うちの芝生が一番青い

Tokyoに暮らす、ごくごく平凡で標準的な【ナイスサーティーズ】の奮闘記。

国立代々木競技場

2011年10月16日 | 建築、デザイン
代々木公園の隣に見えるのがこの「国立代々木競技場」。



 



丹下健三の作品の中では一番好きな作品。
東京オリンピックの前、1964年竣工。

2本の柱の間をワイヤーで吊るという画期的な工法。

構造体がそのままデザインエッセンスとなっている、本当に美しい建築。
まさしく日本を代表する建築作品です。


今から約50年前の高度経済成長期。

この時代の日本建築は本当に素晴らしいと思います。

東京文化会館 と オランダの芸術活動

2011年06月27日 | 建築、デザイン
西洋美術館の向かいに建つ「東京文化会館」。
幾度となく当ブログに出てくるこの建築、私の好きな前川國男氏の作品です。




深く出た軒、そのアール形状が際立って美しい。

 メイン通路側はカフェスペースとなっています。


こちらメインのエントランス付近。




スチールサッシのガラスの切り取られ方に注目です。




シンプルな黒い格子が 規則的に並んでいるのがわかりますね。
そこに赤、青、黄といった原色をアクセントカラーとして使っています。

ここからわかるのは、前川さんはフランスの巨匠 ル・コルビジェの弟子なのだけれど
戦前 オランダで起こっていた【デ・ステイル】の影響も受けていたのだろうな・・ということ。


【デ・ステイル】の特徴は シンプルな線で構成された構図とシンプルな原色の色づかい。

代表的な作品としては

・【レッド・アンド・ブルー チェアー】




・【シュレーダー邸】



実はミッフィーも一連の流れで生まれてきました・・・






当時時代の最先端を進んでいた前川建築。
よーく見ているといろんなものが見えてきて面白い・・・。

 中から見ると こんな感じ



目黒区役所

2011年05月25日 | 建築、デザイン
所用で目黒区役所へ行ってきました。

中目黒駅の近く、駒沢通り沿いに建つこの白く美しい建築物・・・
気になっている方も多いのではないでしょうか。




窓の切り取られ方が特徴的なこの建物、「モダニズム建築の巨匠」村野藤吾氏の設計です。




前川國男氏設計の世田谷区役所と並んで、美しさを競うこの目黒区役所。

うーむ昔の官庁建築は素晴らしいなぁ・・・と思いきやこの建物は
1966年に「千代田生命保険本社ビル」として建てられたものなのでした。

コンバージョン、いわゆる転用です。
役所建築にコンバージョンされるのはかなり珍しいケースではないでしょうか。

しかし、50年ほど前の世代である【モダニズム世代】の建築家の作品からは、
建築に込める魂というか想いみたいなものが建物からビシビシ伝わってきます。

ひたすら美しく、そして「軽くない」「品がある」。
素晴らしい!

そしてこの建物のハイライトがこちら。



正面玄関を入って左手に見えてくる 中庭の演出です。
はっと息をのむような美しさがあります。

中目黒探索にいらしたついでに、この東京でもトップクラスの美しい建築。
ぜひお立ち寄りくださいませ。

世田谷区役所

2010年10月08日 | 建築、デザイン
 


本日仕事で世田谷区役所の建築指導課へ行ってきました。
現在抱えている建築計画の法的な疑問点を質問するためです。

いつもなら、お堅い役所の方との折衝ですので、あまり気が進まない仕事であります。
が、世田谷区役所は僕の好きな前川國男さんの建築作品。

無事折衝終了後、バスの待ち時間を利用しての「ミニ建築探訪」です。


  

同一敷地内の「区民ホール」と結ぶ、低いエントランスの渡り廊下は
青森の「弘前市民会館」と同じ手法です。



この渡り廊下の先には、明るい中庭が見えます。



左手を望むと



区民ホールが見えます。

東京文化会館をはじめとする、前川作品はフォルムの美しさとともに、圧倒的な存在感が感じられます。
本当にこれは、日本の建築家でも唯一無二であります。


区役所に入ると、美しいガラスブロックの天井が待っています。

  



前川建築は「階段が美しい」、ここも例外ではありません。

  登り口脇の「給茶機」と「ゴミ箱」どかしてくださいよ・・・



あまり時間がないので、区民ホールへ




区民ホールということもあり、「東京文化会館」や「弘前市民会館」に比べると
華やかさはありませんが、光の取り込み方などは芸術的です。


  ここも階段がいいんです・・・


この区民施設で秀逸なのが、地階レベルの庭園です。

  サンクンガーデンを降りていくと


  このような美しい庭が待ち受けているのです。


前川建築には「ドラマ」があります。
現代の中途半端な近未来的な建築など足元にも及ばないような「気高さ」も感じられます。

「流石だ・・・」

帰りのバスでぶつぶつ言いながら帰ってきたのでした。

バイブル

2009年11月13日 | 建築、デザイン
本日は私の「バイブル」をご紹介します。


私が尊敬してやまない建築家 故 吉村順三氏。

彼が残した建築には、同世代の丹下健三氏のような派手さはない。

でも、圧倒的な存在感や美しさ、誰もが納得する必然性。そんなものの「カタマリ」のようなものばかりだ。


彼が生前残した、「建築やデザインに対する思い」 それをつづった貴重な本がある。





「建築は詩」 ~建築家 吉村順三の言葉100


建築やデザインを志す人なら、一度は読んでください。


デザインとは何なのか?

なんだか新しい気持ちになれるとともに、デザインにかかわることの責任に背筋がピンと伸びます。



私が一番好きな言葉はこちら・・・



建築家として、もっともうれしいときは、建築ができ、そこへ人が入って、

そこでいい生活が行われているのを見ることである。


日暮れ時、一軒の家の前を通った時、家の中に明るい灯がついて、一家の楽しそうな生活が感ぜられるとしたら、

それが建築家にとっては、最もうれしいときなのではあるまいか・・・(続く)



いまは「家」の設計から離れているけど、またいつの日か細々とでいいから、家の設計によって人を幸せにしたい。

そんな思いを心のなかに温めています。


人生は長いからね。