腐れゲー道

プレーしたゲームの感想文を、ダラダラと粘着質に綴ります。

GRAVITY DAZE2

2017年08月12日 23時42分28秒 | PS4ゲーム感想文
【ハード】PS4
【メーカー】SIE
【発売日】2017/1/19
【定価】7452円(初回限定版)
【購入価格】6087円
【プレー時間】67時間


「GRAVITY DAZE2」である。ちなみにサブタイトルは「重力的眩暈完結編:上層への帰還の果て、彼女の内宇宙に収斂した選択」だ。
しかしサブタイは明らかに扱いが小さく、意図的に目立たなくさせられている。グラデズ2だけで今作の名称としてもいいと思う。
前作の時に、サブタイを前面に出すことで強烈な「とっつき難さ」を醸してしまったことへの反省の表れだと思われる。多分。
まぁそれを言うなら「グラビティデイズ」自体がとっつき難いんだが、仕方あるまい。とにかく、2。前作から5年後、待望の続編。
……このゲームに関しては、まず二つ、個人的に 謝らなくてはならない。

一つ目は「知らなかった」ことだ。俺は前作を、約3年前にプレーした(VITA版)。それなりに面白く遊べたと思う。
ただ、EDには呆れた。前作は露骨に「彼女の戦いはこれからだ」で物語が打ち切られていて、唖然とした。中途半端にも程がある。
タイトルに前編と書いてるわけでもないのに、あれはない。「大逆転裁判」並の酷さだった。ああいうのマジで良くないよな。
で、そんだけ半端なんだから、続編の発売は当然……でもなかった。なんせ前作の発売日は、2012年2月なのである。
俺がプレーした時点で2年半も経ってる。なのに続編の発売はおろか、発表さえない。これはあれだ、完全にお蔵入りしてるわ。
VITA最初のキラータイトルとして発売されたけど、さして話題にならんかったしなぁ。傷口広げるよりも早めに見切るという判断か。
まぁ、しゃーない。半端な作りに腹は立つが、だからって血を流しながら続編出せなんて言えない。向こうは商売なんだから。
結構意欲的なゲームだけに、残念な話である。まぁ物語の締め以外は楽しめたよ。ありがとうキトゥンたん。さようなら。

……なんて感じの感想文を書いたんだが、実はとうに発表されてたんですよ、続編。それも東京ゲームショーという晴れの舞台で。
まだ対応ハードも決まってなかったけど、グラデズの続編として。TGSでPVを流す以上、少なくとも出るのはもう間違いない。
いやぁ、ごめんなさい。コメントでこれを指摘されて、情けなさを越えて自分が怖くなったよ。ここまでアンテナ鈍ってたんか、と。
現代のゲーム業界は非常に広く「全てを把握する」ことはまず不可能。だから俺もゲーオタを自認しても事情通とは思ってない。
だがTGSでPVの流れたゲームのことを、その前作をプレーした後の時点でも知らなかったってのは、引退勧告を貰うレベルで情けない。
本当にごめんなさい。キトゥンたん。この詫びは、もう続編購入しかない。出たら必ず買います。そう誓った、3年前の夏。

で、二つ目の謝罪は、プレーが非常に遅れたこと。続編は今年1/19に発売された。俺は誓いを守り、即日限定版を購入したのだ。
……なのにプレーを開始したのは、何と6月。俺も人並みに罪ゲは多いが、「発売日購入ソフト」は基本的にすぐやるようにしている。
でないと発売日に買う意味がなかろう。事情により少し遅れることはあっても、数ヶ月なんてあり得ない。……本当に、ごめん。
色々あったんだよ。ナチュラルドクトリンにアホハマりしたり、ダブドラ4に苦戦したり、20年越しの夢・YU-NOが出たり。
「こんだけ遅れたんだからもう焦る必要もあるまい」なんてことも正直思った。不誠実極まりない。ゲーオタ失格。マジごめん。
かと言って、半端に20分程度プレーして「取り敢えず継続中」なんてやったら、それはそれで物凄く不誠実だ。やらん方がマシだ。
一切手を付けずに置いておいたのは、不幸中の幸いならぬ不誠実中の誠意だったと思う。意味不明の供述だが、そうなの。チッ。
そんなわけで、待たせてごめんなキトゥンたん。でもその分、じっくりたっぷり、空を舞わせて差し上げますということで、ひとつ。

