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2017年11月3日(金)
Dingbocheの街の北西側の斜面を20分程登ると、北西に開けた河岸段丘のような広大な高原に出た。
左下にはKhumbu氷河(Everest足下の氷河)に繋がる河川が見え、更に遥か左天空にはCholatse(6460m)やTawoche(6367m)の連山が白く輝いている。
前方にはChoLaPas方面の白い山々が輝いている。
早朝のコースにやっと朝の光が差し込んで手のカジカミが取れる。
高度と気温を馬鹿にしていた訳では無いが、カトマンズで購入した手袋は役には立たない。
標高5000m前後のコースでは如何に南に在るとはいえ氷点下の世界だ。
日陰には数日前に降った雪が残っている。
やはり高度の影響なのか、歩行が遅々としてはかどらない。
天気も良いし、景色も抜群なのだが脚が出ない。
筋肉の痙攣とか無いような負荷で歩いているのだが、心肺機能の方が如何ともし難い。
いわゆる、バテバテなのだ。
四日目にして5000m近辺を歩いているのだから、流石に応える。
ダマし騙し、自分を煽てながら、何とかコントロールしていく。
長年の山屋の矜持を奮い立たせて、ここ一番の山行をと思って踏ん張る。
しかし、5000mは効く。
ゆっくり、ゆっくりとしか進めない。
前に一歩脚を出せば、その分進む。
その分、目的地に一歩近づく。
一二三四五六七八九十、一二三、、、、
機械に為って、ゆっくり、ゆっくりと進むしかない。
でも、バテバテだ。
もう、バッタンキュウとしたい。
でも、意地でもギブアップ出来ない。
でも、酸素が足りなく思考能力が格段に落ちる。
もう、ダメだ。
でも、先に進まねばならない。
山屋の矜持が囁き掛ける。
了解したと答え、黙々と歩く。
でも、もう限界だ。
山屋の矜持が泣くよ。
山屋は如何したの、、、
Gorak Shepのロッジに転がり込むようにして、、、
意識がかなり朦朧としている。
ミルクティーを飲みやっと落ち着く。
札幌の友人から託された写真をロッジの主に渡すが、「ああそう」で何とも反応が薄い。
その中の写真に写っていた一人を指さして「ヒー ゴー ツー プリズン」と言う。
殺人で十年カトマンズの刑務所に入っているという。
写真は彼の妹に持っていってあげると受け取ってくる。
おいおい、こんな山の平和な世界でもそんなことが有るのかい。
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