土佐のくじら

土佐の高知から、日本と世界の歴史と未来を語ろう。

日露戦争は、完全な国防戦争

2013-06-03 07:19:43 | 誇るべき日本の歴史

土佐のくじらです。

近代日本の歴史的大事件の一つに、日露戦争があります。
これなども、戦争=国防論でなければ、絶対におきなかった戦争なのですね。

何せ相手は、当時のGDP第2位の超大国ロシアです。
軍事力は当時、恐らく世界最強であったでしょう。
日本にとって、これほど割の合わない戦いはありません。

通常の戦争=ビジネス論の戦争観では、絶対に戦争になりません。

なぜそんなロシアと、日本は戦うはめになったのか?
私は、

日清戦争で日本が勝ったから・・・そして、その戦後処理が甘かったから・・・だと思います。

日本に負けた清は、”眠れる獅子”と密かに、列強諸国恐れられていた仮面がはずされ、大国としてのメンツが、丸つぶれになりました。

「なぁ~んだ。清国は、日本に負けるような国だったのか!」と、世界に目覚めさせてしまったのですね。

それまで、国内に列強諸国を抱えてはいたのですけど、日本に負けた後には、もう、あからさまにやられ放題の状況に陥りました。
これぞ、侵略国家の真の姿です。欧米列強こそ、侵略者らしい侵略者です。

清は日清戦争前は、GDP世界第1位の大国であったのですが、それからもう、どんどん落ちぶれていったのですね。

これは当時の日本も、予想外のことだったと思います。
「もうちょっと頑張ってくれるのではないか・・・。」と思っていたと想像しますね。

そして日本は、遼東半島を清に返還しますが、なんとここに、ロシアが入ってきたんですよ。あっ!と言う間に・・・

遼東半島は名目上、清からロシアが借り受けた形になっていますが、これなどは街のチンピラが、
「にいちゃん、なぁ~、ちょっと金貸してくれよ~。」と言うみたいな、カツアゲに近い状況であったことに、相違ありません。

そしてロシアは、満州・遼東半島を統治し、南満州鉄道を通して、この地の実効支配を、着々と進めていたのです。

遼東半島は凍りませんから、冬でも海軍が出せます。
ロシア軍の欠点がなくなり、ロシア念願の無敵国になるのですね。

物流は南満州鉄道を使えば、遼東半島の港に無尽蔵に運べます。
ここにロシアが居座れば、いつでも朝鮮半島に入れる状況になるわけですよ。

朝鮮半島が、日本に侵略の意図を持つものが統治すれば、日本本土は将棋で言えば、事実上詰んでしまう訳ですね。
(これは、今でも状況は同じです。)

判断する時間は限られています。

遼東半島を清に返還などせず、日本が直接統治していれば、ひょっとしたら日露戦争はなかったかも知れませんね。

半島は防衛線が狭いので、支配してしまえば守りやすいのです。
制海権を握って、海上からの兵站さえ確保できれば、守りきることは比較的容易です。

私は清に遼東半島を返さず、ロシアの極東浸出を牽制し、阻止する拠点とするべきだったと思います。

ロシアに、「極東進出は割りに合わない。」と思わせれば、侵略国家に対しては戦争にはなりませんからね。

それは遼東半島にいても、十分可能だったと思いますし、この地はそれにとても適していたと思います。

しかし結局、ロシアを遼東半島、そして満州から追い出すことを目的に、日本はロシアと、あの辛い戦争をすることになるのですね。

日露戦争は完全な、国防戦争です。
それ以外に説明しようがありません。

それはまだ日清戦争から、10年ほどしか経過していない時期の話です。

日清戦争に日本が勝った後に、日本は戦争観をビジネスに変更していれば、もしかしたら、また違った歴史があったかも知れない・・・

私は真剣にそう思います。

歴史とは皮肉なもので、戦争=ビジネス論の方が、戦争自体が軽くすむところは、大いにありますし、
戦争自体をしなくて済むところも、実際はかなりあるのですね。

戦争=ビジネス論で言えば、割の合わない戦いというのは、絶対に有り得ませんからね。

日本は戦争=国防論でしか、海外と戦争をしている様子はありませんが、皮肉な言い方ですけど、
であるからこそ、日本にとってはかなりきつい戦いを、歴史上強いられているように、そう私には思えます。

日本人が世界と自国の戦争観を理解することが、いらぬ戦争を世界がしないこと、ひいては世界から戦争をなくすことにつながる・・・

私は、そう思えて仕方がありません。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