謝罪終わり。じゃグラデズ2、行くぜ。
取り敢えず、ハードが変わった。VITA専用から今回はPS4専用に変更。単純に携帯機→据え置き機 という大きな変化があった。
このシリーズは操作にジャイロを採用しており、前作ではVITAを傾ける必要があった。今作ではもちろんDS4を傾けることになる。
この感覚の違いを修正するのは大変だろうな……とプレー前は思っていたが、全然そんなことはなく、すんなりDS4操作に馴染めた。
俺は手を付けていないが、PS4に移植された前作も同様の操作性だろう。つまりPS4ソフトへの転身は、何の問題もなかったのだ。
……それはそれで、ちょっと寂しい気もした。VITA専用ソフトとして作られたのに、実際んとこはVITAでなくても良かったんだな。
まぁいいや。時代とともに事情は変わる。俺はPS4用ソフトとなった続編をやるだけだ。改めてキトゥンたん、発進。
ちなみにジャイロが嫌いならオフにも出来る。ただジャイロ前提のゲームなので、それだと照準合わせの速度が格段に落ちる。むぅ。

基本的には前作とあまり変わらない続編である。操作キャラは引き続きキトゥンたんであり、重力操作に関してもほぼ同じ。
開始当初こそ「重力操作能力を失って」いるので、何か別方向に行くのかと思ったが、30分くらいで力を取り戻していた。はっ。
ゲームジャンルがオープンワールドになったとのことだが、俺には前作との違いがよう分からんかった。大体同じじゃね?
まぁハード性能アップによりフィールドが広くなり、OW感は上がったと思うが。基本システムは殆ど変わらないと思う。
フィールド(町)の中にメインシナリオ進行用アイコンと、サブ用アイコンが幾つか表示されていて、そこに行けばイベント発生。
サブはやるもやらんも任意。一定数こなすと供給がなくなり、メインをやらざるを得なくなる。メインだけでももちろんOK。
うむ、分かり易い。進行に迷うことはあり得ない作りである。……少々機械的すぎないかと思うが、まぁ仕方ないのだろう。
ゼルダブレワイでは良くも悪くもメインの進行に壁が多かったが、今作にそれはない。非常にデジタルで親切である。
迷う要素がないから、迷うことなくゲームを進められた。最初から最後まで、ずっと順調にプレーできたと思う。

んでまぁ、ゲームは順調に進んだんだが……うーむ。正直、ハマり度は低めだった。刺激が足りず、プレーを継続できない。
今作は、OWながら「コンテンツの洪水」がない。イベント数はそう多くないし、フィールドに収集アイテムが落ちてるわけでもない。
一応「ジェム」という経験値アイテムが至る所に落ちているので、それを集める楽しみはある。……というか、これが一番楽しい。
俺は前作でも、テキトーに重力移動しながらジェムを集めるのが一番楽しかったのだ。今作でもそこは健在だった。
今作のフィールド(町)は浮遊しているので、重力操作を使えば下側の隅々まで行ける。そしてその至る所にジェムが置いてある。
キトゥンがジェムに近付くと、小気味よい効果音と共に吸収する。何てことのない行為だが、これが不思議と楽しい。ホントに。
「空のお散歩」て感じかな。町の下になんて当然誰もおらず、自分一人の世界だ。そこを自由気ままに飛び回り、ジェムを稼ぐ。
ぶっちゃけ今作の一番の魅力は、製作者が表現したかったことはこれではなかろうか。何も手の込んだことはしてないのにね。
そんなわけで、今回もジェム集めは楽しめたんだが……ジェムは一度取得すれば、消える。それまでだ。実に残念だが、しゃーない。
さすがに何もない町を飛び回っても退屈である。ジェムがあるから楽しいのだ。なのでこの楽しさは割と一過性だった。うーむ。

それ以外だと、今作にはメインイベントとサブイベントしかない。そしてサブイベントは、意外と数が少ない。
俺は「その時点でやれる限りのサブをこなしてからメインを進める」方針でプレーしたが、いつも「え、もう弾切れ?」と思った。
サブをクリアーすると、その際にネタになったミニゲームが別途サブイベントとして発生するんだが、それを含めても少ない。
その分サブイベント自体はどれもしっかり作られているが、OWで大事な「豪華さ」「ボリューム感」を抱くには寂しいと思う。
何と言うか、「アイテム収集」がないのが痛いな。せっかくそこら中を移動できるゲームなのに、モノ集めの楽しさが今作にはない。
ジェムがその代わりなのかもしれんが、あれは経験値であり、それ以外の意味はない。他に雑多アイテムは必要だったのではないか。
またフィールド(町)には多くの人々が存在するが、会話が可能なのはその中の3人くらい。他は全くゲームに関係ない背景キャラ。
これも非常につまらなく、勿体無いと思った。せっかく町を作り込んでいるのに、それにゲーム上での意味が希薄なのだ。
「フィールドを散策する」要素が(ジェム以外で)今作にはない。それがボリューム感の不足に繋がってると思う。
もっと雑多なアイテム・会話を用意してほしかった。特に会話は手抜きを強く感じた。住人の大半がハリボテなんだもんな。
「寄り道でおなか一杯→じゃあメイン進めるか」でやりたかったのに、腹が膨れる前に寄り道要素を食い尽くしてしまう。
このせいでゲームを進める熱量が今一歩不足してしまった。まぁ基本的には面白く遊べたんだけど。はぁ。

