うちの芝生が一番青い

Tokyoに暮らす、ごくごく平凡で標準的な【ナイスサーティーズ】の奮闘記。

書評 ~ 自分の中に毒を持て

2011年11月28日 | 書評
今日は寒かった。

目黒川の桜並木も 赤く美しく色づいております。

  うー、寒っ・・



今週の書評です。
今週のチョイスはこちら・・・。



「自分の中に毒を持て」    岡本太郎 著


「芸術はバクハツだぁー」の岡本太郎氏の著書です。

以前、知人から「この人の言ってることは強烈だけど、なかなか興味深いよ・・・。」
と教えてもらってましたので、今回手に取ってみました。



【今までの自分なんか、蹴飛ばしてやる。そのつもりでちょうどいい。】

~自分らしくある必要なんかない。むしろ人間らしく生きる道を考えてほしい。
 人生というのはそういう厳しさを持って生きるからこそ面白いんだ。


冒頭の文章から強烈な言葉が始まります。


【今までの 幸せ常識から全く外れた視点を持ってみよう。その時から縦横無尽に自分を生かす明日が見えてくる。】


岡本太郎氏は彼が生きてきた時代では「超前衛派」と言われた芸術家。
著書の中でも振り返っているが、とても苦しくつらい時代だったようだ。

でも彼は自分の書きたい画、自分の表現したいモノを作りつづけた。
その作品にはタダナラヌ思いが詰まっていたのであろう、その後時代が彼についてくるようになる。

その言葉は「聞いたこともないような言葉ばかり」、でもその凄みにはただ圧倒されるばかりである。


 ~「淡々とした道を滑っていく」むなしさに流されてしまわないで、傷つき、血の吹き出すからだを引きずっていく。
  言いようのない重たさを、ともども経験し、噛みしめることだ。
 
  それが人生の極意なのだ。


    スゴイ・・・


 ~最も人間的な表情を、激しく、深く、豊かに打ち出す。その激しさが美しいのである。
  美は人間の生き方の最も緊張した瞬間に、旋律的に立ち現れる。



 ~今日の社会では、進歩だとか福祉だとか言って、誰もがその状況に甘えてしまっている。
  システムの中で、安全に生活することを考え、危険に体当たりして「生きがい」を貫こうなどとすることはまれである。
  
  自分を大切にしようとするから、逆に生きがいを失ってしまうのである。

 
 ~「今はまだ駄目だけれど、いずれ。」と絶対に言わないこと。

  「いずれ」なんて言うやつに限って、現在の自分に責任を持っていないからだ。
  「生きる」ということは、瞬間瞬間に情熱をほとばしらせて、現在に充足することだ。


 
 ~過去にこだわり、未来でごまかすなんて根性では、現在を本当に生きることはできない。
  回顧主義というのは現実逃避だ。
  
  だから、過去だってその時はつらく逃避したんだろうけど、
  現在が終わって過去になってしますと安心だから懐かしくなるんだ。



ソルボンヌで哲学、民族学を学んだだけあって、その言葉は単なる「奇人」のものではない。
エネルギッシュに芸術、社会と真剣に向き合ってきた氏の言葉は、なかなかの迫力をともなって頭に響く。


そして「爆発論」・・・

 【全身全霊が宇宙に向かってっパーッと開くこと。それが爆発だ。】
 
  ~人生は本来、瞬間瞬間に無目的に爆発し続けるべきだ。命の本当の在り方だ。



思っていたよりもスマートな「爆発」です。
美しいものの誕生を想像させる、そんな「爆発」です。



最後に「芸術論」・・・

 【言い換えれば 人生、即、芸術。】
 
 ~誰でもが好奇心を大いに発揮して、真剣に、無条件に、人生を切り開いてほしい。



氏が唱えることに対して「良い」「悪い」を評論することはあまり意味がないと思いました。

疑うことなき「孤高の天才」。

氏の真剣な言葉はどんな考えの持ち主にも「訴えかける力がある」。
そのように感じました。

文句なしに面白いです。
もちろん、オススメ。


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