんナリよ。
この辺、ハード性能が上がって色々同時進行させられるようになったことの弊害だな。……13年前のゲームに何を言って……。


ふー。どん詰まりからの長期放置、再開したらガッツリ……俺の場合まぁよくあることだ。だが「両機種コンプ」、ここは違う。
いやぁ、頑張ったよ。よくそんなに執念深くやれたな、と。……そんだけ一周終えるまでのイラムカ怒りが強かったんだな。
あの時の「このゲーム絶対に許さん」という強い思いが無ければこんなことは不可能だった。ゲームに怒るのもまたよし。か?
まぁ、終わりよければ全て良しよ。2年間本当に色々あったが、結果としては最高&満足である。何の問題もない。……そうか?
そうなの! フェイスと共に必死でビル間を駆け抜けた日々は無駄じゃなかった。1000回くらい死んだし。うち200回は自殺で。
いやー、パルクールって危険ですね。俺は一生絶対やらん。今作はパルクールを忌避させるパルクールゲーだった。……うーむ。

さて、今作には続編「ミラーズエッジ カタリスト」が既に発売されている。……で、持っている。ちなみにXBOX One版。
カタリストは何故かDL版がセール時に異様に安くされており、俺は400円弱で買った。今もそれくらいでよく売られている。
最早EAとしては価値のない一本てことだろうか。何やらジャンルがOWになったと聞いたことがあるが、詳しくは知らない。
何だかんだで非常に斬新であり、ゲームとしても高レベルに仕上がってると思うが、間違っても一般受けするタイトルではない。
世界一の大メーカー・EAとしてはこれ以上推すシリーズではないのかな。ともあれ、持ってる以上、やらねばならん。やる。
今作で修行は積んだし、続編だから様々な面でプレーしやすさは向上しているはず。今度は最初からハマれるかも。かも。

今は疲れた体を休め、続編に備えよう。比類なき(本当)FPパルクール・ミラーズエッジの不思議な魅力を思って終わり。
相当やり込んだつもりだが、俺は多分今作の1/3も理解していない。ネット上のバーチャルパルクールマスターは化け物揃いだ。
実トロコンした俺をして何をやってるかさっぱり分からん動きでわけの分からんルートを辿り、超絶タイムを出す人達がいる。
彼らの境地に辿り着ければ、また違い何かが見えるのだろう。でも俺には無理。才能がないから。バーチャルでさえ体が竦む。
子供時代は俺も縦横無尽にそこらを駆け回っていたのにな。衰えたのは体か心か。一人大人しく無難にゲームをする今があった。
はぁ。






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4 コメント

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Unknown (ota)
2021-08-01 00:04:48
返信が遅れて申し訳ないです。

>トロコンを基準にされるのは凄く誠実に感じま
もちろん無理と判断した際は諦めますけどね。デモンズソウルとかは「あ、無理」と速攻撤退しました。まぁ仕方ないです。

>達成率はマイティ9の方がずっと低いようなので、マイティ9をトロコンしたotaさんの偉大さを痛感しました
あざます。まぁ難度というよりトロコンを目指す魅力があるかどうかの差な気がしますがw
でもマイティ9のように血を吐くほど頑張ってトロコンしたゲームは、やっぱ記憶に残りますね。
その意味じゃ確実にゲームの価値を高める効果もあります。実トロを好きになったことは個人的には確実にプラスでしたね。
返信する
Unknown (サク)
2021-07-09 21:09:39
>今のゲームは規模の肥大化により、単純にEDを見ただけでは「やった」と言い難くなってます。少なくとも俺にとっては。
ならどこまでやれば「やった」なのか? 製作者が定めた実トロのコンプが現代では一番いい指標なんじゃないか、と。

私個人としてはトロコンという基準は厳しいと感じますが、otaさんの様に感想を文章にして公開されている方が、トロコンを基準にされるのは凄く誠実に感じます

そう言えば、ロックマン11のトロコンを目指してみますというようなことを以前otaさんに言ったと思うんですが、見事に挫けました
ちなみにトロフィーの内容はマイティ9と似たような感じで、達成率はマイティ9の方がずっと低いようなので、マイティ9をトロコンしたotaさんの偉大さを痛感しました
返信する
Unknown (ota)
2021-06-28 23:17:21
>やっぱりPS4版が400円程度で売ってると買おうかなと思ってしまいますね
反応してしまいますよねw 続編のカタリストは、今作の反省を生かし、ある程度親しみやすいゲームになってると思います。多分。

>めちゃくちゃ酔いそうだなと思って購入は控えましたが、予想通りのゲームみたいですね
酔いはガチです。慣れて吐き気が起きなくなっても、プレー中「微妙に体調が悪い」感じがずっと付き纏いました。
タイムアタックに入ってからはハマれたから良かったものの、そうでなけりゃ尋常でなく苦痛なゲームになってましたね。

>私はクリア+αくらいまでしかやらないことが多いので、ゲームで達成感を味わうったのがもう随分前な気がします
今のゲームは規模の肥大化により、単純にEDを見ただけでは「やった」と言い難くなってます。少なくとも俺にとっては。
ならどこまでやれば「やった」なのか? 製作者が定めた実トロのコンプが現代では一番いい指標なんじゃないか、と。
「実トロなんて下らない・どうてもいい」て人の意見も分かるんですけどね。自己満足要素として俺には向いてると思ってます。
返信する
Unknown (サク)
2021-06-27 10:30:42
ミラーズエッジ、私も少し気になってました
やっぱりPS4版が400円程度で売ってると買おうかなと思ってしまいますね

一人称視点のパルクールアクションということで、上手く操作出来るようになれば爽快感は凄そうだなとは感じましたが、めちゃくちゃ酔いそうだなと思って購入は控えましたが、予想通りのゲームみたいですね

ゲーム性的にはスパイダーマンと近い感じなのかなと思ったので、私はあちらをやってみようかなと思っていますが、思っているだけでなかなか手が出せてないといういつものパターンになってしまっています

いつもながらですが、酔いや操作性の悪さを乗り越えてトロコンまでやり込むotaさんの根性は凄いですね
私はクリア+αくらいまでしかやらないことが多いので、ゲームで達成感を味わうったのがもう随分前な気がします
otaさんを見習わないとなぁ…
返信する

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