ミニゲームへのチャレンジは、得点に応じて金銀銅の三段階に評価される。となれば金取得は必須。前作でも全部やったしな。
難度はさほど高くなく、数回挑戦すればどれも金評価を獲得できた。もっと上を目指すことも可能だが、俺はほどほどでいい。
チャレンジの成績はメニュー画面で確認できる。金メダルがズラッと並んでいるのは実に壮観だ。自己満足こそ真の満足。
……ランキング上位には頭おかしい数字ばかり並んでるが、あんなのどうやって出すの? リプレイ閲覧機能も欲しかったな……。


そして戦闘。こちらは「前作と変わってないなぁ」と思った。「前作と同様、つまらないなぁ」と。うーむ……。
前作と変わらず、敵には全て赤く光るコアがあるので、そこへ向かって急降下蹴りをしたりモノを投擲したりするのが基本となる。
敵には無論様々な奴がいるが、やることはほぼ全部これ。……となると、実に単調なのだ。最初から最後までずっと同じ。
「単調だけど面白い」なら救われるが、残念ながらそうではない。コアを狙うエイム能力は必要だが、求められるのはそれだけだ。
前作でも感じたことだが、このゲームは物凄く立体的に動けるので、これ以上の要素を入れると戦闘が複雑になりすぎるのだろう。
今作の戦闘は、1画面じゃ表示範囲が狭すぎるのだ。実際戦闘中はしょっちゅう視点が無茶苦茶になり、状況把握に苦労させられる。
もし今作がダライアス(やったことないから想像だが)のような3画面制だったら、戦闘は何倍も楽しくなったことだろう。
現状だとシステムは単純で、更に表示範囲の狭さから頻繁に画面がゴチャつくことになり、面白さを感じるには遠いと言うしかない。
ここは前作からたっぷり時間があった以上改良してほしかったが、何も変わっていなかった。ハッキリ言ってダメだろ。あーあ。
重力スルー(モノを浮かせてぶつける)が強力すぎる一方、体術の威力が低すぎるのもどうかと思う。体術使う意味が殆ど無い。
あと個人的に「飛び蹴り(重力ダイブ)を外した時の不快感」がどうにもこうにも嫌だった。明後日の方向にかっ飛んで行くのが。
勢い付いてるからすぐには止まれず、止まって振り返ったら敵はどこに行ったか分からず……終始ウンザリさせられた。

前作と変わらずと書いたが、新要素もある。今回はキトゥンの能力変化が可能になり、戦闘スタイルを3種から選べるようになった。
従来型に加え、「ルーナ」は軽重力のフワフワ移動と攻撃が可能になり、「ユビトール」は逆に重量級攻撃を出せるようになる。
この二つは途中から登場し、その後は自由に切り替え可能。……が、「視点ムチャゴチャ」問題は解決せず、あんま楽しめなかった。
ルーナの方は「どういう状態」かよう分からなかった。重力が軽くなってるのはいいとして、何故敵を追尾出来たりするんだ?
ユビトールは一撃の重さは魅力的だが、重力ダイブを外した時の不快感も倍増なので、これもあまり好きになれなかった。
まぁ「俺が下手だから」と言えばそれまでだが、「じゃあ上手くなってやる!」という向上心が起きない。テキトー心に傾く。
戦闘は当然ゲーム全編に渡って存在するが、残念ながら面白いとは言い難い。寧ろゲームの魅力を削いでるとまで感じる。
ただ幸いにして前作同様戦闘難度は低く、テキトーでも結局通用する。仮に死んでもやり直しが重いわけでもない。
だからストレスを抱くには至らないが、これを「良い所」と言っちゃいかんよなぁ。ホント、障害でしかなかった。はぁ。
ちなみに3段階に難度選択が可能で、俺はデフォのノーマルで通した。上げても多分メリットないし、このシステムじゃ燃えないし。
最近は「いつでも難度変更可能」が流行りのようだが、俺は好きじゃないなぁ。難しさに重みがなくなるよ。うーむ……。


てな感じであまり感触は良くなく、プレーは続けたがハマり度が低かった。しかしまぁ、やってるうちに割と気持ちが乗ってきた。
何故か。キャラの良さである。具体的には主人公ヒロインのキトゥンたんである。前作と変わらず、彼女はとても可愛かった。
つっても一般的な萌え(死語)方向ではない。無論普通に美少女ではあるが、風貌は意図して概ね「平凡」にしてあると思う。
しかしながらキトゥンたんはとても可愛い。メインでサブでイベントを起こして、彼女の対応を見たくなるキャラなのだ。
何故か。彼女はとても「いい子」なのである。「正義感が強くて面倒見がよくて真っ直ぐな心を持つ」子なのである。
周囲に「困ったこと」が起きていたら、彼女の意思で何とかする。もちろんゲームの流れと言えばそれまでだが、それだけじゃない。
重力操作という比類なき能力を持っているのに実に真っ直ぐで、いつも「みんなの為に」その能力を駆使する。立派すぎる。
ある意味現実には絶対にいない、創作ならではのキャラである。格好は汚い(ゲーム公認)のに、とてもキラキラしているのだ。

もちろん人間的に立派な面だけじゃなく、ダメな面も持っている。しかしそれがまたキトゥンたんの魅力にもなっているから凄い。
彼女はとにかく「チョロい」。ゲーム中、プレーヤーは何度も「おいおい、この子大丈夫か?」と思うだろう。危うすぎる。
イベントの中には、身勝手すぎてさすがのキトゥンも「え、それはちょっと……」と断ろうする場面も結構ある。
だが、結局は受けてしまう。相手の押しが強かったり、「芸能界にデビュー出来るかも」なんて餌をちらつかされると、コロリ。
ラノベ等で、あまりにあっさり主人公に惚れるヒロインを隠語で「チョロイン」と呼ぶが、俺は今作で真っ先にそれを思い出した。
キトゥンたん、あまりにもチョロい。こんなにチョロかったら、間違いなく悪い大人に騙されるよ。ゲームでよかったよ。
しかしこのチョロさが「危うさ」となって、彼女から目を離せなくなるのだ。今作、途中放棄は出来んよ。キトゥンたんが心配で。
俺はアイドルには興味ないが、そのファンは「不完全な彼女を見守る」のが楽しいらしい。これも似たようなものかもしれん。
女性主人公のゲームはもう珍しくなくなったが、大抵はキリッとした強い女性であろう。戦闘要素があるなら尚更だ。
こんな、30秒も目を離せばどっか飛んで行きそうな危ういチョロインは見たことない。ある意味非常に斬新なキャラ作りである。
それをちゃんとキャラの魅力にし、更に「この子の行く末を見届けねば」とプレーヤーに思わせるんだから、見事なもんである。
……ちなみに後で知ったが、キトゥンの「チョロい」は製作側公認の呼称であるらしい。ラインスタンプになってた。
それでいいのかグラビティデイズ2。完全に狙ったキャラ設定だとしたら、ちょっと残念かも。乗せられちまったかな……。

キトゥンの周りを固める脇役も、個性的な奴が揃っていて面白かった。この辺はさすが日本製作、洋ゲーにはない安心感である。
キトゥンのパートナー・クロウはDLC(無料)で別エピソードが用意される等、前作より遥かに存在感が増していた。
キトゥンのようにチョロくはなくクールな雰囲気だが、「いい子」なところは変わらない。ふたりは最強、いいコンビだった。
もう一人、前作から継続登場の「シドー」。……邪神ではなく、軽薄な警官男だ。キトゥンより8歳くらい年上? に見える。
生真面目なキトゥンに対してシドーは美味しいところを掻っ攫うお調子者的なキャラだが、締めるところはキッチリ締める。フン。
それはいいんだが、終盤の展開で非常に重要な役を与えられたのはちょっと残念だった。シドーは一般人でいるべきではないか。
キトゥンと恋仲にならないのは、まぁそういうゲームじゃないからよかろう。深い信頼関係がある兄妹関係ってとこかね。

今作での新キャラも悪くない。リザは集団を束ねる強いリーダー女性。キトゥンと正反対だが、やがてキトゥンの正義感に絆される。
ただ彼女の種族の秘密? 設定があったはずだが、その辺が結局未消化に終わったのは不満。終盤絡んでくると思ってたのに。
シシィはリザの義理の娘だが、親に似ず引っ込み思案。快活なキトゥンに憧れるようなことを言うが、それは止めとけ嬢ちゃん。
中盤で秘密が明らかになるが、彼女はラスボス級の存在にしてほしかったと思う。キトゥンへの憧れがやがて嫉妬に変わって、とか。
あの内に溜め込むキャラはそういうのが似合ってると思うんだよな。リザがキトゥンが仲良くしてるのを見て遂に爆発、とか。
あと戦えるようになったなら、クロウに次ぐ二人目の相棒にもなってほしかった。3人同時の飛び蹴りが見たかったナリ。


物語は、前半・(今作での)新世界編、中盤・前作の世界編、終盤・キトゥンの謎編 に大きく分けられる。
前作の戦いを終えた後、キトゥン・クロウ・シドーの3人は謎の重力渦(?)に巻き込まれ、全く知らない世界に飛ばされてしまった。
その際にクロウは逸れてしまい、更にキトゥンは重力操作能力を失う。何とか拾ってもらった集団は、貧乏暇無しの厳しいところ。
キトゥンとシドーの二人は集団の仕事を手伝いながら(寝床は臭い家畜小屋)、これからどうするかを考えるのだった……。

むぅ。「キトゥンが重力操作能力を失う」は公式サイトにも書かれているくらいなので、序盤はこれを取り戻す戦いと思っていた。
……が、実際には30分ほどプレーすれば元に戻った。能力を可能にするお供猫「ダスティ」と再会するだけでよかったようだ。
この新世界編は、「身分差」がテーマかな。上流階級は贅沢三昧で、キトゥンらの属する下流は上に搾取されまくっている。
キトゥンはこんなのおかしいと声を上げるが、なかなか届かない。だが幾つかのトラブルを解決するうちに、やがて……て感じだ。
ここでの不満は、描写が非常に紋切り型であることだな。「上流階級=悪の金持ち」「下級=搾取されるばかりの優しい人達」という。
世の中そう単純なもんじゃないだろう。誠実に努力をする金持ちもいれば、どうしようもない屑な下級層もいる。当たり前だ。
今作はそこまで深い描写をすべきゲームじゃないかもしれんが、ちょっと浅すぎと感じた。そんな世の中だといいよね。
あと騒動の後に上と下が和解するんだが、それもちょっと安直に感じた。もっと蟠りが残らないと。人間だもの。はぁ。

続いて舞台が前作のヘキサヴィルに移る。……ここで腹が立ったのが、公式サイトだ。テメー嘘吐いてんじゃねーよ。
今作の公式サイトでは、「前作を知らなくてもプレーできますか?→はい、問題ありません」とわざわざQ&Aで記述している。
俺はこれを信じた。実は先に前作のPS4版をやるつもりだったんだが、時間的問題を考慮し、「これなら」とすぐ今作に入ったのだ。
なのに実際は、2章が完全に前作の続き。舞台はもちろん、キャラも前作の奴が揃い踏み。思いっくそ既プレー前提。
3年前だし、正直忘れてるよそんなの。こんな作りだったら、前作を復習しておくべきだった。非常に騙された気分だった。ったく。
んでここでは、勝手な理屈で暴走する狂人市長を止めることになる。にしても、毎度毎度ここの住人はロクな奴を市長にせんな。
これはもしかして民主主義の衆愚っぷりを揶揄してるんだろうか。だとしたら1章と打って変わって深いな。気のせいだな。
ここでシシィの正体が明らかになるが、前述のようにちょっと早かった気がする。もっと溜め込んでほしかった。

そして終章(別にそう表示されるわけじゃない)、キトゥンの正体編。前作で完全に謎だった部分が、今回遂に明かされた。
……が。判明はしたが、納得はできない感じ。つっても俺が納得出来る真相なんて多分ないからいい。しゃーない。
敵がここで突然出てきたポッと出なのはどうかと思った。1章から伏線張っていてほしかったな。威厳を感じられない。
「上層と下層で時間の流れが違う」というこの世界の設定は、物語の理解をかなり難しくしていると思う。実は相当複雑だ。
そもそも何であんな世界なのかね。人間が生き延びられる環境じゃないと思う。俺は最後、世界が星に還る感じの予想をしてた。
キトゥンは色んな意味で歪んでいるこの世界を正す神っ子だと。でも中身はチョロイン、最高。……ダメ? まぁしゃーない。
取り敢えず完結したのは間違いない。タイトルに偽りなし。……そして続編の可能性もまずないな。しゃーない。


今作にはキトゥンが写真を取るシステムがあり、かなりゲームに食い込んでいる。当然と言うか、お遊びで撮影することも可能。
だが世界設定に合わせてかカメラがショボく、スマホ様に慣れきってる現代人的が遊ぶにはちょっと質が低くて扱いにくかった。
でもお宝のヒント写真をネットに流す→どこかのユーザーがそれを手掛かりに宝を探す てネタは面白かった。いいアイデアだ。
今作はオフラインゲーだが少しだけネット要素があり、それが良く出来ている。驚いたよ。新ネタでは一番良かったかもしれん。
見知らぬ他人から時々やってくるヒント写真を元に宝探し。分かり難いヒントだと「お前ヘボだな!」と叫んでしまったり。
んで宝を発見できたら、今度は自分でヒント写真を取ってネットに流す。すると後日、「誰かがそれを役立てたよ」と通知が。
それによってちょっとした特典もあったりで、常時ハマれる要素じゃないが、寄り道小ネタとして上々だったと思う。
もう少し発展させてほしかった気もするが、この軽さが良かったのかもしれんな。ネットで濃い付き合いにすると、疲れるから……。

写真には「◯◯という人(or場所)を探して写せ」という遊びもある。文章ヒントから対象を探し出し、写真に撮ればオッケー。
これ、最初は楽しかったんだが、徐々にヒントが曖昧すぎると言うか「こんなんで探せるか!」となり、やる気が失せた。
まぁ「絶対無理」とは言わんが、ちょっと難しすぎるように思う。特に人の場合、重力操作で吹っ飛んでたりもするし。
トロフィーに絡むから、最後はネット見て埋めてしまった。出来たらタラタラ散策しながら探して楽しみたかったな……。


グラフィックは、世界設定に沿った画風で、綺麗だと思う。単純にPS4になったことの恩恵を強く感じられた。 
前作ではちょっと高く飛ぶとすぐフィールドのポリゴンが消えていたが、今作ではそんなことがない。飛ぶ楽しさが増していた。
前述したが、フィールドに何かが隠されているわけじゃないので、色々見て回る意味があまりないのは残念。せっかく作ったのに。
OWというか、近年のゲームってこういう悲劇多そうだなぁ。担当者が必死に頑張っても誰も見てないっての。まぁ想像だけど。
物語の進行は、前作同様漫画のコマ。そんなに良い手法とは思わんが、悪いわけでもない。漫画の画風はとても良いし。
キャラの見た目も、ゲーム中のモデルより漫画の方が良かった。キトゥンたんは特に。いや3Dモデルの方が微妙と言うべきか。
モデルのキトゥンたんはちょっと顔つきが怖い感じなんだよなぁ。一方漫画だと美少女。芸能界デビュー出来るよ、君。
双方の担当が違うのかもしれんが、もう少し摺り合わせをしてほしかったと思う。漫画大国のゲームとしても。

グラフィックじゃなく演出の話だが、今回も 地上で重力操作を実行→周囲の物や人を巻き込む があったのは不満だった。
いやあれ、アカンやろ。迷惑極まりないというか、人は死ぬだろ。何してんのよキトゥンたんよ。あんたそんな子だったんかよ。
作り手がギャグでやってるのは分かるが、俺は洒落になってないと感じる。前作でそうだったのが、今回も継続されて残念だった。
フィールドの作り込みを頑張るなら、その見せ方にも気を配るべきではないか。PS4なんだしさ。はぁ。

音楽は、前作から引き続き田中公平氏が担当。相変わらずいい仕事するなぁと思った。業界の大御所ここにあり。
今回は2曲、特に気に入ったものがあった。まずはメインテーマ。タイトルデモで流れる曲である。華麗で美しい感じ。とてもいい。
この曲はPS4のテーマ(PSプラスの特典で貰ったはず)を今作のものにした時も流れるので、プレー前に何ヶ月も聴き続けていた。
それでも飽きずに聴けた。メインテーマに相応しい逸品である。初回特典サントラに入っていたので、今もよく聴いている。
特典サントラは電子版で、PS4にDLして聴くのだが、そのデータをUSBメモリ等に移し、MP3として持つことも可能。嬉しい作りだ。
……が、メインテーマ以外は戦闘曲ばっかしだったのが残念。俺はフィールド曲がほしかった。まぁそれは、買えってことかな。

んでもう1曲は、最初のフィールド「レイ・コルモスナ」の曲だ。これが実に良かった。のんびりした雰囲気で、浸れる。
この曲をバックにジェム集めをダラダラやるのが至高だった。……ああもう音楽の説明は難しいからしない。好きだから好き、以上。
化物とのバトルなんてなく、この曲が流れる平和な町を日々パトロール。キトゥンたんが最後に辿り着く日常がそれだといいのう。

曲は良かったんだが、ボイスは残念。今回も「この世界語」をキャラは話す。無論文字は日本語だが、声は洋ゲーと変わらない。
「この世界語」は手法の一つとして確立されているが、「どのゲームにも合う」わけじゃない。そして今作には合ってないと思う。
実は、特典BDに収録されているアニメでは、言語を「この世界語」「日本語」から選べるのだ。つまりキトゥンたんが日本語を喋る。
特典がそうだったから、本編でも当然選べると思っていたよ。これにはガッカリ。じゃあ特典でもこの世界語一択にしとけや。
繰り返すが、ゲームの雰囲気に合っていれば別にいいんだよ。でも今作の場合合ってないと思う。キャラ作りは和風なのに。
世界展開するためには、ガラパ語を使うわけにはいかんかったんかね。日本語話してりゃ、キトゥンたんもっと好きになれたのに。
言葉の壁は厚い。洋ゲーをやる度にそれを痛感する。あ、今作は和ゲーだったか。知ってるよ。知ってたよ。はぁ。


無料DLC「クロウの帰結」は、本編とは完全に別物で、タイトル画面でどちらかを選ぶことになる。操作性等は同じだが。
主人公はもちろんクロウで、彼女の過去の問題を解決するために戦う。適度なボリュームと濃い内容で、良質のDLCだった。
ちなみにトロフィーも本編とは別物。俺は両方コンプリートしておいたよフフン。トロコンはそんなに大変な部類じゃないと思う。
ただ、それをやり切ったらそこまでかなぁ。クリア後も再度世界を回れるだけで、追加のイベントや強ボスといった要素はない。
OWながら一本道ゲームなので、2周目をやっても新鮮味はないと思う。まぁこれはこれでいいか。その分濃密な体験が出来たしな……。


ふぅ。
プレー遅れてごめんなキトゥンたん。更に感想書くのも一ヶ月近く遅れてマジごめんなキトゥンたん。これはブレワイのせいだから。
まぁでも、俺は約束を守る男だっただろキトゥンたん? キッチリと「彼女の内宇宙に収斂した選択」を見届けたよ。オッケー。
完結編を謳っているし、実際完結している。もう続編はないだろう。他ゲーへのゲスト出演はあるのかな? PSオールスター……?
売上はどうだったんだろう。日本だけの数字なら、10万本は超えていたと思うが、あんまし芳しくなかった。製作期間長かったのに。
無論本当の狙いは北米市場なのだろうが、じゃあそっちはどうだったんだろう。……怖いから調べたりはしない。嫌な話だな。
SIEジャパンスタジオ。SIEの本社が北米に行っちまったんで、今は極東支部とかそんな扱いかな。テキトー言ってる。
ここで作られたゲームは、日本のゲームと言っていいはず。だから俺はいつか世界に対して「やってくれる」と期待しているんだ。
次は「KNACK2」になるのかな。……う、あれか。まぁいいさ。気が向いたら買うかもさ。応援したくなる会社さ。
比類なきSIEジャパンスタジオの更なる活躍を祈って終わり。キトゥンたんがきっと何とかしてくれるさ。そう、我らが重力姫なら!

……え? 無理? おだてても無理? 美味しいケーキ奢るって言っても無理?? 芸能界デビューを約束しても無理????
わたしにだって出来ることの限度がある、って? ……そうだよね。キトゥンたん架空の存在だしね。ごめんね無茶言って。
この世界に、頼めば何とかしてくれる「いい子」はいない。望みがあるなら自分で叶えな。それが出来ないなら、黙って我慢してな。
今日も現実は絶好調だった。重力は上から下へ、それがこの星の絶対法則。ここで生きてりゃ、気が沈んでいくのも当然だな。
はぁ。











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8 コメント

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Unknown (壱九九丸)
2017-08-13 19:28:14
おや、ダゼ2のレビュー来ましたか!
文面から察するに、あまり楽しめなかったようですね(汗)。自分も何周かプレイしていくうちに、「あれ、もしかして佳作止まり…?」と思ったクチです…。レビューにもある通り、思いの外アクション面が改善されていなかったのが残念でした。
売上に関しても、ヒットしたとの噂も聞かないですし、話題性もあまり無かったようですね。いかんせん、発売日がFF15とバイオ7に挟まれてましたし。
ただ、物語には決着がしっかり付き、もともと芸術性にステ振りされたシリーズですし、何だかんだで嫌いでは無いです。
返信する
Unknown (ota)
2017-08-14 02:59:48
面白くなかったわけじゃないですが、吸引力が足りないゲームでした。どっぷりハマるには至りませんでしたね。
もっと町をダラダラ歩き回りたかったなぁ。あ、書き忘れましたが、「歩く・走る」の操作感覚が悪いのも不満でしたね。
>自分も何周かプレイしていくうちに
うお、周回してるんですか! それは凄い。気に入ったんですね。とてもいいことだと思いますよ。
俺はもう1周やるとしたら、やっぱ戦闘がネックになりますね。戦闘は明確に面白くなかったです。うーむ。

>ただ、物語には決着がしっかり付き、もともと芸術性にステ振りされたシリーズですし
絵作り等に他にはないものは感じられますね。そこにキトゥンたんの親しみあるキャラが不似合いなようでよく合ってましたw
返信する
Unknown (S・R)
2017-08-15 03:41:20
ぶっちゃけだるかった……ので途中で放置してしまっています。特にスライダーの視点がぐっちゃぐちゃになるのは辟易しました。
進行がリニアだったり戦闘が微妙だったり、なんか全体的にゲームデザインが古いっていうか……キトゥンのキャラ自体は好きでしたけど、最後までやるほどのモチベーションは湧かず。マップも、飛び回るのが主体なので基本風景でしかなくあまり面白くは……
返信する
Unknown (名無くも無し)
2017-08-15 12:24:14
前作もだったけど、遊びに深みのないゲームでしたな…
魅力的な部分も多いシリーズ故に続編が望み薄なのは残念です

ストーリーは分かりやすいのかにくいのか、でも全体的なノリはコロコロコミックでも通用するほど子供向けな印象で
キトゥンやクロウは任天堂キャラのようなマスコット性を意識させられますね
実際PS版スマブラが盛大にコケてるし
意識して作ってるとしたら…うーん、いや妄想だしキャラも世界観も好きですけどね

散々書いといて前作も今作も気づけばトロコンまで遊んでいたという、あまりトロフィー収集しないタイプの自分には驚愕のゲームですねえ
巷で流行りの言い回し(?)ですが、『精神的続編』がいつか出てくることを祈ってます

デイズ2の記事楽しく読ませて頂きました
お盆のダラダラ感とゲームの相性は割と最高です
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Unknown (ota)
2017-08-15 23:35:35
>>S・Rさん
>なんか全体的にゲームデザインが古いっていうか
今年出た最新ゲームとしては……ですね。ボリュームによる誤魔化しもしてないから余計それが感じられました。
製作期間はたっぷりあったはずなのになぁ。続編として形にはなっていますが、それ以上のものが……。
>けど、最後までやるほどのモチベーションは湧かず。
まぁ、分かりますわ。苦戦する要素はないと思うので、何かの気紛れが発生したら彼女の結末を見届けてやってください。
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Unknown (ota)
2017-08-15 23:46:22
>>名無くも無しさん

>前作もだったけど、遊びに深みのないゲームでしたな…
前作ではまだ重力操作に新鮮味がありましたが、5年後の続編でもあまり変化がないのはまずかったですね。
>ストーリーは分かりやすいのかにくいのか、でも全体的なノリはコロコロコミックでも通用するほど子供向けな印象で
一つ一つのエピソードはアニメ的で親しみ易いのに、この世界独特の時間・空間の理屈が妙に話をややこしくしていると感じます。
俺はあの世界で人類が生き延びられるとは思えない(町の維持は? とか)ので、そこを解決する物語にしてほしかったと思います。

>巷で流行りの言い回し(?)ですが、『精神的続編』がいつか出てくることを祈ってます
そうですね。直接ではなくても、魂を継ぐ作品は作れますからね。ジャパンスタジオが今作をキッチリ刻み込んでくれれば……。

>デイズ2の記事楽しく読ませて頂きました
ありがとうございます。自分ではダラダラ長すぎと思ってた(今更何を言っている)ので、読んで貰えて嬉しいです。
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Unknown (グレイ)
2017-08-20 21:31:45
DAZEは初代Vita版をプレイしましたが、DAZE2は良くも悪くも劇的な変化がない続編って感じですか。空に落ちる快感は据え置きっぽいので、物語の完結がどの程度のもんか、ってところですかね。続編の可能性がないほどまとまっているというのも凄い話ですな……。まあ前作があまりに未完だったというのもありますが……。PS4買ったら前作共々プレイして3D酔いしつつも空へ落っこちたいもんです。

>重力は上から下へ、それがこの星の絶対法則。ここで生きてりゃ、気が沈んでいくのも当然だな。
目から鱗の発想です……。言われてみれば確かに……。キトゥンちゃんの登場や、重力操作の超能力の実現が待たれますな……。
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Unknown (ota)
2017-08-21 01:24:26
>DAZE2は良くも悪くも劇的な変化がない続編って感じですか。
そんな感じです。「遅い」続編だし、ハードもPS4になったので、もう少しパワーアップを見たかったと思いますね。
ただきちんと纏まってはいるので、悪いゲームでもありません。冒険をせず「安定・丁寧」を志して作ったのかもしれませんね。

>キトゥンちゃんの登場や、重力操作の超能力の実現が待たれますな……。
体も気持ちも、前を向かせるのには力が要ると思います。逆に言えば下がるのが自然。そこからどうするかですね。あーしんど……。
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